戦の鉄則   作:並木佑輔

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第50話 顕現

Beyondの能力 完全再現によって創られた怪童。

生気の無い黒く淀んだ目で、人志や陽菜、かつて共に育った親友を見つめていた。

全てを抉り殺す右手に力を込めて、ボキッゴキッと鈍い骨の鳴る音を鳴らしながら。

「そんな…怪童…!!」

「チッ…あの野郎…大妖怪なんかよりも厄介なもんをいとも容易く生み出しやがった…!!」

能力だけでなく、人物でさえ再現できるBeyondの能力に、陽菜と伊達は強いショックを覚えた。

「フフフフ…完全再現はありとあらゆるものを再現できる…死人でさえな…

さあ、100%完璧に再現した怪童の力

存分に味わうといい…」

したり顔で言った後、怪童は目の前の敵を屠るべく人志に向かって行った。

胴体を抉り取ろうと右手を横に振ったが、人志は跳躍して回避し、炎を纏わせた拳で地面に叩き伏せるように怪童の顔面を殴った。

だが、怪童は人志の渾身の一撃を人差し指を立てて受け、それに加えて人差し指をくるっと一回転させ人志の攻撃を受け流した。

合気でプロペラのように人志を回転させ、怪童は掌底による一撃を人志の鳩尾に喰らわせ吹っ飛ばした。

吹っ飛ばされた衝撃で、人志は吐血しながらビルや建物に穴を開けて壊していった。

「人志!!」

怪童の攻撃をまともに喰らった人志を気にかける陽菜をよそに、伊達は目にも映らぬ速さで怪童の首に手刀を放ちその首を刎ねようとするが、あまりにも頑強な筋肉に黒雷を纏わせた手刀は骨を断つことはおろか、傷一つ付けることさえ叶わなかった。

攻撃を受け止め、怪童は伊達の鳩尾に足刀蹴りを喰らわせた。

日本刀のように鋭利で硬い足の指に、伊達はたまらず血反吐をぶちまけ、跪くかのようにその場でうずくまった。

人志と伊達相手に完膚なきまでに力の差を見せしめた怪童は、とうとう陽菜へと標的を変更した。

「怪童!!もうやめて!!!」

かつての想い人を前に、陽菜は躊躇いながらも始祖の能力で鎖を具現化させて怪童を縛り付けた。

大妖怪を遥かに超越した怪物の身動きを一切封じた。

かに思えたが、傷だらけの怪物は絶対に断ち切れない始祖の鎖を筋力で無理矢理破壊した。

「そ…そんな…!!」

「妖怪の始祖の能力の影響を受け覚醒した者は、能力に目覚めると共に始祖への耐性を得ることが出来るんだよ

前にも言ったはずだよ?」

始祖の耐性を持つ怪童に為す術なく、陽菜は深く絶望した。

(怪童…お願い…目を覚まして!!)

命の恩人であり、想い人でもある目の前の少年に、陽菜は想いを馳せる。

運命は残酷か、親友達を守る為の少年の右手は、今まさに親友の骨肉を抉ろうと振り下ろされた。

だがその刹那、陽菜に振り下ろされんとした怪童の右手が突然ピタっと、動きを止めた。

「え…!?」

さっきまでとてつもない悪意と殺気を孕んでいた右手が、まるで嘘のように毒気を抜かれた。

「…どうした怪童…?

何を躊躇っている…!?」

Beyondの完全再現で創られた怪童は、姿形は完璧に再現してはいるものの、その実態は魂の無い抜け殻同然の肉人形。

心無き肉人形が、人を殺す事を躊躇うという異常事態が発生し、Beyondは酷く困惑していた。

「何故だ…何故動かん…

動け!!そしてさっさとそいつらを殺すんだ化け物!!!」

そして、右手を制止させた怪童はか細い声で喋り出す。

「……ハ……ル……ナ……」

後藤博文との戦いで死亡し、心無き肉人形と化し現世に再び舞い降りた怪童。

どんなに哀れな姿に成れ果てても、目の前の大切な人を手にかける事を、その人の名前を呼んで躊躇した。

少女はその哀れむべき姿に、誇り高きその様に涙を流した。

「怪童…!!」

「チッ…!!何をやっているんだこの出来損ないのクズ!!

全ての生物を超越したこの私が命令しているんだぞ!?

傀儡は傀儡らしく、大人しくこの私に使われていればいいんだよ!!」

完全再現によって感情も魂も無い最強の傀儡を生み出し、Beyondはさっきまで得意気になっていた。

だが、魂が宿っていないにもかかわらず命令に背かれて、Beyondは激しい困惑と苛立ちを覚えた。

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Beyondが想定外の事態に頭を抱えているうちに、先ほど怪童に吹き飛ばされた人志が何事も無かったかのように、平然と戦線に復帰してきた。

「人志!!大丈夫なの!?」

「ああ、問題ねえよ…

てんで大した事なかったからな…」

「な…何だと!?そんなはずはない!!

私の完全再現によって造られた怪童は、私が今まで造り出してきた紛い物などとは違う!!100%本物だ!!

それの攻撃をもろに受けて…大した事がないだと!?」

完全再現で造られた本物同然の怪童の攻撃を受けてほぼ無傷の人志を見て、Beyondは衝撃のあまり開いた口が塞がらずにいた。

そんなBeyondに対し、人志は反論に出た。

「そりゃそうだろう…そいつには魂が宿ってねえんだからな」

「何!?」

「後藤、てめえが造り出した怪童に魂が宿っていねえのは自分への反乱を防ぐ為だ

ゾンビとして甦らせた茜先生同様、自分の思い通りに操って効率よく俺達を殺せるようにな…」

「…!!」

「へっ、分かりやすく図星喰らってる顔しやがって

施設育ちの餓鬼に簡単に言い負かされちゃ、Beyondの名が泣くぜ…

えぇ?後藤博文さんよ」

施設育ちの餓鬼と見下した相手にいとも簡単に思惑を看破されたBeyondは、青筋を立てて怒った。

「クソガキ…!!」

怒り出したBeyondは、手を振って怪童を操って拳を握らせ、必中必殺の空間打突を発動させて皆殺しにしようとした。

しかし人志はこの隙を見逃さずに、怪童の拳を凍哉から受け継いだ氷の能力で凍らせ塵にして阻止し、瞬く間に間合いを詰めて拳による一閃を鳩尾にめり込ませて、怪童を吹っ飛ばした。

更に、怪童にかまけているBeyondの眼球内の水分を凍てつかせて失明させた。

「すまねえな…隙だらけなもんでよ…」

怪童とBeyond、恐らくこの世で最も強大で凶悪な二人の怪物を、人志は瞬く間にダウンさせた。

「ギャアアアアアアアアッッ!!

アアアアアアアッッ!!

目が…!!目がアアアァッッ…!!」

目を凍らされて塵にされた激痛と冷たさが一気に全身に押し寄せてくる感覚を覚えたBeyondは、立っている事すらままならずに地べたを這いずり回った。

あまりの激痛に以前までの余裕を保つ事が出来ないBeyondに、人志は冷徹な目で見下ろしていた。

続いて人志は、苦痛に悶え苦しんでいるBeyondの頭部に、サッカーボールキックによる容赦の無い追撃を喰らわせた。

頭部を蹴られたBeyondは、夥しい出血をしながら地べたを這い回って吹き飛ばされ、瓦礫と化したビルに突っ込んだ。

「この際だからはっきり言ってやるよ後藤…てめえは全てを超越した存在でもなんでもねえ

ただの拗らせた科学者だ…

さっさとかかってこいよ科学者…てめえの理屈はもううんざりなんだよ」

二人の怪物を瞬時にノックアウトさせた人志は、ビルの瓦礫に埋まったBeyondに向けて手をクイッ、クイッと上げて不敵な笑みを浮かべて挑発した。

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この世で最も強く恐ろしい二人の怪物を余裕で相手取っている人志を見て、陽菜と伊達は心底その強さに感服していた。

(どんなに絶望的な状況になっても…どんなに強く恐ろしい相手に当たっても…貴方はいつもそうやって何度も何度も食い下がって、そして乗り越えてきた…

こんな事…貴方の前では恥ずかしくて言えないけど…人志…

貴方は、私の最高の親友で…ヒーローよ…)

傷だらけになりながらも自信に満ち溢れている隻腕の少年の顔を見て、少女は胸に手を当てて少年への想いを心に秘めていた。

同じように、歴戦の能力者もかつて隻腕の少年を弟子に取って実戦形式の過酷な稽古を施した日々を思い出しながら、少年の成長をしかと感じ取っていた。

(俺にしつこく当たってきた馬鹿ガキが、よもやここまでに至るとはな…

おい、見てるか橘…もう俺の出る幕はねえみてえだぜ…

生意気なのが癪だけどな…)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんな中、Beyondは瓦礫の中から抜け出し、潰された目を再生させて立ち上がった。

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…

クソ…!!クソ…!!こんな…こんな…!!」

「こんなはずては…ってか?

さっきまでの余裕は何処に消えたんだよ?

インテリオタク!」

始祖の能力を使って人妖の命を喰らい、自分は全ての生物を超越した存在だと、後藤は自負していた。

事実そのはずなのに、世間知らずで施設育ちの戦災孤児と見下していた目の前の少年に容易く地に伏せられた事を、後藤は青筋を立てて白目を剥き出しながら怒り、叫んだ。

「たかが施設育ちのゴミガキ如きがッ…!!

見下してんじゃねえぞおおおおおおおおおッッ!!」

白く美しい端正な顔つきが、見違えるように醜悪な顔つきになった。

「怪童何してる!!

さっさと起き上がってこいつらを殺すんだッッ!!」

人志に吹き飛ばされてビルの壁面にめり込んでいた怪童は、Beyondの呼びかけに応えるように壁面から脱出して、凄まじい速度でBeyondの元へ降り立った。

そして、怪童は目にも映らぬ速度で人志との間合いを詰めて、人志の顔面に向かって縦拳を放った。

人志は縦拳を紙一重に回避し、怪童は続き様に拳と蹴りのラッシュを繰り出した。

怪童が放つ攻撃は、どれも目に映らぬ速度かつ高性能の機械の如く正確、一発でも喰らったら即死に繋がる。

だが、そんな猛攻を人志は余裕を持って回避し続けた。

それも、ギリギリ当たるか当たらないかの塩梅で、大きく避けるのではなく最小限に身体を使って避けていた。

「よお、怪童…てめえ随分見ねえ間に情けねえ姿に成り果てちまったな…

技のキレも悪いしよお!!」

魂の無い抜け殻同然になったかつての友を呼び起こすように、人志は魂を込めた一撃を鳩尾に喰らわせる。

「オラどうしたあッッ!!てめえの攻撃はこんなもんかよッッ!!

俺の知ってるてめえは、もっと鋭くて!!もっとえげつなくて!!

容赦のねえ攻撃をする男だったぜてめえはッッ!!」

魂を込めた拳、魂を込めた蹴り、魂を込めた手刀、魂を込めた足刀。

それら全てを人志は容赦なく頭部、人中、丹田、首、人体のありとあらゆる急所を的確に打ち続けた。

この世で最も恐ろしい怪物と呼ばれる男を追い詰めていく様を見て、Beyondは驚愕と共にかなりの焦りを見せた。

「な…何故だ…!?何故あんなクソガキが怪童を!?

ああクソッ!!この役立たずがッ!!

こんなカス共によもやこの私自ら出向くことになるとはなッ!!」

戦いが自分の思い通りに行かないことに激しく苛立ちながら、Beyondは無数の黒い炎を生成させて人志に放とうとした。

だが、陽菜は鎖を具現化してBeyondを拘束して阻止し、伊達は落雷を頭上に直撃させた。

「おいおい…もう俺達の事を忘れちまったのかい?後藤さんよ

いや、今はビー何とかっていう中学生が考えたみてえな名前だったな…へへっ!」

「煽るのはやめましょうよ伊達さん!

人より優位に立ってかっこつけたいお年頃でしょうから!」

今まで好き放題やられてきた鬱憤を晴らすかのように、陽菜と伊達は互いにBeyondを翻弄する。

Beyondとなりこの世のどんな生物をも超越した後藤は、格下共に追い詰められていく現状に激しく苛立ち、遂に自身の能力の本領を発揮しようと動いた。

「いい気になるんじゃねえぞゴミ共オオッ!!

完全再現の本当の恐ろしさを、貴様らに見せてやるウッッ!!!」

怒りの咆哮をあげた後、Beyondは鎖による拘束を断ち切って手を大きく広げ、秘めた力を解き放つように叫んだ。

「ウオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」

空間全体が漆黒の闇に覆われ、そこには酸素が一切存在しない宇宙空間を、Beyondは再現した。

「ぐッ!!ガ…ア…ッ!!」

「フハハハハハッッ!!どうだ!!

この宇宙空間で唯一生きられるのはこのBeyondだけだ!!

どんなに能力や技を磨いたところで、酸素が無ければ何も出来ん!!

貴様ら劣等種はこの大宇宙の摂理に従って淘汰されるといい!!」

無酸素状態に陥りもがき苦しむ人志達を見て、Beyondは見下して高らかに嘲笑い、勝利は確実に思えた。

だが、ただ一人だけもがき苦しみながらも全てを超越した生物に向かっていく少年がいた。

握り締めた拳を携えて、少年は敵の顔面を捉えてめり込ませた。

「ブベェッ!!」

鼻血を出して仰け反るBeyondに、人志は続けて金的を思い切り蹴り上げた。

グチャッ、と潰れた感覚と想像以上の苦痛が、全神経を通してBeyondを襲った。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

死んだ方がマシとも思えるほどの激痛が襲いかかり、Beyondは潰れた睾丸を両手で抑えながら激しく悶え苦しんだ。

その間、陽菜は始祖の能力で宇宙空間を元の空間へと塗り替え、酸素を得て事なきを得た。

「へっ…宇宙空間だろうが何だろうが、てめえのキンタマ潰すなんざわけねえぜ!」

「ハァ…ハァ…でも、宇宙まで完璧に再現出来るなんて…予想だにしなかったわ…!

あともう少し…空間を塗り替えるのが遅かったら…ヤバかったわ…!」

酸素を得られて安堵する陽菜達をよそに、Beyondは激痛に悶え苦しみながらも、ゆっくりと深呼吸をして潰された睾丸を再生させ、立ち上がった。

「私は完全な生物になった…なったはずだ…

それなのに君ら劣等種ときたら、磨いてきた技や能力でこの私に喰らいつくんだからなあ…

非常に不愉快で腹立たしい上に、こっちの自信が無くなるよ…

全く大したもんだよ…尊敬に値する…」

苦悶の表情から落ち着いた表情へと変え、Beyondは人志達に畏敬の念を抱いた。

「それに比べて…この出来損ないと来たら本当に役に立たないな…

こんなカスを再現させてしまった私が馬鹿だっよ!」

Beyondは、宇宙空間にて人志諸共巻き込まれ窒息してしまった怪童の頭を侮辱しながらグリグリと踏みつけ、人志達の方へと蹴り飛ばした。

人志は蹴り飛ばされた友の遺体をキャッチし、友を侮辱された怒りでBeyondを激しく睨み付けた。

「てめえ…!!」

睨み付ける人志を鼻で笑うBeyondは、人志にある提案を持ちかける。

「なあ人志君…そろそろ終わりにしないかね?こちらとしてはもうこの戦いにうんざりしているんだよ

Beyondが生物界の頂点に立った新しい世界を、私は早く見たいんだよ」

「何が言いてえ…?」

「気炎万丈を使いなよ!

それで全部終わりにしよう!

そしてこのBeyondが完膚なきまでに消し去ってあげるよ…蝋燭の火を吹き消すように容易くね!!」

「へっ!何だそんな事か…

てめえみてえな気持ち悪い野郎と同じ考えなのは気に食わねえが、奇遇だな!」

Beyondに気炎万丈を使うことを提案された人志は、怪童の亡骸を伊達に預けて生命エネルギーを高め始めた。

「じゃあお望み通り見せてやるぜ…俺の生命最後の炎をよ…

そんで、このくだらねえ戦争を終わらせてやる」

そう言って、人志は心臓に位置する胸に手を当てて、血のように真紅に燃える炎の生命エネルギーを放出させた。

天をも焼き尽くすほどの凄まじい生命エネルギーに、Beyondは改めて緊張と恐怖を覚えた。

遂に最後の切り札、気炎万丈が発動すると思われた。

だがその時、陽菜が始祖の能力で具現化させた鎖で人志の身体を縛り、気炎万丈の発動を阻止した。

「なッ!?おい陽菜!!何しやがるんだ!?」

「陽菜…!!」

「確かに、気炎万丈を使えば全部終わらせることが出来る…多分それが一番の解決方法なんだって…私も思う…

でもごめんなさい、人志…

私…やっぱり人志には1秒でも長く生きて欲しいって思ってる…」

陽菜は優しい顔で、人志に言いかけた。

人志にはそれが単なる優しさだけでなく、陽菜の目や言葉の奥にある確かな覚悟を感じ取り、彼女がこれから何をするのか悟ってしまった。

「陽菜…お前…まさか…!!」

人志が察した通り、陽菜は自分の手で胸を突き破り、自分の心臓を抜き出した。

「元々は、私の不始末がこの現状を作ってしまった…

だからこそ、この戦いは…私の命を以て終わりにしなけれはならないッ…!!」

胸から多量の出血をし吐血しながらも、陽菜は己の心臓を天に捧げるように両手で持ち上げた。

そして、陽菜から凄まじい真紅の妖気が放出され、やがて世界全体を包み込んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

眩いほどの真紅のエネルギーに当てられた人志と伊達とBeyond。

「ど…どうなっちまったんだ…!?」

眩い光が消え三人共に目を開けると、それはこの世のものとは思えない異世界だった。

空は血のように赤く、空気は血の臭いで澱んでいる空間に、人志は驚愕していた。

その上に、自分と伊達はシャボン玉のような透明の膜の中にいて、空にプカプカと浮かんでいた。

「こ…これは…魔界か…!?」

「正解だ…俺も実際に見るのは初めてだが、お前よく分かったな」

「はい…前に陽菜とヒスイの身体の中で凍哉を奪い返しに行った時に見たんですよ…

氷華っていう凍哉の先祖と出会った時に、俺も陽菜と一緒に記憶のビジョンを見て知ったんです

ていうか、このシャボン玉みてえなもん何なんですか!?ただでさえ情報過多だっつうのによお!?」

「ガキの頃、興味本位で妖怪の生態を調べた調査書で読んだことがある…

魔界には妖怪の血や妖気の風がダダ流れで、人間がこれを吸っちまったら即お陀仏だってよ…

多分、陽菜が俺らを守る為にバリアを張ったんだろう…

それにもっとやべえものがあるぜ人志…アレを見てみろよ」

「え…?」

人志は、伊達が指差した下方向へと視線を変えた。

そこにはBeyondと、彼の前に立ちはだかる陽菜らしき茶髪の女性の姿があった。

身体は少女から大人へと成熟していて、白く透き通る肌に純白の衣を身に纏い、頭に二本の角を携えて真紅の眼を宿した女性の姿がそこにあった。

「陽菜ッ…!!」

「全てを超越する生物と、全ての生態系と世界を創り出した神の全面対決だ…

こいつはひょっとすると…ひょっとするぜ」

人間と妖怪全ての生物を超えた新しい生命体と、全ての生態系と世界を創造した妖怪の始祖。

上位存在と神が、己の理想の為、世界の命運と親しい人の為、互いに譲れないものの為に相対する。

この戦いで、全てが決すると言っても過言ではない。

「決着を着けるわ…後藤博文

これまでの全てを…!!」

「フ…フフフフ…面白い…無能の神にしては面白いことを考えたじゃないか!!

いいだろう!!やってやるよ!!

貴様が必死に守ろうとしている世界も親しい人々も、全部摘み取って!!

今度こそ浮かび上がらぬよう沈めてやるッッ!!!」

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