冥次元ゲイムネプテューヌ   作:ロザミア

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ぬらー(挨拶)

少しだけ過去編をば。


憧れはこの胸に
過去、振り返らずにはいられない!


子供の頃、幼馴染みのイリナとはよく遊んだ。

プロテスタントだとか、教会だとか…そういうのが関係ない子供の日々。

夕方くらいまで一緒に遊んで、二人で遊んでいると決まって来てくれる人がいる。

 

「一誠、イリナちゃん。」

 

「あ、姉ちゃんだ!」

 

「ネプテューヌ!」

 

何処で遊んでいても、迎えに来てくれる。

多分、イリナの父さんもいると思うけど、来るのは姉ちゃん一人だ。

優しく微笑んで、俺達を迎えに来てくれて

 

「帰ろっか!」

 

「「うん!」」

 

二人して姉ちゃんの方まで行って手を繋ぐ。

本当に嬉しそうな笑顔で受け入れてくれるから俺もイリナもそんな姉ちゃんが好きだった。

遊んでくれる時はゲームする時も外で遊ぶ時も楽しくて時間なんてあっという間に過ぎて。

 

姉ちゃんは人気者だ。

俺達だけじゃなくて他の子供とも遊ぶ時があって、子供達の親にも受け入れられて。

商店街でもたまに野菜とか魚とか貰ったりするくらいには気に入られてる。

 

記憶喪失ってことを気にしないで、明るく皆を繋いでくれる。

 

明るくて、優しくて、強いんだ。

普段はぐーたらで、母さんに叱られないとテスト勉強もそんなにしないけど…やるって決めたら普段から想像もつかない程真剣な様子でやり遂げる。

 

そんな姉ちゃんと遊びに出掛けた、当然イリナもついてきた。

 

山に行くってなった時は驚いたけどついたらついたで楽しかった。

風は気持ちがいいし、ねぷ姉ちゃんが疲れたって言いながら座り込むのが可笑しくて。

 

で、中腹位で休憩用の広場があったからそこでかくれんぼをしようってイリナと二人で言い出したんだ。

姉ちゃんは快く承諾してくれた。

 

「じゃあ、私が鬼だね?」

 

そうして始まったかくれんぼ。

かくれんぼには自信があったから隠れられそうな良い穴があってそこで丸まってた。

 

…後で叱られて気付いたけど、その場所は指定された場所より少し奥だった。

 

そうやって静かに隠れていたら、何かが聞こえた。

草を踏みしめる音、枝を踏み折る音。

ゆっくりとその音が近づいてくる。

姉ちゃんにしてはやけに慎重だなと子供ながら思った。

 

…そしたら、それは間違いだと気付かされた。

 

俺は姉ちゃんかどうかを確認しようとして、穴から顔を出した。

山には他の動物がいる可能性もあったから…

そうして、それと目が合った。

 

「──」

 

「く、熊…!」

 

野生の熊だった。

 

当然ながら野生の熊なんて初めて見た。

怖くて尻餅をついて体が震えた。

 

そうやって震えている俺に熊はジリジリと寄ってくる。

 

「──!」

 

「う、うわぁぁ!?」

 

怖くて、助けてほしくて叫んだ。

 

戦える力なんて無い。

神器が子供の俺に発現してる訳でもないし、ましてや悪魔でもないただの子供の俺は怖くて叫ぶしかなかった。

 

けど、何となく…姉ちゃんなら。

姉ちゃんなら助けてくれる。

そういう押し付けがましい確信があった。

 

「一誠!」

 

とても焦ったような声で姉ちゃんが俺の前まで来た。

熊なんて怖くないっていうくらいに。

 

「ね、ねぷ姉ちゃん?」

 

姉ちゃんは顔だけこっちに振り向いて笑顔を見せる。

 

「私がいるよ!熊なんか、すぐに撃退しちゃうから!」

 

その言葉は何だか100%信じられるって感じる言葉で。

姉ちゃんならやれるって思えて。

本当なら姉ちゃんも逃げなきゃいけないのに。

 

だって、勝てるわけがないんだ。

子供の俺達に、勝てるわけが。

 

でも俺は咄嗟に…

 

「う、うん!」

 

「よぉし!」

 

俺の言葉を聞いて、嬉しそうにしながら太い木の棒を構える。

 

「このひのきの棒があれば怖いもの無しだよ!」

 

「─!」

 

「主人公タイム!私の活躍のために撃退されちゃってね!」

 

そっからのねぷ姉ちゃんは凄かった。

熊が手を振って爪で裂きに来てもひょいとかわすし、山で転びやすいのに軽快なステップで翻弄するし。

何なら木の棒で頭をぶっ叩いたりしてたし。

 

…今にして思うと、俺の信じる心が姉ちゃんの力になってたんだと思う。

あの頃から姉ちゃんの力は戻りかけてたんだ。

 

そうして、熊は逃げ出した。

あっさりと撃退した姉ちゃんは熊の姿が見えなくなるまでじっと見てから自分の方に振り返った。

 

「いっちょあがり!一誠、大丈夫だった!?」

 

「あ、う…」

 

思わず目を疑った。

まさか、撃退するなんて思わなかったし、無傷だなんて信じられなかった。

 

でも、それよりも安心感が勝って思わず涙が出てきた。

そのまま、大声で泣き出してしまった。

 

「う、うぁぁぁぁん!!」

 

「ありゃりゃ~…」

 

姉ちゃんは俺をもっと安心させるように抱き締めた。

 

「怖かったよね。でも、大丈夫だよ!私が守るからね!」

 

「う、ぁぁぁ!!」

 

「よしよし、いい子いい子だね~…」

 

「っとと…ネプテューヌ、どうしたの!?」

 

「あ、イリナちゃん。あはは…ご覧の有り様?」

 

その後、隠れてたイリナもこっちに来て。

俺が泣き止むまで姉ちゃんは俺を抱き締めて頭を撫でてくれた。

俺は、守って貰ったんだ。

 

イリナも事情を知ってから俺に大丈夫でよかったと抱き付いた。

 

泣き止んだ俺はイリナの方に行かなくてよかったと思った。

姉ちゃんは助けてくれると思うけど、同じ結果だったかは分からない。

 

その後、一緒に手を繋いで皆で帰った。

怖かったし、泣き疲れたから、遊ぶ気力もなかった。

イリナも同じようで、しばらくあの山にはいかないでおこうって話になった。

 

それから家に帰ってから姉ちゃんは母さんに謝った。

イリナも一緒にいて、俺とイリナはどうして姉ちゃんが謝るのか分からなかった。

年長者としての謝罪…今になると分かる。

 

「おばさん、ごめん!私が面倒見きれなかったばっかりに一誠を危険に晒しちゃって…」

 

「…イリナちゃんも、二人も怪我はないのね?」

 

「う、うん。あの、母さん…」

 

「そんなに心配しなくても怒らないわよ。」

 

「ほんと?」

 

「終わりよければ全てよし…って言うじゃない。

でも、運良く撃退できたからといって熊に木の棒で挑むのは良くないわね。」

 

「う、ご、ごめんなさ─「私なら鉄パイプ片手にやるわね。」おばさん!?」

 

「あはは、まあしばらくはあの山はやめなさいね?」

 

そう言ってから俺達をぎゅっと抱き締めてくれた。

母さんからは特にお咎め無しだった。

大人の包容力っていうか…取り敢えずそう言う感じの物を感じた。

無事でよかったって本当に思っててくれた。

 

この時からだったと思う。

 

もうこんなことにならないように、強くなりたいってなった。

姉ちゃんが謝ったり、泣くことが無いように。

俺が強くなって姉ちゃんの前に立てばそんなことは起こらないって思って…努力をした。

 

イリナも同じような心境だったのか、離れるその時まで一緒に頑張った。

といっても小学生が出来ることなんてたかが知れてる。

だから、体を鍛える位しか出来なかったがそのお陰で周りの悪ガキは伸せるようにはなったと思う。

 

それから成長して、イリナがトウジさんと一緒に行っちまった。

 

仕方無いって事もあったけど…でも、イリナのあの時の言葉は今でも鮮明に思い出せる。

 

「私、あっちに行ったらもっと頑張って一誠君とネプテューヌが驚く位凄くなるね!」

 

涙を流しながら姉ちゃんと俺に誓うように言ってきたイリナにしっかりと頷いた。

だから、イリナも頑張ってるから俺も頑張ることを諦めちゃいけないって思って…色々とやった。

 

勉強はしたし、体を鍛えるのは他の事で頻度は下がったけど続けた。

 

全部、姉ちゃんを守りたいっていう俺の努力だった。

…けど、俺はまだ弱かったようで。

 

中学生一年生のある日。

 

姉ちゃんと同じ中学だ、当たり前だが。

 

そんな学校で、俺にとっては後悔する日があった。

 

姉ちゃんは学校だと人気者で、俺は一緒にいる弟って感じだった。

ただ、姉ちゃんは人気だけどその分色々と面倒も付き纏って。

そういうのを見て嫉妬の心か知らないけど、下らないちょっかい…まあ、俗に言うイジメに近い事が起こったことがあった。

 

「いたぁ!?」

 

「どうした姉ちゃん!って、それ…」

 

「画鋲だね~…間違って入れちゃったかな?」

 

「んな訳ねえだろ!くそ、何処の馬鹿だよ…!」

 

姉ちゃんは特に気にしなかった。

多分、色々気付いて、俺を気遣ったりもした上で何もしなかった。

俺は、そうじゃなかった。

 

姉ちゃんを守らなきゃいけない。

守って貰ってばかりの俺じゃなくならないといけない。

姉ちゃんは、俺が守るんだ。

 

…けど、学年が違うからクラスも違う。

そのクラスで起こってることは俺に止めることは出来ない。

正直机を殴りそうになった。

 

古典的なイジメのパターン。

 

俺は放課後に姉ちゃんのところへ行った。

 

「ネプテューヌ、これやっといて。」

 

「え?当番は君だよね?」

 

「っさいなぁ…やれって言ってんのよ!」

 

女の嫉妬だ。

何に嫉妬したか知らないけど、俺が来た時、運がいいのか悪いのか姉ちゃんが黒板消しを投げられてる場面を見た。

 

咄嗟に腕で庇ってたけど…そんなことはどうでもよかった。

 

姉ちゃんに物を投げやがった。

 

こいつか、こいつなのか!

 

そこから、俺は激情に身を任せてその女に詰め寄った。

 

「一誠?」

 

「テメェか、画鋲仕込むだのして姉ちゃんをいじめる奴は。」

 

「腰巾着じゃない。上級生に対してその態度は…」

 

「どうでもいいんだよ…!」

 

「あぐっ…!」

 

胸倉を掴み上げる。

ぶん殴ってやる。

絶対に許すわけにはいかねぇ…こういう奴は言って聞く奴じゃないんだ。どうせ、またやる。

 

そう思って拳を作る。

 

他の生徒は止めようとしたりする人もいたせいで俺は引き剥がされた。

面白がってる奴もいたが…そんなのはどうでもいい。

 

「い、一誠!」

 

「話せテメェ!姉ちゃんは悪いことをして無いんだ…どうしてこんな事しやがった!」

 

「っ、小さくて可愛いからってチヤホヤされてテメェムカつくのよ!他の人に尻尾振っちゃって…!」

 

「私はそんな…」

 

「お前達、何をしてる!」

 

教師が生徒と一緒に戻ってきた。

 

当然、教師との話し合いになった。

あの女は嘘を言いまくったが、他のいい生徒の証言であの女が全面的に悪いって結論に結局なった。

 

「…だが、お姉さんを守りたいからって乱暴をするのは良くないな、一誠君。」

 

「…はい、ごめんなさい。」

 

「だが、その志は立派だと思うよ。今回の事はご両親に連絡するから、しっかりと説明するように。」

 

「はい。」

 

…あの女から謝罪は無かった。

あるにはあったが、形だけの心なんかこもってない謝罪だった。

 

帰り道になって、姉ちゃんと帰る。

 

姉ちゃんを守れたのか…分からなかった。

明るさが無かった、あんなことがあったし当たり前だけど…俺の事を気にしてるのは分かる。

 

「ねぷ姉ちゃん…俺、迷惑だった?」

 

「え?そ、そんなこと無いよ!一誠が守ってくれたのは嬉しかったし…私だったら黙っちゃってたかもだし…」

 

「…ごめん、手ぇ出しそうになった。」

 

「うん…良くないと思うけど、一誠は反省してるよね。

だから、私からは何も言わないよ。」

 

大事になったといえばなったが、暴力的な場面に行く前に止められたからよかった。

…でも、帰ってから母さんにひっぱたかれた。

 

ヒリヒリする頬を抑えず、母さんを見る。

単純に怒ってるわけじゃない。

子供を心配する目でもあった。

 

「どうして叩かれたか、分かるわね?」

 

「…殴ろうとしたから。」

 

「そうよ。それだけはしちゃいけないわ…暴力は何も解決しない。」

 

「はい。」

 

「それをしたら貴方もいじめた子と一緒になっちゃうの。今回はそうならなかったけど、次からは駄目よ。」

 

「…はい。」

 

「でもね、一誠。」

 

次に、頭を撫でられた。

 

「お姉ちゃんを守ろうってしたのよね?偉いわ。

でも、お姉ちゃんは優しいから殴ろうとしたらどういう気持ちになるか分からない一誠じゃないでしょ?」

 

「…うん。」

 

「大丈夫、悪いのはあっちなんだから。それで、今回一誠が反省することが何かしら。」

 

「暴力を振るわない。」

 

「そうよ。」

 

「ごめんなさい…!」

 

「いいのよ…一誠はちゃんと分かってる。

お姉ちゃんの事は、お母さんに任せなさい。」

 

母さんは、いつも優しい。

優しすぎて、涙が出る。

こんな馬鹿な俺にもこうして愛情を注いでくれる母さんに、俺は感謝の念が尽きなかった。

 

姉ちゃんのケアも母さんがしてくれた。

 

俺はというと…

 

「よし、一誠!土曜日は二人で何処か行くか!」

 

「父さん?」

 

「おじさん、私は~?」

 

「ネプテューヌはそうだなぁ…母さんと何処か行きなさい。」

 

「あら、たまにはいいわね。」

 

父さんはこんな感じで、話を聞いても特に何も言わずに気分を切り替える話を振ってくれる。

それで、本当に土曜日に俺と父さんは釣りに出掛けた。

尚、俺は釣りの経験がないから父さんに教えて貰いながら楽しんだ。

 

「一誠、お姉ちゃんを守ってやるんだぞ。お父さんとの約束だ、出来るな?」

 

「おう、俺が姉ちゃんを守る!」

 

「それでこそ俺の息子だ!

いいか?俺がお前と同じ歳の頃はな──」

 

そんな風に、昔の話を交えながら色々と話した。

俺には、もったいない程いい両親だ。

 

だから、母さんと父さんの言葉は守らなきゃいけない。

力に身を任せないで、姉ちゃんを守る。

 

そう決めた…決めたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと昔を思い出して、今を振り返る。

レイナーレっていう危機から守られて、俺はあれから成長したのか。

…してない。

寧ろ、また暴力に走りかけてる。

 

姉ちゃんを守るって決めたのに、守れてねぇ。

 

「…俺は、弱いのかな。」

 

アーシアを助けた時も、姉ちゃんや木場達がいたからだ。

ライザーに勝てたのは未知数な姉ちゃんの力があったからだ。

 

コカビエルの時、姉ちゃんが暴走して…助け出せた。

けど、守れた訳じゃねぇ。

 

三勢力会談の時、ヴァーリに負けた姉ちゃんが浚われた。

俺に、力がなかったせいだ。

 

ディオドラの時、姉ちゃんとアーシアを危うく失うところだった。

 

俺は、強くなれてねぇ。

現状の一歩後ろにいるだけだ。

ねぷ姉ちゃんはヴァーリに気があるのかもしれない。

それとこれとは話は別だ。

 

…俺は、強く、なりたいんだ。

 

全部とは言わない。

姉ちゃんや仲間の前に立って少し位守れたら。

それでいいって思って…でもそれも出来なくて。

 

毎回、姉ちゃんが辛い思いをしてる。

ここ最近は特にそうだ。

俺は知ってるんだよ、姉ちゃん。

ねぷ姉ちゃんが願ってるのは平穏な日々で、そこで皆と笑い合えればって。

 

でもさ、そこに姉ちゃんがいねぇと俺は笑えねぇんだよ。

俺に、守らせてくれないのか。

俺が力不足だからなのか。

 

…それを否定したくて、ヴァーリに戦いを挑んだ。

けど、あいつは怪我して今は療養中。

 

「イッセーさん。」

 

「あれ、アーシア。どうした?」

 

「思い詰めた顔をしてますよ?」

 

「…ごめん。」

 

「謝ることじゃありませんよ。」

 

アーシアがいつの間にか居て、俺の隣に座る。

…アーシアも、歯痒かったんだろうな。

ロキを助けられなかったし、何より後ろで見てる自分が何よりも悔しいって思ってると思う。

 

「ネプテューヌさんの事ですか?」

 

「ああ。…俺、強くなれてないなって。」

 

「どうしてそう思ったんですか?」

 

「…強くなったって思っても、姉ちゃんはその先を行っててさ。

俺達よりも一歩前に出て戦うんだ。

俺は、それを一歩後ろで見てるしかなくて…守りたいって思ってるのに、守れなくて。」

 

「…私は、守れてると思いますよ。」

 

「どうしてそう思うんだ?」

 

「ネプテューヌさんとは一緒の部屋で寝ますから、愚痴とか悩みとか色々聞くんです。」

 

アーシアはその時の事を思い出すように話す。

姉ちゃんのその時を。

 

「最初は愚痴なんです。あのゲームはアイテムが~とか、そんなのばかり。でも、途中から悩みを打ち明けてくれるんです。

『私は一誠に迷惑かけてないかな』って言ってました。」

 

「…何て言ったんだ?」

 

「逆に聞いてみたんです。どうしてイッセーさん達よりも前に出るんですか?って。ちょうど、イッセーさんの悩みでしたね。」

 

「アーシア…何か、強かになったな。」

 

「無茶ばっかりする人が二人ほどいますから。」

 

「ごめん。」

 

「いいんですよ、分かってますから、お二人の気持ちは。

それで、ネプテューヌさんは言うんです。」

 

『あーちゃんや、一誠っていう弟と妹がいるからお姉ちゃんは頑張れるんだよ。カッコつけたいとかあるけど…でも、二人がいなかったら、心が折れてたと思うんだ。二人とも、私の支えなんだよ?』

 

「…って言ってました。」

 

「何だよ、それ…ハハハ。」

 

姉ちゃん…俺、守れてたのか?

姉ちゃんの心を、少しだけでも支えられてたのか?

 

「イッセーさんは闇雲に走りすぎです。一人で悩んで…そういう所はそっくりですよね。」

 

「…かもな。」

 

「私でよければ、いつでも相談に乗ります。

だから、抱え込まないでください。イッセーさんは、頑張ってますよ。」

 

笑顔でそう言ってくれるアーシアに少し救われる。

そうか、走りすぎか。

…思えば最近、暴走してたかもしれない。

 

色々とありすぎて、心の余裕が無くなってきてたんだろう。

 

「ありがとな、アーシア。やっぱ、アーシアが居ないと駄目だな。」

 

「え、そ、そうですか?」

 

「ああ。…それはそれとしてヴァーリの野郎は叩きのめす。」

 

「結局ですか?」

 

「馴れ馴れしすぎだろ、アイツ!姉ちゃんも姉ちゃんだけどさ…強いから腹立つんだよ。」

 

「あはは…でも、応援してますね。」

 

「ああ!」

 

少し、スッキリした。

心が軽くなった。

 

色々と、見えなくなってたな。

全部じゃなくていい。

少しでも、支えられれば…

 

でも、いつかは皆を守りきって見せる。

せっかくの力なんだ、これを使いこなさねぇとな。

 

悪かったな、ドライグ。

 

『まったくだ。』

 

これからも、よろしく頼むな。

 

『当たり前だ、相棒。』

 

新しく、決意を胸にこれから頑張ろう。

今度はもうちょっとゆっくりと。

 

目指す場所は遠いけど、いつか絶対に辿り着いてみせる。

 

俺は、ねぷ姉ちゃんの弟だからな。

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