3話もこんな感じで失踪してから書くことになってるかもしれません...
「そういや、あんた変わった格好してんな?...つってもあんたは記憶がねぇからわかんねえか....」
人里に向かって歩く道中、ふと、弥助に声をかけられた。今の俺の格好は青のパーカーにジーパンという現代では割と一般的(だと思っている)といった感じである。そりゃこの時代にこんな奴は居ねーよな。逆に今まで聞かれなかったのか不思議なレベルだ...。
おっと、そんなことを考えてる場合ではなかった。この問いかけにどう反応するべきか......よし、決めた。そうして、俺は口を開く
「ああ、悪いがこの格好に関しても覚えていなくてな....すまない」
記憶喪失だという設定で通すことにした。こちらの方が情報も得やすいだろうしな....
「そうか、やっぱり覚えてねえか...仕方ねぇよな」
そんな感じで情報を得ながら里歩くこと数十分、里だろうと思える建造物群が見えてきた。弥助もそれを見て「里が見えてきたぞ」と、言葉をかけてくれた。程なくして、里の入り口に到着する。見張り番と思しき男性は俺たちを見ると驚いたようにこちらに駆け寄ってきた。そして、弥助に向けてこう話しかける。
「弥助!?お前生きてたのか!!ってかそこの妙な格好の男は誰だ!?」
これに対して弥助は落ち着いて答えた。
「妖怪に襲われて死にかけた....けどこの人が助けてくれたんだよ」
と。この返答に見張り番(?)の男は怪訝な顔をしてこちらを見てくる。
「あんたが弥助を助けてくれたのか?とても強そうにゃ見えんが...」
「だろうな。だが、俺は自分の腕には自信を持っているぞ。生憎、記憶はないがな」
男が声をかけて来たのでそう返した。この返答に驚いたのか男は素っ頓狂な声で「記憶が無い!?大問題だろそれぇ!?なんでお前平然としてんだ!?!?」
と、大混乱な様子で質問攻め。ここで弥助が
「そんな驚くなよ....記憶が無いやつは確かに珍しいがそこまでじゃないだろ。あと、この人は素手で妖怪を吹っ飛ばすような人だから普通ってものさしじゃ計っちゃいけない人だろう」
とまぁなんとも失礼な解説も混ぜつつ宥めに入った。誰が普通ってものさしじゃ計っちゃいけない人だ。俺だってまだ人間の範疇だぞオイ。
とまぁそんな感じで一悶着あったが無事に里に入ることは出来た。どうやら弥助を助けたことで俺は妖怪退治屋、という職業の者だと思われているらしい。確かに元いた場所でも妖怪(現代で言う妖魔の事)を倒してはいたのだがそもそも奴らは絶対数が少ないし研究のために倒していたのでそれを生業にしていた訳では無い。とはいえ、俺がこの時代で生きていくには妖怪退治屋が1番やりやすいだろうし記憶を失う以前の職業はそれだった。ということにしておいてもらおう。丁度いいことに俺は記憶喪失という事になっているしその辺の過去は幾らでもいじくり放題だ。そんなことを考えていると日が傾いてきた。今日の宿はどうにかなった。弥助を助けたことで多少のものが貰えたのである。この時代には通貨がないらしく基本的に物々交換なので貰えなくてもどうにかなっただろう。珍しいものなら大量にあるしな。今日は情報の整理もあるので少し眠るのは遅くなりそうだが....仕方がないか。そう思いつつ、宿へ向かった。