冥次元ゲイムネプテューヌ   作:ロザミア

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カオスパプハ様が来るだと!へっ、当てるしかねぇな…!!

さあ、今回のタイトルを見れば分かるように、あの二人です。






二天龍 1

カオスフォームを手にいれて、また数日が経った。

皆に知らせると、何だか納得したような様子だった。

どうしてかを聞くと…

 

『何だか、呼ばれた気がした。』

 

って皆言うんだよね。

…もしかして、シェアと深く繋がってた精神状態だったから?

うーん、難しいね。

 

でも…皆によかったって言われた。

 

やっと自分の中に区切りがついたお陰で心に余裕が出来た。

あの施設は今後も自分用として残すらしい。

い、いいのかな…?

 

精神的疲労もすっかり治って元気元気!

でも、カオスフォームをしっかり物にしないとね。

 

それと、()とも繋がれた事でいくつかやれることも増えたし…

シャルバや頼光達に備えておかないと…

 

「にしても、平和だね~…」

 

「そうですね、平和が一番です。」

 

「あーちゃんの言う通り!にしても、今度は一誠が居ないっぽいんだよね…」

 

「イッセーさんも色々とありますから。」

 

「アーシアさんはマトモでたすかります…(o^-^o)」

 

「ちょっといーすん、私がマトモじゃないみたいな言い方やめない!?」

 

「マトモなかたはミギメをシツメイさせてツウカクシャダンまでしません!セイシンセカイといえどムチャのしすぎです!( ;゚皿゚)」

 

「でもああしないと勝てなかったもん!」

 

「かてるかてないよりまずジブンをタイセツにしてください!」

 

「また始まってしまいました…」

 

そのままいーすんとの口喧嘩が始まりそうになる。

 

その最中に、携帯が鳴る。

手にとって、誰からかを確認する。

 

…リアスちゃん?

 

「はーいもしもし!ねぷ子さんで──」

 

『ネプテューヌ!!大変よ!』

 

「え?スーパーの特売!?それともプリン食べ放題!?」

 

『特売は昨日の16:25からの奴で終わったでしょ!プリン食べ放題は貴女の願望でしょうがっ!そうじゃなくて…』

 

リアスちゃん特売行くんだ…

正確に時間覚えてるし、絶対行ってるやつだよこれ。

 

『イッセーがヴァーリとこれから決闘をするらしいのよ。』

 

「何ですとー!?」

 

「ど、どうかしたんですか?」

 

「い、一誠がヴァーリと戦うって…」

 

「今日ですか!?」

 

何ぃやってんだ一誠ぃぃ!

ねぷ子さんをもっとゆっくり身も心も休ませておくれよ!

いや、気持ちは分かるけど!

 

「ど、どこでやるの!?」

 

『それが…レーティングゲームのシステムを使って、そこでやるってお兄様が…』

 

「何でサーゼクスさんが出てくるの?」

 

『分からないわ。黒歌にヴァーリに伝えてもらうように頼んでる時に話は聞かせてもらったって言いながら来たから…』

 

「フリーダムなお兄さんを持つと苦労するんだね…」

 

『その言葉、姉ってワードに変換してイッセーに伝えておくわ。』

 

ええい、皆してそう言う。

言いよるわ、リアスちゃん!

このねぷ子さんに精神的ダメージをほんのちょっぴり与えるとは…!

 

…それにしても、どうして今なんだろう。

一誠…あんまり思い詰めてないといいけど。

もし、思い詰めて戦おうとしているなら…絶対によくない結果になっちゃうよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

レーティングゲームのステージは俺が魔王様に頼んで学校にしてもらった。

ヴァーリは必ず来るから先に居させて欲しいと言ったら快く承諾してくれた。

 

『相棒、よかったのか。』

 

「何がだ?」

 

『女神に何を言われるか分からんだろう。』

 

「説教なら後で聞くさ。」

 

ドライグと会話しながら、学園の中を歩く。

誰も居ない学園なんて初めてだから新鮮だった。

 

ヴァーリとの戦い。

アイツからすれば普通に戦うだけなのかもしれないが…俺からすれば大きな意味を持つ。

 

これは俺なりのけじめだ。

 

俺の、一つの決着だ。

 

階段を上りながら、闘志を燃やす。

 

「俺は…はっきり言って弱いよ。」

 

『そうだな。』

 

「ねぷ姉ちゃんに何度助けられたか分からない。

仲間達が居たからここまでやれてるんだって分かってる。」

 

『その通りだ。』

 

「…でもさ。」

 

階段を上る。

 

拳を握り締める。

強く、強く。

 

「だからって俺が置いていかれていい理由にはならないだろ。」

 

『…ああ。』

 

「それだけはしちゃいけない。

俺は強くならなくちゃならねぇんだ。

守ってもらってばかりの兵藤一誠じゃいられない。」

 

『何故お前はそこまで力を求める?』

 

「弱い一誠じゃ誰も守れない。弱い一誠は…いらない。」

 

『故に命を張るか。』

 

「…姉ちゃん、本当は怖がりなんだよ。」

 

『あの女神が?そうは見えんがな。』

 

「バーカ、もっと人を見ろよ。」

 

へっ、と笑いながら階段を上る。

 

もうすぐ屋上だ。

屋上、か。

 

姉ちゃんと来たことはあんまり無いな。

というか…学園じゃあんまり一緒にいない。

姉ちゃんとずっと居ると姉ちゃんに悪いからな。

 

「人との繋がりが大事な女神だから、それを守るように見えるか?」

 

『実際、シェアは女神の力の源だろう。繋がりあってこその女神だ。』

 

「なら、その為だけにあそこまで命張るのか?」

 

『やりかねないだろう?』

 

「やらないよ、姉ちゃんは。」

 

『何故言い切れる?』

 

「姉ちゃんは、人との繋がりが大事だ。

それは女神としてじゃない。あの人だからだ。

見ず知らずの人にあそこまで手を伸ばせるのは…誰にでも出来ることじゃない。」

 

『ならば、奴はイカれているな。』

 

「イカれてるよ、最高に。

だって、そのとき行動する時は俺達の心配を視野から外すんだぜ?俺達がどんな顔するのか分かってる筈なのに分かった上で突っ込むんだよ。」

 

『狂っている。』

 

「狂ってるよ。」

 

心の底から同意する。

あの人は狂ってる。

否定されても、拒絶されても、血を流しても、動けなくても手を伸ばす。

 

異常と言わずに何て言うのか。

 

ゾッとする程強靭なメンタル。

戦闘センスも凄まじいが、あの人の強い理由はそれだ。

 

()()()()

行動の理由はそれに尽きる。

今そこで動かなければ自分が後悔する。

 

結果として奇跡的な大団円。

 

けど…もし、一歩ずれていれば。

少しでも間に合わなければ。

この光景はあり得ない。

自分への納得。

究極的なまでの自分本意。

それがあの人だ。

 

「でも、俺は姉ちゃんが大好きだ。」

 

『異常性を知って尚か。』

 

「そんなもの、関係無い。

俺の誇れる部分は二つだけ。

あの人達の息子であることと姉ちゃんの弟であること。

…それだけしか、俺に誇れることはない。」

 

異常性を知って尚、俺はあの背中に憧れた。

誰かを導き、繋ぐことを恐れないその姿を目指した。

 

俺は、それでも知っている。

()()()が望んでいることはただ一つだけ。

それだけは今も昔も変わらない。

 

平和な日常。

 

それだけが欲しくて、あの人は無茶をする。

…憧れが傷付くのを指咥えて見てるだけなのは、もう嫌だ。

 

俺は、俺の憧れを、姉を、仲間を、家族を守る。

 

この力はその為に。

強さを求めるのはそれ故に。

 

「俺は、今の俺を捨てたい。

姉の背中を見るだけの兵藤一誠から、姉の前に立つ兵藤一誠に変わりたい。」

 

『故に白いのとの戦いを望むか。』

 

ドライグの言葉に無言の肯定を示す。

 

ヴァーリ・ルシファー。

歴代最高の白龍皇。

姉ちゃんに惚れて、守ると宣言した男。

 

…ずっと勘違いをしていた。

周りが見れていなかった証拠だった。

 

「俺は、アイツが憎いんじゃなかったんだ。」

 

『ならばなんだ。』

 

「俺は…」

 

 

 

「俺は、アイツを認めるのが怖かったんだ。」

 

 

 

『怖い、か?』

 

「アイツの強さを、想いを認めたら俺の今までが馬鹿馬鹿しくなりそうで、怖かった。」

 

『今は違うんだろう?少なくとも、今の相棒に憎しみは感じない。』

 

「アーシアのお陰だ。」

 

あの時、アーシアが教えてくれなかったら。

俺は今も俺のままだった。

 

守れなかったんじゃない。

支えることが出来ていた。

 

…けどな、俺はやっぱり前に立ちたいよ。

だってその方がかっこいいだろう?

 

「俺は俺だ。アイツが居たからって、俺の過去は無くならない。

そんなこと分かってた事なのに…馬鹿だよな。」

 

それを、俺は見失っていたんだ。

まるで、機械みたいに俺は守るって事だけを考えて。

何時からか、何かがすり替わってたんだ。

 

屋上に着いて、空を見上げる。

 

…仲間は、ここにいない。

 

当然だ、俺が望むのはアイツとの一騎討ち。

俺は、レーティングゲームなんていう遊びをしに来たんじゃない。

 

「…ほう、広い場所だ。」

 

屋上に一人立っていると、また扉が開く。

 

最初に開いたのは俺。

なら、次に開くのは…

 

「ここでいいのか?」

 

「…ああ、いいぜヴァーリ。」

 

視線をそちらに向けると、そこにはヴァーリが立っていた。

 

ふっ、と楽しげな笑み。

それを見ても、俺の心はもう動かない。

 

「ほう、いい面構えだ。これから戦う者の顔をしている。

以前のお前ならそうはなってなかっただろう。」

 

「俺の何を知ってるんだよお前はっ。

ったく…まあ、その通りだ。以前の俺なら怒りのままに殴りかかってた。悪かったな…色々と。」

 

キョトン、というワードがぴったりな位ヴァーリは固まった。

 

この野郎…俺の謝罪がそんなにおかしいか。

籠手を出して、今にも殴りそうになる衝動を抑える。

どのみち戦うので籠手は出すが…。

 

「驚いたな。まさか、謝罪をされるとは…どんな心境の変化だ?」

 

「変化っていうより…戻った、だな。」

 

「…」

 

()は譲る。

横に並ぶのは、俺には無理だ。」

 

「何…?」

 

「…だけど─」

 

 

 

 

 

 

「─前は譲れ。」

 

拳を構える。

準備は出来ていると、姿勢で示す。

ヴァーリはそれを聞いて理解したのかニィッと笑う。

 

「そうか、ならば後は言うことはないか。」

 

「後は互いの全力が物を言う…だろ?」

 

「ああ、そうだ。ハハッ、楽しい闘争になりそうだ…!」

 

「戦いを楽しんでんのはお前だけだよ。

俺は俺を超えるためにお前を倒す!」

 

ヴァーリもまた白龍皇の光翼を展開して構える。

倍加と半減。

…決着が着かない筈だ。

どう見たって延々と続くに決まってる。

所有者の限界まで続いて、死んでいったんだろう。

 

…何にしても、気にしても仕方ない。

俺の出せる全力を出すだけだ。

 

ドライグ曰く、俺は異質だそうだ。

シスコン部分か、それとも単に成長部分か。

どちらでも構わないが…

 

「じゃあ、始め──」

 

 

 

 

 

『─ちょぉぉぉっと待ったぁぁぁぁぁ!!』

 

 

 

 

 

「む…この声は。」

 

レーティングゲームのナレーション。

この快活な声は…間違いない。

 

姉ちゃん、もう来たのか、早いな。

でも、魔王様達に頼んであるから皆は入れない。

正真正銘二人だけだ。

 

「姉ちゃん、どうした?」

 

『どうしたもこうしたもないよ!

急に今日決闘だって言われた私とあーちゃんといーすんの気持ち考えてよね!』

 

「なら姉ちゃんも普段の行いを考えてくれよな。」

 

『痛いところ突かれた!で、でもヴァーリもまだ傷が痛むかもじゃん!』

 

「いいや、もう治ったが。」

 

『な、なら…』

 

「姉ちゃん。」

 

『?』

 

俺はすうっと息を吸う。

あんまり言いたくないけど…この時ばかりは、言わなきゃならない。

 

 

 

邪魔しないでくれ。

 

『…!』

 

少しドスを効かせる。

姉ちゃんが息を飲むのが分かった。

ああ、それでいい。

この時ばかりは邪魔をしないで欲しい。

 

俺のためであり、こいつのためなんだよ。

 

「俺達がやるのは…文字通りの一騎討ちだ。

これはもう決めたことなんだよ。」

 

『どうしても戦わなきゃいけないの?』

 

「ああ。」

 

『…ヴァーリも?』

 

「そうだな。」

 

『…分かった。』

 

不承不承といったようだった。

本当は争って欲しくないんだろうけど、そうもいかない。

ドライグのご機嫌取りってのもあるけど。

 

改めて、向かい合う。

 

待ちに待ったこの瞬間。

俺の全てをぶつけるべきこの時を、俺は待っていた。

 

そうだ、俺は今日で俺を超えるんだ。

今までの守られてばかりだった俺を…

誰かを守れる俺になるために。

 

アイツにも、強くなる理由があるように俺にだってある。

気持ちだって負けてない。

 

「ヴァーリ。姉ちゃんの事好きか?」

 

「無論、俺はアイツの全てを受け止める男になる。」

 

「……姉ちゃんもさっさとうんって言やぁいいのに。」

 

「ん?」

 

「ああ、こっちの話。」

 

…ああ、悔しいけどこいつになら俺は姉ちゃんを任せられる。

ここまで真っ直ぐな想いを口に出来る奴だ。

こいつしか、いない。

 

けど…まだ認めるわけにはいかない。

 

「俺くらい倒してくんねぇと両手を振って任せられねぇな。」

 

「お前の許可は要るのか?」

 

「要るさ。」

 

「そうか、ならばお前を倒すだけだ」

 

「そう簡単にいくと思うなよ。」

 

皆が認めても、俺は俺を倒した奴以外を認めるつもりはない。

俺は、面倒な弟だな。

でも…これくらいはさせてほしい。

振り回されてばっかりだ。

 

だから、これくらいは。

 

風が吹く。

この場限りの一騎討ち。

全力の全力を出させてもらうぜ。

 

二天龍なんて関係無い。

俺は…姉ちゃんの弟だ!

お前が俺を倒せないようなら、姉ちゃんを任せることなんざ出来ねぇな!

 

 

 

「勝つのは、俺だ。兵藤一誠!!」

 

「全力でいくぜ、ヴァーリ!!」




憎しみも、怒りも、劣等感も。
そんなものは幻だった。
今あるのは超えるという意思。

力を求め、高め続けてきた。
守るものを見つけた。
今あるのはただ一人を守る意思。

二人の意思は今、ようやくぶつかり合う。
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