冥次元ゲイムネプテューヌ   作:ロザミア

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さあ、新しい章の開演だ。

まず一つ言っておきます。

ごめんね、ネプテューヌ





sister generation
絶望のアンファング


だらだら過ごすって…いいよね。

こう、部屋にいて、何かを気にする事もなくただ自堕落に過ごす。

最近大変だった時期を考えるとこれって最高の休みなんじゃない?

はー天才、ねぷ子さん天才だね。学会に出れちゃうね。

博士号も取れちゃうくらい天才!

 

いやぁ、やっぱり部屋でだらけるのっていいね!!

 

 

 

「俺の部屋じゃなければなぁ!!」

 

 

 

部屋の主…ゲオルグのツッコミが部屋に響き渡る。

 

はい、というわけでやっほー皆!

人の部屋で入り浸るネプテューヌだよ!

 

「まあまあ、いいじゃん!

私も会いたい子がいたしさ~」

 

「会いたい奴がいるのは構わん。だが、それで俺の部屋に入り浸られても困る!レオナルド、追い出せ!」

 

「…やだ」

 

「おい黒猫、普段から面倒見てやってるだろ!

頼むから追い出してくれ!このままだとこいつは俺の菓子を食い尽くす!」

 

「えー嫌にゃん。久しぶりの出番だしねぷっちともう少し遊びたいにゃん。ねー?」

 

「…ねー」

 

黒歌の上に座らされて自分の前にちょこんと座るレオナルド。

二人のコンビネーションは完璧だぁ…

ゲオルグもこれには涙目。

レオナルドも感情が表に出るようになって反応もよくなってきた。

興味が出たらこれは何って聞いてくるし、可愛い子供って感じ。

黒歌とかヘラクレスがよく構ってるらしくて二人に懐いてる印象かな。

 

「何でお前はこう……緊急時の真面目さは何処へ行くんだ!?」

 

「えー…主人公といってもずっと張り詰めてたら死んじゃうよー

プリン一年分の働きはしてるよー」

 

「そうにゃん。ねぷっちは私達と遊ぶっていう大事な役目を果たしてる最中…これは真面目にゃん!」

 

「そうだそうだー!」

 

「そうだー」

 

「はぁーーー……」

 

隠す気がさらさらない大きな溜め息。

ごめんね~英雄派の皆に会った後は大抵ここがゆっくり出来るんだよね。

まあ、そんなゲオルグの机に座ってるいーすんとの魔法勉強でチャラにしてくださいな!

 

「ゲオルグさん、もうしわけありません…(;>_<;)」

 

「…いや、イストワールが謝ることではないんだ……もうこいつらは放置だ。それよりも大事な探求が待ってる」

 

「そのドリョクのしせいはこのましいです」

 

「世辞は良い。完成すれば…ふふふ…」

 

「そういえば、頼光達はどうしてるんだろう?」

 

「む…アイツらか。アイツらは堕天使陣営…というよりアザゼルが預かる事になったらしい」

 

「おっちゃんが?」

 

「行き場が無いのは確かだからな。神器保有者保護を目的として現在は動いている。アザゼルも大助かりだろうさ」

 

「どゆこと?」

 

おっちゃんが助かるっていうのが分からない。

どうしてなんだろう。

 

「悪魔の駒の摘出…それを試みているそうだ」

 

「出来るの?」

 

「悪魔として転生させる際、どうしても魂に定着させてしまうせいで今までの技術では出来なかったが…技術の公開、北欧からの提供、その他諸々もあってやれるかもしれないとの事だ」

 

「じゃあ、はぐれ悪魔の人とかも保護するのかな」

 

「さてな、そこは魔王ども次第だろう。

古い悪魔を政治の舞台からどう退かし、納得の出来る法を敷けるか…見物だ」

 

「またまたぁ。傍観者みたいにしてるけど、ゲオルグも技術提供してる癖に!」

 

「……パラケルススの奴に頼まれてな」

 

「惚れてるとかー?」

 

「ハッ、あり得んな」

 

間髪入れずに否定されたので本当に無いってことかぁ。

ゲオルグに春はあるのかなぁ…生涯独身とか?

まあ、それはそれでゲオルグの生き方だよね。

 

そう思っているとレオナルドが後ろに倒れこんでくる。

 

「どうしたの?」

 

「つまんない」

 

「えっと…遊ぶ?」

 

「…トランプしたい」

 

「おー、いいね。それじゃ、黒歌もやろっか!」

 

「むむ、大富豪ならやるにゃん」

 

「どうして闇が深いゲームを最初にチョイスするかな」

 

「闇は最初から知っておいた方がいいにゃん」

 

「お前らはどうして純粋にやれんのだ」

 

「セイチョウするということはけがれをしるということなんですね…」

 

「否定できないからやめろ」

 

達観したような二人を無視してトランプを始める自分達。

しかし、そこで前代未聞の出来事を目撃する!!

 

「わーい革命だ!」

 

「革命返し」

 

「ねぷぅ!?」

 

レオナルドの手札運が良すぎる…

まるでイカサマをしたかのようにっ!?

してないんだろうけど何という運の良さ!

 

何度やっても勝てない…黒歌と自分の手札がまるで弱いかのような錯覚に陥る!

バ、バカな!革命が出来る手札は最強なのではないのか!?

 

「革命出来てもその後解決できなきゃ意味がないぞ」

 

「みなさんはしっかりとテフダとソウダンしましょうね」

 

「か、勝てない…!」

 

「強すぎるにゃん…これが、子供ゆえの天運だとでもいうの…?

白音…お姉ちゃんはもう駄目…強く生きるのよ…」

 

「何処ぞのカードゲームじゃあるまいし魂を吸い取られんのにその演技は何だ」

 

「カードゲームって負けたら闇に食べられるとかカードにされるとか無いの!?」

 

「ありませんよ、ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」

 

なん……だと……!?

まさか、嘘だったなんて…

でも、ファンタジーやメルヘンはあるんだからそういうこともあり得る!

やっぱりカードゲームは強くなろうと決心するねぷ子さんなのであった。

 

結局レオナルドには勝てなかった。

 

ゲオルグも参戦したけど勝てなかった。

寧ろゲオルグが最下位になってた。

 

「どうしてお前らは考えなしにそれを出すんだぁ!」

 

「チームプレーしてるんじゃないんだよ!」

 

「勝てば良い、それが全てにゃ!」

 

「…上がり」

 

「……よし、二位だけは貰うよ!主人公の名にかけて!」

 

「そんなものに重要なものをかけるな!」

 

「かけごとはよくないですよ!( ;゚皿゚)」

 

「やってないにゃん」

 

とまあ、こんな雰囲気で楽しんでから帰ることに。

ちょっと暗くなるまでいたけど…うーんどうするかな。

曹操には頼んでおいたけど、どう働くかな。

 

それで帰り道の途中…

 

「にゃー」

 

「黒歌、一緒に来なくてもいいのに」

 

「…」

 

─…何か、警戒しているようです

 

(警戒?)

 

─分かりません。黒歌さんのような動物…妖怪ですが。黒歌さんだからこそ分かる何かを警戒してるのかもしれませんね

 

…どゆこと?

まあ、黒歌がいるなら安心かな。

強いしね!

 

というか…何だろう。

歩きながら、周りに視線をやる。

 

…だーーーーれもいないね。

 

「…結界?」

 

「…違うわ、ねぷっち」

 

「あれ、いいの?変化解いて」

 

「人の気配がしないわ。加えて、結界でもない」

 

「…機械的な?」

 

─恐らくは…

 

ってことはもう何か起こるの!?

とりあえず、木刀は出しておくけど…

うーん、気配なんてしないけどなぁ…

 

「…来る!」

 

「へっ!?」

 

黒歌が自分の前に出て薄い壁…防御壁を張るとそれに何かをぶつける音が響く。

周囲に人がいないせいかイヤにそれが耳に入る。

 

そして、襲ってきた人物…

 

「あらら…野生の勘?そういうのってセコいって言われたことありませんこと?私めもそういうのに防がれちゃ自信がミリ削りしちゃいますわ!」

 

「ふ、フリード!?」

 

「あー、あのはぐれ悪魔祓いの」

 

このふざけたような口調、そしてジークによく似た髪。

似つかわしくない牧師みたいな服…

 

フリード・セルゼンが襲いかかってきた。

 

色々と改造したって話だったけど…見た目普通だね。

 

「くそ女神に~?くそ悪魔かぁ!ヒャヒャヒャ!久しぶりの獲物で俺ちゃんとっても嬉しいです!じゃあ、ぶち殺すかぁ!!?」

 

「…酷い気、何を取り込んだらそんな事になるんだか。

ねぷっち、さっさと終わらせてグレモリーにでも届けるにゃん」

 

「だね!刮目せよ!」

 

今更使い回しボスに負けるねぷ子さんじゃないよ!

しっかり決めて、今度こそブタ箱エンドにしてやんよー!

女神化して、刀を構える。

 

フリードはそれでもヘラヘラとしながら光の剣と銃を構える。

 

「あーあーその姿もこれで見納めか~…」

 

「牢屋か何処かにぶちこまれて、見納めよ」

 

「黒歌、油断しないで。往くわよ!!」

 

「いい悲鳴を聞かせてくれよぉ俺のためにさぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼吸が乱れそうになるのを押さえながら体に鞭打って走る。

くそ、よりによってという奴だった。

奴に話を聞いておいて正解だった…これはまずいぞ。

私の闘争が失くなってしまう。それだけは駄目なのだ。

 

「お、お父さん!どうして駒王に突然!?それにこの人は!?」

 

「今は走れ!」

 

「シャルバ・ベルゼブブ、貴様どういうつもりだ」

 

現在駒王町。

グレモリーがいるだとか堕天使総督がいるだとかは些末な問題だ。

それにヴァーリ・ルシファーを連れ出すのにも時間を要した。

くそ、無駄な時間を使わせおって…!

 

ネビロスが奴に与えた技術…あれならば確かに女神を殺すことなど容易い。

だが、私には分かるぞ超越者。

貴様は殺害目的ではなく快楽目的でそれを使うことぐらいな。

手遅れになる前に急行しなければ…ネプギアを連れているのもそのもしもを想定した上でだ。

 

ネビロスめ…要求が凄まじかったが相応の物は作れるんだろうな!!

 

「おい、聞いているのか!」

 

「喧しいぞ白龍皇!女神を死なせたくないのなら急げ!!」

 

「お姉ちゃんが!?」

 

「…後で説明して貰うぞ!」

 

くそ、老骨に堪える!

私の闘争がこのような形で終わっていいものか!

下らぬ思惑にも程があるぞ…リゼヴィム!

 

そうして、女神の居場所を探す内に。

 

 

 

 

 

 

「…今の…銃声…?」

 

 

 

 

 

 

「──!!」

 

「待て!くっ、ネプギア!」

 

「は、はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごっはぁぁぁ!!?」

 

「一昨日来やがれにゃ」

 

「これで貴方の悪事も終わりよ。黒歌、拘束お願い」

 

「了解にゃん」

 

「ぐっ、くそがぁ!出鱈目に強いじゃねぇか…テメェ」

 

倒れ伏すフリードの拘束を黒歌にお願いする。

黒歌なら油断なく拘束できるだろうし。

 

フリードはくそったれと反吐が出るといわんばかりに顔を歪める。

 

「…どうして貴方はそうまでして悪魔や関係者を殺そうとするの?」

 

「ハッ……どうせ短い命なんだ。どう生きようが俺の勝手だろうが!教会の連中は温すぎんだよ!悪魔は殺せだとか言いやがるから二度と同じこと出来ねぇように見せしめに切り刻んだら異端だの何だの…くそ喰らえだね!」

 

短い命って言うのは分からないけど…

でも、駆け抜け方を間違えてる。

きっと周りにいい人がいなかったんだろうね。

諭してあげられる人や、寄り添える人が。

 

「…貴方は道を誤ったのよ。強さに固執するんじゃなくて、人との関わりを求めるべきだった」

 

「何だ説教か?おいおいおいおい勘弁してくれよ女神様、テメェも俺ちゃんを否定するスタイルな訳?周りが、俺を、見捨てたんだろうがよぉ!!」

 

「それでも──」

 

罪を償えば、自分は関わってあげられる。

 

そう、言おうとした。

言おうとして、口から出たのは、耳に聞こえたのは。

 

 

 

 

 

 

 

─ネプテューヌさん!!!

 

パァン、という軽そうで重い音。

自分の口からは、赤い液体が流れてきた。

お腹、が痛い。

 

「…ぇ?」

 

…あれ、穴、みたいなのが。

 

─…ネ……ん!し……!

 

女神化、何で解除されるの?

体の言うことが、上手く効かない。

あれ、あれ、あれ。

突然すぎてよく分からない。

 

おかしい、刀が光になって消える。

体が倒れて、起き上がれない。

痛い、スッゴク痛い。

 

 

「ねぷっち!!」

 

 

拘束をした黒歌が駆け寄ってくる。

喋ろうと思って、口を動かす。

 

「く、ろ…ぁ……」

 

「喋っちゃ駄目!」

 

必死な形相で魔法か何かで治そうと焦る黒歌。

安心させようと思っても体が動かない。

あ、れ…そういえば…

 

いーすん、の声が…聞こえない…

 

─………!

 

あれ、どうして…?

 

フリードはとても愉快そうに顔を歪めて、笑っている。

嬉しそうに、楽しそうに。

フリードに、やられたの?

違う、それは違う。

 

まずい?これ、ピンチ?

死んじゃうかも…

 

そうだ、体をシェアで治せば………?

 

 

 

 

 

あれ……?シェア、使えない?

どうして、どうしてどうしてどうして…

何度考えても、頭も朦朧としてきて駄目だ。

 

痛みが、少し引く。

 

傷が塞がったのかな。 

ああでも、体が動かない。

どうして…?

 

シェアを、感じられないの?

皆からのシェアが…分からない。

途端に孤独感が強くなる。

自分は一人、ただのネプテューヌになってしまったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネプテューヌ!!!」

 

とても聞き覚えのある声が、聞こえた。

頑張って、視線だけをそっちに向ける。

 

駆け寄ってくる彼の姿。

 

ああ、来てくれたんだ。

嬉しいな、来てくれて…

ネプギアや、シャルバもいる?

もしかして、ピンチを察して来てくれたとか?

 

ねぷ子さん、嬉しいなぁ…

 

「ネプテューヌ、しっかりしろ!」

 

「ぁ…は…」

 

力が出ないのが分かってくれたのか、抱き上げるヴァーリにこんな状況だけど嬉しいと思うのは…良くないんだろうなぁ。

シャルバやネプギアの鬼気迫る表情が自分がどれだけ危険な状態かを物語ってるようで不安になる。

 

ああ、ちょっと今回ばかりは…まずいかも。

 

助けて欲しいかな…あはは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抱き上げたネプテューヌが俺に微笑んだ後に力なく気を失う。

 

「ネプテューヌ!おい!」

 

「おい、そこの」

 

「わ、私?」

 

「そいつを見張ってろ。というより、誰かに投げてこい。

白龍皇、こいつの家は分かるんだろうな!」

 

「……くっ。ああ、分かる」

 

オーフィスの面倒を見ていたらシャルバが少女と共に来た時は身構えた。

だが、有無を言わさぬ姿勢に俺はついていった方がいいと判断し他の仲間に任せて駒王に来たが…来た瞬間がこれだ!

何をしている…ヴァーリ・ルシファー…!

大切なものを守れていないではないか。

寧ろ、安全だろうと腹を括っていたんじゃないか!

 

自分に怒りをぶつけるのは後でもいいと俺はネプテューヌの家に向かう。

イストワールの反応もない。

…くそっ。

 

家に着くのに、そう時間は掛からなかった。

 

ネプテューヌが持っていた鍵で玄関を開ける。

そして、帰ってきたと思ったのか、居間から誰かが向かってきた。

 

「あ、ねぷちゃ…!?きゃぁぁぁぁ!!」

 

…よりによって、兵藤母か。

叫び声に反応してか、階段から誰かが降りてくる。

 

今一番会いたかった人物だった。

 

「どうしましたか!?…っ…!!」

 

「…頼めるか?」

 

「……はい、任せてください!お母様、説明は必ずします。だから手伝ってくれますか?」

 

「っ……分かったわ。ねぷちゃん…」

 

「わ、私も手伝います!!」

 

兵藤母とアーシア・アルジェントにネプテューヌを預ける。

少女も助けになろうと共に行き、俺は手持ち無沙汰になる。

壁に背を預け、座り込む。

戦ってもいないというのに、疲労感が込み上げる。

それ以上にこみ上がってくるのは情けなさと怒りだった。

 

「…くそっ…!!」

 

『落ち着け、ヴァーリ』

 

「落ち着いていられるか!!」

 

『気持ちは分かる。だが、こんな事態だからこそ冷静さを捨てるな。教えた筈だ』

 

「──すまない…」

 

『…俺も、お前と同じ気持ちだ』

 

「アルビオン…」

 

そうだ。

アルビオンも俺の恋路を応援してくれた者。

悔しいと思ってくれているのだろう。

…シャルバはただ立っている訳ではなく、連絡を取っていた。

 

「私だ。…ああ、二番目に嫌な事態だ。それで、どうなんだ」

 

『──』

 

「…おい、ふざけてるのか?」

 

『──!──』

 

誰かとの会話で、苛立ちが大きくなっている?

いや、面倒事が増えたことに気だるさを覚えているのか?

…どちらでも構わない。

 

「…お前の提供した技術は無事にリゼヴィムに使われてしまった。

お前の責任とは言わんが…報酬分は働け」

 

『──』

 

「リゼ…ヴィム……?」

 

待て、何故そいつの名前が今出てくる。

俺は立ち上がって話が終わったであろうシャルバに掴みかかる。

何故そいつが出てきた。

そういうことなのか、そういうことなんだな?

 

「おい…この手を退けろ」

 

「いいから答えろ。アイツなんだな…」

 

「…リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。聞き覚えがあるか、混ざり者のルシファー」

 

「っ、アイツか…!アイツが!」

 

手を離す。

怒りが沸き上がる。

またお前が奪うのか、リゼヴィム…!

俺の大切なものを、奪うのか!

 

─ごめんね、ヴァーリ

 

母を俺から離した時のように!

父が俺を恐れた時のように!

お前は…!!

 

─私は、好きだよ

 

ネプテューヌ…俺の、守るべき者。

守れなかった俺が…いるべきなのか…?

兵藤一誠にも言われ、彼女からも受け入れられたというのに、俺は…俺の誓いは…!

 

「何処へ行く」

 

「…俺に、資格は…」

 

「おい、若造」

 

シャルバは俺の肩を掴んだと思ったら俺の頬を拳で撃ち抜いた。

歯が折れるのではと思う程の痛みが襲うが、喪失感の方が勝ってるせいか受け身も取らずに廊下に倒れる。

 

「貴様はその程度か」

 

「…」

 

「答えろ、白龍皇。貴様はその程度であの女神を諦めるのか」

 

「…俺は…」

 

シャルバの言葉は、俺の胸を抉った。

何をしているんだと、ふざけるなと。

好敵手と定めた相手だからこそシャルバは信じているのか。

ネプテューヌはこの程度で死なないと。

 

…彼女は、弱いんだぞ。

泣き虫で、すぐに不安になって心が折れてしまう。

それを無理矢理奮い立たせる少女なんだぞ。

それを…俺は。

 

一人に、してしまっていた。

 

「後悔するなとは言わん、寧ろ腐るほどしろ。

だがな、守ると誓ったのなら一度守れなかったからと投げ出すんじゃない。想いの方向性を見失うんじゃない」

 

「想いの…方向性…」

 

「…こんなところで、腐ってる場合か。

何をすべきか分かるだろう?」

 

何をすべきか。

何を…してやれるか。

酷く重い体を起こして、立ち上がる。

 

…きっと、怖い筈だ。

 

「…すまない」

 

「いいから行け」

 

「…ああ」

 

『ヴァーリ…』

 

アルビオンの心配する声を聞き、何とか自身を奮い立たせる。

 

まだ、失ってない。

失うものか。

俺に出来ることをしなくては。

 

上の階へ行き、乱雑に開けられた扉の先へ入る。

 

そこには、酷く焦燥した顔のイストワールと顔を歪めるアーシア・アルジェントと兵藤母、少女。

 

そして、とても辛そうにしながらも眠っているネプテューヌの姿があった。

 

「…ヴァーリさん」

 

「頼む、傍に…いさせてくれ」

 

「…はい」

 

「…貴方がねぷちゃんの?」

 

「こんな形での挨拶ですがお付き合いさせていただいているヴァーリ・ルシファーです」

 

兵藤母は俺の自己紹介を聞いて、疲れた様子でも微笑む。

 

「そう……ヴァーリ君、この子をお願いね。多分、貴方が傍にいないと駄目だわ」

 

「…はい」

 

強い人だと確信する。

力でなく、心が俺なんかよりよっぽど強い。

現実を見れている…というのか。

 

少女は疲弊しているものの泣きそうになりながらネプテューヌの手を握っている。

 

「お姉ちゃん……」

 

「…君は」

 

「あ…すみません…その、ネプギアです…」

 

「ヴァーリだ」

 

ネプギア…そうか、シャルバの…

ネプテューヌは姉に当たるのか。

そうか……

 

「…すまない、ネプテューヌの手を握らせてくれ」

 

「分かりました」

 

「…」

 

まだ、暖かい。

辛いのは、お前自身だろうに…どうして俺に抱えられた時に微笑んだんだ。

俺は、泣きたいくらいだというのに。

 

だが、辛そうな顔をされるのは…俺も辛くなる。

 

イストワールが俺の近くにまで来て、ネプテューヌの髪を小さい手で撫でる。

 

「ヴァーリさん…」

 

「…イストワール、聞かせてくれ。ネプテューヌは…」

 

「…わかりました」

 

イストワールは伝えるのに戸惑っていたが、俺に聞かれると意を決したかのようにその重い口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「ネプテューヌさんはゲンザイ、シェアがありません。

むりやり、シャダンされている…そのようなジョウタイです」

 

その事実は、とても絶望的で。

ネプテューヌの手を握ってやる位しか出来ない自分がとても情けなくて…俺は

 

「…そう、か」

 

と一言だけ口に出すのでやっとだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

急いで家に向かう。

皆の声も耳に入らない。

ドライグの声さえも、俺には入らない。

 

撃たれた。

誰が?姉ちゃんが。

誰に?分からない、多分フリードじゃない。

どうして?知らない。

今どうしてるか?アーシアの治療を受けている。

 

…まただ。

 

またねぷ姉ちゃんの事を傷付ける奴が現れやがった。

 

ヴァーリもいるらしい。

守れなかったのか、とかそういうのはいい。

アイツが悪いんじゃない。

シャルバやネプギアもいるらしい。

多分、助けに来たんだろう。

 

違う、そうじゃない。

 

俺が知りたいのはそうじゃない。

姉ちゃんが無事なのかとか…そういうのもある。

だけど、そうじゃない。

俺に出来るのは治療じゃないから。

 

 

 

 

 

「誰が姉ちゃんをやった」

 




はい、この章はねぷ子に辛い状況になって貰います。
まあ、何とかなるさ、何とか。

・最後の一誠

やばい。
分かりやすくやばい。
この状態のヤバさはこの作品を見てる皆なら分かる筈。

・イストワール

イストワールはシェアが必要なんじゃなくてシェアが食事代わりになるだけ。
食事すれば普通に補給可能。

・ネプテューヌ

シェアがない彼女は何が出来るのか?
…まあ、次回かな
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