戦の鉄則   作:並木佑輔

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第15話 激動

大妖怪・我道が、"妖怪殺し“怪童によって殺害されたという事実が瞬く間に広がり、今まで妖怪達に虐げられてきた人々が、怪童を神格化して社会に反旗を翻すようになり、深刻な事態と化していった。

 

この事態を決して良しとしないとバサラは、羅刹一座の大妖怪達に召集を掛け、妖魔帝国本部の会議室で会議を執り行った。

 

『今日お前らに集まってもらったのは、他の何でもねえ…

"あの例の餓鬼“を、そろそろ潰しておかなきゃならねえって話だ。』

 

"妖怪殺し“怪童の件を早速議題に挙げたバサラ に対して、大妖怪・妖狐のミコモが話しかけた。

 

『知ってる知ってる!貴方が昔あの施設を襲撃したあの生き残りの子でしょ?

あの子人間の癖に超強くて顔もかっこいいし、モロ私のタイプなのよね〜♡

あの子の魂魄…絶対いい味すると思う…♡

早く会って食べてみたいわ〜♡』

 

ミコモが怪童の話題で一人盛り上がってる中、"修羅の中の修羅“の異名を持つ大妖怪・オニタケがバサラに問いを投げかけた。

 

『糞女狐、てめえの感想なんかどうだっていいんだよ…

おいバサラ!我道を殺したその餓鬼は今何処にいる!?

今すぐにでも喰い殺してやりてえ!!』

 

修羅の血が騒ぐオニタケに対して、大妖怪・ヒノマルが余裕を持って彼を静めさせた。

 

『ハッハッハ まあまあオニタケ殿、久し振りにこうして皆で集まったのだから、茶でも飲んで落ち着いて話し合いましょうや。

それでバサラ殿、その怪童という童以外にも、何か重要な話があるのでは?』

 

『察しがいいなヒノマル…

お前らに一つ見せておきたい物がある。』

 

バサラは、他の大妖怪達に先の選定の映像を見せた。

 

その内容は、陽菜が突然の咆哮でバサラや直近の部下達の動きを封じて、負傷で倒れ込んだ人志を呼び覚まさせた時と、過去にカモミールを襲撃した時も同じような事が起こった時の映像であった。

 

『見ての通り、この陽菜という小娘はとてつもない能力を秘めている…

その力は、この俺をも凌ぐほどであり、同じ生き残りの人志と怪童の強さを助長させ、そして何よりあの氷華の一族との繋がりもある…

そこでだ…俺はこの小娘の秘めた力を徹底的に調べ尽くし、羅刹一座を、ひいてはこの妖魔帝国を更に強大なものにしようと思う。』

 

映像を見た大妖怪達の中で、吸血鬼と蛇の混合妖怪のオロチは、とても興味を持ち始めた。

 

『お前ほどの男をも凌ぐほどの力を持つこの小娘…凄く興味をそそられるぞ!!』

 

興奮しているオロチの傍で、大妖怪・强 華蓮(ジァン・カレン)は腕を組みながら黙々と話を聞いていた。

 

『その陽菜という女子の身柄は、今はバサラ殿が確保してるという訳ですな…。

あとは、人志とかいう隻腕の童と氷華の一族の末裔の居所は何処へ?』

 

『隻腕の小僧は大方予想は付いてる…が、氷華の一族の末裔はまだ掴めてない…。

今俺の部下達が捜索してるところだ…まあそんなに時間は食わねえだろうよ…。

陽菜の調査結果は後ほどお前らに伝えておく…。』

 

『ああ〜凄く楽しみ♡』

 

妖魔帝国本部の今日の議会は、陽菜の能力とそれに関する人志と怪童、そして氷華の一族の末裔・凍哉について調査していくと決議し閉会し、大妖怪達は去っていった。

 

『ところでバサラ殿…ヒスイ殿は、今日も来なかったですな。』

 

『放っておけ…あのイカレ女は俺達とは全てにおいて別の次元にいる。

一体何を考えてやがるのか見当もつかねえ。』

 

『ヒスイ殿…今頃どうしておるかの…』

 

一方その頃、伊達が経営する長寿館の下で人志達は更に鍛錬を重ねていた。

 

だが、怪童の件で伊達に呼ばれた人志は、怪童の事はもう諦めろと念を押され、それに対して人志は強く反発した。

 

『伊達さん…俺は陽菜と約束したんです

あいつを…

怪童を…

親友を必ずこの手で救い出して、三人で死んだ茜先生と仲間達の分まで生きようと誓ったんです!!

あいつがどれほど残忍になっていようが、強くなっていようが、俺は絶対にあいつに負ける訳には行かないんです!!』

 

『その親友とやらはお前の腕を引きちぎり、自らの意思で世界中を敵に回した…

そんなとんでもない大馬鹿野郎を、ましては救い出すなど絶対に無理だ

奴はもう手遅れだ 始末するしか手段はない

諦めろ。』

 

親友を救い出したいという意思を強く拒絶された人志は、一人自分の部屋に行ってしまった。

 

落ち込んだ人志を見兼ねて、樹と愛菜は人志のいる部屋に向かった。

 

『人志!入っていい?』

 

人志はドアを開けて二人を中に入れた。

 

『伊達さんに、何を言われたんですか?』

 

『…親友を…怪童の事は…もう諦めろ

お前には無理だと…そう言われた…』

 

『怪童って、あの"妖怪殺し“の事!?

あいつと知り合いなの!!?』

 

『人志さんと陽菜さんと怪童は、養護施設カモミールの出で、過去の襲撃事件の生存者なんです。』

 

『あいつは、自分の正義と信念を貫き通す為に今となっては世界中を敵に回し始め、大妖怪ですら殺されかねない程の実力を兼ね備えてしまっている…

伊達さんの言う通り、俺じゃあいつには擦り傷一つすら付けられないし、何よりあいつを救い出す事が…陽菜との約束を守ることが出来ない自分自身が、情けなくなってしまってな…。』

 

自分の不甲斐なさに落ち込む人志に対して、愛菜は喝を入れる為に頭突きをした。

 

『ちょ!?ちょっと愛菜さん!!?』

 

『あんな嫌味なおっさんにちょっと言われたくらいで何箱垂れてんだよ!!

一度心の中で誓った事は最後まで守り通す!!

それがあんただろ!!!!』

 

愛菜に喝を入れられた人志は、己の負の感情を拭い去って奮起させた。

 

『ああ…!お前の言う通りだ

済まない愛菜…樹…またお前らに助けられた…。』

 

『前にも言っただろ 借りは倍にして返すって!』

 

『どうしても行き詰まった時は、僕達に協力を仰いで下さい。

僕達三人で、絶対に陽菜さんの奪還を成し遂げましょう!!』

 

『ああ!いつまでもこうしちゃいられない!!

もっと鍛錬を積み重ねなくては…!!』

 

人志達は、地下5階の訓練場に戻り、三人で協力し合いながら鍛錬を積み重ねていった。

 

そして時は流れて八日目、三人は伊達との三度目の実戦を開始しようとした。

 

が、突如謎の妖怪達が人志達に奇襲を仕掛けてきた。

 

『お前ら、バサラが仕向けた刺客だな…』

 

『如何にも』

 

バサラが仕向けた刺客は、人志達だけではなかった。

 

けもの道をひたすら歩む氷華の一族の末裔・凍哉の元にも仕向けられていた。

 

『俺に何の用だ…』

 

『氷華の一族の末裔よ…バサラ様の指令により、お前の身柄を捕縛する。』

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