戦の鉄則   作:並木佑輔

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第11話 苦渋の選択

凍哉との死闘を制したも束の間、突如人志達の前に"羅刹一座“の大妖怪バサラとその直近の部下達が現れた。

 

『バ…バサラ…!!』

 

『な…何故お前が…!!』

 

『よお隻腕の…これまでの健闘ぶり、しかと拝見させてもらったぜ…。

まさかあの氷華の一族に打ち勝つとは思わなんだ…

お陰で、こちらの計画も順調に進行できるしな…。』

 

バサラは、人志に敗れ倒れている凍哉にとどめを刺す為、自身の能力で烈風を起こし、彼に向けて放った。

 

しかし、その烈風を人志は炎の性質変化で防ぎ、凍哉を庇った。

 

『何故敵である俺を庇うような真似をする…!?

情けをかけたつもりか!?』

 

『…さっき俺に投げかけたあの言葉が嘘でないのなら、殺された同胞達の無念を想う心があるのなら、お前はその人達の分まで最期まで生き続けなければならない…。

生きろ凍哉!!お前はこんな所で死んでいいような男じゃない!!』

 

『…!!』

 

人志はバサラの烈風から凍哉を庇い、エネルギーを全て使い果たしそのまま倒れ込んでしまった。

 

『人志!!』

 

『とんだ邪魔が入っちまったが、まあ計画の進行に支障はねえ。

お前らはあの小娘の身柄を確保しろ!

その間に、俺は残りのボロクズ共を始末する…。』

 

『はっ!!』

 

バサラ達は、陽菜の身柄の確保と人志と凍哉と樹の息の根を止めるべくそれぞれ行動を起こした。

 

人志と凍哉と樹がバサラの手によって殺されそうになる所を見た陽菜は、次の瞬間…

 

『やめろおおおおおおおおおおおおお!!!!』

 

と荒々しく叫んだ。

 

すると、何故かその場にいたバサラやその直近の部下達の動きが強制的に制止された。

 

『な…か…体が…動かない…!!』

 

『ッッ!!』

 

陽菜の叫びにより、一切の身動きが出来なくなったバサラ達だが、事態はそれだけでは治らなかった。

 

何と、さっきまで全ての力を出し切り倒れ込んだ人志が陽菜の咆哮に呼応し目覚め、彼女を捕縛しようとするバサラの部下達を一掃し、かつての仇敵であるバサラに立ち向かって行った。

 

(あの陽菜という者が叫び出してからとてつもなく強大な妖気が放出している…!!

あいつは…まさか…!!)

 

『ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

 

(これは…あの時の…!!)

 

覚醒した人志と応戦するバサラは、過去に『カモミール』を襲撃した事を思い出した。

 

それは、設立者である橘茜との激闘を制し、陽菜以外の孤児達を皆殺しにし、彼女の身柄を確保しようとしたその時、彼女の突然の咆哮により身動きが出来なくなり、人志と怪童がその咆哮に呼応し覚醒し、自分達に向かって行った事があった。

 

バサラは陽菜の未知の能力や、人志と怪童の力を危惧し、人志を完全に疲弊させ、陽菜の身柄を確実に確保する事が狙いでこの選定を開催したのだ。

 

(やはりお前らはただで済ます訳には行かねえ…!!

ここで確実にあの小娘の身柄を確保する!!)

 

陽菜の身柄を捕縛する事に躍起になったバサラは、覚醒した人志との激闘を繰り広げた。

 

一方その頃、『絵札の四銃士』のジャックとの激闘を制し疲弊し切って倒れ込んでいた愛菜が目を覚ました。

 

目を覚ました愛菜は、人志に助けられた借りを返す為に激しい衝突音のする方へ向かって行った。

 

覚醒した人志は、陽菜を守る為にバサラを本気で倒しにかかろうとしたが、バサラは全く本気を出しておらず、純粋な体術だけで人志を圧倒する。

 

突破口を見出せない人志…そこに、半人半鬼の少女・愛菜が人志に借りを返す為に助太刀に馳せ参じた。

 

『お前は…あの時の…!!』

 

愛菜は、自身の能力で人志に触れて、彼の身体能力の全てを倍に強化させた。

 

『あんたへの借り…今ここで倍にして返すよ!!』

 

愛菜の能力に助けられた人志は、彼女の援護に応える為、再びバサラに立ち向かって行った。

 

『いいだろう…ここまで死力を尽くしてきたお前らに、俺が直々に引導を渡してやるぜ!!』

 

そう言い放ったバサラは、自身の全てを捻じ切る暴風の能力を人志と愛菜に喰らわせた。

 

『烈風烈斬!!』

 

バサラの技をもろに喰らった人志と愛菜は、暴風に吹き飛ばされると同時に身体中を捻じ切られ、ズタズタにされてしまった。

 

『人志ィィィィ!!!!』

 

『さて…これで邪魔する者はいなくなった…。

これで俺は、心置きなく俺の計画を進行できる。』

 

戦いを制したバサラは、陽菜の身柄を確保しようと動いた。

 

『う…うぅ…』

 

『…まだ息があるのか…。

本当に渋てえ野郎だ。』

 

まだ息がある人志に今度こそ止めを刺そうとするバサラ…そこに、

 

『やめて!!』

 

と、陽菜がバサラを止めた。

 

陽菜は、いつも自分の為に戦ってくれた人志達をこれ以上苦しませない為に、自分の身柄をバサラに譲り渡す事を決意した。

 

『良い判断だ…。』

 

『は…陽…菜…』

 

瀕死になりながらも、陽菜を守る為にまた立ち上がろうとする人志に、彼女はこう言い放った。

 

『それ以上動かないで!!

そこを一歩でも動いたら…

私は貴方を…絶対に許さない…!!』

 

『…!!』

 

『今まで…本当にありがとう…

さようなら』

 

陽菜は、涙を流しながらバサラの元に向かい、連れ去られてしまった。

 

(また俺は…失ってしまうのか…

また俺は…大切な人を守れなかったのか…

あの時から…俺はちっとも変わってない…

俺は…非力だ…)

 

涙雨が降り注ぎ、己の非力さを悔やみ恨みながら人志は倒れた。

 

だがそこに、突如謎の人物が現れ、人志・樹・愛菜・凍哉の四人は、その謎の人物に何処かへ連れて行かれてしまった…。

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