もっと戦うんだ…戦え…戦え…
女神化した状態ならまだしも普通の状態で出来ることは消費の荒いシェアを用いた攻撃か武器による攻撃といったところ。
それでもそういった部分で差は出るものだって漫画で言ってた!
シェアで創った木刀とネプギアの自作したビームソードがぶつかり合う。
「どうして、木刀で受けきれるのか分からないよ!」
「それは主人公補正かな!パワースラッシュ!」
「っ─」
鍔迫り合いをしてる最中に一瞬だけ力を抜いた後に再度力をより込めて振るって体勢を崩す。
よくやってた手法だけど、ネプギアは知らないよね?
そのまま畳み掛けようとして、危険を察知する。
即座に木刀を盾にするように付き出すとビームソードがぶつかる。
…わぁお、崩された体勢を無理矢理シェアの強化で整えて斬りかかってきたよ。
悔しそうな表情を浮かべるネプギアにふふんと得意気に笑って見せる。
「ずっとその体勢辛いでしょ?」
「っ、流石だね」
今の攻防をするだけで分かる。
この子は成長している。
戦いながら強くなっていくなんて、どこの野菜人なのネプギア!
でも、勝ちは譲れないよ!
「イヤーッ!おりゃりゃりゃ!!」
「くぅ!」
シェアで身体能力を強化して押し込む。
膝を曲げたネプギアにラッシュを叩き込む。
ビームソードで何とかガードしてるけど、このねぷ子さんの剣撃いつまで受けきれるかな?うぬの力はその程度かトキ!じゃないネプギア!
その時、ビームソードに紫電が走る。
「サンダースラッシュ!!」
「フレイムソード!」
炎と雷がぶつかり合うものの、すぐに重みは消える。
振るったと同時に退いたんだ。
ありゃ、仕切り直しだよ。
・
・
・
「ハァ…くっ」(強い!何百年も戦ってきた鬼神のよう…!)
純粋な戦闘センスだけじゃない、瞬時の判断とそれを可能にするだけの技術がお姉ちゃんは持ってる。
私はそれを見よう見まねでやっているだけ。
これじゃ離れてく一方だ…なら!
息を整えて、迫ってくるお姉ちゃんを見捉える。
口はああだけど戦いに関しては私よりも数段上。
シェアを封じられた状態じゃないお姉ちゃんはこんなに強いなんて。
記憶の中のお姉ちゃんと何も変わらない…!
なら、私は!
「高速剣舞─ミラージュダンス!!」
シェアで更に脚力を強化して駆ける。
この瞬間だけなら、お姉ちゃんの意表を突けるはず…!
事実、お姉ちゃんはその場で立っていた私が目の前に、懐でビームソードを振るおうとしてるのを見て目を見開いている。
だというのに…
「──」
(なんで笑ってるの…!?)
何かを確信しているかのような、そんな笑みを浮かべたと思ったら私を目だけ動かして見てきた。
背中に突然氷を当てられたような、そんなぞっとする感覚と共に頭に警報が鳴り響く。
上を見れば私の頭上に剣が一本向いていた。
瞬間、強化した足でお姉ちゃんの後ろに回り込むのと剣が落ちてくるのは同時だった。
殺す気のような攻撃だった…!でも、殺気はない…なんで…!
ううん、後ろは取った!
なら──!
「死角、と思ったよね?」
「っ!くぁ!?」
ギャリ、と何かが逸れる音がした。
咄嗟の反応をしなかったら…今逸らした木刀に突かれてそのまま負けてた?
目の前のお姉ちゃんは振り向き様に突きを放ったんだ…!
あの剣の射出は…誘導だったんだ。
少し考えれば分かることだった。
そうすれば、ミラージュダンスを当てられる可能性はあった。
お姉ちゃんの目は…鋭かった。
普段のあどけなさなんて無い、戦いをする時の、倒す人を定める目。
合わせに来ているとはいえ、全力で倒しに来ているんだ…
さっきもそうだけど、もう一つ分かった事がある。
お姉ちゃんは判断能力が高いだけじゃない、状況を理解してそれの打開策を即座に出せるだけの択があるんだ。
引き出しが多い、シェアがあっての事だけど…それを余すことなく使ってる。
頼光さんとか他の人もこの緊張を知ってるのかな…?
「ネプギアの器用さはその武器と動きを見れば分かるよ。
流石私の妹って感じだね。…でも、私も器用なんだ、知ってた?」
「…!」
そう言いながらも手を止めてくれない。
攻めの手はまだあるとばかりに振るってくる。
木刀じゃなくて真剣だったら…そんな考えが過る。
「多分、実戦は余りしたことないよね?」
「うん…!」
「なら、後は登るだけだ、よ!」
武器を構える暇もない!
防戦一方…振るうだけじゃなく何度も放たれる突きに活路を見出だせない。
駄目だ、このままだと呑まれる…!
─『俺は…俺の憧れに追い付くまで死ぬか!』
瞬間、京都での戦いを思い出す。
あの時、一誠さんは…死にそうな状況でも諦めず、必死に足掻いた。
それが勝利に繋がって、誰も犠牲にならなかった。
そうだ、あの時と何も違わない。
私の憧れはお姉ちゃんで、その憧れと戦ってる。
私のために、強くなるために!
ビームソードを握る力が強くなる。
反撃できないなんてあるわけない。
乗り越えるんだ、この壁を、この一瞬一瞬を全力で。
何より、私にこのきっかけをくれた彼にこんな無様を見せられません!!
「スラッシュウェーブ!!」
「!」
地面に衝撃を放ち、砂埃が舞う。
そして、剣を振るよりも早く拳を握ってお姉ちゃんの肩を殴る!
「ギア・ナックル!」
「うぁっ!」
(やった…!)
一撃だけ、されど一撃。
私はついにお姉ちゃんに一撃を与えることが出来た。
決定打にすらならないけど、それでも活力が湧いてくる。
大丈夫、今までの努力は無駄になってない。
まだまだ…戦えます!
「やるじゃん、ネプギア!鋭い攻めになったね!」
「…私の事を応援してくれた人がいるから、頑張れるんだ」
「へぇ、昨日の時だとして…一誠かな?」
「うん、一誠さんが言ってくれたからこうしてお姉ちゃんと戦う意志が固まったの」
「隅に置けないなぁ一誠も」
「?」
「ううん、なんでもない!」
ほら、続きと木刀を構え直すお姉ちゃんは平然としている。
…私はそれに待ったをかける。
「およ、どうしたの?」
「お姉ちゃん、女神化して」
「…もう生身はいいの?」
「うん」
お姉ちゃんは多分、本気じゃない。
だって、私よりもシェアを使った技はいくつもある筈なのにそれを使わない。
それは私に合わせてるんじゃなくて意識の問題なのかもしれない。
お姉ちゃんはそっかそっかと言うとシェアを使って女神化する。
私もそれに合わせるように自分の中のシェアを使って女神としての姿…候補生だけど…パープルシスターに変身する。
MPBL、私の武器…何度も改良を重ねてきた武器。
…女神のお姉ちゃんを越えないといけない。
それが私の目標で、お父さんが望んでいること。
殺す殺さないじゃなくて、純粋に越えたい。
だから、やってみせる。
私の強さを証明して見せる!
・
・
・
女神化をしてから、パープルシスターになったネプギアを見る。
どんどん成長しているんだなぁ、と物思いに耽りそうになってまだ戦いは続いてることを思い出す。
「こうしてしっかりと女神の姿を互いに見せるのは初めてね」
「私は先に見たけど、うん、こうして互いに女神化するのは初めてだね」
驚いた、変わらないんだ。
自分はこうなるけど、ネプギアはあまり内面が変わらない。
そっか、そうなんだ。
ネプギアって、本当に凄い女神になるのかも。
「本気で来てね、お姉ちゃん」
「…分かったわ」
本気なんだけど…うーん…
本当は嫌だし、あまりやらないけど…
でも、そこまで言われたらやるしかないかな。
じゃあ、本気でやろう!
ねぷ子さんの真の力見てみよ!
「じゃあ、本気でいくわよ?」
「お願い」
「ええ、妹の頼みだもの─」
「─
「─ッ!!」
ネプギアの喉元目掛けて一点集中で強化した足で音を置き去りにして突きを放つ。
けど、それもネプギアの銃と剣が一体になった武器によって逸らされる。
勘がいいね?
でも、逸らすだけでも精一杯だったのか自分を見てくる。
ごめんね、本気だから微笑みサービスも無しだよ。
横腹に蹴りを入れて森の方面に吹き飛ばし、すぐに追う。
「あぁっ!!」
「疾ッ─!」
『本気』の自分は表の顔っていうのかな、『ネプテューヌ』を後ろへと追いやって『自分』を表にする。
…うん、こう見えて普通な自分だからね、殺意とか何だとかは普通にあったりするよ?そりゃありますとも!
ネプギアが体勢を吹き飛ばされてる途中で立て直して何発もビームを発射する。
乱雑そうに見えて、避ける先を潰しながらの狙い撃ち…自分じゃ銃の才能はあんまないかな!
でも、こういう時正面突破するよ?
刀を二度振るってビームを二度弾く。
ああ、やっぱり同じ位置にもう一発撃ってたね。
ただ、それくらいは読んでたのか後ろに後退されて距離が空いてしまった。
うんうん…いい判断だね。
でもね、何のために森に叩き込んだんだと思う?
「32式エクスブレイド─6連─!」
背後に6本の剣を作り、散らばるように射出する。
本気で戦う以上卑怯も何も関係無く、どんな手を使ってもネプギアを倒すよ。
だから、どうかこれくらい越えてね。
そう願いながら自分もネプギアへと地を蹴って接近する。
ネプギアの表情は明らかに焦りが浮かんでいる。
まあ、いつ来るか分からない攻撃があったら焦るよね。
でも敵は待ってくれないよ!
牽制のビームを放ってくるけどそれを物ともせずに弾いて追い付いつく。
ネプギアへと躍りかかる。
「ふっ!!」
「っ、まだ!」
ネプギアが手に炎を集めて放ってくる。
剣じゃないのは、まだまだ不安があるから?
でも威力はありそうだね。
なら…
「甘い!」
「えっ!?」
盾にした刀を捨てて素手で殴りかかる。
拳振るのは一誠の専売特許じゃないよ!
咄嗟に剣を使ってガードしようとした時、射出していた一本が飛来してそれを弾き飛ばす。
「これでがら空きね」
「しまっ─」
「コンボアーツ!」
拳をネプギアに二発叩き込んでから胸にさらに重い一撃を放つ。
「ぁ、ぐぅ─!」
そして、追撃のように残り5本の剣がネプギアへと飛来し─
「─ま、だまだ!!」
─咄嗟にシェアで生成したのか、歪な盾がネプギアを守る。
もう覚えたんだ。
早いねぇ、生成。
シャルバが自信満々なのも頷けるかも。
盾がこっちに向かってきて、それを蹴って弾いてネプギアの方を向くけど…いない。
上かと思って見たらさっき弾いた剣を回収してこっちへ向けていた。
「MPBL、出力最大!!」
先端から遠目でも分かる程強いエネルギーを感じる。
くらったら一堪りも無い。
受けきれるのは呂布とペルセウス位じゃないかな。
「貫いて!!」
そうして放たれた暴力的な光が自分目掛けてやってくる。
マスパみたいに大きいね!?
これはまずい!
プロセッサユニットの翼を展開して逃げるように空を飛ぶ。
MPBLから放たれた光は森を飲み込んで尚自分へと向かってくる。
エネルギー使いきるつもり!?
「仕方ないわね…!」
段々と追い付いてくるそれに覚悟を決めて刀を造り出してシェアをさらに刀に込める。
「デルタスラッシュ!!」
Δの形にシェアを放ってビームとぶつけ合う。
そして、まだ足りないと感じて巨大な剣を生成する。
「これが本当の32式エクスブレイド…射出!」
ビームと剣がぶつかって大爆発が起こる。
あれでようやく相殺とか…どんだけ化け物火力なのさ、あの銃。
さて、ネプギアは…
「ハァァァ!!!」
「!、っぅ!」
爆発の煙の中から全速力で突っ込んでくるネプギアのMPBLを刀で防ぎながらも勢いを殺せずに落ちていく。
後ろを見ると岩場だ。
まずいまずいまずい…!
ふっ、と押される感覚が無くなったと思えば銃口がこちらを向いていた。
わおっ
「落ちて!!」
「くぅぅ…!」
まだエネルギーがあったのか銃口からビームが照射されて刀で受けるも先程よりも強い威力を防ぎきれずに岩場へと落ちていく。
岩を壊す勢いで落ちて、少しの痛みが体を襲う。
…咄嗟に障壁展開してなかったら危なかった。
とはいえ…まだまだやれるんだけどね。
・
・
・
「なんつー戦いだ…」
俺、兵藤一誠から出た感想はそれだった。
ネプギアがあそこまで姉ちゃんに迫れるとは思わなかったし、姉ちゃんもあんだけマジになるとは思わなかった。
今もやりあってる二人を見て、全員が真剣にそれを見ている。
流石は堕天使施設、映像で戦ってる場面がしっかりと見えるぜ。
「拮抗、してるんですか?」
「いや」
アーシアの疑問をヴァーリが答える。
「あれは違う。
ネプギアが成長しながら戦ってるが、ネプテューヌも同じだ。
依然として差は埋まってない。ダメージもネプギアの方が上だろう」
「でも、ネプテューヌさんの方が岩場とか壊しながら落ちたり…」
「確かに、それだけ見れば大怪我なものだが…見ろ」
「え?…本当です、怪我らしい怪我が見えません」
「判断力が違う。
やられた瞬間の対処すら早い」
「な、なるほど…」
直接正面切って戦う奴じゃないからな、分からないのも当然だ。
けど、ネプギアだって姉ちゃんよりダメージを受けてるのにあそこまで意識を保ちながら戦ってる。
俺なんて最初の首狙いで吃驚したぜ。
まさか、姉ちゃんがそこを狙うとは思わなかった。
『…経験の差だな』
『お前もそう思うか、赤いの』
「どういうことだよ?」
「馬鹿野郎、一誠。
ネプ子はどんだけ戦ってると思ってやがる」
「え、そりゃレイナーレの時から…」
「ちげぇよ、それよりも昔からだ」
「はい?」
おっさんの言葉を聞いても首をかしげるしかない。
そりゃ、姉ちゃんは昔から戦ってるのは知ってるけどよォ。
それはパープルハートだろ?今の姉ちゃんじゃない筈だぜ。
「お前さんの言いたいことは分かるが、そうじゃねえのさ。
体が覚えてるってあるだろ?手続き記憶って奴だな。
戦いが常となっていた当時のパープルハートは少し戦うだけで体が動くのさ。
それをネプ子は理解して物にしているって訳だな。
他人だが自分…俺にはそれが分からねぇが並大抵の努力じゃねえ筈だぜ」
「そうか、体は変わらねぇもんな…」
「百年単位の実戦経験を物にするネプ子もネプ子だがネプギアもやべぇなぁ…機械作りも戦闘も才能の塊だな」
「間違いなく、ネプテューヌさんに迫る程でしょうね、ネプギアさんは」
いーすんの言うことは理解できる。
戦いながらあそこまで強くなるなんてハッキリ言って異常だ。
…でも姉ちゃんとそれだからなぁ。
こりゃ、どこまで上り詰めるかの戦いか?
何にしても、俺は今回ネプギアを応援するぜ!
焚き付けたのは俺だしな!
それに、あんなに努力したんだ。
報われねぇのは、違うだろ。
頑張れ、ネプギア!!
・
・
・
なるほど、と納得する。
ネプギアが急激に成長している原因が分かった。
自分だ、自分が成長を施してる。
負けたくない気持ちもあるんだろう。
でも、そうじゃない。
戦い方が段々と自分に近づいてきている。
この短時間で完成しようとしているんだ。
力の差は今は自分が上でも、1ヶ月先はどうなっているか。
スポンジのように吸い上げるこの子に対して、自分は何処まで上になれるか。
互いの武器が何度もぶつかり合う。
最初とは比べ物にならないくらい鋭い剣筋になった。
それでもまだ自分が上だと確信がある。
「ブルーソニック!」
速く鋭い剣撃が連続して自分に襲い掛かる。
それら全てを見極め、防ぐ。
それじゃ崩せないよ。
「その程度かしら!」
「まだです!まだ、私は戦える!」
「それでこそよ、ネプギア」
この子に果てはあるのか、そんな疑問が浮き出るけどそれは自分も同じだと一蹴する。
今までの自分からじゃ想像も出来ない感想だけど…
楽しい、この一戦だけは心から楽しいと思える。
「なら、もう一つ上がるわよ」
まだ上がるなら、自分も上がるまでだ。
この分だけこの子は応えてくれる。
使わないでおこうと思ったけど、そんな気も消えた。
MPBLが刀とぶつかる瞬間に炎を纏わせて爆発させる。
ネプギアも瞬時に後退するけど…これでいい。
カオスピースを出して、シェアを流し込む。
カオス化はしないでおこうと思ってた。
でも、撤回するよ。
今なら、思う存分やってもいい。
その分感情的になっちゃうけど…ご愛嬌ってことで。
「刮目しなさい。カオスフォーム!」
カオス化して紫に光る刀を構える。
一瞬、気圧されたのか一歩後退りしたけどすぐに持ち直して構え直してくれた。
よかった、それでこそだよ。
「これが…カオス化…!」
「ズルいかもだけど、戦いにおいて関係無いわよね?」
鋭さが足りない、速さが足りない、何より…力が足りない。
なら、補填するまで。
シェアならそれを可能に出来る。
ネプギアに微笑んで一言。
「もっと楽しみましょう?この戦いを…共に!」
・『本気』ネプテューヌ
普段はあまりしない殺す気の攻撃をしてくるネプテューヌ。
ネプギアたってのお願いですることにしたものの『まだ』深層心理での本物の戦いを自分の戦いかたを交えて真似てる。
習得は時間の問題。
・ネプギアスキル『???』
まだ使われていないネプギアのスキルの一つ。
その効果は──