はい、二天龍の決着、そして…?
えっと、ありのまま今起こったことを説明するぜ!
一誠が怨念に飲まれそうになって、あーちゃんが渇を入れたらそこから事態は一転…ヴァーリが一言言ったら一誠の意識が更に浮上したようで怨念を捩じ伏せて戻ってきた…と思えばヴァーリを殴り飛ばした。
うん、ちょっと…よく分かんない。
ということで、ちょっと視点を貰ったネプテューヌだよ!
あーちゃんが顔を手で覆ってるけど赤いのバレバレなんだよね。
うーん、一誠…吹っ切れたでいいのかなぁ?
「…で、リアスちゃん大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ…大丈夫…たかが胃がやられただけよ。」
「問題だよね!」
「今更よ、胃の一つや二つ…この胃薬を飲むだけで治るから。」
「おっちゃん…」
「頼まれたから作った。俺は悪くねぇ、俺は悪くねぇ!悪いのはぶっちゃけやらかすお前らだ!」
何も言えない!
やらかしてる自覚はあるから何も言えない!
くそうくそう、自分は頑張ってるだけなのに…!
─その頑張りが無茶苦茶な時があるからでは?
(いーすん厳しいよぉ!)
─私なりの親愛のような物だと思ってください。
(うぅ…はーい)
親愛にしちゃ厳しいよね…?
でもいーすんのが正しいから自分は引き下がるしかないのだ。
世知辛いのう世知辛いのう…
「けど、勝負は終わってない。」
「木場君?」
「イッセー君は自分を乗り越えたに過ぎない…ここからが本番ですよ。」
「えー?あの空気からそうなる?」
チラッと校庭を見ると…
二人とも立って構えてる。
え、マジで?
あの雰囲気からそうなるの?
強制バトル漫画に持ち込むの?
「うーん…疲れてないのかなぁ…」
「ネプテューヌ先輩、観戦が暇ならプリンありますよ。」
「ホント!?小猫ちゃんありがとう!」
「はい。…ちょろいもんだぜ」
「ヒェッ…」
ギャー君の短い悲鳴。
どうしたんだろう?
まあいいや!このプリン…は、犯罪的なうまさだ…!
プリンを食べながら、二人の戦いを観戦する。
「…二人とも。」
白と赤が地上と空中を行き来しながらぶつかり合う。
魔力をぶつけたり、拳や脚を叩き込んだり。
二人の戦いは正に一進一退。
何度も、何度も殴りあって。
でも…それが正しいように見えた。
二天龍の戦い。
昔からずっと続く戦いなんだとか。
永遠に戦うことを宿命付けられているように…
─ネプテューヌさん。
(いーすん。)
─あの二人は、あの悲劇を繰り返しません。大丈夫ですよ。
(うん。)
もしかしたらを想像して、いーすんが大丈夫だと伝えてくれる。
それだけで安心できた。
昔の自分は二天龍も倒したらしい。
きっと、一度や二度じゃない。
いーすんはその時の詳細を頑なに話さないけど…ネプテューヌの闇が教えてくれた通りだと思う。
…うん、でも今は違うよね!
どれくらい違うかと言うとリメイク前とリメイク後のストーリーのあっさり感くらい違うよ!
「ネプテューヌさん。」
「あーちゃん?」
「ネプテューヌさんはどちらを応援してますか?」
「え、そりゃあ…」
…どっち?
どっちもじゃ駄目かな…
いや、でも、どっちって言われたら…
「イッセーさんを私は応援してます。」
「私は」
「ネプテューヌさんは、ヴァーリさんですか?」
「へ!?」
どうしてそっち!?
一誠じゃなくて!?
「ネプテューヌさん、勝負ってどっちが勝つかを決める戦い。
そうですよね。」
「そりゃあ…そうだけど。」
「私は、イッセーさんが勝ってくれると信じてます。
あの人の、頑張りを私は知ってるから。」
「あはは…恋せよ乙女って感じだね。」
「えへへ…ネプテューヌさんは?」
「……」
「決めれるところを決める。ネプテューヌさんはそういう人だと私は思っています。ネプテューヌさんからしたらイッセーさんもヴァーリさんも応援したいですよね。
でも、二人の中で一人しかと言われたら…どっちを応援しますか?」
とっても真剣な質問だった。
家族か、想い人か。
半端な答えは失礼だと思った。
あーちゃんは、もしかしたら自分なんかよりもずっと強い精神力を持ってるのかもしれない。
そうなったら…自分はどっちを選ぶべきか。
一誠の努力は知ってる。
昔から傍で見てきたから。
ヴァーリの想いを知ってる。
ずっと言われてきたし、行動で示された。
…自分は…
「…ヴァーリ、かな…」
「どうしてですか?」
「その…好きだから、は駄目かな。」
「いいえ。」
好きな人に頑張ってほしい。
そう思ってしまう自分は薄情なのかな。
弟を切り捨てたような気がして…罪悪感が込み上げてくる。
あーちゃんは大丈夫と言ってくる。
「私も、イッセーさんが好きですから。」
「告白、しないの?」
「…したいんですけどね。多分、心の何処かで怖がられてる…そんな気がするんです。」
「え?」
一誠が怖がる?
思わず、戦っている一誠に視線がいった。
鎧もボロボロになりながら、それでも二人は戦っている。
所々で血も流れている。
…流石に止めるタイミングはサーゼクスさんも見失うなんて事はないと思うけど。
一誠が女の子を怖がるなんて、そんなこと…
…あ。
「レイナーレの時…?」
思わず合点がいった。
そういえば、告白されて、裏切られた上に殺されそうになったのが一誠の今の道の始まりだった。
一誠も気付いてないけど、心の何処かで壁を作ってる?
…あり得ない話じゃないよね。
あの事件は解決したけど、何があったかまでは消えることじゃない。
ああ、まだ踏ん切りがついてないんだ。
「あーちゃん、するべきだよ!」
「え…」
「一誠はね、ああ見えてヘタレなんだよ!」
「黙って聞いてたけどすっごい失礼よね、ネプテューヌ。」
「え、でもさ、そうじゃない?」
「否定できないかな…」
「やるべきだよ、勇気を出さないと!」
「…まあ、それを決めんのは嬢ちゃんだろ。今は真面目に二人の戦い見ようぜ。」
「…はい。」
おっちゃんの言葉に、会話を中断する。
二人の戦いに視線を戻す。
『おォォァァァ!!』
『ぬぉぉぉぉぉ!!』
二人の叫びが聞こえる。
強い叫びだ。
お互いに譲ろうとしない意思。
…けど、応援するなら。
勝ってね、ヴァーリ。
─────────────────────────
拳が交差する。
赤と白。
交わらない二天龍が、その決着を果たさんとする。
願い、私欲、想い…多くが入り交じった闘争。
赤龍帝…兵藤一誠はこの時、今までの殻を破った。
破れたようで破れていなかった蛹。
長い幼年期が終わった瞬間であった。
「うあぁぁぁぁぁぁ!!」
守るための力を手にした彼は何処までも愚直に突き進む。
辿り着くべき場所はここではない。
呪いを乗り越え、新たなる鍵を手にした彼はそれでも求める。
赤い王道…全てを守る、そんな主人公の王道を。
二人の魔力がぶつかり合う。
最弱と最強。
拮抗する筈の無い二人。
あらゆる面において、この差は歴然であった。
白龍皇…ヴァーリ・ルシファーは満たされない。
越えられない壁を超え、自らに食らい付いてくる男と戦っている今でさえ私欲は満たされない。
本当に欲している物は別で、ここは通過点でしかない。
「ハハハハハハ…!!」
既に次のステージへ至る条件は揃っていると自らに宿る龍は言った。
けれど、それを使う気はなかった。
己の決着がついていないのに、おいそれと新しい力に手を出すなど愚かと判断した。
だが、この闘争は二人だけのもの。
何度もやるべきではない。
この一度限りの闘争。
ならばこそ、新たなる好敵手に感謝し、それを打ち倒す。
かくして、二人の実力は互角となった。
劣っていた筈の兵藤一誠は想いと執念で壁を乗り越え、届かせて見せた。
ヴァーリ・ルシファーは足を掴まれたのだ。
引きずり込まれる事はなくとも、這い上がらせた。
土台が同じとなれば命運を分けるのは一つのみ。
技も、力も、全て使った。
倍加と譲渡による押し切りと小手先の戦法は落とすに至らず。
半減と空間制限による狡猾な戦法もまた落とすに至らなかった。
結論が出たのは二人同時だった。
殴り合いによる決着。
倍加も半減も攻め落とすに至らない。
ならば原初の戦いが勝運を分ける。
何度殴ったか、何度蹴ったか。
「ぐぁ…オラァ!!」
「ぬぅ…オォ!!」
鎧は既に意味をなしていなかった。
二天龍の力など関係なく、因縁も今までのいがみ合いも、二人の頭に残っていなかった。
あるのはただ一つ。
((こいつに、〝勝つ〟!!))
意地と意地のぶつかり合い。
いつ意識を失って倒れてもおかしくはない。
負けるわけにはいかないという意地のみでその意識を保つ。
痛みが逆に奮い起たせた。
「倒れろぉぉ!!」
「がはっ…!」
一誠の頭突き。
形振りなど構っている暇は最初から無い。
倒せば勝ちなのだ、そんなものに拘る意味は無い。
自棄っぱちに似た一撃は見事ヴァーリの顔を捉え、白い仮面は砕けた。
だが、それでも踏みとどまる。
「まだ、だ!!」
「ごっ…!?」
拳が腹にめり込む。
意識が飛びそうになりながらも歯を食いしばってその場で耐えた。
吐きそうになりながらもそれも堪える。
無様を晒すとかではない。
そんな隙を晒せるかという意地。
どちらも倒れない。
だが…
どちらも満身創痍だった。
長い間の殴り合いにより意識を保っている事自体が奇跡だった。
押せば倒れる体。
けれど、されるとしても目の前のこいつ以外の誰かだという心は一致していた。
「へっ…もう、フラフラ…じゃ、ねぇかよ…」
「くっくく…お前こそ…倒れそうじゃ、無いか…?」
「バッカお前…これはこういう、構え、だ!」
「ぐっ…」
一誠が拳を振るう。
もう力がそんなに入っていない拳だが、少しであれど威力はあった。
顔を殴られたヴァーリはふらついて後退しながらも倒れない。
「ま、だまだ…!」
「うぁ…っ!」
ふらつきながらも勢いをつけて殴りかかるヴァーリ。
防御など出来ず、拳を胸に受けて、倒れそうになる。
「っ…だぁぁぁ!」
後ろに倒れそうになったが足に力が入る。
まだ負けられない。
そんな意思で足が後ろにいき倒れるから後退に堪えた。
「はぁ…はぁ…」
「ぜぇ…ぜぇ…」
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」
最後の力を振り絞って地を駆ける。
否、駆けると言うには遅すぎる速度。
だが、気迫でもって地に足を踏みしめ、力を入れる。
この一撃をぶつける。
その為だけに。
そして
拳が交差し、互いの頬にぶつかった。
「がっ…!」
「ぎっ…!」
二人して、地に倒れる。
仰向けに倒れ、そのまま動けなくなる。
一度倒れてしまった今、もう意思による根性は働かない。
倒れる瞬間まで、互いを睨んでいた。
起き上がろうとする。
立てば勝てる。
そんな漠然とした考えと共に体に力を入れ─
─立ち上がることが出来ず、力尽きる。
『…この勝負。』
『そうだな、赤いの。』
共に在る相棒が会話を始める。
それはある種の試合終了の知らせだった。
宿主の体を理解している二体だからこそ、限界だと判断した。
『『引き分けだ。』』
引き分け。
勝ちもなく、また負けもない。
どちらかが立ってどちらかが倒れると思っていた全員は呆然としていた。
どちらが勝ったのではない。
どちらも拮抗し続けた結果がこれなのだ。
二人の鎧が消え、ボロボロで倒れる二人が残る。
勝ちたいと願った二人は、しかしそれは叶わず。
だというのに
二人はどこか満足げな表情で気絶しているのだった。
・
・
・
倒れた二人は、そのまま病院へ運び込まれた。
勝ちたくても、どっちも届かなかった。
見ているこっちも何も言うことが出来ずにいた。
だけど…
らしいな、なんて思った。
互いに足りない穴を埋めることが出来たと思う。
だからこそ、ああやって二人は引き分けになったんだ。
理屈とか、そういうものはあの二人に無かった。
勝つっていう意思だけがそこにあった。
だから、痛々しくても止めるなんて無粋な考えは無かった。
傷付いてるのに、二人とも負けるかって歯を食いしばって立つことを諦めなかった。
これでいいんだと思う。
大事な一戦だったけど、これが最良だったのかなって。
二人は治療の済んだ二人は安静にして、明日退院だそうな。
改めて、あーちゃんの神器は便利だと思った。
…ただ、治すことを躊躇していたのは理解できた。
結局治したけど、二人からしたら…もしかしたらこの怪我は一日だけ残しておこうと思っていたかもしれない。
そうして夜になった。
…夜の病院は怖い、なんていうけどそうは思えなかった。
廊下を歩く。
行き先は、決まっていた。
病室の前に辿り着く。
辿り着いて、何となく思い出す。
想いに気付いたのも、こんな夜だった。
酷く真面目な自分。
新鮮な気分だった。
ネタとかを考える余裕はなかった。
いーすんは、多分寝てる。
ここには自分だけで来た。
開いているかを確認する。
…開いてる。
少しの深呼吸。
扉を開けて中に入る。
気絶していたし、疲れてるだろうから…寝てると思う。
ベッドを見ると、ぐっすりと寝ているヴァーリの姿があった。
そりゃ、あんな殴り合ってたらそうなるよ。
椅子があったからベッドの隣まで持っていって座って寝顔を眺める。
綺麗な寝顔だなぁって思った。
手を伸ばして、引っ込める。
何をしてるんだろ。
一誠の所に行けば良かったのに。
…結局、手を伸ばして、綺麗な銀髪に触れる。
あ、さらさらしてる。
手いれとかしてるのかな。
…するかなぁ?
少しの間、そうしていた。
やっぱり、好きなんだなぁって思いながら。
顔が自然と熱くなる。
自覚してから、ずっとこんな感じ。
困っちゃうなぁ…
真っ先にこっちに来たのは、そういうことだろうから。
でも、自分は誰かを好きになっていいのかな。
今更だって分かっていても、疑問を抱く。
だって、自分はこんな性格だ。
もしかしたら、自己犠牲が働いて死んじゃうかもしれない。
そしたら…置いていっちゃう。
そんなのは嫌だ。
だったら最初から…
「…ヴァーリが、悪いんだよ。」
諦めた方がいい。
このまま、初な反応だけして、誤魔化していればそれでいい。
置いていって、余計悲しませるよりずっといい。
好きだけど、そんな事態になる位なら自分から切り捨ててしまおう。
自分も、付き合ってからそうなったら嫌だから。
想いを、抱えたまま。
胸が痛む。
せっかく、あっちから好きだって言ってくれてるのに。
自分も好きだって自覚してるのに。
…でも、自分は…こんな性格だから。
きっと、誰かと結ばれても変わらない。
こんなに好きでも、危険な事態になったら真っ先に身を投げ出す嫌な自信がある。
それは、ネプテューヌだからなのか、自分という誰かだからなのか。
人のために、とかじゃない。
納得できないからそうしてしまうエゴイズム。
「私、は……」
言おうとして、やっぱりやめようよ、と臆病な自分が言ってくる。
勇気を振り絞ろうとも言ってくる普段の自分もいる。
あーちゃんには、ああ言ったのに。
自分は逃走を選択しようとしている。
もし聞かれたら、もうどうしようもなくなる。
でも、今じゃないと自分は機会を失う。
独り言でも、言ってしまった方が楽になる。
恋する、自分と決別を…するためにも。
…聞こえていますか。
「会談で、会って。告白されて…」
声が掠れる。
起きているわけでもないのに。
「浚ったくせに、親切で…協力してくれてっ…」
涙が溢れそうになるのを堪える。
言葉を紡ぐ事がこんなに怖いなんて思わなかった。
こんなに胸を締め付けるなんて思わなかった。
「私、を…助けて、くれて…私を、見てくれて…」
ただ一人、
自分を、私を、全てを受け入れてくれた。
それがただ嬉しくて、でも、苦しい。
血を吐くんじゃないかと思うくらい辛い。
怖くて、体が震える。
逃げ出したくて足が動きそうになる。
でも…逃げたくない、自分がいる。
「だから、私は─」
「─私は、好きだよ。」
言った。
しっかりと、言葉にした。
駄目だ、泣いたら、バレる。
ここにいて、告白しましたなんて、言えるわけない。
「でも、ごめんね。私は、置いていきたくない…!」
そうして、自分は逃げ出したくなって、立ち上がる。
もう嫌だ、こんなこと嫌だ。
こんな苦しくて、怖い告白なんて、するんじゃなかった。
でもしない事の方が怖くてしちゃったんだ。
「だから、もう…さよなら。」
もう、想いを見せる必要はない。
後は諦めてくれるまで、のらりくらりといつもの様子で…逃げればいい。
視線を外すことが怖い。
想いを隠すことが怖い。
結ばれないなんて怖い。
…それすらも、胸にしまう。
歩きだそう、別の希望を胸に、歩き出すんだ。
歩を進める。
部屋から出よう。
そうすれば、今まで通り。
これ以上ここにいたら、自分は自分を保てない。
「行くな。」
「えっ─」
突然、体が引き寄せられた。
そんな、嘘だ。
だって、寝ていることは、しっかりと確認して…
上塗りの想いと本当の想いが一緒に出る。
抜け出そうと、暴れる。
「行くな!」
「離して!」
必死に暴れても、離してくれない。
強く抱き締められて、動けない。
聞かれてた、見られてた?
分かってたの?
なんで起きてなかったの?
こんなこと、しなかったのに!
「ネプテューヌ。」
「やだ、やめて。」
「聞いてくれ。」
「聞きたくない!」
「頼むから。」
「頼まないで!」
「言うからな。」
「言わないでいいよ!」
必死に拒む。
でも、本気になれない自分がいる。
怖い。
それを聞いたら、受け入れたくなる。
でも、でも自分は置いて──
「俺はお前が好きだ!愛している!!」
「や、だ」
「俺を、置いていくな!!」
「あ、ぁぁ」
「俺が守る、俺が助ける…だから…!」
「俺と、一緒にいてくれ…ネプテューヌ。」
何処までも、真っ直ぐな想い。
心に届かせて見せる、そんな気持ちが見える想い。
いつの間にか、自分は抵抗する力をなくしていた。
抱き締められることを、良しとしている。
「私、こんなだよ」
「知った上で、好きだ」
「置いて、いっちゃうよ」
「置いていかせない」
「私、小さいよ?胸も、ないよ?」
「関係ない。」
「我儘だよ?怖がりだよ?こんな、泣き虫だよ?」
「俺の前では、ありのままのお前でいい。」
どう聞いても、それでも好きって言葉が来る。
ズルい。
ズルいよ、そんなの。
どうして、そんなに肯定するの?してくれるの?
「私で…いいの?」
「ただ一人のお前だけが好きだ。」
─ああ、駄目だ。
無理だ、こんなの。
はね除けるなんて、出来ない。
だってこの人は、自分だけを好きだって言ってくれてる。
そんなの、拒否できない。
出来るなら、こんな事していない。
涙が溢れ出す。
また、あのときと同じ。
でも、一つだけ違う。
「…うん」
顔をあげる。
涙を流してるけど、笑顔で。
隠してた想いが、この涙なんだ。
だったら、見せないと。
「私も、君が好き。」
今度は、面と向かって。
告白の返事をする。
すると、胸の苦しみが消える。
吐きそうな位の苦しみが一瞬で消えた。
辛かった。
けど、もう…辛くない。
「大好き。」
手を伸ばす。
好きな人の頬に、両手を当てる。
嬉しい。
こんなにも嬉しいことはない。
今日、この部屋に来て良かった。
「私の事、好き?」
「お前だから、好きなんだ」
「えへへ」
嬉しくて、頬が緩む。
緊張と辛さで固まっていた顔が緩んだ。
涙は止まらなかった。
これは、嬉し涙だ。
そのまま、顔を近づける。
それからは、恋人になれた二人の時間だった。