あれから、二時間ほどの精密検査を受けたヴァレリーちゃんは後は安静にしていれば回復はすぐという診断をパラケから言われて無事に終わった。
自分もそんな感じだったけど…
ただ、前と違うのはシェア以外にも自分の力が何だか滾るというか、なんと言いますか。
明らかなパワーアップを感じる。
いーすんも、声が少し低くなって大人の女の人の声って感じ。
ヴァレリーちゃんは最初何があったのか分かるのに時間がかかったけどギャー君とあーちゃん、パラケの丁寧な説明で一応の把握は出来たみたい。
ヴァレリーちゃんが車椅子に座った状態で頭を下げてくる。
「この度は助けていただいてありがとうございます。
改めて、自己紹介を。私はヴァレリー・ツェペシュ、人と吸血鬼のハーフです」
「お礼なんて…私達は利用したようなものだから…」
「僕からも、ありがとうございます!」
「ギャスパー君までっ」
「ま、いいじゃねえか!俺達は姉ちゃんとヴァレリーが助かったって結果を得られたんだぜ?これが一番の上がりじゃねえのか?」
「まあ、確かにそうだね」
「…すみません、空気を壊すようで悪いのですが、いいですか?」
ミカエルさんがそう言うと、皆話を聞く姿勢になる。
どうしたんだろう。
「ヴァレリーさんに埋め込んだ聖杯の欠片…あれは延命措置のようなものに過ぎません。魂の一部を抜き取られたのを同じ性質で埋めても、魂の形までは似ない…リゼヴィムから取り返さない限り、ヴァレリーさんは真に助かったとはいえません」
「…その通りね」
原因のリゼヴィムとその仲間がどうにかなった訳じゃない。
リゼヴィムを倒さないと解決には程遠い、と現実を優しく突きつけてくれたミカエルさんに感謝だね。
ちょっと浮かれちゃったかも。
そこから、改めてマリウスに話を聞くことになった。
袋から出されて座らされて厳重に拘束されたマリウスは苛立った様子だった。まあ、そりゃそうだよね…
「マリウス、ユーグリッドと何故繋がりを得たのかを話なさい」
「するとでも?」
「お兄様」
「…なんだ、聖杯」
「テメェ、その言い方!」
「いいんです。お兄様、話してくれませんか?
お兄様も謀られた身の筈です。敵の情報程度、渡しても…」
「…ならばお前はどうなのだ。お前をそうしたのは私だぞ」
「恨んでませんとは言えませんが…許します」
「なに…」
「許す代わりに、話してください」
「馬鹿なのか?」
マリウスのヴァレリーちゃんへの発言は刺がある。
聖杯としか見てないかと思ったら別の感情が見えそうだったり…でも、すぐに隠される。
何だろう。
ヴァレリーちゃんもこんな目に遭ったのにマリウスを許すからその代わり全部話してといっている。
自分が言うのも何だけど簡単に許せるもんなんだね。
「お兄様は私よりもずっと賢い方です。
私の聖杯の性質を理解して…それでも使おうとしたんでしょう?」
「…私は聖杯の研究がしたかった。それだけだ!
その為に、周りの馬鹿どもが五月蝿かった。だからああしたのだ」
「まあ、私のことをそんな目で?変態ですのね」
「何を言って…馬鹿者が!嫁入りもしていない馬鹿、それも貴族がそのような発言をするな!」
「でも、その通りでしょう?お兄様、
「誤解を招く言い方はわざとか!貴様、ヴァレリー…周りから隔離された弊害か!?」
「あ、名前で呼んでくださった」
「黙れ聖杯!」
「話してくれたら、やめてあげます」
何か悪戯好きの妹と悩まされる兄の構図が出来てるけど、ヴァレリーちゃん強い。
マリウスもイライラしながらも返してる辺り別に嫌いという訳じゃないのかもしれない。
…兄妹らしいし、もしかしたら昔は普通だったかも?
ウンザリしたように舌打ちした後、こっちに顔を向ける。
「これ以上この馬鹿に付きまとわれるとこちらが持たん。
いいか、一度しか話さんぞ」
「テメェ拘束されてるって理解して?」
「いいのか?別に喋らなくてもいいんだぞ?」
「え、喋ってくれないんですかお兄様?」
「…是非、話させて貰おう」
「おいたわしや、兄上…」
そこからマリウスによって語られたのは難しい事じゃなかった。
ヴァレリーちゃんの『幽世の聖杯』を研究するのに自身の地位と周りの視線が邪魔に感じていたマリウスの所へユーグリッドが現れ、取引を持ちかけられた。
内容は『聖杯を一つ譲っていただきたい、その代わり目障りな周りを消してあげよう』という物。
譲るのではなく、貸すのならという条件で手を取り合った二人は早速聖杯を利用して周りの吸血鬼を活性化させ、手中に置いてクーデターを開始。
そうして満足な研究環境を手に入れたマリウスは没頭しようとしていた時にユーグリッドによって周り共々意識を失う。
気付いた時には一誠達が現れて聖杯の一つを奪われて周りの吸血鬼も消されていた。
「忌々しい…契約は絶対という悪魔はなんだったのだ!」
「いいえ、違うわね。ユーグリッドは契約を守ったわ」
「何だと?」
「文字通り、周りを消してあげたでしょう?
手段は問われなかったし、契約を終えた彼のその後の行動に何の制限も無かった。それがいけなかった」
「…チッ」
リアスちゃんに反論されて舌打ちだけしたマリウスはそれ以降喋ることはなかった。
ヴァレリーちゃんも利用されただけという事実を改めて認識したようで少し暗い表情だった。
「マリウス、これからあなたの聖杯の知識を存分に利用させて貰うわ。リゼヴィム達がどう利用してくるか…それへの対抗策として今度はあなたが利用されるのよ」
「……好きにしろ」
「あら、素直ね」
「喧しい妹がいるのでな…」
「ああ…」
こうして、マリウスの一件については一応の片が付いた。
ヴァレリーちゃんも安静にしないといけないからまた別室で寝かされる事に。
そして、残った皆で話し合い。
「まず、リゼヴィム側の戦力についてだが…」
「本人とユーグリッド…それだけじゃないのは確かだけど判明しているのはここまでね」
「とてもじゃないが、それだけであんな大それた行動をするとは思えん。もっと仲間がいるのは間違いない」
「仲間か…」
頼光の発言に曹操が考えるように仲間という言葉を言った。
どうやら、そこが引っ掛かるようだけど…
「本当に仲間なのか?」
「どういうこと?」
「簡単な話、あの男からしたらどんな相手も平等に嘲笑を向ける対象だ。そんな男が仲良しこよし…利害の一致と言えど勝手を許すだろうか」
「ユーグリッドはどうすんだよ?」
「そう、そこだ。あの男について一つの疑問となったのはそこなんだ。
どうやってユーグリッドと繋がりを得たのか、ではない。
何故ユーグリッドがアイツと組んだのか…それが気になる」
「それは、超越者だから?」
「いいや、それはないだろうな。
初めから知っていたのだとしたら…リゼヴィムがどのような人物か多少知っていた筈だ。なのに接触したのだとしたら…」
「…精神的余裕が無かったとか?」
イリナちゃんに皆の視線が行く。
何となしで呟いたのか恥ずかしそうに手をブンブンと振るイリナちゃん。
「あ、いや…今のなし!」
「いや、確かにあり得る」
「え、通るの?」
「姉であるグレイフィア・ルキフグスがサーゼクス・ルシファーと交際したことによってユーグリッドが離れたのは間違いない。
とすると…接触する余裕すらなかった可能性も浮上するのか?」
「やっぱリゼヴィムがやったってことか?」
「つけ入る隙はいくらでもあっただろうな。
しばらく匿ったのか…?」
「仲間として、でなく、駒として迎え入れたのかしら」
「…なるほど、もしかすると俺達は何手か先を行かれてるのかもしれないな」
『ま、情報が無ければそんなもんだよね』
「あ、ネビロス」
ヴァレリーちゃんの容態をもう一度チェックしに行ったネビロスが戻ってきてそんなことを言ってきた。
『彼をマトモに見るのはよろしくない。
マトモであればあるほど彼の精神性は毒だろうね』
「どゆこと?」
『打算もあるかもだけど、彼は刹那的な快楽主義な面があるからね~どう転んでも楽しいんじゃない?』
「イカれ野郎だな」
『まあ…彼の悪魔は悪であるべしって考えは僕も少し共感できるよ。その理念の元で動いているかもしれないし、動いてないかもしれない。ただ言えるのは…居場所を掴めてない以上はこっちは備えるしか出来ないってことさ』
「備える?」
『そそ。もし彼が聖杯で何かを復活させるとしたら考えうる限りでも最悪な部類だろうしね』
「おいおい…まさかとは思うがよぉ」
何か察しがついたのかおっちゃんとミカエルさんの顔が歪む。
不愉快だとばかりに。
ネビロスはその考えを肯定するように頷く。
『邪龍を復活させるんじゃないかな?』
「邪龍って?」
『命なぞ二の次、戦い、悪行を最優先する頭のネジが飛んだ力だけはある龍、それが奴らだ』
『肉体すら失った奴らが復活すると?』
アルビオンとドライグの疑問はもっともだ。
肉体がないのに復活できるの?
『そりゃ、聖杯なら可能だよ。ネプテューヌちゃんの解呪だって出力はかなり下なんだからね』
「チートやんけ」
「おめぇが言うなシスコン野郎」
「…じゃあ、邪龍が復活したらどうなるの?」
『まあ…邪龍対三勢力かなぁ』
「加えて、戦う場所を選ばん奴等だ」
「人間界で戦う可能性もあるってことか」
「それいつも通りじゃ…」
『相棒、そういうことはな、胸の内に秘めておくんだ』
「あ…はい」
漫才は放っておくとして…邪龍かぁ。
どうするのが正しいんだろう?
もしかしたら、言葉すら通じないかもしれない。
そうなったら…自分はどう選択するんだろう?
その時にならないと分からないけど、そんな不安が胸に残る。
皆もそれは同じようで表情に影が差す。
「今ではない。それは確かだ」
「お父さん…それまで強くなれってことですか?」
「そうだ、私も…貴様らも。全員が力を付けねばあの超越者に一泡吹かせることもままならんだろう」
特に、と自分へと視線を向けてくるシャルバ。
「女神、貴様が奴と話をするというのならな」
「…リゼヴィムは私のこと嫌いかな」
「さてな。全てを嫌悪している可能性もある」
「なんで?」
「奴が悪魔だからだろう」
「ちょっと、どういうことかしら」
「若い悪魔たる貴様には分からんだろう。
悪魔とは本来、契約を除けば邪悪なる存在。
寧ろ、奴の方が元来正しいのだ」
「旧い思想だこと。その結果が今の悪魔の現状でしょう」
「ならば、貴様が革新するのだな」
話は終わりとばかりにシャルバは出ていく。
ネプギアは何か思うことがあるのかついては行かなかった。
ネビロスは残るらしい。
「取り敢えず、帰ろっか?お母さん達にも元気な姿を見せたいし!」
「そうだな、考えても仕方ねえ!鍛えるにしても悩んでたら伸びねぇよ!」
「そうだね、確かにその通りだ」
一誠と木場君の肯定に乗るように皆帰ることに。
…うーん、強くならないと、かぁ。
自分の新しい姿もよく分からないし…うーん。
あ、そういえば聞くことがあるや。
「勿論、ヴァーリも泊まってくよね!」
「いいのか?」
「問題ないよ!」
「そうか…そうさせて貰う。世話になる」
「美猴とアーサーとルフェイはどうするにゃ?」
「三人には既に話している。
俺が居なければ固まるなりして過ごすようにと」
「あら、そう」
ヴァーリが来てくれると聞いて少し安心する。
もし、自分の知らない場所で倒れたら怖い。
リゼヴィムが自分だけではないとはいえ大切な人を傷付ける可能性は十二分にある。
でも、居てくれるなら安心だよね。
…うぅ、何か拘束系彼女みたいでやだなぁ。
それから、自分達は家に帰るべく車に乗ることに。
頼光達は少し独自で動くとのことでその場で別れた。
パラケも今度こそついていくと頼光に詰め寄って言うと困惑しながら了承する頼光が見れたからヨシ!
・
・
・
帰ってきたネコ!
この元気で素晴らしいねぷ子さんをお母さん達に見せないとね!
あ、その前に…
「姉ちゃん、どうしてそこで立ってるんですかね」
「ほら、お母さんに約束してたからそれをね?」
「仕方無いなぁ…女神化承認!」
「ファイナルフュージョン!」
「するならさっさとしなさい!」
「は~い」
じゃあ、さっさと女神化しちゃおう!
シェアを感じる!体が軽い、こんな感覚は初めて…じゃないけどもう何も怖くないね!
「じゃあ、久し振りに女神化!アクセス!変身!起動!」
「該当するワード全部言うまでしない気?」
リアスちゃんのジト目が炸裂して耐えきれなくなって女神化する。
おお…このプロセッサ!このボディ!
これこそ自分!
復ッ活ッ
ねぷ子さん復活ッ!ねぷ子さん復活ッッ!!ねぷ子さん復活ッッッ!!!
「ふぅ…どう?変なところないかしら?」
「無いぜ!」
「お姉ちゃんの女神化…ちゃんと見たのは初めてだけど…凄い綺麗だよ!」
ネプギアの誉め言葉にそういえばしっかりと見せたこと無かったと思って頭を撫でる。
うんうん、妹の頭を撫でるのもしてあげてなかった。
あ、結構サラサラ…
「じゃあ、早速お母さんに見せないと」
「おう。母さん、帰ってきたよー」
玄関に入った後、一誠の言葉に奥から少し駆け足でお母さんがやってくる。
「おかえりなさい皆…あら?」
「ただいま、お母さん」
「ねぷちゃんなの?」
「ええ、正真正銘、ネプテューヌよ。どう?」
お母さんが目を擦った後、再度自分を見る。
現実だと理解した後、自分の手を握ってくる。
握り返したら、顔とか髪とかもペタペタ触られる。
「…」
いつの間にか品定めするような形に…
「…ああよかった、ねぷちゃんだわ…」
その後、しっかりと抱き締められる。
久しぶりにお母さんに見せた女神化。
自分もしっかりと抱き締める。
背丈も、お母さんより少し大きいくらい…うん、女神化が久し振りだから少し新鮮。
「おかえりなさい」
「ええ」
「もう元気?」
「元気よ」
「よかった…」
それから、女神化を解除して一旦解散ということで皆色々と気持ちや考えを整理するために帰っていった。
ネプギアとヴァーリは泊まるって聞くと嬉しそうに了承してくれた。
ちなみに…
「我、待機組だった故暇だったドラゴン。
羨ましさによってお泊まり申す」
「よいぞよいぞー!」
「にゃー…」(寝る場所困りそうね…)
オーフィスは寂しかったようで泊まる宣言。
今日はいっぱい居るなー!
あ、ご飯どうしよう…?
席とか、大丈夫かな?
結果として、どうにかなったけど、少し狭かった。
そんなのもたまにはいいかなって皆で笑った。
ネプギアは少し、思い詰めた様子だったけど…
お風呂は大変でしたね…はい。
それで、後は寝るだけになって少し喧嘩が始まった。
主にあの二人の。
「イッセーさんは許しませんよ、ねぷ姉ちゃんと寝るなんて!」
「看病してる時もしたが?」
「はー?それとこれとは話は別ですし?不純異性行為ですよ?」
「羨ましいのか?残念だったな」
「う、羨ましくねぇし?何なら俺は一人でいいし?」
「ごめんなさい、一誠さん…人数も人数なのでそっちで寝ていいですか?」
「問題ないぜ。大体ヴァーリ君は躊躇無いですよねぇ?」
「甘えてくる彼女が可愛いものでつい」
「ついじゃないですよね!」
ちょっとヒートアップが激しくなりそうだったからそろそろ口を挟もうと思ったらお母さんが
「一誠?」
「母さん、母さんもどうかと思うよな!」
「今日一日は許してあげなさい。ねぷちゃんの為にもね」
「何ぃ…ぐぬぬ……お、覚えてろ!」
「あ、待ってくださーい!」
悔しげな一誠が自分の部屋へと逃げていって、ネプギアもついていった。
あーちゃんは終始傍観していて、終わった後にあははと苦笑する。
「仲良いですよね、ヴァーリさんとイッセーさん」
「良くないが」
「男同士の友情なんてそんなものよ。オーフィスちゃんは私達と寝るから問題ないわ。ねー?」
「ねー」
お母さんはオーフィスが気に入ったようで可愛がっていた。
オーフィスも満更どころか嬉しそうだったし…善きかなって奴だね。
そうしてあーちゃんとヴァーリ、自分で寝ることになった。
黒歌は英雄派の皆のところに行っちゃった。小猫ちゃんのところに行けばいいのに。
・
・
・
それで、寝たと思ってたんだけど…
何か、変な場所に立ってるんだよね。
しかも、誰も居ないし。
うん、ここ何処?
誘拐事件?異世界来ちゃったかー…
「…じゃなくて!本当にここ何処!?ベッドは?私の快適睡眠タイムはー!?」
そうやって叫んでいると、それに答えるように
『突然の呼び出し、申し訳無い』
「ほあっ!?」
そんな厳つい声と共に、それが自分の前に姿を現す。
赤くて、巨大で、二対の翼を持ったドラゴン。
…え、あの、何の用で…?
もしかしなくても、多分あれだよね?
「ぐ、グレートバリアリーフさん?」
『すまない、その世界最大のサンゴ礁地帯ではない。
私はグレートレッド…と呼ばれている』
「あ、あーうん…そうそう、グレートレッド。
ってほぁぁぁぁぁぁ!!?
どうして私を!?オーフィスとつるんでるから?」
『そうではないのだ、女神…いや、ネプテューヌよ』
「あ、はい…」
否定してくれてよかった!危うく冥次元、完!ってなるところだった!
グレートレッドは申し訳無いという様子で自分に語りかけてくる。
『君を呼び出したのは他でもない。
報せと、釈明のためだ』
「報せと、釈明?」
『そう、一つは君に対して、もう一つはオーフィスについてだ』
「えっと…うん、どうぞ」
座り込むと、少しゴツゴツしている。
うーん、地面。
『では、一つ目だが…』
『─君はいずれ、私やオーフィスと同じ位置に来るだろう。
「え…?」
・
・
・
眠れなくて、ベッドから体を起こす。
…強くならないといけない。
そう言われて、どうすべきだろうと悩む。
このまま、お父さんと共に鍛えるべきか、皆さんの輪に入って鍛えるべきか。
私はお姉ちゃんを越えるためにお父さんが生み出した女神候補生。
…それは納得してる。
でも、本物の強さを私は持ってない。
それじゃ、お姉ちゃんを越えるどころか皆さんの足を引っ張ってしまう。
皆さんは、どうすべきかを理解してるようだった。
ううん、方針を決めようとしているようだった。
私はそれすら出来てない。
「眠れないのか」
「あ、一誠さん…起こしちゃいましたね」
「うんにゃ、俺も少しな。悩んでるのか?」
「え、どうして…」
「そりゃ、飯食ってる時に思い詰めてたり、元気無さそうな今のネプギア見てたら分かるよ」
「…すみません」
「謝ることじゃないだろ?相談乗るぜ、前に乗ってくれたから、その恩返しってことで」
起きた一誠さんは私の悩みを聞こうとしてる。
…話した方がいいかな。
私は思いきって、どう強くなるべきかを話すことにした。
周りがどうすべきか分かってるのに、私だけ置いていかれてるようで…
一誠さんは一通り聞いてからなるほどなぁと一言。
「んー、ネプギアはどうして強くなりたいんだ?」
「えっと…それは、お姉ちゃんを越えたいから」
「憧れてんだな、姉ちゃんに」
「はい、お姉ちゃんは…諦めない強さがあるから、私もそんな風になりたいって思って」
「分かる!だよなぁ……なら、一回姉ちゃんと戦うしかあるまい!」
『脳筋が』
「うるせぇぞドライグ!」
「その、どうしてお姉ちゃんと?」
「そりゃあ…実際どれくらい強いか分からないだろ?
確かめてみないとな!」
うーん…確かに、そうなのかも。
どれくらい強いかを理解してから、そこを目指していく…のかな。
ううん、違う。
多分、一旦果てを知った方がいいと言ってるんだ。
闇雲に強くなろうとしたら空振る。
…そう言ってるんだと思う。
少し、分かった気がする。
私はさっきよりも軽くなった気分を感謝するためにお礼を言う。
「ありがとうございます、一誠さん!」
「お、おう」
よし、お姉ちゃんと戦おう!
きっと答えはそこにある筈!
『相棒、どうするんだ、勘違いされてるぞ』
「…け、計画通りだぜ」