戦の鉄則   作:並木佑輔

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第19話 絶望の始まり

妖魔帝国本部にて、遂に羅刹一座の大妖怪達と対峙することになった人志達。

 

人志と怪童はオニタケと强 華蓮(ジァン・カレン)、凍哉はヒスイと、各々激戦を始めようとしていた。

 

强 華蓮(ジァン・カレン)に先を越されたオニタケは、仕方なく人志との戦いに赴く。

 

オニタケの大妖怪特有の禍々しく強大な妖気に、人志は戦いていた。

 

「悪いな坊主…おめえには一欠片も興味がねえし、あの我道を殺してのけた餓鬼と早くやりてえんだ…

速攻で肩をつけさせてもらうぜ。」

 

オニタケは、己の巨躯をも上回る大剣を抜き、人志を本気で殺す気で素早く振り落とした。

 

人志は何とかオニタケの凶刃に反応し回避し、カウンターを当てた。

 

(凄まじい程強く速い…こちらも早くケリを着けなければ…確実にやられる…!)

 

すると、さっきまで関心を持たなかったオニタケは、自分の攻撃に反応しそこにカウンターを見事に当てた人志に、興味を持ち始めた。

 

「思いの外やるじゃねえか…気に入ったぜ坊主!

おめえとの戦いは、愉しめそうだ。」

 

一方、人志に先に進むよう言われた樹と愛菜は、陽菜奪還を果たす為に動いていた。

 

「愛菜さん、怪童に殴られた痛みのほうは大丈夫ですか?」

 

「…何とかね。あそこで腹筋を倍に強化させて固めてなかったら、確実に死んでた…。あいつ、人間とは到底思えないくらい強すぎる…。」

 

先を急ぐ二人の前に、突如敵が現れた。

 

その者は、羅刹一座の大妖怪の一人、吸血鬼と蛇の混合妖怪のオロチであった。

 

「何てことだ…こんなところで大妖怪と鉢合わせるなんて…!!」

 

「今更何うろたえてんだよ…そんなもん覚悟の上であたし達はここに来たんだ!相手が誰だろうが関係ない!

やってやろうぜ!!樹!!」

 

「は…はい!!」

 

「ククク…威勢のいい童共だ。」

 

そしてもう一方で、强 華蓮(ジァン・カレン)に奇襲を仕掛けられた怪童も死闘に臨んでいた。

 

强 華蓮(ジァン・カレン)は、他の大妖怪達とは違い能力を有してはいないが、数千年以上鍛え磨き上げた中国武術を用いて戦う無能力者であった。

 

怪童と対峙する强は、何故か両の手を自身のポケットにしまい込み、無防備に立ち尽くしていた。

 

怪童は、一見無防備に見える强の立ち振る舞いを即座に危険と見抜き警戒していた。

 

强は、怪童の攻撃が来るまで待つ姿勢でいる…怪童は、警戒しながらも强に向かっていった。

 

怪童が素早く右手を振り落とし削り取ろうとした瞬間、强は目にも映らぬ速さでポケットから手を抜き、手刀で怪童の鬼の怪力をも跳ね除ける強靭な肉体を斬り刻んだ。

 

それはまるで、居合のようであった。

 

怪童は、强のあの無防備な立ち振る舞いこそが彼の独自に編み出した構えであり、型であることを看破した上で、彼に全力で向かっていったのだ。

 

各々死闘を繰り広げる中、凍哉は別空間で羅刹一座最大最凶の大妖怪・ヒスイと因縁の対決を始めようとしていた。

 

不俱戴天の敵と相まみえた凍哉は、雪華の眼を開眼し、彼女を氷漬けにし塵にしようとした。

 

だが、何故かヒスイには雪華の眼が効かず、彼女は妖しい笑みを浮かべながら凍哉に近づき話しかけた。

 

「あぁ…良いわ凍哉君

その顔、その眼、その復讐心…

本当に美しいわ…。」

 

凍哉は続けて猛攻を仕掛けたが、ヒスイは難なく軽くいなし心臓に手が届く距離まで接近し、彼の耳元で囁いた。

 

「だからこそ、貴方が堪らなく愛おしい…。」

 

吐息をしながら耳元で囁くヒスイを、凍哉は激昂し振り解いた。

 

「黙れ!!!!」

 

雪華の眼が効かないヒスイに対して、凍哉は直接彼女を氷漬けにして塵にしようとした。

 

凍哉は見事ヒスイを氷漬けにし、吸血鬼特有の再生能力の機能を停止させ塵にすることに成功した。

 

ところがヒスイは死んでおらず、瞬時に再生して黒い炎で氷を溶かし、 凍哉に一瞬で接近し抱擁し、彼に口付けをした。

 

口付けされた凍哉は、彼女に自身の生命エネルギーを余すところなく吸収されそうになっていた。

 

しかし、絶体絶命の危機に陥ったのは凍哉だけでなく人志達も危機に瀕していた。

 

オニタケに気に入られた人志は、彼の能力を目の当たりにしその如何ともし難い力の差を思い知らされた。

 

オニタケの能力はその背負っている大剣にあり、その大剣はまるで生物のように意志を持っておりエネルギーを余すところなく吸収し尽くすものであった。

 

人志は以前に似たような能力者で選定で絵札の四十士のリーダー・キングと戦った事があるが、キングとは違ってオニタケはエネルギーを吸収する容量の限界がなく、無尽蔵に超高密度のエネルギーを扱うことが出来る。

 

しかも、さっき人志にカウンターを当てられた傷が完全に治癒されていた。

 

人志は打つ手がなく、オニタケに地獄の底まで追い詰められた。

 

「おいおい、まだくたばるんじゃねえぞ

折角の愉しい戦いが台無しになるだろうが!!

ハハハハハハハ!!」

 

そして、樹と愛菜もオロチに追い詰められていた。

 

二人は連携を取り、樹の能力でオロチを大樹で捕縛し愛菜の倍に強化した渾身の一撃を喰らわせようとしたが、オロチは自身の肉体を分泌させ猛毒液を撒き散らし、大樹を溶解させ、愛菜は猛毒の餌食となってしまった。

 

「愛菜さん!!!!」

 

「我々のテリトリーに土足で足を踏み入れたんだ

生きて帰れると思うなよ…童共。」

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