四葉 真夜の娘のおしごと   作:KIRAMERO

8 / 10

先週と今週と言いましたがあの後少し体調崩してたので今日になりました。この時期は毎年これだから……




分解魔法と自由なる魔法

 

 

「待ってください。どうして軍はトゥマーン・ボンバによる攻撃を予期していたのでしょう」

 

「達也……」

「…………」

「……達也さん……」

 

達也は深雪と水波を別荘に残し夕歌と沙夜、風間が対峙していた場所から隠形を展開していたが沙夜が風間に迫っていったので出ていった。

 

「お答えください、風間中佐」

 

「先程津久葉さんにも言ったが軍機のため答えることは出来ない」

 

「つまり、肯定ということですか?」

 

「ノーコメントだ」

 

「風間中佐、自分は貴方に義理と恩義を感じています。だからこそ言いたくはありませんが事前に警告を受けていればみすみす奇襲は許していませんでした」

 

「……遠距離魔法が新ソ連からのものであるいうことは確かなのか?」

 

「根拠を答えてくれれば、自分の疑問は解消していただけるのでしょうか?」

 

「……良いだろう」

 

風間本人はこの攻撃が新ソ連の国家公認戦略級魔法師によるものだと考えてはいるが確信には至っていない。そして達也いや四葉家はこの攻撃について事前に察知していたと思っている。このまま話したら嫌でも軍のしかも魔法戦力の最大機関である独立魔装大隊の情報収集能力が四葉家に知られてしまうと考えたがここで変にこだわっても益はないと考えた。

その後夕歌から軍の情報を無視しようという意見が出たが達也は全てを聞いた上で判断すると決めていた。その後達也はこの攻撃がウラジオストクの線路上からであること、術者を捕捉したがそれはベゾブラゾフではなく女性2人だということを話した。風間からは攻撃は予測していたが何時起こるかまでは分からなかったという解答に達也からの解答は的を射抜いていた。その後もその場にいた沙夜は一切口出しせずにその場に立っていた。その後風間は部下を待たせていた装甲車に乗り込みこの地を後にした。

 

「それでは、別荘に深雪と水波を待たせてるのでこれで失礼します」

 

「待ちなさい。達也」

 

「何でしょうか」

 

「1つ聞いておくわ。貴方これからも国防軍に対して特務士官として忠誠を誓うことは出来る?」

 

「それは無理です。自分が最も優先して動くのは深雪に危険がある場合のみです。それが例え特務士官として動いている最中であっても深雪に何かあった場合は深雪の元に向かいます」

 

「そう、それが聞けて安心したわ。じゃあね私もそんなに暇なわけでは無いから」

 

「待ってください。自分からも1つ疑問を解決させてください」

 

「何かしら」

 

「今回ベゾブラゾフからは3度攻撃が行われました。1度目は自分で防ぎましたが2度目、3度目の攻撃は自分と深雪は間に合わず水波の防御魔法もギリギリでした。だが水波の防御魔法が展開される前にトゥマーン・ボンバと思われる魔法は無効化されました。沙夜様は何かご存知無いですか?」

 

「…………分かったわ。貴方の別荘に行きましょう。夕歌さんもご一緒しますか?」

 

「いいんですか?」

 

「ええ、貴女達も見ていたでしょう?」

 

その言葉に夕歌は声が出せなかった。今まで夕歌は沙夜を四葉家の次世代を担う中で1番会ってきたといえる仲だろう。その時の沙夜は真夜を彷彿させるような場面を見たことは無かった。だが今はどうだろうか、今の沙夜はまるで夕歌達に見せている真夜そのものの雰囲気を感じていた。

 

達也が住んでいる別荘に移動した沙夜、達也、夕歌、茉純、夕歌のガーディアンは現在深雪、水波を含めてリビングにあるソファに対面して座っていた。

 

「さて、何処から教えた方がいいかしら?」

 

「ではベゾブラゾフのトゥマーン・ボンバと思われる魔法を無効化した魔法は一体何でしょうか」

 

「今から話すことはオフレコで頼むわ。私が使ったのは「ソーサリーエリア・ディストラクション」。私の隣にいる茉純ちゃんが達也のミスト・ディスパージョンを元に作った分解魔法の一種よ」

 

「分解魔法……」

 

「分解魔法は貴方の専売特許では無いわ。私だって使えるようになったのはつい最近よ」

 

「達也様、沙夜様が仰ったことは事実でございます」

 

「それはわかりました。しかし2度目はそれで防げたとしても3度目の攻撃は如何に耐えたのでしょう?自分が見ていた限り障壁魔法が展開されていましたが……」

 

「それは私の固有魔法ね。固有名称は「リベラル・フリーダム」。1度見た魔法を私の魔法力に準じて発動出来る魔法よ」

 

「1度見た魔法を従姉様の魔法力に準じて……」

 

「貴方達のよりかはいくらかは見劣りするでしょうけど常人よりかは強い魔法は出せるわよ。それでも私はずっと四葉本家に居たからそんなにバリエーションも無いけどね」

 

「なるほど、そうでしたか……」

 

「他に何も無いなら、私達はこれで失礼するわ。まだやることが残ってるからね。」

 

「今回はありがとうございました、従姉様」

 

「いいのよ、これくらい。私もまだやらなきゃいけない事が沢山あるからね」

 

沙夜はその言葉を最後に伊豆の別荘を出ていった。その後近くにある自分の別荘へ戻り身支度を終えると一路東京の立川にある自宅へと戻っていった。その間に日本政府は伊豆に奇襲を受けたと相手国は不明として国際社会に抗議の意思を表明した。

 

次の日、深雪は学校に行くとほのかと雫から先日のことで色々聞かれたが達也を含め無事ということを知らせると2人とも安心してくれた。ただ深雪は違う心配をしていた。今回ベゾブラゾフからの攻撃を防いだのは他でもない達也と沙夜だ。特に沙夜は3度攻撃があった2度目と3度目を防いでる。深雪にとって魔法の過剰使用は以前母親の深夜のガーディアンで水波の遺伝子上の姉である穂波がその影響で死を迎えることがあったため、余計に沙夜のことが心配だった。昨日襲撃があった直後に会った時は心配するような素振りは見せていなかったがそれでも心配だった。

 

達也も深雪同様に心配はしていたが彼の場合は沙夜が使った魔法の方が気になっていた。沙夜が今回使った「ソーサリーエリア・ディストラクション」と沙夜固有の「リベラル・フリーダム」共に軍事機密指定されてもおかしくない魔法だった。それを風間や彼の部下に見られていたのは沙夜にとって誤算だったと言わざるを得ないだろう。そしてこのうちの一つの「ソーサリーエリア・ディストラクション」は達也が1番気になった魔法だ。沙夜が帰った後伊豆の別荘のホームメールサーバーに「ソーサリーエリア・ディストラクション」の作成者の四海 茉純からメールが届いていた。一体何を送ってきたんだと思い開いてみたらそこには起動式が羅列されていた。何故と思ったがそこには「この起動式は達也様がお使い頂ける用に調整しました」と書かれていた。達也にとっては予想外のことでありこの日はすぐに東京調布にある四葉のビルへと移動する予定だったため詳しく見る時間はないので後回しにした。

 

それから数日、達也の周りでは達也が学校に復帰したことや海外でのディオーネー計画とESCAPES計画の評価、政財界でのディオーネー計画とESCAPES計画の評価が二分していることが起こっていた。

あの日の翌日、沙夜は立川にある個人宅で眠りについていた。周りには茉純を含めた四葉の息がかかった病院の医者が数人いる。昨日あれから自宅に戻ったのが午後の4時で伊豆から直接では無く株主としての優待を受けながら帰ってきた。ただそれ以上に沙夜の体が悲鳴をあげていた。沙夜は真夜や達也、深雪に比べると体は弱く、それでいて魔法を行使するのに必要な想子の保有量は少なく幾ら「ソーサリーエリア・ディストラクション」が「術式解体」より4分の1少ないとはいえ沙夜にとっては少なくない魔法だった。それに加え普段は使わない四葉家の秘術「フラッシュ・キャスト」を用いての魔法の行使を行ったため沙夜の体は見えないところで悲鳴をあげていた。

 

「とりあえず、しばらく安静にしていれば日常生活に戻れるでしょう。そしてしばらくは過度な魔法の使用を避けるべきでしょう」

 

「分かりました。沙夜様には私の方から伝えておきます」

 

「では、私達はこれで。何かあればこちらにお電話ください、すぐに駆けつけますので」

 

「ありがとうございました」

 

茉純は医者達が出ていくのを見ると沙夜が眠っている部屋に向かった。

 

「……すみませんでした。私が……私が…もっと上手に魔法が使えたら…きっと…沙夜様1人に…」

 

茉純は自身の過去を思い出していた。茉純はいずれ沙夜のガーディアンになるべく極秘に訓練を課されていた。そこで思いがけない事故が起こったのだ。それは四葉家がある村の中にある廃校舎で野外訓練を行っている際校舎が不意に崩壊したのだった。その際茉純の左足と左腕に校舎の瓦礫が突き刺さりその突き刺さった箇所が悪く今後の運動に関して後遺症が残る程の怪我を負ったのだ。今でも沙夜には見せていないが時折足を引きずったりする仕草を見せている。それだけではなく茉純は崩れるのを防ぐために障壁魔法を展開したが茉純の予想よりも遥かに負荷がかかり今後魔法師として生きていくには過度な戦闘は避けるべきだという判断が下された。茉純はその言葉を聞いて自分に与えられていた部屋へ戻るとその場で泣き崩れた。その出来事は今でも茉純の脳裏に刻まれている。

 

「私は…やはり…沙夜様にとっては…」

 

「そんなことないよ。茉純ちゃん」

 

「……沙夜…様…」

 

そこには先程眠りについていた沙夜がたっていた。

 

「私はね、茉純ちゃんがいてくれたから今の私があると思ってるの。昨日のトゥマーン・ボンバだって茉純ちゃんがソーサリーエリア・ディストラクションを作ってなければ私だけじゃなくて達也や深雪ちゃんに水波ちゃん。それに夕歌さん、花菱さんも今頃は皆亡くなってたかもしれないんだよ?だから茉純ちゃんにはまだまだ私といて欲しいし」

 

「…………」

 

「茉純ちゃんは隠してたかもしれないけどこれまでの事は私も知ってるよ。だからって自分のしてきたことを否定しないで。私がその分茉純ちゃんのしてきたことを肯定してあげるから」

 

「沙……夜…様…」

 

「ほら、泣かないで。私は泣いてる茉純ちゃんより笑ってる茉純ちゃんの方が好きだよ」

 

茉純は沙夜に抱きついた。これまで茉純自身が経験してきた色んなことは他の人では絶対に経験出来ないことだろう。例えば自分が世界的に名前が知られる魔法工学技師になったことを1つとっても普通はなれないものであるしそれは茉純自身が築いた確かな功績でもある。だからこそ沙夜はそんな茉純を誇りに思っている。

 

 





最後感動ストーリーみたいになりましたが物語的にはまだまだ感動ストーリーになるかは分かりません。

沙夜が持っている固有魔法のうちの特異魔法が今回出た「リベラル・フリーダム」になります。精神干渉系魔法はまた別にあります

ご読了ありがとうございます。お気に入り登録、感想、評価よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。