ウチの幼馴染は最強で最硬なんだ!   作:何処でも行方不明

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サリーが腐れ縁の意地で仲良さげアンケート2位にいるのすごいなぁ……
だれだよクロムに入れたの


腐れ縁とキャンペーンクエスト

「さてと、来ました新マップ。道中防御貫通スキルを得られたこと以外は全部想定の範囲内だね」

「絶対私のレベル帯で来るところじゃないわ……エネミーの硬いこと……」

 

僕の言葉にゲンナリしながらサリーは愚痴をこぼした。

いつもふたりで高レベル帯に低レベルで突っ込んでる人とは思えない口振りだ。

 

「でもその分経験値は美味しかったでしょ?僕でも1レベ上がったぐらいだし」

「そりゃね……ここ付近絶対難易度高めに設定されてるわ……」

 

そう言いながらサリーは画面を操作し新たに習得したスキルの確認をしていた。

僕はさっきも言った通り、弓の防御貫通スキル【ピアースストライク】を取得。

あとは【弓の心得】がXIに上がったり……それぐらいかな。

 

「何せ今日はどう足掻いてもボス級のドラゴン討伐!これで心躍らなかったらゲーマーじゃないよ」

 

肩を解しいずれ相対するボスを想像する。

絵にはお手本のようなドラゴン。

大きな翼に鋭利な鉤爪。

しかもクエスト名は【龍の奥義:序章】

奥義と言うからにはドラゴン関連のスキルが手に入るかもしれない。

それに序章。

キャンペーン感を醸し出すタイトルに僕はさっきからワクワクしっぱなしだ。

まだ誰も知らない物が手に入るかもしれない。

それだけでゲームをやってるかいがあるってものだ。

 

「ポーションよし、各種バフ撒きアイテムよし。いちおうの経験値増加アイテムよし。じゃあ行こうか」

「はいはい。レディーファーストね」

「仕方ないじゃん。僕は遠距離が本領なんだから」

 

軽口を言いながらダンジョンへ入っていく。

出迎えてくれたのは大きな大剣と弓。

ボロボロだけど、触れることでウィンドウが表示される。

つまりは立派なアイテムだってことだ。

 

「【歴戦の大剣】と【歴戦の弓】……か。まるで何年か前の狩猟ゲームを思い出させるようなネーミングだね」

「スペックはどう?」

「一応ネームドっぽいから期待してみたけど……見た目通りにだいぶ減ってる耐久値にそこまで高くない付与効果……一応、威力は前線級だけど……わざわざ取るようなものじゃないかな」

「で、早速インベントリに入れると」

「だってこういうのって持っていたら何かあるのがゲームの常じゃん?エルダースクロールで学んだよ?」

 

というわけでふたつの武器をインベントリに放り込む。

 

「それじゃあ張り切って探索行ってみよー」

「おー!」

 

※※※

 

「ざるい!弱い!」

「私の出番全くないわね」

 

多分火力が高めに設定されてるであろうエネミーの群れをミリオンショットによるゴリ押しで突破した辺りで察した。

このダンジョンで湧く【ドラゴンベビー】なるエネミーは防御力が低い!

 

「いっそのことさ……ドラゴンゾンビとか……」

「出たら私真っ先に帰るわよ?」

「だよねー。歯ごたえ無さすぎて面白くない!」

 

そりゃあ僕の火力はそれなりに高い。

だからと言ってここまで弱いと拍子抜けしてしまう。

そして何より

一定レベルのモンスターなら僕ら2人は当たると死ぬ。

そのせいで当たらない立ち回りばかりしてるからエネミーの利点も全く関係ない。

 

「というわけでボス部屋らしき広場の前です。どうしよう」

「行くしかないんじゃない?」

「ボスもベビーみたいな性能だったらほんとに拍子抜けだよ……」

 

真っ暗闇の広場に僕達は足を踏み入れた。

よくある演出だと壁際にあかりが点ったりするんだけど……

あかりが点るよりも早く目の前に赤い目が現れた。

その瞳は大きな羽ばたき音と共に上に飛び上がり

そして……

大きな咆哮と共に天井部分が吹き飛ばされ太陽の光が僕らとボスである【アウェイクドラゴン】の姿を照らした。

 

「これは……戦いがいがありそう!」

「やっぱりこういう時は滾るわね!」

 

僕達は各々の武器を構え戦闘態勢を取る。

ギリギリと弓に矢を番えてまずは先制攻撃。

ドラゴンの鼻面を捉えた矢はまるで大砲の砲撃のような粉塵を出し直撃を僕達に知らせる。

だが、その攻撃を意に返すことなくドラゴンは僕達に向かってその腕で薙ぎ払ってきた。

 

「サリー!」

「オーライ!」

 

サリーは僕を踏み台にして飛び上がる。

そして僕はすかさず

 

「【飛翔】!」

 

天空に目掛けて飛び立つ。

途中でサリーを拾い、2人でドラゴンの攻撃を上からみている。

 

「注目すべきは咆哮かな。ギミックだけとは思えない」

「同感。それにさっきのベビーたちの長だっていうなら咆哮自体にダメージ判定あるかも」

「ところで落下ダメージとか大丈夫?」

「僕が緩衝材になれば多分」

 

瞬間移動を行う疾風は味方と接触している時に使うと明後日の方向に味方を吹き飛ばす性質がある。

だから今回みたいな状況では使えない。

 

「すみませんアキラさん」

「んー?」

「自由落下始まってます」

「知ってる知ってる」

 

着地寸前に風魔法を下方向に放てば多分ノーダメだから……

 

「あ、やっぱり空中追撃モーションあるんだ」

 

そう。ドラゴンさんは首を真上に向け、僕達の方へ一直線に飛んできた。

 

「多分アキラ専用じゃないかしら?他に空飛ぶ人私知らないし……」

「ミィは飛ぶよ。カスミも一時的に跳ぶし……まあ、一番滞空時間長いのは僕だね」

 

でもまあ、足場から向かってくるなら楽だ。

どうやらサリーも同じことを考えていた用でこっちに顔を合わせニヤッと笑ってきた。

そんな中、足場が爪をたて攻撃を行った。

 

「よい……やっと!」

 

僕は背中に背負っていた蒼月を振りかざし……

ドラゴンの腕を消し飛ばした

 

「……あ」

 

蒼月のスキルスロットに悪食付けてたんだった……

オンオフとか出来ないから勝手に悪食が発動して腕を食べたのか……

勢いのついた一撃をお見舞いしようと思いっきりぶん回したせいでグルングルンと視界が回転する。

 

「アババババ」

 

唯一の救いはドラゴンが攻撃によるノックバック判定をなぜか受けたことで追撃をキャンセルしていたことだった。

 

「【スラッシュ】!【パワーアタック】!」

 

気付いて無いのか気付いた上で放置してるのかサリーはゲシゲシとドラゴンに攻撃している。

そして不意に視界の回転が収まり、僕は地面に叩きつけられる。

 

「……蒼月が地面に突き刺さって一時的に運動エネルギーが0になったのかな……物理演算がザルで助かった」

 

ダメージは装備が受け止めHPは減ってない。

……?

でもなにかが……

 

「あ……物理演算割とまともだった?」

 

僕の手にはポッキリと折れた蒼月の柄。

どうやら衝撃のほとんどが蒼月の方に行ってしまい折れた……って感じかな。

 

「【破壊成長】がなかったら泣くところだった……とと、サリー大丈夫?」

「大丈夫……だけどやっぱり私の攻撃力だとジリ貧過ぎる!早く援護射撃お願い!」

「オーケー。じゃあ遠慮なく……」

 

ステータスパネルを出現、アイテム一覧から適当な大剣を呼び出し背中に出現させる。

 

「普通に矢を射るよりもこっちの方が断然火力出るし……【トリプルスティング】!」

 

3つの光の矢となった(多分メンテによるスキル仕様の変更によるもの)大剣はドラゴンの両目と口を穿つ。

ダメージを受けたドラゴンは吠え、サリーを意に返さず急上昇を始める。

……ふとドラゴンの体力バーを見ると4本あったバーの内、1本が消え失せていた。

ようは行動パターンの変更か特殊行動……

観察する前に自由落下してるサリーを拾わないと。

 

「右……いや、もう2歩左かな」

 

落下位置を予想しその地点に手を伸ばす。

すると予想は的中しポフッと音を立てサリーは僕の腕の中に収まった。

 

「やあ、おかえり。空の旅はどうだった」

「存外に気分はよかった。とりあえず下ろして」

 

サリーに従い彼女を地面に下ろし2人して上空のドラゴンを見据える。

 

「ギャーギャー叫んでうるさいわね……」

「あーでも叫ぶ度にHPの上にあるバフ効果増えてる……」

 

3回ほど吼えるとドラゴンは今一度地上付近までやってくる。

 

「……!!サリー、飛び退いて!」

「へ?」

「遅いよ、全く!」

 

唐突に悪寒が走り僕はサリーを巻き込みモンハン式緊急回避を行う。

次の瞬間、僕らがいた場所はゴォッ!という爆音と共に削り取られていた。

 

「予備動作なしの攻撃……多分ダメージは低めだろうけど……」

「私たちなら即死待ったナシね……」

「そういうこと。VITゼロコンビだからね」

 

でもまあ、予備動作なしとはいえ僕が悪寒を感じる=何かしらの予兆があるってことにもなる。

……いやまあ、勘だったらアレだけど。

 

「とにかく口の延長線上には立たない方がいいか……面倒な」

 

正直なところ、僕は攻撃力には自信があった。

蒼月を事故って折ってしまい、他の大剣で代用したとはいえ、火力は相当なもののはずだ。

……いやまあ、4回やればボスの体力全部弾け飛ぶ火力は十分におかしいか。

 

「タゲは僕が取るからサリーはその隙にポカスカ殴っておいて」

「そのいいかたキャリーされてるみたいで腹立つわね。仕方ないけど」

 

僕の意見に不満を少しもらしながらサリーは従う。

 

「【超加速】……【ダブルスラッシュ】!」

 

一時的にAGIを上昇させ切り込むサリー。

一瞬だけドラゴンの視線がサリーに向くけど、無防備な横っ面に僕が矢をねじ込む。

それによりタゲが僕に切り替わり、下顎ががら空きに。

 

「余所見してんじゃないわよ!【ダウンアタック】!」

 

ノックバック値が高めに設定されてる攻撃によりドラゴンは頭を大きく仰け反らせる。

 

「少しサクッと行きますか【ストロングショット】」

 

STR依存の火力高めスキルを仰け反った頭に命中させ、もうひとつゲージを消し飛ばす。

 

「簡単にHP溶ける溶ける……この調子なら……」

 

こっちを向いたドラゴンを確認し僕は例のスキル

 

「【疾風】」

 

を使い、ドラゴンの真横に転移する。

ドラゴンは例の予備動作なし攻撃をしていたのかさっきまで僕がいた場所を見ている。

 

「これはお返しだよ!」

 

破壊成長により復活した蒼月と弓を持っていた手に歴戦の大剣を構え、豪快に振り回す。

 

「さすがに僕でもこの図体と距離なら余裕!【ダブルスラッシュ】!」

 

途轍もない音と共に振り抜かれた連撃はドラゴンの顔を完璧に捉える。

2本の大剣に同時に【ダブルスラッシュ】が適用されたことにより攻撃回数は4回。

正直なところ、何気に攻撃倍率が0.8倍の矢を大量に放つ【ミリオンショット】が攻撃倍率0.5倍に下げられたりしたから今の僕の最大火力は遠距離特化を適応しない場合、この大剣二刀流が抜きん出る。

……遠距離特化消してないから随分と威力削がれてるんだけどね。

 

「よし、言うか。『やったか!?』」

「随分と楽しんでるわね……アキラの近接攻撃だとHP残るんじゃないかしら?」

「うん、知ってた」

 

本当に知ってた。【天眼】による自動ダメージ算出機能により、どう足掻いてもHPが残ることは文字通り目に見えていたからね。

 

「さて……最後の悪あがきを見てみますか……」

 

と呟いてドラゴンのHPバーを見ようとした僕の目には

 

 

 

 

 

 

4本目まで満タンのHPバーを持つドラゴンが映っていた。

現状アキラは誰と一番仲がよさそう?

  • メイプル(本条楓)
  • ミィ
  • サリー(白峯理沙)
  • クロム

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