妖魔帝国本部にて、四年の時を経て遂に怪童と再会する人志。
傷だらけの怪物は、自らの手で築き上げた妖怪達の屍の山に一人立ち尽くし、ただ人志達を見下ろしていた。
『こ…こいつが、妖怪殺し…』
『怪童…何故お前がこんな所に…!?』
『俺がここに来たのは、他の何でもない…
羅刹一座を潰す…その為にここに来た…。
ところで、そんなお前はちゃちい仲間を引き連れて何しに来た?』
『…陽菜を、奪い返しに来た…!!』
『…そうか、それはご苦労な事だな。』
怪童は人志達の事など眼中になく、一瞬で人志達の背後を通り過ぎた。
『…!?こ、こいつ、いつの間に!?』
人志は、去っていく戦友の背中を見ながら胸の内を昂らせ叫んだ。
『またそうやって俺から逃げるのか!!』
叱咤された怪童は、ゆっくりと人志達の方へ振り返り鋭く睨み付けた。
樹と愛菜は怪童の凄まじい威圧に押され身震いしてしまい、人志だけが怪童と睨み合っていた。
しばらく睨み合った後、人志は胸の内に秘めた想いを怪童にぶつけた。
『陽菜は、今でもお前の事を大切に想い続けている…!!
どんなにお前が冷血になり果てようとも、陽菜は、お前の事を家族以上に大切に想っているんだ!!
俺だってそうだ!!カモミールでお前と共に茜先生の下で学び暮らして来た日々は、今でも大切に想っている!!
社会がどんなにお前を怪物と呼ぼうと、俺と陽菜にとってお前は大切な親友だ!!』
怪童に自分や陽菜の気持ちを強くぶつけた人志。
だが、そんな人志を怪童は冷たくあしらった。
『あの時言ったはずだ…
俺がこの世から妖怪を一人残らず殺し尽くすとな…
お前らとの家族ごっこはもう御免だ…
去れ。』
そう言い放った怪童は、再び人志達に背を見せて去っていく。
そんな怪童に対して、自分の想いを、何より陽菜の想いを踏みにじった事に激しい怒りを覚えた人志は、後ろから怪童に飛び掛かって思い切り顔を殴り抜けた。
『お前は、陽菜の想いを何だと思ってるんだァァァァ!!!!』
しかし、伸し掛られ殴られても怪童は涼しい顔をして人志の首を締めながら持ち上げて、鳩尾に一発入れて吹っ飛ばした。
『ぐはっ!!』
『人志さん!!』
『お前…よくも!!』
人志がやられてるのを黙って見ずにはいられない樹と愛菜は、怪童に攻撃を仕掛ける。
樹が自身の血で錬成した大樹で怪童を縛り、愛菜は自身の能力で倍に強化した金棒の一撃を怪童に喰らわせた。
しかし怪童は全く効いておらず、表情一つ変えずに樹の錬成した大樹を破り、愛菜の鳩尾に一撃を喰らわせた。
『がはっ!!』
『愛菜さん!!』
怪童に強烈な一撃を喰らわされ、嘔吐し苦痛に悶える愛菜を人志は自身の生命エネルギーを与えて回復させ、樹と愛菜に先に行けと言い放ち、怪童と戦う決意をした。
『お前らは先に行ってくれ…
俺は、どうしてもこいつと決着を着けなければならない…!!』
『でも人志さん…!!』
『…行ってくれ!!』
樹と愛菜は、人志の言う通りに先へと進み、人志は怪童との一対一の戦いに赴いた。
一方、凍哉は謎の敵に別空間に連れてこられた。
暗くてどんよりとしていて、夜空に妖しく光る月の下で、凍哉は敵と対峙していた。
その敵とは、羅刹一座の大妖怪・ヒスイの右腕コンラであった。
『大妖怪様達の命によって、今ここでお前を始末させてもらう…。』
『ヒスイの右腕…!』
コンラの能力で作られた別空間に隔離され、凍哉は戦闘を余儀なくされていた。
そして、人志と怪童は激戦を繰り広げていた。
人志は、自身の生命エネルギーの炎の性質変化で怪童に猛攻を仕掛けるが、怪童は能力を一切使わずに純粋な体術だけで人志を圧倒していた。
『あの時と何も変わってねえ…
非力なままだな、お前は…。』
『ぐっ…』
『これ以上俺の邪魔をしてくれるなよ?
今度は、腕一本じゃ済まねえぞ…。』
一気に勝負を終わらせる為に、怪童は本気で人志を殺す気で拳を叩き込んだ。
勝負は決まったかに見えた…が、怪童の全力の拳を、人志が片腕で掴み、受け止め、強く握った。
『ッッ!!』
『あの時と何も変わってねえと、そう言ったな…
その言葉、そのままそっくり返してやるよ…
お前は昔から、融通が利かなくて、人の意見を聞かず自分の信念を全うに貫く事だけを常に考えていた…
そうやって自分の弱さを常に隠しながら、ずっと強がってたんだろ?
それがお前という男だ…。』
『言うな…!』
『でも、俺にとってそんなお前が、最も誇り高き戦友に思えたんだ…
愚直で、弱さを決して他人に見せず己を追い込み続け、弱者に暴力を振るう輩を決して許さず、常に自分自身と戦い続けるお前の姿は…俺に最も影響を与えたんだ…。
俺はあの時から、ずっとお前の背を追い続けていたんだ…!!
怪童!!』
『…貴様ッッ!!』
怪童の拳を人志が受け止める中、突如羅刹一座の大妖怪のオニタケと、强 華蓮(ジァン・カレン)が乱入して来た。
『見つけたぜェ…!!
妖怪殺しィィ!!』
『大妖怪が、二人もだと…!?』
突然の大妖怪二人の襲来に驚くも束の間、强 華蓮(ジァン・カレン)が一瞬で距離を詰めて怪童にいきなり拳を叩き込んできた。
怪童はそれを受け止めて、二人は誰にも邪魔されない場所で死闘を始めた。
『怪童!!』
『强(ジァン)の野郎…抜け駆けしやがって!!
まあいい…俺も早いとこケリを着けて、こいつ諸共怪童をぶっ殺してやる!!』
人志は大妖怪オニタケと、怪童は大妖怪强 華蓮(ジァン・カレン)との死闘に赴く形となった。
その頃、凍哉はヒスイの右腕コンラとの戦いの真っ最中であった。
コンラは自身の能力でワープをしながら変幻自在の動きで凍哉を翻弄しようと画策する。
凍哉は冷静に立ち回り、コンラの行動パターンを把握し穴を突こうとするが、コンラはフェイントを入れて凍哉に致命の一撃を喰らわせた。
だが、凍哉はそれすらも読んで氷の虚像で回避し、コンラを氷漬けにした。
勝負が決した後、凍哉はコンラに質問し始めた。
『ヒスイは何処にいる…?』
『そう簡単に教えるとでも…?
この命尽きようとも、我が主の為に…貴様をここで始末する!!』
頑なにヒスイの居場所を吐かないコンラ。
ところが、氷漬けにされたコンラに突然黒い炎が発火し、ドロドロと溶けて無くなってしまった。
『駄目よコンラ
その子は特別で重要な子なのよ?』
コンラとの死闘を制した凍哉の眼前に、一族を滅ぼした元凶であり不倶戴天の敵
羅刹一座の大妖怪・ヒスイが、姿を現した。
『お久しぶりね、凍哉くん♡
こうして貴方と再び会えるなんて、私は嬉しいわ。
フフフ…。』
『ヒスイ!!!!』