無事卒業&就職できたのでこちらの編集に専念致します。
イリスちゃんのお話も投稿頑張りますので待っててください。
ぐるぐる、ぐるぐる。
渦巻くような感覚がそこにはあった。
否、感覚ではなく…感情か。
揺蕩うには浅く、立ち上がるには深い。
ただ暗く、そこにあるのは闇だけで…それと目が合う。
─立っているだけなのに目眩がして、吐き気がして、脱力感に襲われる。
それが目の前の存在の本質。
プラスの要素は微塵もなく、マイナスで構成された存在。
邪龍よりも邪で、赤子よりも純粋で、神よりも残酷。
そんな存在を目にして、口元が嬉しげに吊り上げるのを自覚した。
手を差し伸べて、伝える。
「ハッピーバースデー、今日が君の誕生日だ。」
君の手で、憎い世界を滅茶苦茶にしようじゃないか。
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─────
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何とか邪龍達の進行が止まった。
被害は少し出ているけど幸い死傷者はいない。これも曹操達のお陰だね。頼もしい助っ人だよ、本当。
でも、参ったなぁ…これ、まだ本番じゃないんでしょ?おっちゃんが言ってたヤバい邪龍はまだ姿を見せてこないし。リゼヴィムも出張ってこない。これじゃジリ貧になりかねない。どこかで本丸を叩かないとだ。
とはいえ…
「つ、疲れたぁぁぁ…」
「そこらじゅうの邪龍を叩いた後に巨大化したのと一戦だからな。疲労も溜まる。…大丈夫か?」
「うん~、このまま甘やかしてくれていいんだよ!」
「仕方ないな。」
基地の端でクタクタな自分を膝に乗せたヴァーリが頭を撫でる。
おー、これは…心地いいなぁ…これが人をダメにするってやつかぁ。
ふにゃりとなっていくのを自覚しながら撫でられていく。
「結婚しよう(たるみすぎるなよ、お前が崩れたら俺だけじゃない、周りも悲しむ。)」
「はぇぇ!?」
「おっと、心の声が…」
「そういうのはもっとしまい込もう!?ねぷ子さんもビックリだよ!」
「まあそう言うな。いつ言えなくなるか分かったもんじゃない。」
「もーやめてよねそういう話。皆無事に終わる!それしか認めないんだから!」
縁起でもない事を言わないで欲しいよね。ただでさえ、自分もそう思ってしまう時があるんだから。邪龍の合体した姿を見て、もし間に合わなかったらどうしよう、皆やられたらどうしようって考えが過った事は…言わないでおこう。
こういう時、重い。色々と背負っている…そんな気がして、自分に不釣り合いな信頼だって思ってしまう時がある。そんなことはないって分かってるんだけど…やっぱり、ネプテューヌで在りきれない自分に辟易とする。きっとネプテューヌなら、私なら、もっと上手く動き回ってたかもしれない。
嫌だなぁ、ゆっくり出来るとマイナス思考で嫌だなぁ。
そっと、体重を預けて、目を閉じる。
疲れているんだと思って、考えを放棄する。考え続ける事はあるけど、今考えても暗くなりそうだから、放棄する。
リゼヴィムの掌の上…とは思わない。被害はずっと抑えられているし、何なら言葉通り冥界にしか戦力は来てないみたい。
あれより強い邪龍がいる筈なのに、本当に最初は軽かった。
いやまあ、軽くないけどね?
「ネプテューヌ。」
「なーにー?癒されてるねぷ子さんに何か用?」
「用も何も俺の膝を使っておいて良く言う…ネプテューヌ、次は間違いなく来るぞ。どう編成する?」
「…今回で分かったことって、何個かあるんだよね。」
「やはり、龍だからこそアスカロンのような特効のある武器は刺さるな。」
「そうそう。だから、おっちゃんが懸念している三体の邪龍に対抗して、こっちもそれぞれに特効武器をぶつけよう!って話。」
いーすんが前に教えてくれた。この世界は概念っていうのが強い世界なんだって。それは当たり前のように見えるけど、逆転するみたいな状況は余程がないとあり得ない。
例えるなら二倍じゃなく、百倍。サヨナラホームランってところかな?龍であるなら龍殺しは必ず効く。効かない事は、龍を捨てること以外あり得ない。
けど、邪龍が、リゼヴィムがそれを考慮してないとは思えない…何かあるのかもしれないから、戦力に偏りは入れちゃ駄目だよね。
「妥当な判断だ。兵藤一誠のアスカロン、頼光のサマエルの毒、ジークのグラムか。パンドラの鏡写しを使えば増やせるが…」
「それは難しいかな。パンドラが先にダウンしちゃうし…何より、あの子にはもう任せてること多いし。」
「そういえば何をしているか知らないな。」
ああ、そういえば言ってなかった!こういう報連相を怠ると負けに繋がっちゃうから言っておかないと…ヴァーリ以外にも伝えておかないと。
「パンドラは道を作ってくれてるんだ。鏡を経由すれば何処にでも行ける神器…だからこそ、後方に徹するんだって。」
「道、か。確かに万が一の脱出経路は必須だろうな。」
パンドラはもう頑張りすぎてるから…あんまり無理はさせられない。自分達の面倒は自分達で見ないとね。
まあそれに元ボスキャラな皆もいるし平気平気!ボスキャラは仲間になると弱体化する法則は今のところ働いてないしね!
自分も負けてられませんなぁ!
「まあ他にもあるんだけど…確証はないし、黙っておこうという探偵ムーブ!」
「全滅したら知らないからな。」
「で、でも確証ないし…無いしー…」
変な情報で混乱を招きたくないのは誰だって同じだよね?おっちゃんもそうだし…何なら曹操は理解してくれる筈!
「だよね曹操!」
「曹操なら他の連中の様子を見に行ったぞ。」
「哀れねぷ子さんをフォローする存在はいなかった。
テッテレー、ネプテューヌ の 強気 が2減った。」
「俺が肯定してやる。これで減らずに済むか?」
「強気が10上がった~!」
「それで、話す気には?」
「うーん…ごめん!まだちょっと考えさせて。おっちゃんとかと共有したいし…」
「そうか。」
ヴァーリはそれだけ言って、これ以上追求をしてこなかった。ありがたやありがたや…自分には勿体無い彼氏だね。
でも、それはそれとして皆疲れてる。
宣言の時と違ってリゼヴィムがいつ仕掛けてくるか分からないし、油断は出来ない。しばらく帰れないかも、と思うと気が滅入っちゃうな。
でも邪龍を倒して、リゼヴィムを倒せたら…少しは楽になるよね。
「でも、不思議だよね…今差し向けたら割と辛いのにそれをしないなんてさ。」
「楽しんでいる…のかもしれないな。あいつの事だ、どうせそんなところだろう。」
そうかな?と思う自分と違うよと思う自分が半々いて、でも確証もないから頷くだけにしておく。
休めるのなら休むべきだ。冥界に差し向けられる分にはこちらで対処できる…けど、もし次人間界の方に進行していたら阻止出来るかな?
何処かで煮え湯を飲まされる…そんな予感がする。リゼヴィムは何を考えてるか分からない。卑怯な行為をしたと思えば、誠実な対応をしてくる。自分、というものが無いように思えるくらいには。
ヴァーリの膝の上に座りながら、思考に耽っていると駆ける音が聞こえる。
こっちに向かってきている?
「お姉ちゃん!」
「ネプギア?それにリアスちゃん達…と、誰?」
大慌てでネプギア達が戻ってきたと思えば白髪のイケメンを連れてきた!?も、もしかして…
思い至った自分は立ち上がってズビシと人差し指を向けた。
「お姉ちゃんは認めませんよ!」
「いや違うから、そういうんじゃないわネプテューヌ。」
「はぁ…この方はディハウザー・ベリアル。レーティングゲームのトッププレイヤーよ。」
「初めまして、ネプテューヌさん。紹介に預かったディハウザーです。お疲れのところ、申し訳無い。」
「え、あぁいやこちらこそ…友達がお世話になりました!」
「いえいえ、こちらは助けて貰った方ですので…」
(あの、リアスさん。お姉ちゃんがあんなに丁寧に対応してるの初めて見ました…)
(奇遇ね。きっと大人のオーラっていうのに当てられたのね…)
(幼馴染みの私は知ってたけどねー、ふふーん!)
(イリナ、そんなことでマウント取っても仕方ないと思うのだけど…)
何やらこそこそ話をしている三人は放っておいて、目の前のディハウザーさんはネプギア達に助けられたらしいね。
でもレーティングゲームのトッププレイヤーなのにそう簡単にやられるのかな…?
「ネプテューヌ、彼はリゼヴィムに勧誘されるところだったのよ。」
「え、リゼヴィムに!?」
「どういう事だ、グレモリー。彼があいつの側につくとは思えないんだが。」
「いや…そうでもないよ。彼女達が先に来ていなかったら、きっと彼の側に着いていたかもしれない。」
神妙な顔でそう言ったディハウザーさんはとても冗談のように感じなかった。きっと、それだけの甘言だったに違いないね。
リアスちゃんからしっかりと事の顛末を聞いた自分とヴァーリは二人して考える。
クレーリアさんと八重樫さんの恋愛の結末、ディハウザーさんの家族への愛情、リゼヴィムの誘い、フリードの変貌…特に気になるのはフリードの使った謎の力。
女神が忌避する、ってことは遂に自分達の特効が出来た?
いや、待った。
遂にじゃない…何故なら自分はそれを嫌という程実感している筈だから。
「フリードの力って、もしかしたら私のシェアを遮断したのと同じ力なんじゃないかな。」
「…奇遇ね、私も説明してて思ったわ。カオスの力とはまた違う…けれど同じ負に属する力ね。」
「ネプテューヌ、遮断された時ってカオスの力も使えなかったのよね?」
「うん。説明したから知ってるとは思うけど、私のカオス化はシェアを通じての変身だから…一応、試しにカオスの力単体でやろうとしたんだけど無理だった。」
「お姉ちゃんのそれより、強いってことなんでしょうか…」
「…ふむ、となると、あの力はネプテューヌさんのカオスの力…だったかな?それよりも上位の力ということになる。
言ってしまえば、混沌よりも純粋な負か。」
「分かりやすく、マイナスエネルギーって名付けよう!これは皆に共有しないとね!ありがとう、リアスちゃん、イリナちゃん、ネプギア!それと…無事でよかったよ、ディハウザーさん!今はゆっくり休んで!」
自分はそう話を終わらせて、皆に休むように言った。
おっちゃんやいーすん…だけじゃないか。本当に皆に共有して、対処法を練らないと。立ち上がって、いーすん達の方へと駆けていく。
次から次へと新しい問題!まるでテストみたいだぁ…主人公サイドが強くなると敵サイドも強化される現象って奴だね…分かるってばよ!
ゆっくり休みたいもんだよね~!
おっちゃんといーすん、それにパラケことパラケルススもいるからそこに突撃!
「たのも~!」
「どうしたねぷ子、お前休むっつってたよな?」
「しっかりとした休養を、ネプテューヌさん。」
「そ、そうです女神様。戦ってお疲れでしょう?」
「いやそれがそうもいかないんだな、これが!ネプギア達が戻ってきて、色々教えてくれたから共有の時間だよ!」
「共有だぁ?また面倒が増えたか?」
「まあそういうこと。」
リゼヴィムの事やディハウザーさんの事、加えてフリードが得たマイナスエネルギーについて三人に共有した。
おっちゃんは顎に手をやって考え始め、いーすんは検索しているのかじっとしてる。パラケは…ブツブツと独り言を始めた。これが頭脳派集団…!
「マイナスエネルギー…シェアのように信仰に近い高純度の力?だとすると魔力等での対抗は難しいし仮にシェア同様の多様性がある場合は何が起きてもおかしくない。加えて聞く限りだと女神に対する特効のような物があって女神様達をぶつけるのは得策じゃないとなるとぶつけるべきは─」
「おーい、おーい?」
「しかし検証も済んでいない状況でぶつけたところで返り討ちに遭う可能性は極めて高い。数的有利の状況下で撤退を選んだということはそれだけの力があったか未知ゆえの撤退…」
「おーい!」
「パラケルスス、呼ばれてんぞ。」
「─はい!?も、申し訳ありません女神様!女神様を無視するなんて罪深い事を…つ、償いなら何でも致します!」
「いや何もしないでいいよ…?えっと、三人とも何か分かることない?」
涙目にすらなってるパラケに自分は何もしないと落ち着かせる。おっちゃんは溜め息をついていて、苦労が伺える。
パラケって自分を慕ってくれるけどここまで来ると最早信者だよ…あれ、となるとペルセウスもそうだよね?ううん、どうしたものか。
取り敢えず今は三人の見解を聞こっかな。
「今は何も結論は出せねぇな。ちとリアスの所に行ってくるぜ、幾つか訊かねえとな。」
「私も行きます。女神様、どうかご自愛くださいませ。」
「あ、はーい。いーすんはどう?」
「…システムのデータベースにもありませんね。新しく発生した物でしょうか…しかし、不自然な空白がありました。」
「空白…?それってゲームで決まる世界で頑張る兄妹の話?」
「いえ別に異世界モノの話はしてませんね(-_-;)
まあ、要するに…何かを秘匿しようとしていた可能性が高いです。残すことすら恐れた何かを…」
さらっと流された上にまたまた新事実が出てきて自分は頭がどうにかなりそうだよ。システムってことは神様の記録だよね?だとすると…うん、確かにおかしいかも。
空白って所が特にね。
「いーすんにも分からないかぁ…」
「お役に立てず、申し訳ありません。」
「ううん、そんなことないよ!頑張ってくれてありがとういーすん。おっちゃん達が何か気付くかもしれないから、それに来たいかな!」
「そうですね…取り敢えず、休みを取るべきかと(;・ω・)」
「はーい…分かったよ。じゃあちゃんと休むとするね。心配かけ続けるのも良くないもんね。じゃあ、お疲れサマンサー!」
「はい、お疲れさまでした。」
休んでる間に進展があればいいなぁ。
とにもかくにも、だよね…フリードがリゼヴィムの手下になってるなら、いずれ全部分かる。そんな気がしながら戻って、束の間の休息を堪能する。