冥次元ゲイムネプテューヌ   作:ロザミア

59 / 108
真面目な回が続くな~

よし、頑張ろう。


二天龍 3

 

ドウシテ ドウシテ

 

「い、一誠…?なんで…──」

 

 

 

 

 

「─あのさ、演技上手いけど役者向いてないよ、お前。」

 

「え…」

 

姉ちゃん()()()()()()()を殴り飛ばす。

 

ああ、実体あるのか。

冷静になって気付いた。

こいつは俺の姉ちゃんじゃない。

 

だって、強引さが無さすぎる。

いつもなら俺を引っ張って行く筈だ。

 

…俺の記憶を読みきれなかったか?

 

殴り飛ばされた姉ちゃん…いや、化物か。

化物は立ち上がる。

顔が分からない。

黒に塗り潰されている。

 

ああ、やっぱり違かった。

…よかったぁぁぁ!!これで本物だったら土下座もんだったぁあ!!

 

「どうして拒んだの?」

 

「お前が姉ちゃんじゃないから。」

 

「ならお姉ちゃんならいいの?」

 

「その時次第だ。姉ちゃんが決めたから正しいとは思わねぇよ。」

 

カワイソウな一誠

 

「それは俺が決める。お前じゃない。」

 

弱い一誠、何も超えられない

 

「これから超えるんだよ。」

 

アハハハハハハハハハハハハハハハ

 

…姉ちゃんの姿でべらべら喋られるのってかなりイラッとするな。

 

ゲラゲラ、ゲラゲラと。

化物は嗤う。

赤い何かは握り潰された手を再生させて、俺に近寄ってくる。

 

拳を構える。

 

…俺の精神世界だとしても、これは俺の考える()()じゃない。

ドライグは知っていて、俺は知らない。

 

…赤龍帝関係か。

ったく、お前もお前で俺に苦労掛けてるよ、ドライグ。

 

多分、お前の言う『アレ』っていうのがこの化物共だろう。

 

「お前らは、何なんだ?」

 

分からないの?

 

「だから聞いてるんだよ。」

 

嘘つきドライグ 教えてくれない

 

「嘘つきって何だよ。教えてくれない…は否定しないけど。」

 

アイツ、度々茶を濁すからな。

こういうことなら無理矢理にでも吐かせればよかったぜ。

俺の妄想という拷問でな。

 

…にしても、赤い何かはまだ俺に手を差し伸べてくる。

 

「お前は、誰だ。」

 

 

─おいで、おいで

 

 

「行かない。」

 

 

─オイテかナいデ

 

 

「置いていく。」

 

 

やめて やめて

 

 

懇願するような声。

未だに手を差し伸べてくる。

泣きそうな目をしてる。

 

…でも、もう騙されない。

こいつの目は、濁っている。

憎しみが滲み出ている。

 

矛先は、俺じゃない。

でも、俺の関係者だろう。

姉ちゃんが矛先なのか?

 

「もう一度聞く。お前らは、誰だ。」

 

あなたも一緒にいよう

 

 

こっちにオイデ

 

 

「一緒に、いてよ」

 

化物と赤い何かの言葉を何度も聞く。

同じ言葉ばかりだった。

まるで呪詛のように。

 

…何となく、気付いた。

 

この目は、濁ってるんじゃない。

 

生気がないんだ。

生きている目じゃない。

死んだ目だ。

死んで、いるんだ。

 

…死者、なのか。

 

「お前らは、怨念なのか。」

 

「一緒にいて、一緒にとけあおうよ」

 

「赤龍帝の籠手にいる怨念…昔の所有者なのか。」

 

「こっちに、きて」

 

…意識して、ようやく分かった。

 

周りにも、()()

 

赤で塗り潰された人が何人も、何人も。

 

俺を囲んでいる。

…そうか、最初から俺を逃がすつもりはないってことか。

 

 

いっシょに来てあげて

 

 

俺が視認したからか、それともこいつの言葉を皮切りになのか。

赤い人が俺に歩いてくる。

求めるように、腕を伸ばしながら。

 

姉ちゃんの姿をした化物は俺に抱き付いてくる。

 

「一緒に、おいで」

 

「お前─」

 

まるで、仲間を増やそうとしている。

俺を取り込もうとしているのか。

俺に成り代わろうとしているのか。

 

赤い何かの手が、俺に触れる。

 

瞬間─

 

 

 

 

 

おいでおいでオイデオイデコッチニオイデコイ、コイコイコイカワイソウカワイソウ殺せコロセコロセヨコセヨコセヨコセヨコセ おまえもオイデ こっちにおいで

 

 

「─ッ!?」

 

憎悪が頭に流れ込んできた。

誘うような言葉の裏の感情。

 

体を寄越せ、お前もこっちに来い。

殺してやる。

 

そんな、負の感情が俺に流れ込んでくる。

駄目だ、触られると俺もこうなる!

振り払って、化物の抱擁からも脱出する。

 

周りの赤い何かも俺に触れてくる。

 

 

ニゲルナ イカナイデ コッチニキテ

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニゲルナ」

 

「チッ、侵食が進んでいる!」

 

『ヴァーリ、どうすれば!?』

 

「いいか、絶対に入ってくるな!まさか、ここに来て二天龍の憎悪が仕掛けてくるとはな!!」

 

『どういうこと?』

 

「所有者の無念、恨み、憎しみ…そういった負の感情が溜まり所有者を侵食してくる。

そして、それに堕ちた者は理性を失い…()()となる。」

 

『覇龍…?』

 

完全に殺しに来ているな。

惨たらしく殺そうと四肢をもごうとしている。

だが、その分動きが分かりやすい。

 

適度に拳を入れて半減をしている…んだが。

 

『Divide!!』

 

「死ね、死ね」

 

「びくともせんか。」

 

こうも反応が無くては最悪な事態を想定してしまう。

…殺してやるべきか。

 

このような場面で果てる奴ではないと思っていたが…不測の事態だ、仕方無いか…

 

 

 

 

 

『イッセーさん!!』

 

 

「ぁ───」

 

む、この声は…

確か、アーシア・アルジェント…だったか?

ネプテューヌではなく、彼女がマイクを代わったのか。

 

『何をしているんですか、イッセーさん!』

 

奴の動きが止まる。

声に、耳を傾けている?

 

…もしや。

 

『貴方は、そんな所で終わる人ではありません!

無茶をして、必死に頑張って…それでもネプテューヌさんと同じように帰ってくる人です!』

 

「…」

 

『今更、()()()()()に囚われないでください!

貴方は…そんな怨念程度で足を止める人じゃありません!だから…』

 

「…ぁ、ぉ」

 

「これは…」

 

 

 

 

 

『そんなもの倒して、戻ってきてください!!』

 

 

必死の叫びだった。

俺には、分かった。

これは、愛する者への叫びだ。

 

強い意志を感じた。

貴方はそんな場所で折れる人ではない。

そんな確信を本人へぶつける。

 

100%の信頼をぶつけられる相手がいるんだな、お前も。

 

奴は立ち止まり、全てを聞いた後…

頭を押さえだした。

抗っているのか、兵藤一誠。

 

「ぉ、オオ…!」

 

『一誠!ファイトー!』

 

「いやそこは少しシリアスを貫け。」

 

 

「我…目覚めるは…!」

 

「まずいか…!」

 

『覇龍の詠唱だ。ヴァーリ、構えろ。』

 

「分かっている。」

 

 

呻きながらも、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)の詠唱を始める。

これは…間に合わないのか?

 

いや…兵藤一誠の意識をより刺激すればいいんだ。

ならば、これならどうだ!

 

 

 

「何だ、堕ちたか。ならばネプテューヌは俺がもらうぞ。」

 

 

 

「テメェェェヴァーリィィィィィィィ!!!」

 

 

 

「戻ったな!」

 

『嘘ォ!!?』

 

『人の想いとは愚かしくも素晴らしいものだな。』

 

今日一番の叫びと共に、兵藤一誠は覇龍の怨念から解放された。

 

しかし、何だ。

あっさりだったな。

精神の方で何かあったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭を潰す。

残り25人になった。

声も少なくなってきた。

 

何人も湧くからキリが無い。

けど、こいつら全員を潰さないと俺は帰れない。

 

くっそ先輩方置き土産にしては趣味悪いぞ。

やりたくてやってる訳じゃねぇっての…

 

「ヤメテ ヤメテ」

 

「うるさい。」

 

「イタイ イタイ イタ─」

 

殴り殺す。

簡単なくらい殺せてしまう。

それは、生前の彼らを想像してしまうようで罪悪感が生まれそうになる。

 

…だけど、俺には関係無い。

 

俺は姉ちゃんじゃない。

救ってあげたいとは思わない。

寧ろ、寝ててくれと思う。

 

姉ちゃんなら救いの手を差し伸べるだろうが…諦めてくれ。

 

にしても、いつになったら俺はこっから出れるんだ!

 

何度も殺す。

手に触れなきゃいいんだ。

幸い、こいつらはノロマだ。

 

…そう、こいつら全部を否定しないといけない。

そこにどんな悲劇があったとしても、俺は。

 

「オォ!」

 

「イタイ ヤメテ ツライ」

 

同じことしか言えないこいつらに出来ること。

俺は、これしかない。

救いの手を差し伸べるだけの勇気が俺にはない。

 

共存なんて、出来る筈がない。

 

 

 

─イッセーさん!

 

 

 

ふと、声が聞こえた。

強い呼び掛けの声だ。

誰から、なんて考えることもなく分かった。

 

「…アーシア?」

 

ここには俺とこいつらしかいない筈じゃ…?

 

 

 

─何をしているんですか、イッセーさん!

 

 

 

清らかで、強い声。

心からの呼び掛けだ。

周りの赤い何かもピタリと止まる。

 

いや、違う。

 

止められている。

 

こいつら…外部からの影響に弱いのか?

 

 

 

─貴方は、そんな所で終わる人ではありません!

無茶をして、必死に頑張って…それでもネプテューヌさんと同じように帰ってくる人です!

 

 

 

…そうだな、こんなところで決着もつけれないまま終わってたまるかよ!

 

拳に力が入る。

止まっている赤い何かを殴り飛ばしていく。

 

何度でも湧くなら、何度でも倒す!

少し諦めかけてた俺をまた引き上げてくれるなんて…やっぱ俺は駄目だな!

アーシアには後で感謝しねぇと。

 

 

 

─今更、()()()()()に囚われないでください!

貴方は…そんな怨念程度で足を止める人じゃありません!

だから…そんなもの倒して、戻ってきてください!!

 

 

 

「オォォォォ!!!」

 

より拳に、脚に力が入る。

魂に火が灯る。

ここまで言われて戻らねぇ奴はいねぇ!!

 

「ヤメテ イカナイデ オイテイカナイデ」

 

「そんな頼みは、聞けないねぇ!」

 

「ア、ァァァァァァ」

 

触れようと必死に手を伸ばしてくる。

 

それを拒むように拳を振るう。

俺は、お前らとは居られない。

俺の居場所はここじゃない!

 

「どうして?」

 

先程まで動かなかった姉ちゃんの姿をした何かは問いかけてくる。

 

「辛いことから目を背けないの?

苦しいことから逃げ出さないの?

悲しいことから背を向けないの?」

 

腕が伸びる。

触れに来るというより、拘束しに来ている。

 

何とか避けながら、近付いていく。

 

「それをして、何も変わらないから俺達はそれに立ち向かうんだろうが!」

 

「生きて希望なんてない

ハッピーエンドなんてあり得ない

本当の終わりは、救いのない終わりしかない」

 

姉ちゃんの姿でハッピーエンドどうこう語るんじゃねぇ。

 

これは、俺の精神だろうが!

 

「誰かの決めた終わりが俺の終わりな訳あるか!テメェの事はテメェで決める!」

 

「なぜ諦めないの?」

 

「諦めなかったあの時があるから今があるんだよ!」

 

必死に迫る手を避けながら化物への距離を詰めていく。

 

そうだ、諦めたら意味がない。

諦めて解決しないから頑張ってんだ。

 

だから!

 

 

 

「邪魔すんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

距離が後少しになって、飛び掛かる。

そして、拳を化物の顔面に叩き込んだ。

 

倍加も何もない。

でも全力で。

全力で俺はお前らを否定する。

 

化物は拳をくらって倒れた。

 

周りの赤い何か達もグチャリという不快感のする音と共に崩れ落ちた。

 

「…俺を帰せ。」

 

「どうして」

 

「疑問ばっかりぶつけるんじゃねぇ。」

 

「辛いことから目を逸らしてあげようとしたのに」

 

「誰もしてほしいなんて頼んでねぇ。」

 

「行かないで」

 

「俺にも待ってる奴はいるんだよ。」

 

「置いていかないで」

 

「置いていく。…でも、忘れないではいてやるよ。」

 

ピクリ、と倒れたままの化物は反応する。

 

やば、何か言っちまったか?

もしかしてそういうことも言っちゃいけない奴か。

やらかしたか。

 

「本当に?」

 

「忘れたくても怖くて忘れられねぇよ。」

 

「…そう」

 

そう言って、化物はスゥっと消えていった。

 

…何だったんだか。

ドライグの奴、きっちり説明してもらうからな!

アイツ、説明しないからどうすりゃいいか分からなかったんだぞ!

 

 

 

…ん、何となく、浮き上がるような感覚がする。

条件達成したか…よしよし。

戻って続きを──

 

 

 

「何だ、堕ちたか。ならばネプテューヌは俺がもらうぞ。」

 

 

は?

 

何言ってるですか?

 

姉ちゃんをもらう?

俺を倒してないのに?

 

な、なんたる暴挙!

許されることではない!

こいつ…!

 

絶対に許さんぞ虫けらジワジワとなぶり殺しにしてくれる!覚悟しろぉぉぉぉぉ!!!

 

 

 

「テメェェェヴァーリィィィィィィィ!!!」

 

 

 

「戻ったな!」

 

『嘘ォ!?』

 

怒りの叫びと共に暗い空間から場面が一転する。

 

校庭か、ここは。

つまり、戻ってきたんだな。

なるほどな…目の前にはちょっとボロボロなヴァーリの姿が。

 

…俺、暴れてたのか?

 

…いやでも、ヴァーリがいるしな。

冗談とはいえ、今禁句言いましたよね。

 

「ヴァーリ。」

 

「何だ?」

 

「くたばれェェェェェェ!!」

 

「グワァァァァァァ!!?」

 

『えぇぇぇぇぇ!!?』

 

取り敢えず、ぶん殴ってはっ倒した。

 

…よし!

倒れているヴァーリに指を差す。

 

「あなたを詐欺罪と誘拐罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?テメェが俺をこんな言葉で騙し、俺の心を破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。近いうちに訴えます。裁判も起こします。冥界の裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!テメェはテロリストです!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!」

 

「どういう、ことだ…」

 

『相棒、お前何してんだぁぁぁ!!』

 

「ドライグ、テメェよくも教えなかったなぁ!!

作品的に伏せといた方が読者増えるとでも思ったか戯けがぁ!

お陰で一誠さんこんな目に遭ったわ!

お前金輪際変な隠し事するんじゃねぇぞ!!」

 

『あ…はい…』

 

「めっっっっちゃ疲れたわ!!」

 

もう何か一皮剥けたんじゃないかなって思ったわ!

超えたよね?過去の俺超えたよね!

だって昔の俺なら手をはね除ける事しなかったし!

 

勝ったぞ!俺の勝ちだぁ!

 

「アーシアァァァ!ありがとぉぉぉぉぉ!!」

 

『イッセーさん、やめてください!大声でやめてください!』

 

『胃が痛くなってきたわ、朱乃…』

 

『あらあら…飲みます?』

 

『ええ…』

 

倒れてるヴァーリ、勝ち誇る俺、恥ずかしがっているアーシア、胃が痛い部長。

 

そして…

 

 

 

『いやこれどうすんの?』

 

極めて素の状態のねぷ姉ちゃんというカオスな状態になっていた。

 

…これが冥次元だ!




真面目(前半)

吹っ切れ一誠
若干の常識をぶん投げて過去を乗り越えた一誠。
シスコン度が少し下がった代わりに精神安定度が少し上がった。
分かりやすく言うと前向きになった。


覇龍?なんだいそれは…君の出るタイミングはもう過ぎ去ったんだよ!
過ぎ去りし過去を求める必要は無いんだよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。