色々とコラボ影響などを考えながらプロットを直し、ようやく終わりまで見えたので書き上げての投稿です。
6000文字いかないけど許してにゃん
慌ただしい、とはこの事かもしれない。
帰ってきて早々でないにしても、やっぱりその時になると緊張してしまうもので。どうなってしまうかなという不安と何とかしようという気合いが混じる。
リゼヴィムの宣戦布告から二週間が経過して、自分達はやれることをやってきた。冥界、天界に状況説明をしてそれぞれ防衛出来るようにと急ピッチとはいえ堕天使の皆も協力してくれたお陰で拠点も出来た。ウォールなんちゃら的な?
まあ、なんにしてもやれるだけの事はやった。
後は自分達の力と絆でどうにかするだけ。
「…行ってきます。また戻って来れるように勇気を頂戴ね」
自分の姿をした可愛らしいぬいぐるみを抱き締めてそう言って、それからベッドにそっと置く。大切な物だから持っていけない。
失くしたら自分は泣いちゃうと思うから。
「姉ちゃん、頑張ろうぜ。学校のためにもな!」
「そうですよ、色々と無理を通してますから頑張らないとです!」
「おほん、ネプテューヌさん、皆さんがいます。私も微力ながらのサポートをさせて貰いますので…もう少し肩の力を抜いてください(`ω´)」
「あはは、うん。ごめんねいーすん…少し力んでた。一誠とあーちゃんもありがとっ」
「にゃー」
部屋を出て、両親を抱き締めて(抱き締められたとも言う!)から家を出ると準備を終えた一誠とあーちゃん、いーすんが待ってた。
それぞれ頑張ろうと伝えてきて、力みすぎてた事に気づいた自分は苦笑。それから黒猫…黒歌が間延びした声で鳴いた。
「黒歌、小猫ちゃんとはいいの?」
「あの子も戦う心構えはしてたにゃ。なら、今回はねぷっち達の方でせっせと働くとするわ」
「でもまさか、リアスちゃん達がこっちのチームに二人を任せるとは思わなかったよ」
「ああ、部長大丈夫かな…」
「いざとなったら倍加したその脚で向かうと良いにゃん。
まあそれはともかくとして、ヴァーリが代わりにあっちに言ったのは意外かも。こういう時『俺がネプテューヌの傍にいる』って言いそうなものだけど」
「戦力の偏りを無くすためでしょうね。ヴァーリさん一人でもかなりの戦力ですから…」
「…でも、意外だったな」
「何がですか?」
向かう最中、一誠は言う。
多分、意外っていうのはリゼヴィムの事かな?
「いつでも仕掛けられるチャンスはあったのに、仕掛けてこなかっただろ?俺には分からねぇ…アイツの人となりっていうのが」
「…そうですね、私も分かりません」
一誠の困惑の混じった言葉にあーちゃんも同意する。
いーすんと黒歌も静かだけど、感想は同じようで視線は自分に向いていた。
何でそこで自分?と思ったけどあれかな?自分は分かってそうって事かな?
「うーん…リゼヴィムは多分、悪魔であることに拘ってるんじゃないかな?」
「確かに、契約を守ったり、今の悪魔はとか言ってたから拘りは強いのか」
「…恐らく、なんですけど」
あーちゃんが自分と一誠に一言そう言ってから話し出す。
「あの人に抱いている印象はそれぞれ別だと思うんです。
イッセーさんから見たリゼヴィムは、面倒な人、ですか?」
「そうだな、要らないこと持ち込んできて…止めてほしいぜ」
「ネプテューヌさんは、自分と同じ、ですか?」
「うん、リゼヴィムは多分私と同じような人だと思ってる」
「黒歌さんから見たら、ろくでなし、ですかね?」
「そうねぇ、ろくでなしに良いも悪いも無いしそんなとこにゃん」
「そうですか。…私から見たリゼヴィムは、誠実な人です」
「誠実、ですか?確かにネプテューヌさんを攻撃してきた割には話がしたいと言って本当にそれだけだったり二週間何もしてきませんでしたが…」
「ええ、だからリゼヴィムはそういう悪魔なんです。そういう存在なんです」
そういう存在。
つまり、一人一人が別々の印象を持つような多面性の悪魔…ってこと?確かに、ころころと性格の変わったかのような発言は自分がないようにも見える。
「私達は本当のリゼヴィムが分からない…んだと思います。
ネプテューヌさんが話した時のリゼヴィムも数ある一つの一面に過ぎないのかもしれない。そう思うと、私は色々と納得できるんです。リゼヴィムが目指しているのは世界への攻撃とか悪魔が悪魔らしくなるとか…そういうのじゃなくて、本当はもっと別の何かなのかも…そう思ってしまうんです」
「そういえば……」
そういえば、ヴァーリのことも少し気に掛けていたようにも見える。じゃあヴァーリを試すのが目的って訳じゃない。…本当に自分と戦争をするのが目的なのだろうか。
確かにそれは、あの声を聞いて、笑みを間近で見たからこそそうだと頷けることだ。けど…それは決めつけなんじゃ?
でも邪龍と本当に同盟を組んでいるらしいし…やっぱり、分からない。何が本当で、何が嘘なのか。
リゼヴィムは本当に、刹那的な生き方をしたいのか。
そんなことはない、と言いきれない。そうだ、とも言いきれない。
のらりくらりとしたその在り方に、少しだけ恐怖がある。
何でだろう、となるよりも早く…何なんだ、となるように。
「…それでも私達がやるのは変わらないよ」
冥界への転移魔法陣のある場所へ辿り着き、自分は言う。
やることは変わらない。
自分がやるのは、殲滅でもない、排斥でもない。自分は手を取りたい。どんな相手でも…もう、目の前から何かがいなくなるのだけは嫌だから。だから、手を取る。
「繋ごう、明日を…なんちゃって。まあ考えても仕方ないことってあるし、気楽に行こうよ!」
「…だな、気楽に行けないけど気楽に行こうぜ」
「それって矛盾にゃん」
「ですね…でも、矛盾を抱えてるのは私達だけじゃないですもんね」
そういうこと!と言って我先にと魔法陣の上に立つ。
この先はもう、戦いの場だ。
不思議と恐怖はない。だって皆がいるから…皆がいれば、私は誰よりも強く在れる。
だから、私は怖くない。
そうして皆で冥界へと転移した。
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「例えば、何だけど」
「む?」
ポーンの駒を動かしながら対面に立つ同盟相手に話し掛ける。
勝負中なのもあって左右はうるさくないのは有り難い…有り難くない?勝負中はうるさいのは歓迎だけど喧しいのは嫌いなんだよね。
「こっちとあっちに差はあると思うかい?」
「…そうだな、限りなく無いだろう。
あちらは群、こちらは個で成り立っているからな。比べることすら無駄なことだ」
あちらも駒を動かした。
当然のように馬に引かれて人が死んだ。まあ、最初だしね?
そう、此方と彼方の差はない。なら、何で待ったのか。
「まあ、待ったのは僕ちゃんがやりたいことがあったからなんだけどさ」
「解放して何になる。あれは負の塊だろう?」
「…そうねえ。じゃあ君はあれは何だと思う?」
「今言っただろう、あれは負でしかない。いるだけで世界が軋む、そんな化け物だ」
「化け物ってのには賛成だけど、儂様は少し解釈が違うかなぁ。
あれはとても純粋だよ。希望も、絶望もない。負っていうのはそんな善悪による物じゃなく、負もまた正なのさ」
「なら分ける意味があるまい」
「あるとも。影響の先が、正と負なのさ。だからその純粋さに誰かさんは狂気とか、希望とか、そういうありきたりなネームを授けた。要は判別がしたくてしたくて仕方なかったってハナシ」
「つまり方向性を定めれば益になる、と?」
その通り、と駒を動かしながら頷く。そう、どんなもの方向性、指向性を持たせさえすればそこへと進む。
シェア…だったかな?それもそうだろう。
シェアは希望の力と周りはいっているが、俺からすればそれもまた負であり正でしかない。
強い力っていうのは得てしてそういうものだ。
だからこそ、見てみたい。
「先に言っておくけど、ワシちゃんは勝つつもりはあるけど勝てるとは思ってない」
「ほう、何故だ?」
「前座だからさ。ゲームに例えるなら中間のボス。
もっと分かりやすくいうなら前菜ってやつ」
「では、最後のボスはなんだ。…あれか?」
「クク、ウフフフフ…さーてねぇ…」
自然と漏れる笑いを堪えることなく吐き出しきって、それからワインを呷る。
不味くて仕方がない。けれど今だけは美味だ。
「次期に始まる、聖杯で復活させた邪龍の進軍が、それを引き裂く光の姿が。楽しみで仕方ない!女神ちゃんだけじゃない、それに集るこの小さな光達がどう足掻くのか、見てみようじゃないか。
目標、首都リリス。ついでに天界も。悪役の舞台をブチ上げろ!
下らない世界に花を咲かせてやろう!」
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それを見て、俺は自然と刀を構えていた。
地より出ずる悪龍達。いや、体をいいように作り替えられた化物。
三勢力が負ければ次はどこにこれが来る?そんな自分への問いに知れたことと返す。
日の本に違いない。民草が蟻を潰すように踏み潰されていくのだろう。それは駄目だ、許容しない。俺はそれを排斥する。
その為に今を生きているのだ。その為にあの女神の手を取ったのだ。
「皆構えろ、此よりは死地である」
俺の後ろの仲間が、悪魔どもが構える。
先頭を立つ俺の声に従うように、一言も発することはない。
まさか悪魔と戦う日が来ようとは。いや、あの女神を助ける時に一度やったか。
化生がやって来る、力ある俺達が止めねばならない。
刀を抜く。目の前の一切合切を葬るために。
腕を上げる。俺の後ろにいる思いを同じとする者達のために。
声をあげる。勝利をその手に、そして俺に未来を見せてくれたあの女神に報いるため。
この源頼光、首都リリスへの進行の阻止、見事果たしてみせよう。
「皆、この頼光に続け!!」
『オォォォォォォォッ!!!』
天よ照覧あれ。
刀を握り、誰よりも早く駆けて橫薙ぎに振るって邪龍の数体を消し去る。所詮複製体、造作もない。
ここの守護は、我らが請け負った。
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天界にて、私はミカエルに話を持ち掛けていた。
ある疑いを確かなものとするために。
「…何故今その情報を?」
「そうね…早い話、教えてもらったのよ。これを知っておかないと、面倒になるって」
「駒王の前任の悪魔と教会の戦士の関係を、ですか」
「そうよ。私の前任…クレーリア・ベリアルについて、教えてちょうだい」
目の前の天使長は少し考えた後に目を開け、頷く。
きっと以前ならここに来ることすらなかった。けれど今は三勢力が手を取り合う程の案件…今なら調べられる。
いいえ、調べないといけない。あらゆる可能性を加味して、私はリゼヴィムの駒を一つずつ潰していかないといけない。
「分かりました。クレーリア・ベリアルさんと深い関係にあった戦士の記録について教えましょう。
これもまた、我々の罪ですから…」
─『クレーリア・ベリアルの死の真相を知るために天界に行け』
それが私に送られた手紙の内容だった。誰から、というのは何となく見当がついている。
ここに来るためにネプギアやイリナにも一緒に来てもらったし成果を出さないとね。
それにしても…何故今になってそれを知らないといけないのか、については分からない。けれどあの男が無駄な情報を与えるとは考えづらい。だからこそこの案件は調べる価値がある。
「彼の名前は八重垣 正臣。当時、戦士であるにも関わらずクレーリアさんと恋に落ちた…教会の戦士です」
「…ベリアル家の令嬢が…戦士と…」
「はい。ですが当時は互いに睨み合っていた状態…そのような恋愛は許されません。ですので説得したのですが…結果彼は離反し、粛清されたのです」
「…」
粛清、戦士、悪魔との恋、ベリアル……
そこまで考えて、嫌な予感が過る。
あり得ない、と思いたいけどあり得てしまう。
嫌な汗が背筋を伝い、私は他の可能性を頭の中で思い浮かべる。
「…私の調べでは、クレーリア・ベリアルは粛清されて眷属と共に命を落としたとされているわ。…でも、変じゃないかしら。
教会が手を下すなら、戦士だけで良い。何でわざわざ…戦士の八重垣だけじゃなくクレーリア・ベリアルまで?」
「…すみません、リアスさん。
それは…どういうことでしょうか?」
「どういうことって……待って、
「ええ、戦士八重垣はイリナさんのお父上である戦士トウジが粛清しましたが…クレーリアさんについてはこちらも預かり知りません」
一瞬だけ、呼吸を忘れる。
違う?教会じゃない?となるとやったのはもう、片方しかないじゃない。そうなるしかない、そうなる以外にあり得ないのだ。
でもまさか、どうしてそんなことが…
だってそうなると……クレーリア・ベリアルは──
─悪魔陣営に殺されたことになる。
そして、ベリアルといえば…!
「ごめんなさい!今すぐ戻るわ!」
「どうなさったのですか!?」
「分かったのよ、リゼヴィムが自分の駒にするなら誰にするか!
誰が理想的で、どうすればあっちの陣営に加わるかが!」
「っ。分かりました、私達に出来ることは──」
「天界の警備を薄めるわけにはいかないでしょう!」
そう答えながら部屋を飛び出し、駆ける。
特訓のお陰でちょっとの運動じゃ疲れない。
すぐにネプギアとイリナが待っている外まで出て、二人を発見する。
大慌てで出てきた私を見て、慌てて駆け寄ってきた。
「リアスさん!?どうしたんですか?」
「今すぐ冥界に向かうわ」
「え?調べものは済んだの?というか天界で邪龍を迎え撃つんじゃ!?」
「それどころじゃないわ!朱乃達には移動しながら指示を出すから平気。今は、私達が向かわないといけないの。じゃなきゃ…」
「私達は、背後から撃たれるわ!」
気づくのは遅れた。けれど…まだ間に合う。
まだ、勝負は終わっちゃいない。
『クレーリア・ベリアル』
かつて駒王町を縄張りにしていた、リアスの前任にあたる女性悪魔。教会の戦士の八重垣と恋に落ちるも、悪魔側の大王バアル家や教会からは許されず、説得にも応じなかったため粛清されて眷属と共に命を落としたとされる。しかし、どちらの陣営が実際に手を下したのかも不明確であったりと、その死には謎が多かったものの、今回で悪魔側の粛清であることが判明。
『八重垣 正臣』
クレーリアの恋人であり、教会の戦士。
当時ではその恋愛を認められることはなく説得する教会や悪魔側と対立することになり、どちらが先に手を出したかは定かではないものの、最終的に粛清され命を落とした。今回で教会側の粛清であることが判明。執行者は紫藤トウジ