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(様々なクエスチョンマークと、ある不安を抱えながら、恩田くんに続いて廊下に出た)
恩田
「この廊下だ。妙だろう?」
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(廊下に等間隔に並んだ窓。その全てがコンクリートのような壁で覆われている)
恩田
「妙だろう? この様子だと出入口も封鎖されているかもしれないな」
「もっとも、確認したわけじゃあないんだがね」
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(記憶喪失、封鎖された出入口……)
(似てるよな……)
恩田
「俺が考えるに、これはおそらく学園側の措置じゃないかと思うんだ」
江戸川
「どういう事ですか?」
恩田
「未来機関、そして従属する、全ての超高校級を育成する学園」
「それら全てに、強固な警備体制が敷かれているのは、君も知っているだろう?」
江戸川
「はい、……絶望の残党を警戒してですよね?」
「大昔みたいに、世界を支配できるほどの威力はないけれど、今でもあちこちでテロが起きてるし……」
「特に、超高校級の希望を育てる未来機関付属高校は、残党からすれば邪魔でしかないですから。…………あっ」
恩田
「どうしたんだ?」
江戸川
「すいません! こんな当たり前の事を! 恩田くんだって知ってるに決まってますよね?」
恩田
「いや、すまない。確認しておきたい事があったんでね」
「どうやら、君が忘れているのは個人的な記憶だけらしい」
江戸川
「あ……!」
恩田
「試すような真似をして、すまなかったよ」
「まあ、とにかく。俺の推理では、学園が残党からの襲撃に合ったのではと考えている」
「さすがの学園でも、警備に穴がないわけじゃあないからな」
江戸川
「それなら、何度かニュースで見た事がありますね……」
(爆発テロ、捨て身の襲撃……。過去に何度も起こっているけど、どれも大事に至る物はなかったはずだ)
恩田
「どういう手を使ったかしれないが、襲撃を受けた俺たちは記憶を失うようなショックを受けた」
「俺たちを守るため、一時的にこの学園はシェルター化したんだろうよ」
江戸川
「………………」
「人類史上最悪の絶望的事件の原因、覚えてます?」
恩田
「ああ、江ノ島事件だな」
江戸川
「模倣っていう可能性は……ないですよね?」
恩田
「さあ、それは違うと思う」
「俺も考えたが、今の残党には、そんな財力も権力もないんじゃないかな」
「そもそも、江ノ島事件の発端事態、俺たちが生まれる数十年前の出来事なんだぜ?」
江戸川
「そ、そうですよね……」
「……………」
恩田
「なんだよ、妙な顔をして。俺の顔に面白い物でも見つけたか?」
江戸川
「い、いえ! そうじゃ、そんなんじゃなくてですね!?」
「ただ、よく冷静に考えられるなって思っていたんです」
「さすが、超高校級だなって……」
恩田
「俺は君より早く目覚めたから、いくらかの考える時間があっただけの事さ」
「俺だって、この状況を飲み込むのには、かなりの苦心をしたんだぜ?」
「それに、君だって超高校級だろ?」
江戸川
「はい、まあ。どうなんでしょう……」
恩田
「えらく頼りない口ぶりだな。この学園の生徒は皆そうじゃあないか」
江戸川
「……………」
恩田
「……そういえば、君の名前を聞いていなかったね」
江戸川
「あ。そ、そうでしたね」
「僕の名前は江戸川敬慎と言います」
恩田
「江戸川くんか……。あらためて、よろしく頼む」
江戸川
「こちらこそ、お願いします」
恩田
「それで、君はどんな才能の持ち主なんだい? 聞かせてくれないかな」
江戸川
「ぼ、僕の才能ですか…?」
「………………」
+
(僕は思い出していた)
(生徒手帳を見た時、画面に映った、僕の名前、写真)
(学校の名前と校章…それに不釣り合いな……)
(僕の才能……)
江戸川
「……………」
恩田
「………? ああ、そうか」
江戸川
「え?」
恩田
「いきなり合った男に根掘り葉掘り聞かれれば、警戒するよな」
「すまない、俺の配慮が足りなかったよ」
江戸川
「いえ! そ、そんなんじゃなくて……」
(……………!)
恩田
「さて、江戸川くんの名前も聞けた事だ」
「どうだい、江戸川くん。他に教職員や生徒がいないか探索としゃれこもうじゃないか」
江戸川
(いいかもしれない。どこかで僕の記憶の手掛かりを見つけられるかも…!)
「はい、もちろん。僕なんかでよければ」
「何かの役に立てるとは思えないですけど……」
恩田
「おいおい、ずいぶんに卑屈じゃあないか。もっと自信を持っていいと思うぜ?」
「それとね、江戸川くん。少し妙な事を言うようかもしれないが……」
江戸川
「な、なんでしょう?」
恩田
「……俺と君は、どこかで会った事があったかな?」
江戸川
「えっ? さ、さあ…覚えてないですね」
恩田
「そうか、思い違いかもしれないが、君を一目見た時からずっとそんな気がしていてね」
「ま、あまり気にしないでくれ。行こうか、江戸川くん」
江戸川
(恩田さんか……)
(どこかで会ったような気がするって言われた時は驚いたけど、悪い人じゃなさそうだな)