いーすん、何をする気だ!?(警備隊長)
聖書の神を呼び戻す。
いーすんのその言葉に自分を含めた全員がどよめく。
「主を、呼び戻す?」
「死者蘇生って事…じゃねえのかそれは?」
「そうですね…みかたをかえればそうかもしれません。」
「見方も何も、その通りじゃない!?だって、聖書の神様って大戦で…」
「ええ、亡くなられております。それは我々がこの目で見たことです。」
「イストワール、方法は?」
曹操の質問にいーすんは、はいと言ってから答える。
「そうそうさんのトゥルー・ロンギヌス…それにはセイショのカミの
「えっと…それって生き返るのとどう違うの?」
「…なるほどな。神は死んでも信仰ある限り存在はしている。
実体のなくなった信仰を受けるだけの神を時間制限ありで呼び戻す…つまり、あれか?通信みたいな感じか?」
「主が自らのお力で復活なさるというのは…」
「できないでしょう。いくらセイショのカミがバンノウとはいえシをちょうえつはしていません。」
「…イストワール。それは…罪深いことではないのか?」
「…そうですね、そうおもわれてもしかたありません。
ですが…ネプテューヌさんのためにも、ワタシのためにも…どうしてもカミとのセッショクがヒツヨウなのです。
ワタシでは…ネプテューヌさんのチカラのすべてをとりもどすことはできないのです。」
「…ねえねえ!お腹すいた!プリン食べたい!」
「はあ?いや、ネプ子…タイミングをだな。」
「えーやだー!プーリーンー!」
「…ふふ、そうですね。少し甘いものを食べるのも大切でしょう。
頭を動かした後とかは特に。勿論、ネプテューヌさんの為にプリンを用意してますよ。」
「本当!?さっすがミカエルさん!ねぷ子さんポイントを100贈呈しちゃうよ!」
「おや、そのポイントを貯めたら何か貰えるのでしょうか?」
「んー…秘密!」
「それは残念です。」
自分の突然の我儘におっちゃんが呆れたように咎めるもミカエルさんは微笑んでそれに乗ってくれた。
世間一般的に良くないことだとは思うよ。
死んじゃった聖書の神様を呼び戻すなんていうのは。
命に対する冒涜だと思う。
本当の親に会いたいっていうのはある。
勿論あるよ。
でも…いーすんが自分の為にって言ってくれて、苦労して準備をしたのにそれを無下にはできないよ。
それに、いーすん自身の為になるなら自分はそれに乗りたい。
今まで助けられてきてるからさ。
「…まあ、いいけどよ。」
おっちゃんも渋々といった様子で腕を組んで話をやめる。
ありがとう、二人とも。
曹操は特に言うことはないのか、自分の斜め後ろに立っているだけ。
そうして、第六天に着いた。
まず目に入ったのは金色に輝く光輪を背にした神殿のような神々しい建物。
周囲には多種多様彩り鮮やかな草花が咲き誇っている。
正直、現実味に欠ける光景ばかりだよね。
でも、自分が言えることじゃないかな。
「ミカエル殿、あそこが?」
「ええ、私達セラフのいる、現在の天界における中枢機関…その名もゼブルです。」
「スッゴい!RPGとかで良く見る感じの建物だね!わあ、ここって何があるの?巨大ロボ?あ、もしかして実はダンジョンってオチ!?」
「巨大ロボはありませんし、残念ながらダンジョンでもありません。ここで大事な活動をしているのですよ。」
「そっかぁ…セラフも大変なんだね?」
「そうですね…私達の管理がなってない時も多くあるので大変と言うのは違う気がします。申し訳ない、が正しいのでしょうね、この場合は。」
「実際その通りだろうよ。」
おっちゃんがけっ、て感じにそう言うとズケズケとゼブルに向かって歩いていく。
スッゴい我が道を行ってるね、おっちゃん。
「アザゼルの言葉は正しいものです。…さあ、行きましょうか。」
「うん。」
ミカエルさんと一緒におっちゃんに追い付く。
おっちゃん一人だと絶対に怪しまれるからね。
いーすんと自分ならギリギリ何とかなりそう?どうだろ。
ゼブルの中は外で見た見た目とは裏腹に近代的な感じ。
機械とかも人間界じゃ見ないものばっかりで、下手に触ると壊しそう。
「えー、これ本当にゼブルの中!?外と中だとスッゴい違うよ!?」
「ふふ、大はしゃぎですね?」
「そりゃそうだよ!私こんなの見たことないもん!いーすん、凄いよね!?」
「ええ、ワタシもキロクではしっていてもジツブツははじめてなので…さわってみたいです。(ノ≧∇≦)ノ」
「俺も触ってみたいな~」
「アザゼルは駄目です。本来なら天界に立ち入ることも出来ないことをしっかりと理解してくださいね?」
「へーへーありがてぇありがてぇ」
「こういうのはゲオルグが喜ぶんだろうが…ふむ…」
いーすんは興奮した様子で、曹操は機械に詳しくないからジッと見てるだけ。
おっちゃんはもう隙があったらやらかしそうだから見張っとこう。
そのまま、ミカエルさんに案内されて個室に。
座っていてくださいと言われて、大人しく座っておく。
ミカエルさんは色々と取りに行っちゃった。
「ふぅー…んで?第七天で神を呼び戻すのはいいがよ、それで何を聞く気だ?」
「あれ、おっちゃんも会いたいの?」
「説教がうるせぇから嫌に決まってんだろ。」
「えーそんな理由?」
「…ただよ。」
「?」
「俺達が背負う筈の物をお前達に背負わせてるって自覚はある。
それに前に許して貰ったからな…ダチとしてお前に協力するくらいならやってやるよ。」
「素直じゃないなぁ。欲には素直なのに。」
「うっせぇよ。」
「俺は一度会ってみたいな。…この槍に宿っているのが遺志ならば、意志疎通は出来ない。だが…本人ならば。この槍を扱う以上、知っておく必要がある。」
「そっか、曹操の黄昏の聖槍を使うんだもんね。」
「はい、いちじてきなよびもどしですので…ジカンがたてばいつもどおりのセイソウでしょう。」
「なるほど、そういうものか…」
曹操には悪いことをしたと思う。
本人は天界に来て少し眼を輝かせてるけど…それでも、こっちの都合に巻き込んじゃったから。
そうして少し待ってるとミカエルさんが戻ってきた。
プリンと紅茶を人数分出して、ミカエルさんも座る。
「ありがとう、ミカエルさん!」
「いえ、大事な妹ですからね。」
「天使じゃないがな。」
「関係ありませんよ。主が創り出した命…であれば妹でも問題ないでしょう。」
「そう?あ、でも家だと私がお姉ちゃんだから上の人居なかったから新鮮かも?」
「試しに兄と呼んでくれません?」
「お兄さん?」
「んー…少し他人行儀な感じですね…」
「お兄ちゃん?」
「いいですね、ミカ兄さん的にポイント高いですよ。」
(こいつ本当に堕天してないんだよな?)
ミカエルさんってこういう触れ合いをしたいのかな。
意外と積極的っていうか…こういった事を全然してないから自分となら気兼ねなく出来そうって事でしてるとか?
まあ、それぐらいならお安い御用だけど…
紅茶とプリンが美味しい…!
何だか、のほほんと出来ちゃうね~…
「って危ない危ない…目的を忘れるところだったよ!」
「本当に第七天へと行きたいようですね。」
「うん。本当に出来るかどうかはいーすん次第だけど…それでも自分の事をしっかりと知っておかないとこれから向き合う事も出来ないだろうから。このままじゃ胸を張って人の味方って名乗れないと思う。」
「ミカエル、お前としても親にもう一度会いたいんじゃねぇのか?いきなり神の代行をすることになったんだ、それぐらいやっても罰は当たらねぇよ。」
「堕天使らしい誘惑ですね。しかし露骨すぎますよ、アザゼル。」
「親に会う、それがおかしいことかねぇ…?固すぎだぜ、天使長さんよ。そんなんだから人間の欲望を見誤るのさ。」
「勝手な判断で人々を狩っていた貴方に言われるとは思いませんでしたよ?」
「勝手はどっちもだろう?」
「もー!すぐ喧嘩ムードになるのやめようよ!ミカエルさんの天使長としての責務とかあるのは分かってるよ。その上で無理を承知で頼んでる!私は生みの親の聖書の神に一度会って話がしたい。
いーすんも!その為に第七天に行きたい!」
「ゆるされぬおこないかもしれません…ですが、ワタシはそれでもあいたいのです。あわねばならないのです。」
「……」
ミカエルさんは少し目を閉じて考える。
緊張が自分に走る。
駄目だと言われたらそれはもう諦めるしかない。
天使長として安易な判断は出来ないだろうし…
それでも、ミカエルさんからすれば考える余地はあるみたい。
しばらくして、ミカエルさんは目を開ける。
「…分かりました。特別に許可します。」
「本当!?」
「ええ、ただし…イストワールさんとネプテューヌさんだけです。
アザゼルや曹操さんの立ち入りは禁じます。」
「…それもそうだな。ネプテューヌ、ならばこれを。」
曹操は納得した様子で聖槍を自分に渡す。
「いいの?」
「禁じられた以上、納得するしかないさ。それに、ネプテューヌが会ってくれるんだろう?なら、これでいい。」
「…過ごしてそんなに長い間いた訳じゃないけど、成長したね。」
「なら、今度はお前が成長する時だ。」
「うん!」
しっかりと受け取る。
重すぎず、軽すぎない。
そんな感じ。
ミカエルさんも聖槍には思うところがあると思うけど…
聖書関連の物だよね、これ。
教会からしたら…ううん、ミカエルさんを信じよう。
おっちゃんは分かってた様子で紅茶をぐいっと飲んだ。
「縁はその場にいなくてもいいのか?」
「できれば、ちかくにいていただければ。」
「…ま、そういう訳だからちょいと近くまではいさせて貰うぜ。」
「いいでしょう。」
「よーし!そうと決まれば第七天に向けて出発だよ!」
「おいおい、プリン食ったらもう行くのか?」
「ふふん、落ち着きをもてないのがこの私!時はゼニーなりって言うじゃん?」
「金なり、な。ミカエル、阿呆が早く行きたいよお兄ちゃんって言うんで行こうや。」
「ええ。…あの、アザゼル…すみません。ちょっと今の気持ち悪かったです…」
「二度と言わねぇから安心して案内しろ。」
・
・
・
第七天に向かうべく、第六天…ゼブルの奥まで進む自分達。
ミカエルさんがここからは来ちゃ駄目って言うまでは同行許可を貰って曹操とおっちゃんも来ている。
ちなみに聖槍は自分がしっかりと持ってる。
返したら空気が微妙になるから…ね。
「正直な話。」
ミカエルさんが歩きながら話し出す。
「私も主のお言葉をお聞きしたい。私が天界のトップとして未熟なばかりに他のセラフや信者に苦労を掛けていますから…」
「神が完璧だったわけでもあるめぇよ。」
「そうだとしても…天使は、主が居てこそでした。」
「…ま、堕天使の俺よりも縛られてるのは事実か。」
そっか。
天使は堕天使や悪魔と違って代わりになれる存在がいなかったんだ。
だって、トップが聖書の神だったから。
そんな神様が死んじゃったからこうしてミカエルさんがトップになるしかなかった。
…可哀想だよね、組織のトップであり自分達の親を亡くしちゃったんだもん。
そりゃ、言葉の一つや二つ改めて聞きたいと思っても仕方無い。
自分よりもよっぽど会いたいよね。
それをトップだから下手な真似はしちゃいけないから想いを封じてた。
…改めて、信頼してくれてるって分かる。
言葉じゃなくて、その行動で。
これは主人公として決めないとね。
そうして、奥のエレベーターまで着いた。
「この上が第七天…主のいた場所です。ここからは私とネプテューヌさん、イストワールさんで行きます。お二人はここでお待ちください。」
「あいよ。」
「ネプテューヌ、神に会ったのならどのような人物だったか教えてくれ。」
「うん、任せて!ねぷ子さんの幸運値は天元突破してるから安心しちゃっていいよ!」
「かしていただいたトゥルー・ロンギヌスにちかいます。」
「ああ。」
「おい、ネプ子。神が俺について何か言ってたらうるせぇ馬鹿親父と伝えておけ。」
「あはは…うん、分かったよ。」
罰当たりだけど、堕天使だもんね。
うん、おっちゃんらしい。
ミカエルさんはおっちゃんに咎めるような視線を送るけどおっちゃんはどこ吹く風といった様子。
もう話すことはないっぽいね。
開いたエレベーターの中へと入る。
何だか緊張してきた。
「では、行きますよ。」
「うん!」
「おねがいします。」
エレベーター特有の上昇していく感覚。
外は見えないけど、かなり上っぽい。
縁を利用するのに大丈夫かな?
いーすんをチラリと見るけど、普通な様子。
…平気っぽいかな?
「もし、あの時あの場で貴女が神の後継者として宣言してくださったら…第七天は貴女の場所でした。」
「…そうなんだ。」
「ですが…分かっていたのです。貴女が人に寄り添う事を。
漠然とですが、それでも貴女はこちらのトップに立つことはない。そんな納得があったのです。」
「…私、薄情なのかな。」
「いいえ。主は誰よりも自由であるように願ったと思います。」
「え…なんで?」
「…何ででしょうね。私も、分かりません。
ただ、私が親であるのなら…今度こそ、自由な選択が出来るように願います。」
親として。
自分はそんなに想われていたのかな、聖書の神様に。
分からない…けど、それももうすぐ分かるかもしれない。
・
・
・
神のいた場所、天界の最上部。
第七天。
そこへ足を踏み入れる自分達。
何だろう。
何もない…そんな場所。
広々とした空間の真ん中に、大きな球状の光のようなものが浮いている。
あれがシステム?
想像していたのと大分違うけど…機械じゃないんだ。
「やはり、立ち入ることが出来るようですね。」
「キョウセイソウカンされることもハアクずみです。きょかをもらったのにソウカンされてはたまりませんから。」
「ええ!?知らなかったよ!?」
「ネプテューヌさん。イストワールさんの力は絶対に誰かの手に渡らせてはなりませんよ?」
「う、うん…それは分かってるよ。」
いーすんの凄さは自分が一番知ってるもん。
戦いの時もシェアの管理とかのサポートをしてくれなかったら負けてる場面が多いし。
「これがシステム、主の遺した物です。」
「これが…」
「…イストワールさん。やるのですね?」
「はい。」
いーすんがシステムに近づいて、その光に手を伸ばす。
自分とミカエルさんもシステムに近づく。
いーすん、何してるんだろう?解析かな?
「…ええ、ダイジョウブ。まちがいなくせいこうします。」
「おお…緊張してきた!深呼吸するよ!すー…はー…」
「おちつきましたか?(;´∀`)」
「う、うん!ちょっとはね。じゃあ…聖槍とここの私達と下のおっちゃんのえにしを使って…」
「主を今一度、ここに。」
「はい。…システム、キドウします。」
いーすんの声が機械的に変わる。
多分、システムに介入しているからだね。
難しい単語がいくつもいーすんから出てくる。
少しして、持っていた聖槍が独りでに浮き上がり、光り出す。
何の光!?
「この光は…!」
「わわ!?光が強すぎて画面、もとい視界が!?」
光がより強くなる。
何か心なしか自分のシェアが消費されてない!?
いーすんがやってるの?
「セイショのカミ…ネプテューヌさんにおことばを…!」
いーすんの懇願するような言葉の後、光が第七天を埋め尽くす。
暖かい光。
日だまりのような光。
ああ、これはシェアだ。
何となく、理解した。
そうして、視界が光に埋め尽くされた。
それと同時に、体が倒れていくような感覚。
あれ、動けない…?
しかも、意識が遠退いて…
もしかして、ミカエルさんも…?
・
・
・
微睡むような感覚。
実際に眠っているような…そんな感じ。
でも、倒れて…倒れて?
少しずつ頭が覚醒していく。
頭といえば、固い地面じゃなくて柔らかい感じ?
目をうっすらと開ける。
そこにあったのは…
自分の頭を優しく撫でる人。
何だろう、美しいとかそういうのじゃなくて…懐かしい感じ。
男の人のよう、で…
何て言うのかな…酷く曖昧な表現だけど、蒼い瞳を除いて殆どが白いんだ。
髪も、肌も。
歌舞伎とかの白い化粧じゃない…ただ、白い。
ボーッと撫でられたままでいると…
「めがさめましたか?」
いーすんが微笑んでこちらの顔を覗き込んでくる。
「ねぷっ!?」
ハッとして目を覚ます。
ヤバイ、絶対的安心感に身を委ねていた!
ねぷ子さんともあろうものが…不覚!
起き上がって、撫でていた人をしっかりと見る。
「…」
見間違いじゃなかった。
さっきの、表現と同じ感じ。
蒼い瞳が静かにこっちに向けられている。
微笑みを浮かべた顔は…お母さんに似ている。
「…えっ、と。」
「─ネプテューヌ。」
「─!」
優しく名前を呼ばれた。
名乗ってないのに…
いーすんは目の前の人に無警戒。
つまり…そういうことなんだよね?
「初めまして、ネプテューヌ。」
「その…神様?」
「はい。」
聖書の神様。
自分といーすんの生みの親。
その人に、ようやく会えた!
モンスター三体を生け贄に聖書の神を召喚!
詳しくは次回を待て!