「黄金の欠片?何それ?この次元での設定生やされた感じ?」
ちんぷんかんぷんな自分は知ってそうなピィー子に聞く。
「…さぁね、ゲイムギョウ界は追加設定のオンパレードだから。いちいち覚えてない」
「あーなるほどね!うちもそんなだからいいんだけどね。
んー、おかしいなぁ。私ってそんなのあったっけ?
カオスの力とか神様的パワーならあるんだけど…そういうのじゃない感じ?」
「…そのカオスって『カオスエナジー』の事じゃないよね?」
「あれ、こっちだとそう呼ぶの?じゃあ、そうなんじゃないかな!」
その言葉を聞き、イクスは盛大に笑った。
あれを黄金って…ちょっと無いと思う。
「あはははっ!!!ピーシェ!!お前が失敗し続けている変身方法をよぉ!この女はやれるみたいだぞ!はっはっはははっ!!!」
「……っ」
ピィー子は気に食わなかったのかイクスを睨んだ。
当のイクスは全く意に介してないけど。
「おお、怖い怖い。だが…ほお?『カオスエナジー』を知っていて。『黄金の欠片』を知らないか。こいつぁ面白い」
「あ、ごめん。水を差すようで悪いんだけど私も上手く使えないからね。カオス化。」
手を挙げて、上手く制御できない事を伝える 。
そもそも、あの時からそんなに時間経ってないし…
あ、あの時が分からないって人はしっかりと本編読んでね!
「なんだ、そりゃあ残念だ、なら───」
そう言ったイクスの隣、二人の女性が立っていた。一人は緑色の髪の胸が大きい女性。もう一人はシアン色の胸の小さい女性だ。
「っ!ホワイトハートとグリーンハートの『カオス』状態…!!」
「その力、今ここで見せてくれよぉ!」
「ねぷてぬ!!下がって!!」
「下がる?やだなぁ、ピィー子は!
これって不利な奴?でもでもバランスブレイクしちゃうのがネプテューヌ!だからね、ピィー子!」
ピィー子に向けて笑顔を向ける。
どんな相手でも、ねぷ子さんが挫ける訳にはいかないよね!
手を差し出す。
ピィー子に願うことはただ一つだけ。
それさえあれば、自分は戦える。
どこまでも駆けられる。
「─私を、
「…わかった!!」
そう言うとピィー子は何かを投げ渡す、それは何かの石のようだ。中にシェアが入っているのを感じる。
「…ははっ、師匠に知れたら大目玉だな…他人に任せるなって…」
それを手に取り、自身のシェアと同調する。
自分の知るシェアとは違う。
でも、これは女神化に必要なもの。
「うん、これならいける!」
ビシッと二人のカオス化した女神を指さす。
「─私の力、刮目しちゃってよね!
これが、別次元でただ一人の女神の力!」
この場の誰もが見慣れた女神化。
希望の象徴、国を守護する女神の姿。
「─女神パープルハート、ここに見参!」
刀を手に持ち、ピィー子に微笑む。
「ありがとう、一時的とはいえ女神化出来たわ。
でも…これだけじゃ足りなさそうね?」
「足りる、いや足りさせてみせるよ。プロセッサユニット展開。《エディン》」
ピィー子はそう呟いてシェアクリスタルを天高く放り投げると、シェアクリスタルがひとりでに回りだし、その光がピィー子を包む。そして次の瞬間──。
「イエローハート!装着完了!!」
ピィー子の第二の姿。
ピィー子曰く、イエローハート。
ああ、夢みたいだ。
だって、自分の世界では『女神』は一人しかいない。
だからこそ、これは夢のような時間。
危機感は忘れないけどね。
「…女神と協力して、女神と戦うなんて夢にも思わなかったけど、今更ね。
さあ、覚悟しなさい。
グリーンハート、ホワイトハート…そして、イクス!
貴方の計画、ここで潰させてもらうわ!」
(槍と斧…同じ女神と考えると、ここは。)
「槍が先!」
グリーンハートへと接近する。
その刀にバチバチと音が鳴り、雷を纏う 。
「じゃあ私はホワイトハートもらいまーすっ!とおおおおおりゃあああああああああぁぁ!!!」
刹那───
イエローハートのクローとホワイトハートの斧は触れた瞬間に空気を振動させ、地面がピリピリと振動する。
わーお…力強いね…?
本気で打ち合ったら勝てる自信ないかも?
いや、その時は負けないけど。
「おーい!グリーンハート任せていい?」
「問題ないわ、貴女はホワイトハートを倒して!」
刀と槍がぶつかり合う瞬間、雷が拡散する。
「私は正々堂々も好きだけどこういう小手先のプレイも好きよ?」
警戒はしていたのか距離を取られる。
けど、反撃の機会は与えない!
「っふ、はっ!せいっ!」
力強く、けれど舞うように。
速く、鋭く、時にわざと遅く振るわれる刀の攻撃をグリーンハートは槍で器用に防ぎながらも攻めあぐねる。
「カオス化しても、技術は同じよ。」
(ここは屋内。下手な大技は使えない。
エクスブレイド…いえ、それなら。)
シェアを力に。
具現化するは剣。
「32式エクスブレイド、8本展開!!」
自分の背後にいつもよりも小さなパープルハートの刀と同サイズの剣を展開する。
8本は初めてだけど、やれてよかった!
「クロスコンビネーション!!」
刀を防がれる瞬間、腹部へ蹴りを叩き込み、追撃を仕掛ける。
槍で咄嗟に防ごうにも背後の剣が射出され、槍を弾く。
計8回の連擊の後、打ち上げてから叩き落とし、残りの剣がグリーンハートに突き刺さる!ごめんね…!
「せえええええええええい!!」
グリーンハートが地面に落ちると同時にイエローハートの蹴りがさく裂。
滅茶苦茶な戦い方するね!?
自分のが型に嵌まり過ぎなのかもしれないけど…!
狙ったんなら凄いけど…
グリーンハートはちょうど、ホワイトハートにぶつかり、二人同時に地面に倒れこむ。
「ストライィィク!!!さぁ!最後だよ!ライダーキックのように華麗に決めようか!!」
「ええ、なら、最後に決めるわよ!」
シェアを足に纏わせる。
にしても、テンション高いね、こっちのピィー子。
元が、こっちなのかな。
成長する前のピィー子…って感じ?どうだろ。
「ビクトリィースラッシュならぬ、ビクトリィーキックなんてどうかしら?」
「おーけーおーけー!!乗った!」
乗ってくれた。
こういう時はヒーロー物でいうキックが常套!
そう言うとピーシェの足に何か黒い光が宿る。
「いっくよぉ~~!!!」
「ええっ!」
二人で息を合わせ、同時にジャンプする、上空で一回転したのち、真下のグリーンハートとホワイトハートに向けて姿勢をとった。
「「ビクトリィーキック!!!!」」
2人の黒い光とシェアの白い光が重なり、まるで花火の玉のように華麗に飛んでいき、ぶつかった途端に敵の二人と同時に綺麗に四散した。
「はっ!きたねえ花火だ!」
ピーシェは着地して振り返り、鼻で笑いながらそう言った。
あ、はは…ちょっとドン引きかも。
「助かったよ、ねぷてぬ」
ねぷてぬと呼ぶピィー子に首を振る。
「貴女の信じる心が、私を強くしてくれたのよ。
感謝するのは私の方だわ。ありがとう、ピィー子。
カオス化は、必要なかったわね。」
「さて、そろそろ観念してほしいな?イクス」
「そうだね。まさかここまでこのネプテューヌがやるとは思っていなかった」
そう言って、イクスは不敵な笑みを浮かべた。
まだまだって様子だね。勘弁してほしいなぁ!
「まだ諦めてない様子ね。ここが屋内であることも考えてほしいわね。」
「そんなの私には関係ないね。それに──」
「あら?屋内でやるのはさすがに野暮よ…?イクス?」
いつの間にか、気配も何か感じなかったのに。自分とイエローハートの後ろに一人の女性が立っていた。
その女性は暗い紫髪のロングヘアーで、妙に露出の多い踊り子のような服を着ている。
咄嗟に振り向いて距離を取る。
「っ!!貴女は──」
「おや、DCD、いつの間に来たんだい?」
「今さっきよ…?それにしても…随分苦戦しているのね…」
「また新手?流石に二番煎じは飽きられるわよ。」
刀を握り直す。
(…この女性もイクスと同じような事をするなら…
形振り構ってられなくなるかも。)
焦りが生じる。
グリーンハート達を倒せたのはピィー子がいたのもあるけど殆ど機械のように動いていたから。
けど、そんな二人を召喚できるイクスと同格っぽいDCDが相手となると…まずいかも。
「まっずいな~…DCD来る前にイクス仕留められなかった…」
そう言いながらピィー子は苦笑いをした。冷や汗が流れているので、相当やばい状況なのだろう。
「共犯者って事かしら。何にせよ…私だけならまだしも他の人を巻き込んだ時点で許すつもりはないわ。」
("使う"?いえ、まだ─)
「貴女も私の黄金の欠片というのが欲しいのかしら。それとも別の?」
「貴女も私の黄金の欠片というのが欲しいのかしら。それとも別の?」
「私は黄金の欠片には興味ないわ……。ユリーナにでも譲るわよ」
そう言って、DCDは自分に近づいた。
「私が欲しいのは、貴女のカオスエナジーよ?」
「悪いけど…譲るつもりはないわ。
この力は危険…だけど、それでも私はそれを手放さない。」
DCDから距離を取る。
ちょっとちょっと…今日の自分モテモテじゃん!
悪党とイチャつく気は毛頭ないよ!
「…一誠とヴァーリや他の女神が居てくれたら、もっと楽なんだけど。」
「はははっ、それは叶わないかな~」
そう言いながら、イクスはかっかっかと笑った。
「もしかして気づいてないのかい?…時計を見てみなよ」
「時計──」
…時間が止まってる?
周りの時間にまで干渉できるってことか。
なるほど、マジで?
「─そんなに大事かしら、このカオスエナジーが。」
事態を理解して、眉をひそめる。
「それは大事よ…?なんたって、
そう言いながら、DCDは不敵にほほ笑んだ。
その言葉にちょっとイラッときた。
それは、あり得ない。
「…いいえ、そもそも本来交わることがない世界同士。
接点を持つわけがない…このカオスエナジーは私の産みの親である聖書の神が授けたものよ。
貴女の言うカオスエナジーとは別な筈。ハッタリはやめて貰えるかしら。」
「なんでもいいわ…、それでも奪うだけだもの」
ハッタリにしても質が悪い。
これは誰に貰ったわけでもない…自分だけの感情だよ。
DCDは知ったことかといわんばかりにこちらへ歩を進める。
「っ、カオス化を…!」
カオス化を使おうと紫の駒を取り出そうとし──
「─その必要は無いな。」
「─その通り!遅れてわりぃ!」
─頼もしい二人の声を聞いて、安堵する。
「…二人とも…酷いくらいいいタイミングね、スタンバイしてたなら許さないわよ。」
「そ、そんなことねえって…」
赤い鎧と白い鎧。
二人が自分とピィー子を守るように前と後ろに立つ。
「……ドチラサマ????」
イエローハートが目を丸くしている。
ふっ、とヴァーリが笑う。
「鎧のせいで声じゃ分かんないか。」
「ならば、敢えて名乗らせてもらう。」
「「俺達は二天龍だ。」」
「一誠、ヴァーリ…カッコつけちゃって。」
一誠がDCDに、ヴァーリがイクスへ拳を構える。
「折角お呼ばれしてんだ、活躍しなきゃ損だろ!」
「俺の妻に手を出した自分を恨め。」
「こういう時までそういう台詞吐かない!」
「え…えええええええええええええぇぇぇぇぇ!!!ヴァーリとねぷてぬってこれ!!ねえこれ!!!!」
そういってピィー子は小指を立てた後、今度は親指を立てた。
あー!あー!
ちょっと!ヴァーリの馬鹿!何でそういうこと言うの!?
嬉…恥ずかしいでしょ!
「違うから!ほら誤解されたじゃない!」
「何だ、照れてるのか?」
「ヴァーリぃぃぃ…嘘ついてんじゃねぇぞ!
この二人よりまずテメェを潰すぞ!?」
「なんだ?『神殺しの二天龍』の再現でもするか?」
「チッ、この野郎…!!」
「ピィー子、嘘よ?私はヴァーリと付き合ってすらいないからね。」
ピィー子にそう言う。
違うったら違う…ま、まだ。
「な、なんか脈ありではありそうだね~~……」
そうピィー子が苦笑いしていると、DCDとイクスは気に入らない様子だった。
「おいおい、どういうことだよ?時止めしたんじゃねえの?」
「……ええ、したはずよ、この二人は動けるはず…」
どうやら、この二人が介入したのがかなり想定外らしい。
「あ!それ私も気になる!この時止め、一応神様レベルじゃないと介入できない能力のはずなんだけどな~…」
ピィー子も同じらしい。
そっか、知らないもんね。
「おいおい…ピーシェ!忘れたのか?」
「俺達は二天龍。」
「「神を越えるくらい、造作もない!」」
『神風情を縛る力で我らを止められる事能わず。』
『我ら天に吼えし龍である。』
「私の世界には神器っていう人間にのみ宿る特別な武器がある。その中で、神をも殺せる可能性を秘めた神器はこう呼ばれるわ。
『『貴様らは、龍の逆鱗に触れたッ!!』』
白い龍、赤い龍。
ドライグとアルビオンが一瞬だけ見えた。
スッゴいイラッとしてるね…ハハハ…
そうだよね、神様だって恐れた二天龍なのに、神様レベル位の介入不可の時止めなんて受けたらプライドが許さないよね。
意地で突破したね、これは…
「は…はははは…はは…」
ピィー子は乾いた笑い声をあげた…。そして力なく肩がだらんと落ちる。
「し、信じられない……」
ピィー子は二人に唖然とするしかなかった。
「師匠たちも……。『
うん、分かるよぉピィー子…
「ねぷ姉ちゃんに手を出した事、後悔させてやるぜ。」
「加減する必要はない。こいつらが俺達をここへ呼んだ元凶だろう。」
「ピィー子、いくわよ。…女神だもの、まだまだ強くなれるわ。私だって可能性があるんだから、貴女は尚更でしょう?」
「……可能性…か」
それを聞いたピィー子は、軽く微笑み光りだす、光が収まるとそこには。
元の姿のピィー子がいた。
「二天龍様、一つお願いを…聞いていただけないでしょうか?」
「お、おう?」
「…」
二人して、変身を解いた事に疑問を覚えながらも話を聞く。
イクス達への警戒は怠らない
「お二人の持ってる怨念を…少々分けて頂けますか?」
そう言って、ピィー子は微笑んだ。
「はっ…、何を言うかと思えば、たかがドラゴンの怨念など、少ないことこの上ないだろ」
そう言いながらイクスはあざ笑う、それを見てピーシェは勝ち誇ったような顔をした。
「ただのドラゴンなら…ね?」
「どういう意味…?」
「それで?くださいますか?」
「怨念って…!耐えられるかわかんねぇけど…それでもいいってんなら…」
『待て、相棒。』
ドライグが一誠の言葉を遮る。
「何だよ?」
『…かつて人であった女神。聞こえるだろう。
我らはドラゴンである。我等二天龍の持つ数百年の怨念…その身に受けると?』
『然り。我等の怨念は我等の物にあらず、我等を使った人間の果てである。』
アルビオンまでピィー子に話し掛ける。
…そっか、試してるんだね。
『女神よ、我等ドラゴンは誇り高き生物である。
故に問う、我等の怨念をも手にいれ、その力で何とするか。』
『『答えろ、女神。』』
「アルビオン…」
「肯定、その通りです。貴方達は誇り高きドラゴン。そしてその所有者の憎悪を、私如きがそんな
ピィー子はにっこりと、子供のように笑った。
「でも。私人間です。神様じゃない…信頼では動かないのです。人間が簡単に動くことができるのは…心が闇に染まったときだけなのです」
そういうと、ピィー子は跪く。
「私は、何かを守るためには《慈悲》すら殺さなければならない…、慈悲を殺すのに、その力が必要なんです。どうか──」
祈るように、懇願するようにピィー子は2体の龍に怨念を渡してくれと言う。
沈黙が少し。
『『…』』
『此方寄りの意見だ。』
『その意見に相違はないと判断しよう。』
『一度限りの力として貴様に譲渡しよう、人間。』
『貴様が今よりも深い闇に囚われるか否か、見せて貰おう。』
『『受けとれ、愚かな人間。』』
二人の鎧を通してピィー子に流れ込んでくる怨念。
悲しみ、怒り、苦しみ、憎悪。
多くの負の感情が流れ込む。
「っ、く…!!」
「ピィー子!…頑張りなさい!」
苦しむピィー子に言いそうになった言葉を噛み殺し、激励の言葉を送る。
大丈夫、ピィー子なら、勝てる。
「タリの女神と黒歴史女神の憎悪に勝てる訳ないだろうがあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ──────!!!」
しばらくして、ピィー子は叫ぶ。
体は真っ黒に染まり服もボロボロ、元のピィー子の原型を留めていなかった。
イメチェンした!?
カオス化…じゃないね。
怨念を身に纏った…が正しいのかな。
「よし…耐えた」
「ピィー子…大丈夫?」
「俺達が言うのもなんだけど…平気そうだな。」
「でなくては困る。」
「憎悪なら……いやってほど経験したからね」
「そう…なら、よかったわ。」
「律儀に待ってくれたじゃないか。仕掛けたらそれ相応の対応だったが…」
「これからやることも変わんねぇよ。」
「そりゃあ黙ってみてるさ、そっちのほうが面白いから」
そう言いながら、イクスはけたけたと笑い声をあげる。
「それで…?ピーシェ。アレは使わないの…?」
「…あいにく、思ったより憎悪がひどくてね…。制御できそうにないから使えそうにない」
そう言いながら、ピィー子は苦しそうに苦笑いをした。
「快楽主義者か。壊れた機械らしい性格だ。」
「姉ちゃん、カオス化なんて使うんじゃねぇぞ。」
「一誠…」
「その為に俺が、俺達がいるんだ。もうあんな姉ちゃんを見るのはごめんだ。守らせてくれよ、こういう時くらい。」
「…いい弟を持ったわ。」
一誠、頼もしくなっちゃって。
…うん、守ってね。
「無理はするなとは俺は言わん。ピーシェ、お前の穴埋めは俺がやろう。」
「ふふ…、ネプテューヌさん…奥さんに嫉妬されない程度にお願いします」
「ピィー子!違うって言ってるでしょ!」
「デートどころか夜の語らいまでしたのにな。」
「あれは病院で話しただけでしょ!」
全く失礼しちゃうよ!
…でも、ちょっと嫉妬しちゃうからね!
「そろそろ俺の殺気が有頂天だからやめてくれますか?」
「怖い怖い。待たせ過ぎもよろしくないな。」
「そうだね」
そう言って、ピィー子は笑顔を振りまいた。
「さて、ご唱和願います」
「……まあ、いいわ」
そう言って、ピーシェは自分の手を自分の胸に優しく置いた。
「さぁ、私達の──」
「…ええ、私達の──」
「「戦争(デート)を始めましょう。」」
「習わしか何かか?」
「ならばこちらも抜かねば…無作法というもの…」
「一誠、ふざけない。」
「はい」
生き恥晒すからその台詞禁止ね、一誠。
「相手がどんな輩であれ─」
「─"勝つ"のは私達よ。」
"勝利"を手にするために。
刀に光を纏わせる。
「いくよ!!!」
ピィー子は憎悪によって生成された禍々しいクローで容赦なくDCDを仕留めにかかる。
「っ!」
その攻撃は避けられはしたが。
窓へと攻撃の振動が飛び出し────。
目の前の山を切り裂いた。
「うっへぇぇ…」
ピィー子はドン引きしている。
うん、こっちも、ドン引きだよ!嘘でしょ!?
「…流石に、始末書まで責任は持たないぞ。」
「姉ちゃん、新技か?」
「そうね。思ってたことが1つあるのよ。」
「─この光が、放射線とかだったらって。」
「えっマジ俺死ぬやん。」
「流石に50%は嘘よ。でも…こういう手もあるわ。」
刀を突き出すと、刀から一筋の光…ビームがDCDへと放たれる。
「名付けて、ガンマレイ・ケラウノ─」
「それ以上いけない。閣下ファンに殺される。」
駄目だった。
これ以上いうと光の奴隷になるから言わないでおこうね。
「…!あっぶない…」
間一髪でDCDは避けたが…。
「遅い!!」
そこにピーシェが待ち構えていた。
「食らえ!師匠から受け継いだ最強必殺技!!」
「《瞬・閃・轟・爆・破》あああああああぁ────!!!」
まるで某ドラクソボールに出てきそうなビームは、あっさりとDCDに避けられた。
「避けて早々悪いが…」
『Half Dimension!』
「これはどうかな!」
空間自体に半減をかけ、ヴァーリとDCDの距離が1mあるかないか程度になり、ヴァーリは構えていた拳を振り抜いた。
「粉微塵にしてやるよぉクソ機械!姉ちゃんに手を出す=死、だ!スクラップにしてやる!」
『ぐわぁぁまた女神が生えてる!!やめろ、妄想するな!』
倍加回数にして6回。
一誠がイクスへと瞬時に迫り、蹴りを放つ。
「ぎゃっ!!!おいおい!普通の悪魔とかドラゴンのパワーじゃねえだろどう考えても!」
納得がいかないように、イクスは怒った。
「わたしと…あの男の人の距離が…何もされてないのにあそこまで接近された?…どうなってるの?」
「所詮お遊びだぜ、武術だの拳法だのよー!
純粋な闘争に必要なのは力だけだ!
それ以外は、不純物だ…よく覚えてからスクラップになれよなぁ!
俺が行き着いた答えはこれだ!」
『Boost!』
容赦なくイクスに連打を仕掛ける。
一誠…怒ってるのか楽しんでるのかどっちかにしようよ!?
「さて、どうなっているのか、当ててみるか?
距離を操られたのか、それとも…俺がワープしたのか…」
『Half Dimension!』
「もう一撃だ。」
もう一度同じ状況を作り、蹴りを放つ。
「まだ二人に任せていいわね。なら…少し位、私も破壊力を出すわよ。」
刀を消し、シェアを自分の内へ高めていく。
「じゃ、じゃあ私も…」
ピィー子も一旦パワーを引っ込めて、こぶしに集中し始めた。
「その様子、気付いたのかしらピィー子。」
二人の相手をしている二天龍を見る。
「二天龍は相反する力を持つドラゴンよ。
半減と倍加。…時間をかければかける程一誠の倍加はされていくし、ヴァーリの半減はより対象を弱体化させる。
…私の世界って、デタラメでしょう?」
「…デメリットは?」
ピィー子は辛そうに答えた。
「1回ならともかく、二人とも何回もやってるように見える…そんなことをしたら、間違いなく体に負荷がかかる…。二人の体は大丈夫なの?」
「一誠の場合は…倍加された力の幾らかを肉体維持に回してる。ヴァーリは分からないわ。ヴァーリはそういうのを語らないから。私には無茶はやめてくれって言う癖にね。」
でも、と微笑む。
「一誠は気合いがあるし根性がある。私がいなかったら、あの子が色々と背負ってたかもって思うわ。
ヴァーリも、強さを求める割には周りに甘いし…
二人とも、強いわ。」
「オラオラァ!まだ壊れねぇか。さては聞いてねぇな?
っかしいな…9回はやってる筈なんだが。」
『白いのは上手く立ち回ってるが相棒は獣だな。俺は好きだぞ?』
「うっさい!」
「体が重いだろう。俺の能力がそろそろ分かってきたんじゃないか?」
『いつもより維持が悪いな。』
「こう見えて、苛立ってるんだ。」
「やるわね…、少年くん…?そういえば名前、きいてなかったわね…、聞いてもいいかしら?空間を支配する奇妙な少年くん?」
「はっはっはっ、ホントにただのドラゴンかよ!アッタマワッルイ脳筋パワーだな!」
二人ともまだまだ動けるっぽいね。
うん、力も溜まってきた!
いーすんがいないから調整が難しいなぁ。
「お前のような輩に名乗る名はない…と言いたいが。
ヴァーリ・ルシファーだ。」
「俺に出来るのはゴリ押しだけなんだよ、悪ぃか。
何にしても、テメェがこの先を要求するなら踏み越えるだけだ。」
戦闘としては圧倒的にヴァ―リと一誠が優勢で、このままいけば押し切れそうなほど優位に事は進んでいた。
「……ネプテューヌさん、そろそろ準備してください。そろそろ向こう本気で来ます」
「そうね…」
体が浮かび、光に包まれる。
人の形から戦闘機へと。
これが自分の今の全力!
「ハード:ネプテューヌ…さあ、一気にいくわよ!」
「ハード化…私の奴とは結構違いますね」
そういいながらピィー子は苦笑いをした。
え、もしかして使えるの!?
じ、自分のオリジナル秘奥義だと思ってたのにぃ!
・
・
・
「さて………と」
「ああ、そうだな、DCD、そろそろ遊びは…」
「「終わりにしよう」」
そういうと二人は漆黒の闇に覆われ、姿を消す。
次見えた時には、DCDという少女は紫だった踊り子のような服が真っ白になり、頭に紅い角のようなものが二本生えて、イクスは丸い姿とは打って変わり、人型になって、後ろにビットのような武装が6つ搭載されている。
「ヴァ―リ君、貴方にカオスの力…ちょっとだけ見せてあげるわ」
「終わりとしよう、愚かな
二人はそれでも余裕を崩さない。
二人とも、修羅場はかなり潜ってるもんね!
「悪いな、もう見たことがあるんだ。」
「一誠!!」
「おう、ねぷ姉ちゃん!ぶちかましてやれ!」
『transfer!』
黒と紫の戦闘機に赤いオーラが宿る。
先程までの倍加全てを自分へと譲渡する。
「どんな相手でも、私は私の誓いを貫き通す!
全てを壊して、全てを繋げるわ!
ピィー子、合わせて!」
「OK、いつでもどうぞ」
ピーシェは不敵な笑みを浮かべた。
「全弾発射、くらいなさい!!」
倍加された戦闘機は音を越え、姿すら視認されない程の速さを発揮しながらミサイル25発を二人へと発射する。
「俺達もやるか?」
「当たり前だろうが。」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
二人はイクスとDCDへと手を向ける。
「「ダブルドラゴンショット!!」ぉぉぉ!!」
二人の強大な魔力が砲弾のように放たれる。
こ、これは流石に自分もくらいたくないなぁ…
「《レミエル様・我祈りを聞き・我願いに耳を傾けよ・願わくば・かの者達を導きたまえ》」
ピィー子はそう詠唱すると、ピィー子から翼が生える。金色に光るその羽は、白くて綺麗で見るものをすべて魅了しそうな美しい羽だ。
そしてピィー子はその羽に、貯めていた憎悪を組み込ませる。
「《白き刃の軌跡》───ッ!!!」
羽を羽ばたいたと同時に混ざり合った二つの光が束になり、2人に襲い掛かった。
・
・
・
すべての攻撃が命中。その反動か、あたりに煙が舞った。
「…やったか」
戦闘機の姿から戻り、着地する。
「ピィー子、それはフラグっていうのよ。」
「一応まだまだやれっけど…どうだ?」
「さあな。」
「…ごめん」
ピィー子はそういうと、目の前を見た。
目の前には呆気なく転がっている二人の体がある、二人ともボロボロだ。
ピィー子は近づき、二人の首元に触る。
「やっぱり…コピー体か」
「倒したってことでいいのね?」
「…の、ようだな。」
「勝ったぞピーシェ…この戦い、我々の勝利だ!
勝った、勝った!今夜はドンかつだ!」
「やった!ドン勝──って100人のバトルロワイヤルやったわけじゃないよっ?!」
「ナイスツッコミだぜ!」
女神化を解除する。
フゥ、疲れた!
「まあ、何にしても勝利!ブイ!レベルアップって感じはしないけど、時間も動いてるっぽいね?」
「さて…イストワールになんて説明すべきか。」
「いーすん様には私から報告しておきます、それよりネプテューヌさん」
ピィー子は死体から離れ、自分の方へ。
「カオスエナジーを持っているなら、今すぐ捨てたほうがいいです。あれは悲劇を呼ぶ力です、使ったことがあるなら……。暴走した経験もあるでしょう」
「…そうかもね。」
でも、と紫色の駒を出す。
『会って間もない私に、あそこまで手を差し伸べてくれた。
それだけで、私には十分だった…』
今はもういない、
「約束したから。私のために最後の力を使ってくれた友達のために…この力は捨てられない。
それにね、ピィー子。もし悪い力っていわれる奴でもさ、きっと扱い次第で希望に変えられると思うんだ。」
「もちろんです」
そういって、ピィー子はふっと微笑んだ。
「悪い物でも、必ず良い物になる可能性があります……そう、改心する敵キャラのように……」
「……あれ、なんで今私、ゲームみたいな例えしたんだろ」
「「「…ぷっ」」」
素で、どこかネプテューヌのような例えをしたピィー子に、なぜか3人とも笑いが込み上げてきた。
「ちょっ!!笑いことないじゃん!!」
「あはは!うん、そういうこと!」
「何か、変なとこで似てんなぁ」
「さて…戻るか。」
一通り笑った後、ピィー子の手を握る。
「ピィー子、戻ろっか!」
「はい、はい」
そういいながら、満更でも無さそうにピィー子は握り返した。
さあさあ、帰ろうね!
危機は去ったし、後はこの日を楽しむだけだよ。
多分、そんなに居られないだろうしね!
だから、思い出作りをしないと!
ここであったことを、忘れないように。