冥次元ゲイムネプテューヌ   作:ロザミア

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まだだ、まだ私の投稿はやれるっ!
逆境だ…必要なのは逆境なのだっ!!


明日を投げ出さない

帰ってきたネプギア達を出迎えた自分ことねぷ子さんはヴァレリーちゃんを急いで寝かせると、聖杯をおっちゃんが確認する。

 

「…ああ、間違いなくこりゃ『幽世の聖杯』だ」

 

「でも、どうして聖杯がここにあるのにヴァレリーちゃんは生きてるの?」

 

「それについてはもう当たりは付いてるぜ。

恐らくだが、聖杯は三つある」

 

「み、三つ!?」

 

聞くだけですごい聖杯が三つもあるの!?

ってことは…魂が三等分されてるってこと?

思ったことをそのまま疑問にしてみるとおっちゃんは難しい顔をしながらも頷く。

 

「魂が分けられてる状態で一つ欠けたならまだしも二つ欠ければ意識が無くなるのは当然だ。最悪死ぬこともあり得る。

そこは半分とはいえ吸血鬼なのが幸いしたってことだな」

 

「ん?二つ?」

 

「ああ、そこのギャスパーが持ってるのが抜き出された二つのうちの一つだ」

 

「……ユーグリット」

 

「そう、そいつが抜き取ったんだろうな。

つまり、それを戻しても意識が戻るかは…分からねぇってことさ」

 

「そ、そんなぁ…」

 

悲しみに暮れるギャー君を見て、心を締め付けられる。

…うん、もう一個ぶっ飛ばす理由が増えたね。

 

「えっと…お姉ちゃんは救える…んですよね?」

 

「そ、そうだぜおっさん!元の目的の姉ちゃんを助ける方まで駄目だったらそれこそ本末転倒だ!

どうなんだ?」

 

「ああ、ネビロスの野郎の言う通りだったよ。

聖杯一つでも相当な力だ…これなら呪いを払う程度訳ねぇだろう」

 

「よ、よかった…」

 

「…」

 

素直に喜べない。

自分が助かる前に、ヴァレリーちゃんを助けてあげたいって気持ちが大きい。

でも、今無力な自分にそれは出来ない。

 

なら…元の目的を優先して、その後リゼヴィムをぶっ飛ばして取り返すのが一番なのかな。

 

…うん、それなら急ごう!

 

「おっちゃん、すぐにお願いできる?」

 

「おう、と言いたいがあの施設に向かうぞ?」

 

「ネプテューヌのカオス化を使えるようにしたあの施設?」

 

「ああ、あそこにネビロスとシャルバを置いてきてるんだ。

俺とパラケルススはここにいろって言われたもんでな」

 

な、なるほど。

でも、おっちゃんも信用してるんだね。

もしかして、ネビロスとシャルバには何か共感するところがあったのかな?

それなら、早く行かないとね。

 

そう思ってると、お母さんが自分の方へやって来る。

 

「うちが狭く感じるなんてね。

…ねぷちゃん、治るのよね?」

 

「うん、治すよ!治ったら、元気なねぷ子さんの姿を見せるからね!」

 

「そうね…それと、女神化だったかしら?その姿も見せてね?」

 

「うん!」

 

「…皆、ありがとうね。ねぷちゃんの事、助けようと頑張ってくれて」

 

「いえ…そんな。私達もネプテューヌに助けられてばっかりですから」

 

「それでも、ありがとう。

…一誠、あなたも逞しくなったわね。お姉ちゃんを助けてあげられるくらい、強くなって」

 

「母さん…」

 

お母さんは皆に頭を下げた後に一誠を抱き締める。

本当に、強くなった。

心も、力も。

 

「アーシアちゃんも立派よ。うちに来た時よりもずっとね」

 

「お母様…」

 

「自慢の子達ね、三人とも」

 

心が救われるような、そんな言葉だった。

もっと言いたいこともあるだろうに、お母さんはそれを飲み込んで頑張ったと愛の言葉を送ってくれた。

…本当に、自慢の両親だ。

自分は恵まれ過ぎていると実感する。

 

「行ってらっしゃい、気を付けるのよ」

 

「うん!」

 

「おう!」

 

「はい!」

 

「うぅ…感動しました…!」

 

「パラケルスス…涙脆いな」

 

「あなた達は涙腺が無いんですか!?」

 

パラケの言葉も空しく皆は別に泣くことじゃないとばかりに出ていく。

あーうん…パラケはあれだね、貰い泣きとか良くしそうだよね。

それよりも善は急げだよ!

何か袋詰めされてもがいてる人がいるっぽいけど…うん、見なかったことにしよう。

 

一体何ウスなんだ…

 

そうして何かでかい車に乗って施設に向かう。

ヴァレリーちゃんにはギャー君が隣にいて、心配そうに見ている。

 

それから、特に会話もなく静かな車内で自分は窓越しの景色をただじっと見ていた。

本当に治るのかなと不安に思って隣に座るヴァーリの手をぎゅっと握る。

ヴァーリも分かってくれたのか握り返してくれて、それが嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

施設にやって来た自分達は待っていたというような顔のシャルバと相変わらず機械の体で手を振るネビロスに出迎えられる。

 

「聖杯は?」

 

「あるぜ」

 

『アザゼル君の言う通り、抜いても死んでないね。

へー…隅々まで調べたいねぇ?』

 

「ヴァレリーに手は出させません!」

 

『おー怖い』

 

いつになく強い言葉を発するギャー君に琴線に触れたかなとネビロスはからかうのをやめる。

シャルバは呆れた態度で自分のところにやって来る。

 

「貴様の呪いを解呪するが…痛みは伴う、覚悟は?」

 

「大丈夫だよ!」

 

「ふん、ならいい。おい、聖杯を持ってこっちに来い」

 

「こいつ…ヴァーリ以上に気に食わねぇぜ…!」

 

「ま、まあまあ…お父さんもお姉ちゃんが心配なんですよ」

 

「男のツンデレはキモいぜ」

 

「こら、一誠」

 

「はーい」

 

『はいはい、大人数で来ても作業が遅れるから大半はここで残ってね~』

 

「ネプテューヌ、そういうわけだから頑張るのよ」

 

「うん、大丈夫だよリアスちゃん!私よりもヴァレリーちゃんが心配だしね」

 

「自分の心配をしなさい」

 

コラ、と額に軽くチョップされた自分ははーいと伸びた返事をしてヴァーリに車椅子を押して貰う。

ネプギアには手伝いをして欲しいとのことで一誠とおっちゃん、自分とシャルバ、ネビロスと一誠の六人で治療部屋に行くことに。

うん、でも多いよね。

 

『解呪と言っても聖杯のエネルギーを利用して君の生命力を強化しての無理矢理な祓い方なんだけどね。

だけど、それくらいリゼヴィムの組んだ呪いは強大だ。

流石はルシファー、面倒事も強いのは勘弁願うよね?

まあ、僕とシャルバに任せてくれたまえよ』

 

「額を擦り付けて感謝することだな」

 

「お父さん!もう…絶対治るよ!安心してね、お姉ちゃん」

 

「うん」

 

「…不安か?」

 

「ううん、もうないよ。ありがとね、流石は私の彼氏」

 

「調子のいい彼女を持つと大変だよ」

 

「ギリギリギリ…」

 

一誠ぇ…

そんなに恨みがましく見られても。

それなら彼女さん作ればいいのになぁ…一誠は顔がいいし性格も悪くないんだからさ。

 

そんなこんなで着いた治療部屋は見覚えがあった。

これはカオス化を手にいれる為の部屋だった筈だけど…

装置も幾つか変わってるし。

 

『改造したよ。

ぶっちゃけ、照射するだけだし!』

 

「ぶっちゃけたなぁおい」

 

『隠す意味ないしね』

 

「あはは…じゃあ、私があっちにいけばいいんだよね?」

 

「おう、カオス化の時と同じだ」

 

「うん、分かった」

 

「まってください、ネプテューヌさん」

 

「いーすん?」

 

「……」

 

いーすんがネプギアから出てきたと思えば、少し黙った後に何かを決めた様子で自分の中へと何も言わずに入った。

…えっと、どうしたんだろう。

 

「心配なのかな」

 

「んー…そうか?」

 

『ほらほら、そんなことよりも入った入った』

 

「わわわ、押さないでよ~!」

 

何とか立ち上がって、扉の前に立っていたら押されて部屋の中に入れられた自分は扉の奥のネビロスを睨み付けてから装置の前に立つ。

前はロキ。

今回は…ヴァレリーちゃんの聖杯。

しっかりと話がしたいから…その為にも自分も治さないと。

 

後回しにするようで嫌だけど、さっさと済まさないとね!

装置の中に入る。

 

『準備はいいかな?さっさと終わるからね!』

 

─ネプテューヌさん

 

ネビロスに返事をしようとした時、いーすんが話し掛けてくる。

 

(あ、いーすん。どうしたの?)

 

─…私も、成長の時なのかと、思いました

 

(えっと…?)

 

─あなたが前に進むために、私も一助になるために。そして、私自身が今よりもあなたを助けられるようになるために

 

(…ぁ)

 

聖書の神様の送ってくれた言葉を思い出す。

 

いーすんと自分、二人の意思が成長することでようやく戻れる。

…そっか、いーすんも決心が着いたんだ。

 

─ですが、あの姿に…私は至って欲しいとは思いません

 

(え、なんで…?)

 

─あの姿は、きっと先はないのです。私には分かります。先のない未来を、私は求めてしまっていたのです。ですが…それを求めるのは間違いだった。私はどこかであの方を待ち望んでいたのです

 

(でもそれは、昔の相棒だったから…)

 

─あの方は亡くなったのです

 

(…)

 

はっきりとそう言ういーすんに自分は何も言えなかった。

もういない者を求める。

それはよくないことなんだと気付いたいーすんははっきりと。

 

─あなたはあの方ではありません。もっと別の未来へ、進化する姿になれる筈なのです

 

(いーすん…)

 

─私は、それが見たい。私を見つけてくれたあなたに、過去の遺物でしかない私が出来るのはこんなことしか出来ません

 

(そんなことないよ。いーすんはいつでも私を助けてくれた。

一番の相棒だし、家族だよ!だからこんなことって言わないで)

 

─…はい

 

柔らかな声。

それから、いーすんは静かになった。

…聖杯のエネルギーをいーすんにも回す。

多分、自分への負担はないと思う。

 

いーすんが心配だけど、大丈夫。

自分の相棒はそんな柔じゃないよ!

 

『もしもしー?』

 

『おいネプ子、大丈夫なのか!』

 

「あ…大丈夫!さあ、私に撃てぇ!」

 

『はいはーい』

 

『姉ちゃん、無理そうなら言うんだぞ!』

 

「OK牧場!」

 

『古い』

 

ピシャリとシャルバに言われて、そのまま装置が動き出す。

あ、ノリ悪い。

上を見ると、光が自分へと降り注ぐ。

きっとこれが聖杯のエネルギーだ。

 

そうして、光が自分を包み込んだ瞬間だった。

 

 

 

「…く…ぅ!?」

 

ドクン、と心臓が驚いたように跳ね上がる。

体全体の熱が急激に高まったような感覚。

立っていられない程胸が痛い。

 

気を抜けばそのまま気を失ってしまいそうで、手放したくなる。

 

…駄目だ、それは駄目だ。

これは拒絶したら治療できなくなる類いの奴だ。

 

それに…いーすんの為にも、ねぷ子さん、頑張っちゃうからね…!

 

何とかガラスの壁に手を付けて立ち上がる。

 

『お姉ちゃん、大丈夫!?』

 

「ばっち…ぐー…!心配して…くれる、妹が、愛おしい、よ!」

 

『もう少しだ、耐えろ』

 

頭が割れそうな位痛い。

体から何か飛び出すんじゃないかってくらい胸が痛い。

動悸が激しくなる。

表現変かもだけど、呪いが暴れてるんだ。

 

─ネプテューヌさん

 

「いー……すん……」

 

─大丈夫、もうすぐです。そして……私も、変わる時です

 

「う…ん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身体中が痛いだろうに、ネプテューヌさんはそれでも苦しげに微笑む。

…私だけ、変われていない。

聖書の神の言葉の意味を分かっていた。

分かっていた上で、私は…自身の変化を恐れた。

 

あれほどネプテューヌさんに言った自身が、である。

それでも私は怖かった。

今の私はあの方と共に過ごし、あの方の終わりを見届けた私だから怖かった。

…ですが、変化しなくてはならない時が来たのでしょう。

 

ネプテューヌさんの更なる進化の為、何より私という史書がよりお役立ちするために。

 

今の私とは、別れを告げなければならない。

いつまでも過去を引きずる私であってはいけない。

未来を共にすると決めたのなら、後ろ向きで歩くわけにはいかないのです。

 

随分と長くお待たせしてしまった。

だというのに怒ってすらいない。

 

私だけでもこれは戒めとしておかないといけません。

行動が遅いのは…私の欠点です。

 

聖杯の力を使って、私もまた一歩を歩み出さないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が収まると同時に、体の重さが消える感覚。

そして、マグマが煮えたぎってるんじゃないかと錯覚する程の熱も消えていた。

それに…感じる。

 

皆の、シェアを…感じる。

 

その事実が嬉しくて、その場でへたりこんでしまう。

大切なものを放さないように自分の体を抱き締める。

やっと戻れたような気がする。

さっきまでの自分は、弱い自分をずっと浮き彫りにしていたようで嫌だった。

シェアが、自分を包んでくれるような感覚。

 

「ネプテューヌさん」

 

自分の中から現れたいーすん。

いーすんも少しだけ変化していた。

帽子が目玉模様じゃなくて自分の服にもあるNのマークがあって、翼が消えてスラッとした感じになって…

 

いーすんが微笑む。

 

「無事、解呪に成功しましたね。私も変われたと思うのですが…どうでしょう?」

 

「…い」

 

「い?」

 

「いーすんが漢字使ってるぅぅぅぅぅ!!?」

 

「はい、使ってます!」

 

二人で喜び合う、漢字を使えてることと、自分を完治を。

よかった!でも顔文字表記ともおさらばかぁ…

 

『おーい』

 

「あ、ごめん」

 

『いやいや、皆安心してるからむしろもっと喜びなよ。

でもその前にヴァレリーだっけ?その子に聖杯を戻さないと』

 

『ネプ子、イストワールも…よく頑張ったな。戻ってこい!』

 

「うん!」

 

「ネプテューヌさん、これからも…よろしくお願いします」

 

「よろしくね、いーすん!」

 

いーすんとのコミュがランクアップ!

これでねぷ子さんもペルソナ使いに!

 

「なりませんね」

 

ならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖杯を持って、皆の元に戻る。

ちなみに、部屋を出たときに感涙した一誠よりも先にヴァーリに抱き締められた。

一誠?スッゴい形相で舌打ちしてたよ…

 

皆がしっかりと歩いてる自分を確認すると嬉しそうに顔を綻ばせる。

 

「ネプテューヌ!」

 

「成功したんですね!」

 

「うん!今から聖杯をヴァレリーに戻すよ」

 

「お、お願いします!」

 

神器を戻す。

あーちゃんの時もやれたそれはヴァレリーにも適用された。

聖杯をヴァレリーの胸元に置くと聖杯が所有者だと認識したのか体に溶け込んでいった。

 

…けれど、二つしかない現状じゃ目を覚ますことは無かった。

 

「…やっぱり、駄目なんですか…?」

 

「……いいえ」

 

「パラケルスス…?」

 

ヴァレリーに触れたパラケが駄目ではないと断言する。

その表情は、今まで見た中で一番…様になってるというべき表情だった。

 

「脈が復活している。魂が三つの内二つになったから意識は回復しないけど…生命活動自体は先程よりもしっかりとしている。

…アザゼル総督、私の今から頼むことを…どうか聞いてくれますか?」

 

「…お前さんは絶霧を追憶の鏡と接合できる程の腕を持ってる。

その言葉は重要だと判断するぜ、言いな!」

 

 

 

「─教会にある本物の聖杯…その欠片を持ってくるように天使陣営に話を通して欲しいんです」

 

 

 

『なっ…!』

 

自分みたいなその事がよく分からない人を除いた全員が驚く。

まるで、なんでそんなことを知っているのか気になるように。

おっちゃんまで驚いている。

 

どういうこと?聖杯は『四つ』あった!?

 

驚愕冷めやらぬといった様子でパラケに詰め寄るおっちゃん。

 

「おいおい!何でお前さんがそんなことを知ってやがる!?

仮にあるとしてそれは…教会の最重要機密じゃあねぇのかぁ!?」

 

「ええ、ですが私は見たことがあるのです。一度だけ、本当に一度だけ…その欠片を、私は見たことがある」

 

「どうやって見た…?」

 

「昔の仕事です、錬金術の、ね」

 

「…なるほど、よく消されなかったと言うべきか。

俺はお前さんを見くびっていたぜ…だがその認識を改める。

お前さんはその記憶をしっかりと保持していた、敬服したぜ。

分かった、ミカエルには俺が話をつけてやる」

 

「お願いします」

 

おっちゃんが忙しいとばかりに携帯を取り出しながら去っていった後、自分は感動してパラケに抱きつく。

 

「パラケー!」

 

「め、女神様…!な、何か粗相を…」

 

「ううん!凄いよ!一気に解決策出しちゃって、やっぱりパラケは凄い人だよ!」

 

「でも、どんな仕事だったの?教会からの依頼でしょう?」

 

「ええ…代々、私の家系は錬金術を生業としていますからそういった方からの依頼も珍しく無かったんです。

…あの時は、私も断念しました」

 

「え、気になる!どんな内容?」

 

「聖杯の復元です」

 

「え゛っ」

 

「チラリと見たとかじゃなくてガッツリ当事者だった件について」

 

でも…教会からの正式な依頼、それも大事な聖杯の復元なんていう凄い依頼を貰った経験があるパラケって凄いのでは?

…これからは、先生って呼ぼう。

 

「でも…私は復元しませんでした」

 

「出来たの?」

 

「恐らく、復元する事は可能でしたが…あれは人だけでなく、人ではない者全てに良くない。錬金術師は物を見る目がないといけません。一目で分かりました、これは完全な形に戻してはいけないと…

実際、神器でしかない聖杯もあれ程の力があるのです、本物の力は想像もつかないでしょう。

あれは、欠片であることが世に一番でしょう」

 

賢者のように、真実を知っているように話すパラケは錬金術師として高位の存在なんだと思わされる。

だから、余計に嬉しい。

頼もしい仲間っていうのもだけど、思慮深い人はこのメンバーで必要だからね。

 

「まあ、通るかは分かりません。

聖杯は教会にとってもそう易々と渡せるものでは…」

 

「許可取れたぞー」

 

「おー!」

 

「…あれ?」

 

「パラケルスス…ミカエル殿は妹に甘いらしい」

 

「曹操…あなたも苦労したのね」

 

「お前も要因の一つだぞ」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい…!」

 

「ミカエルの野郎、護衛を連れてこっちに来るってよ」

 

「ミカエルさんが来るの?」

 

「心配なんだと。トップの自覚あんのかね?」

 

「「「お前が言うな」」」

 

「あーあー聞こえねー!」

 

まあ、おっちゃんはサボりにサボったツケだよね。

甘んじていじられるべきだとねぷ子さんは思うから何も言わないよ。

 

それから、ミカエルさんが来るまで施設で待つことにした。

 

いーすんがバージョンアップしたことは皆からしても興味深かったようでネビロスとおっちゃんなんかは詰め寄りそうだったからリアスちゃんと一緒に止めた。

 

そして、外の扉が開く。

音で気付いた皆が立ち上がってやってくるであろう人を待つ。

 

「無事治ったという報せを聞きましたが…何よりです、ネプテューヌさん」

 

「はーい、ネプテューヌ!元気?」

 

「え、イリナちゃん!?」

 

「イリナ…来たのか」

 

「ストラーダ卿に頼もうと思ったのですが、どうしてもと言われまして」

 

イリナちゃんがアタッシュケースを持ちながら手を振ってくる。

わあ、イリナちゃんだ!

本当に久しぶりだなぁ…というか、また強くなった?

 

「元気そうね。…あー、ちょっとごめん」

 

「うわわ!?」

 

アタッシュケースをテーブルの上に置いた後、自分に抱き付いてくるイリナちゃんに慌てる。

 

「ごめんね、大変な時に力になれなくて」

 

「…気にしないでいいよ。それに、今から助けてくれるでしょ?」

 

「それは勿論!ミカエル様の護衛はここまでだから、今からはネプテューヌ限定の何でも屋になったげる!」

 

「ん?今何でもするって言ったよね?」

 

「何でもするとは言ってないわ」

 

「あ、私の護衛ついでだったんですね…」

 

「そ、そんなことないですよ!?」

 

「ええ、分かってます」

 

しゅんとなるミカエルさんに慌てて否定するイリナちゃん。

その後演技だったようでホッとした後はヴァレリーちゃんを二人とも見る。

 

「『幽世の聖杯』ね…そりゃ、見つかる筈もないわね」

 

「ええ、まさかハーフとはいえ吸血鬼の少女が保有していたとは。…では、聖杯の欠片を埋め込みましょうか」

 

「本当にいいの?大事なものなんじゃ…それに、教会の人から非難されない?」

 

「まさか、説得はしましたよ。ええ、それはもう丁寧に。

あなたから貰った恩や私達のしでかした事を考えれば、これぐらいの事は」

 

「でも、教会の事、皆が悪いって思わないでね?

管理不足だったとはいえ、主の為にって誠心誠意働いてきた人もいるから…」

 

「トウジさんみたいにいい人もいることは皆知ってるよ!

大丈夫だよ、ね?皆!」

 

「…はい、教会は許しませんけどいい人はいると思います」

 

「あ、あはは…中々ズバッと言うわねこの娘…」

 

パンドラの言葉は重みがあってイリナちゃんも苦笑い。

まあ…イリナちゃんみたいなタイプは教会だと珍しいのかな。

信仰はしてるといえばしてるけど、みたいな感じ。

 

ミカエルさんが会話を打ち切ってから、アタッシュケースを開ける。

そこにあったのは文字通り、欠片だった。

聖杯のとは分からない欠片。

…でも、何か強い力を感じる。

 

─間違いなく、聖杯の一部です

 

「いーすんも本物だって言ってる」

 

「流石に私が持ち出しましたからね、差し替えはあり得ません。

これを埋め込みますが、成功するかは分かりません。それだけは留意してください」

 

「は、はい。どうか、ヴァレリーをお願いします…!」

 

「承りました」

 

ミカエルさんが欠片を手に取り、ヴァレリーちゃんへと持っていく。

そして、近くに来たと思ったら欠片が光りだした。

共鳴、してるのかな?

 

「…聖杯同士、本物とコピーといえど同じ。こうも反応するのならば…!」

 

そのまま、欠片をヴァレリーちゃんへと押し当てる。

ミカエルさんが何かを呟くと、欠片はみるみる内にヴァレリーちゃんの中へと入っていく。

 

「…これで意識が戻るかどうか」

 

「ヴァレリー…」

 

皆が緊張した面持ちで車椅子に座り、眠るヴァレリーちゃんを見る。

そして…

 

 

 

「─……ん………こ、こは……?」

 

 

 

重い瞼を少し開けて、周りを見るヴァレリーちゃん。

意識が、戻ったんだ…!

ギャー君が堪えきれないように泣き出す。

 

「やった…!成功です!」

 

「よっしゃ…よっしゃー!」

 

「き、緊張したわ流石に…」

 

皆が皆、喜んでいる。

ヴァレリーちゃんは起きたばかりで状況が読み込めないから、あーちゃんとパラケが容態のチェックと一緒に簡単な説明をしている。

 

ミカエルさんはただ一人、天井を…ううん、それよりもっと上の空を見上げて一言呟いた。

 

「…これが、正しい行いなのでしょうか」

 

「ミカエルさん…」

 

「…すみません、まだ怖いようです。

自らの意思で決定するのは、難しいものですね」

 

「ううん、ミカエルさんは決められたじゃん!

大丈夫、神様も笑顔でグッジョブって言ってくれるよ!」

 

「だと、いいのですが」

 

それから、騒ぎすぎて五月蝿いとあーちゃんとパラケに怒られた自分達は別の部屋に移ったヴァレリーちゃんたちを見送った。

ちなみにギャー君同伴。

 

…うん、これで再スタートだね!

 




ヴァレリーとネプテューヌ、二人の復活とイストワールの成長。
紫藤イリナも交えてリゼヴィムをどうするかを話し合う。
そして、ネプテューヌはその夜、夢を見る。
巨大で、荘厳な龍が語りかけてくる夢を。
そして姉に憧れるネプギアもまた、一歩を踏み出す。

次回、『夢見る女神、一歩の勇気』

マリウス「私は?」

裏で情報絞られてます。可哀想…でもないな。
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