戦の鉄則   作:並木佑輔

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第13話 成長

長寿館の地下5階の特別訓練場で、人志・樹・愛菜の三人は、伊達との修行に赴く。

 

気合十分の三人の対し、伊達は早速実戦形式の修行を付ける。

 

その内容は、人志・樹・愛菜の三人に対して伊達はたった一人で相手をするというものであった。

 

『本気で殺す気で来い』と伊達は三人に言い放ち、戸惑いながらも人志達は覚悟を決めて伊達に向かっていった。

 

まず最初に愛菜が自身の身体能力の全てを倍に強化させて伊達に攻めていった。

 

愛菜の放った拳を伊達は軽く受け流した後、その力を逆に利用して跳ね返して彼女を返り討ちにした。

 

(合気か…)

 

(お…鬼の力を自力で受け流して跳ね返すだなんて…!!)

 

伊達は愛菜を吹っ飛ばした後、次に樹を狙ってきた。

 

樹は自身の血で大木を錬成して放ち迎え撃つが、まるで歯が立たずに一方的にのされてしまう。

 

最後に残った人志は、自身の生命エネルギーを高め放出し、炎の性質変化で伊達に立ち向かう。

 

伊達は人志の怒涛の猛攻を難なく躱し続け、彼に軽くカウンターを喰らわせた。

 

モロに喰らってしまった人志は、攻撃の手を緩めずに生命エネルギーを雷に性質変化させ超高速で縦横無尽に動き回り、相手の隙を見出そうとしていた。

 

だがそれすらも全く通じずに、人志達は惨敗を喫する。

 

『お前らよくもまあこの程度の強さであの選定を乗り切ったもんだ…

考え無しに突っ込む馬鹿に、戦いの基礎が固まってすらいない木偶、それにエネルギーの無駄遣いばかりしやがる阿呆ときた…

俺一人に手こずるようじゃ大妖怪はおろか、右腕程度にも及ばねえ。』

 

(全力の人志さんを軽く打ちのめしてしまうだなんて…強すぎる…これが、守天豪傑の一人の実力なのか…!!)

 

『ま…まだだ…!まだ俺は戦える!!』

 

『あたしも…まだまだやれる!!』

 

『止めだ…今のてめえら如き殺す価値すらない…。

俺とやり合うからには、それ相応の実力と戦略を身につけてから出直してこい!』

 

そう言い放った伊達は、先にエレベーターに乗って訓練場から去っていった。

 

人志達は一旦訓練場を後にし、次に備える為に英気を養った。

 

その後、人志は樹と愛菜を呼んで次回から格上である伊達相手にどう立ち向かっていくのか話し合いをし始めた。

 

『今日戦ってみた通り、伊達さんは守天豪傑最後の生き残りであり、数多の修羅場を潜ってきた歴戦の英雄だ…。

今の俺達では、あの人に擦り傷一つすら付けられない…

それほどまでに力の差がありすぎるんだ…。』

 

『僕らは一体、どうすれば…』

 

『そこで俺から一つ提案がある…伸るか反るかはもちろん、お前らが決めてくれ。』

 

樹と愛菜は、少し間を置いてから人志が考えた提案に乗った。

 

『頼む!教えてくれ!』

 

『分かった 話はこうだ…

今から俺達三人で、お互いの能力や持ち味を理解し合い、協力し合う…

つまり、合同訓練という形になるな。』

 

『合同訓練…か…。

でも、流石に今からやるのはちょっときつくない?

それでもし明日とかに支障を来しちゃったら…』

 

『何故伊達さんは、俺達に急に3対1の実戦形式の訓練をつけてきたと思う?』

 

『え…そ、それは…うーん…』

 

『……チームワーク…?』

 

『その通りだ。

この先の戦いは、羅刹一座の大妖怪とその右腕含め13人とやり合わなければならない…

とてつもなく強大な組織と戦うには、一人だけの力では乗り切れん…

だからこそ伊達さんは、俺達三人にチームで乗り切る事の大切さを身を持って味合わせたのだろう…。』

 

『そうか…そういう事だったのか…』

 

『よおし!!そうと決まれば今すぐ始めよ!!

時間はまだまだたっぷりあるしね!!

次こそあの嫌味なおっさんの吠え面かかせてやる!!』

 

『ああ 三人で一緒に乗り切ろう。』

 

こうして、人志・樹・愛菜の三人はお互いの能力や長所と短所を把握し協力し合いながら寝る間も惜しんで鍛錬を積んでいった。

 

そして三日目の日、三人は再び歴戦の猛者に挑みにいった。

 

『あの時よりちったあマシになったかどうか…試させてもらうぜ。』

 

まず最初に樹が大木を作り出し、それを愛菜が触れて硬度と強度と大きさを倍に強化させて放ち、その隙に人志が雷の性質変化で瞬時に伊達の背後を取り攻撃した。

 

しかし、それすらも伊達は容易に見抜き、逆に人志の背後を取って一撃を喰らわせた。

 

だがそれは、人志が雷の性質変化で作り出した残像であった。

 

樹と愛菜は伊達の隙を見出し、大樹で相手を拘束し、倍に強化させた渾身の一撃を喰らわせようとするも、伊達はすぐさま拘束を解き攻撃を受け流した。

 

そしてこれだけでは終わらず、突如伊達の立っている周辺から複数の火柱が起こり、彼が今立っている真下の地面から人志本人が出てきて、炎の性質変化による一撃を今まさに喰らわせようとしていた。

 

『人志さん!!』

 

『ぶちかませ!!!!』

 

回避も防御も間に合わない速度で、今度こそ決着が着いた…

かに見えたが、伊達はここにきて初めて自身の何らかの能力を使用して攻撃を回避し、人志を樹と愛菜のところへ吹っ飛ばした。

 

それは本当に一瞬の出来事であった。

 

『い…今…何が起こったんだ…確かに人志さんの攻撃は、完全に伊達さんを捉えていたはずなのに…』

 

『くそっ!ここまでやってまだあいつに及ばないってのかよ…!!』

 

『初日に比べりゃちったあマシになったが、次やる時はこんなもんじゃ済まねえぞ…

今度は、俺も本気でお前らの命を奪うつもりで行く…

覚悟しておけよ。』

 

三人は惜しくも敵いはしなかったが、伊達に能力を使わせるまでに追い込んだ。

 

活路を見出した三人は、以降切磋琢磨していったのであった。

 

そんな中、突然伊達が『話があるから来い』と

人志に呼びかけた。

 

その話とは、今まさにこの妖怪社会全体を震撼させているとてつもなく大きな存在…

"妖怪殺し“怪童の事についてであった。

 

『お前は今後の陽菜奪還の事だけに備えておけ…

"あいつ“にはもう関わるな…。』

 

『伊達さん…それは一体どういう事ですか…?』

 

『言葉通りの意味だ…怪童の事はもう諦めろ…お前にはあいつは無理だ…。

いやお前だけに限った話じゃねえ…今この世を支配している化け物共ですらあいつには歯が立たねえ…

いくつもの化け物共との戦いと修羅場を潜り抜けてきた俺には分かる…

あいつは"真の怪物“だ…能力とは無関係に、どんなに強大な力で圧し潰されようとも、どんなに心を支配されようとも、あいつはその足を絶対に止めはしねえ…

あいつの"歪み切った正義と信念“を屈服させる事は、誰にも出来やしねえ。』

 

一方その頃、時を同じくして魔都東京の旧市街で激闘が繰り広げられていた。

 

"妖怪殺し“怪童が、たった一人で無数の実力者揃いの妖怪・鬼・吸血鬼達を相手に、自身の両手で空間を削り取る能力で蹴散らしていった。

 

妖怪達の返り血に塗れた怪童の前に、妖怪達は怖気付いてしまい、中にはその場からすぐさま逃げようとした者もいた。

 

そんな戦意を喪失し逃走した妖怪すらも、怪童は許さず一瞬で削り取って殺した。

 

もはや打つ手がないと思われたが、突如そこに大妖怪・我道(がどう)が現れた。

 

戦意喪失した妖怪達は、我道の登場により希望を見出し、我道の勝利を願った。

 

『会いたかったよ"妖怪殺し“…社会の塵め…!!』

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