『汚い艦娘を見つけたので虐待することにした』
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まぁ、そんなこんなで初投稿です。
「…………ん」
カタカタとした振動に目を覚ます。
小さく小綺麗な部屋の中だった。
いや、違うここは馬車の中だ。
……寝ていたのだろうか。
その事実に気づいた瞬間、いつもの癖で、反射的に起き上がり、謝ろうとした。
どうしようもない、悪寒が体を駆け巡る。
こんな時はだいたい『躾』と称した拳や爪先が飛んでくるのだ。
それにここは馬車の中、とうとう自分もどこかの貴族に売られてしまったのだろうか。わざわざあんな地下深くまで奴隷を吟味しに来るようなやつだ。どうせロクな者ではない。
が、今回はそうはならなかった。
後ろ飛びで勢いよく壁に激突した少女が目にしたものは、決して暗いく、下卑た男の濁った目ではなく、薄く微笑む金髪碧眼の少女であった。
「どうしたの??」
段々と頭が覚醒し、記憶が戻ってくる。
-ーーーーーそうだ。私はあの時この奇妙な少女に助けられたのだ。
今一度少女をマジマジと見つめる。
真っ白なブラウスの上に、澄んだ水のような色の青のワンピースを着ている。
「どうしたの??」
薄い笑みを浮かべながら、彼女は再度問いかけてくる。
「あっ、あなたは一体……:」
「私?私のはね、アリアっていうの。あなたの名前も聞かせて頂戴。」
「…わっ、私はエリザベートって‥いい…ます」
どうしても、声が震えてしまう。
こんな散々罵られた醜い声では、きっとまたぶたれてしまうのだろう。
私はこの後どうなってしまうのだろう。
そんな言いようのない不安がこみ上げてくる。
「いい名前ね。エリザベート。」
「えっ……」
一瞬何を言われたのか、わからなかった。
脳が、その言葉の意味をゆっくり、ゆっくりと咀嚼する。
そして、完全に理解した時、彼女は泣いていた。
みるみる視界が涙でぼやけていく。
両親からもらった名前を彼女は一切の混じりっけなく褒めてくれたのだ。堪らなく嬉しかった。人前で奴隷の自分が醜いところなど見せてはならない。そう思って我慢しようとすれど、一粒、また一粒と溢れる涙が止まることはなかった。
雨が上がったのか、馬車の窓からさしてくるいったいいつぶりになるかもわからない太陽の暖かい光を浴びて、自分があの冷たく暗い劣悪な檻から出たのだと実感し、いよいよ涙が止まらなくなった。全身の力がねけ、がくりとその場に崩れ落ちて、わんわんと声を上げて泣いた。そんな彼女をぶつ存在もそこにはいなかった。
「わっ、私わぁ‥こっ、これから一体どうなる…んですかぁ」
しゃくり上げるような声でそんな質問をしたが、不思議と不安はなかった。
彼女は満面の笑みでこういった。
「もちろん、貴方はこれから地獄に行くのよ」
そして、私は救われました。
傷つき、ボロボロの少女でも容赦なく泣かせていくスタイル