─目を開けると、そこは自室の天井だった。
…あ、そっか、ゲイムギョウ界から帰ってきたんだった。
ポケットを探り、缶を取り出す。
プリンジュース。
「…ありがとう、ピィー子。頑張る理由が、また一つ増えたよ。」
缶を額に当てて、目を閉じて感謝する。
バン、と音を立てて扉が開く。
そこには、いーすんが涙目になりながら浮いていた。
「ね、ネプテューヌさぁぁぁぁぁぁん!!(´;д;`)」
「わー!?いーすん、泣いてどうしたの!?」
取り合えず駆け寄って、いーすんを部屋に入れて扉を閉める。
お、お母さんにはバレてないね…いや、もしかして既に…
いーすんは泣きながら説明してくれた。
どうやら、世界中から自分と一誠の反応がなくなってあーちゃん達を巻き込んだ捜査劇が繰り広げられていたようだ。
それで、自分達の反応が家に出て、慌てて帰ってきたらしい。
あーちゃんは一誠の方。
そして、リアスちゃん達もドタバタしながら入ってきた。
「「「「「「ネプテューヌ!」」ちゃん!」さん!」先輩!」」
「ねぷっ!!?
み、皆…た、ただいま?」
それから何があったか鬼気迫る表情で説明を要求された。
流石に異世界の事を話すべきか迷ったけど、この場の全員だけでの秘密でって事で話した。
にわかにも信じがたいって様子だったけど世界中に反応がないっていういーすんの事前の報告で、信憑性が増した。
「ネプテューヌ…そのゲイムギョウ界はどんな場所だったの?」
「えっと…女神が私以外にもいて、それぞれ国を持ってる世界だったよ。」
「先輩みたいな女神が他にも…世紀末ですか。」
「小猫ちゃん、それはちょっとどうかと思うよ…」
「なるほどね…何にしても、ヴァーリ含めて貴方達が無事でよかったわ。それに、楽しかったようね?」
「さっすがリアスちゃん!その通りだよ!」
「本当に心配しましたわ。イッセー君の様子も見ないといけませんわね。」
「そ、そうですぅ!先輩に何か無かったとは決まってないですよぉぉ!」
ドタバタしながら皆一誠の方へ行っちゃった。
リアスちゃんだけは止まって、振り向く。
「ネプテューヌ。」
「うん?」
「…この世界にいて、楽しい?」
不安そうな顔。
聞く限りとても楽しそうに話してたから、この世界が嫌になっちゃったのかと不安なんだろうね。
…ここは、しっかりと本心で。
「─うん!私の居場所は、やっぱりここだよ!」
「…そう、よかったわ。何かあったら、微力ながら力になるからね?」
「うん、ありがとね!」
リアスちゃんは頷いてから自分の部屋を出る。
あはは、リアスちゃん達の不安も凄かったんだね…
あんまり言わないリアスちゃんがああなんだから他もかも。
「ネプテューヌさん、それは?」
「うん?このジュース?」
「プリン…ジュースとありますが…あのセカイのですか?(・_・?)」
「うん、ピィー子…私の大事な友達からの贈り物だよ。
いーすん、これはね──」
「──
缶を開けて、ジュースを飲む。
プリンの味。
友達から貰った、一番美味しい飲み物の味。
…この缶、洗って残しておこうかな?思い出だもんね。
「うん、最高に美味しいね!美味すぎる!!」
「そうですか(*´∀`*)」
いーすんは何だか嬉しそうに自分を見つめている。
…うん。
今日も一日、頑張っていこう!
いつか会える!
なら、次会うときはもっと自然体で。
「じゃあ、そういうことで──」
・
・
・
帰ってきた。
漠然とした感想が浮かんだ。
帰ってきちゃったんだなぁ…
頬への感触がまだ残ってる。
「…っし、起きますか。」
『いい体験だったな?』
「…そうだな、最高にいい体験だったよ。」
あっちで誓ったんだから、みっともない事は出来ねぇな。
よし、そうと決まれば特訓を──
「─イッセーさん!!」
バン、と勢いよく扉が開く。
な、なんだ!?
アーシアがとても疲れた様子で入ってきて、俺を視認すると涙を流しながら抱き着いてくる。
なんか最近抱き着かれるな…
「イッセーさん…ああ、よかったです…!」
「…ただいま、アーシア。」
「はい…おかえりなさい!」
泣きながらも笑顔を見せるアーシアに帰ってきたんだという意識が強くなった。
「ネプテューヌさんも消えて…イッセーさんもいなくて…!」
「悪い。何て言うか…世界越えてた。」
「…もう、何ですかそれ。」
「いや、ホントなんだって!」
頬を膨らませるアーシアに弁明する。
信じてくれよぉ…俺だって説明できねぇよ~!
「「「「「「イッセー!」君!」」先輩!」」」
「どわぁぁ!?」
「きゃっ!?」
ドタバタしながらオカ研の皆が入ってきた。
な、何だってばよ!?
皆に落ち着くように言ってから部長に聞くと、いーすんがアーシアに協力を持ちかけて、ほぼ一日オカ研の皆で探してたみたいだ。
ゲイムギョウ界については姉ちゃんが話したみたいだ。
…めっちゃ迷惑かけてんじゃん!!?
「イッセー…大丈夫なのね?」
「あ、はい、何とか?」
「あら、煮え切らないわね。」
「あー…何つーか、大変でした。」
「そう…おかえりなさい。」
「はい、ただいまです。」
部長は信じてるみたいだ。
他の皆はどうだろう。
分からないのは俺も一緒だけどさ。
…でも、あの場所での出来事は全て実際にあったことだ。
ゲイムギョウ界に来たこと、あの次元の皆と楽しんだこと、黒幕と戦ったこと。
…そして、告白をしたこと。
全部、俺の心に刻まれてる。
皆と再会を誓った。
…ああ、頑張るさ。
「…だから──」
・
・
・
…異世界。
それは何処までを異世界と見るのか。
何か一つが自分の知る世界と比べて明らかに異質だとすれば異世界なのか。
自分の知る誰かがおかしければ異世界なのか。
時間、人物、建物、国、情勢、力。
何もかもが違えば異世界なのか。
或いは…そう定めればそれは異世界なのか。
それは分からない。
分からないが…俺がいたのは間違いなく異世界だった。
あそこまで自然の多い場所、人の手が入っていない場所は俺の記憶に無かった。
女神という存在が守護する国など知らなかった。
ヴァーリ・ルシファーは貴重な体験をした。
そう言えるだろう。
別次元の想い人に似た女を見て、はっきりと理解した。
それだけでも俺には十分ではあったが…他にも面白い体験をした。
レシピを取り出して、それを読む。
「…ふっ、愛情というスパイスか…キザな事を言うじゃないか。」
「よう、ヴァーリ。おはようさん。」
「美猴か、おはよう。」
「昨日はいなかったみたいだが、何処にいたんだぜぃ?」
「…」
少し考える。
あの二人はどうか知らないが…俺の周りに言うべきではない内容だ。
特に、あの男に知られれば何をやらかすか。
…こういう気疲れは俺に回ってくる、か。
「少し一人旅をしてきた。面白い相手だったとだけ言っておこう。」
他の次元に呼ばれ、そこで戦う。
中々ない機会といえる。
これからあるかないかといった確率だろう。
美猴は興味深そうに笑う。
「へぇ、どんな相手だったんだ?」
「それはまた次の機会にしよう。
やることが出来た。アーサーとルフェイ、黒歌は任せる。」
「ちょ!?最近俺に投げること多くねぇか!?
暇なんじゃないんか?」
「これから忙しいんだ。何せ、これを覚えなければならないからな。」
立ち上がり、レシピをひらひらと見せながらキッチンへ向かう。
このプリン、かなりの味だったな…物にすれば更なる前進となるだろう。
この点に関して言えば感謝しかないだろう。
仲間といえど血の気の多いうちの連中だ、行けたとしたら喧嘩を吹っ掛けに行くに違いない。
故に俺は多くを語るつもりはない。
だが、そうだな。
「もし機会があれば──」
・
・
・
『─また、いつか。』
あの超次元へ。
仲間と一緒にまた夢のような日々を。
ドタバタだって、絆はここにあるんだから。