冥次元ゲイムネプテューヌ   作:ロザミア

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更新ペースを取り戻していこうと思うロザミアです。

…いつになったら我が家にはPでSな5は来るんだろう。
五次元なねぷ子さんプレイしたいのになぁ……



高性能お爺ちゃん!の巻!

「教会に、ご帰還を」

 

「……」

 

目の前の人達が跪いている…自分に対して。

でも、それは…それに頷くことはできない、断じて出来ない。

皆の目に映っているのは自分じゃない。

自分という水晶玉の奥から聖書の神様を見ているんだ。

それはいけない、神様の死を否定しちゃいけない。

どんな物にも終わりはある、人にも物語にもだ。

それを否定することは神様の否定なんだ。

娘の自分がその否定を肯定しちゃいけない。

その否定を否定しないといけない!

 

それは許しちゃいけない!

 

「駄目だよ、私は帰らない、帰れない」

 

「っ、何故ですか!主の寵愛を受けし貴女が何故!我らを見捨てるのですか!」

 

「違う、捨てるんじゃないよ。

聖書の神様は、死んじゃったんだよ?私は…聖書の神様にはなれないよ、誰にもなれない。私は、()()はネプテューヌだから…ネプテューヌ以外にはなれないよ」

 

糾弾するかのように、自分へと声を荒げた戦士の一人に首を横に振って全員に事実なんだと、神様の死は確定しているんだと伝える。

そして、神様の代わりはいないと。

 

「神様は、皆を見捨ててないよ。死んじゃっても、大切だった。

死んじゃった後も心配する程に心配だったんだよ」

 

「…ならば、ならば…貴女は、主の子たる貴女は!何なのですか!」

 

「ただのネプテューヌだよ。生まれは神様からだけど…それでも神様は自分を継ぐことを拒んだ。だから私は継がないしそれ以外で皆と手を取りたいよ」

 

いーすんと二人で戦っていたのも神様が不安だったから。

かつてのネプテューヌも薄い自我でそうしていた筈。

なら、自分がそれを崩すわけにはいかない。

神様は独善的だったかもしれない、それでも…そこには愛があった。

誰かのための愛があった、想いがあった。

それを蔑ろにするのは誰にも出来ない、しちゃいけないんだ。

 

「神様は皆が大好きだった。でも、いつか離れなきゃいけない」

 

「…」

 

「頑張って、頑張りすぎて空振って、それでもと思ったけど限界が来ちゃったんだよ。私はその時、創られた子供で…会うときまで顔も知らなかった」

 

「それは」

 

「でも愛されてた。神様は最後の力を振り絞って自分に目一杯の愛と頑張れるだけの力をくれた。人に寄り添って欲しいって願ったから」

 

それは決して無駄じゃない。

自分の手は、今も誰かと繋がっている。

皆、手を取り合える筈なんだ。

一人で生きていける人なんていない、神様を求めても神様はもう応えられない。どれだけ手を伸ばしても…もう体がない。

だから、自分はその手を掴まないといけない。

 

それは自分が神様の娘だからじゃない。

求めてるのが神様でも、自分はそれになれない。

友達にしかなれないんだ。

 

「私は神様にはなれないけど皆と手を取り合うことは出来る」

 

「…やはり、歳ですなぁ」

 

ストラーダさんはしみじみとした声で立ち上がる。

戦士の皆は不安そうにストラーダさんを見ている。

そして、立ち上がったストラーダさんは自分に優しい微笑みを向ける。

 

「やはり、貴女の帰還は叶わぬということですな?」

 

「うん。でも、いつか教会には遊びに行きたいな!仲良く、皆で…」

 

「皆とは…悪魔の面々も?」

 

「…うん、和平もあるとはいえ皆が皆仲良くなれるなんて夢見すぎかもしれないけど…皆の事を知って貰って、受け入れて欲しい。いい悪魔もいて、共存できるんだって。きっと神様もそう望んでると思うんだ」

 

あの時の、神様の言葉は後悔が含まれていた。

それはきっと大きな対立を生んでしまったこと、他神話への迷惑をかけてしまったこと、信者の皆を導けなかったことへの後悔。

なら、娘としてそれだけでも自分は神様の代わりとして手助けしたい。でも、自分が導くのはほんの少し。皆の歩き出しの機会を作ることくらいしか出来ない…それが大事なんだ。

喧嘩して、分かりあって、和解する。

それが一番大切なんだって知ってるから。

 

「…主のお望みと」

 

「うん、私が教会の皆に女神としてやれることは神様の後悔を無くしてあげることだと思うから」

 

「…そうですか、なるほど…」

 

ストラーダさんはそうして考えるような仕草の後に、戦士の皆の方に振り返る。

 

「帰還せよ」

 

「し、しかし…」

 

「女神パープルハート様の温情だ。これ以上言わせる気か?」

 

「っ…御意…」

 

戦士の人達はストラーダさんの圧の籠った一言に気圧された様子で帰っていった。

でも、ストラーダさんはその場に留まっている。

 

「…歳ですな、しかし我ながらいい歳の取り方をした。突然の押し掛け、お許しください」

 

「ううん、いいよ!」

 

「複雑な心境、だというのに心が洗われる気持ちでありました。心からの言葉だったのでしょう?主の代行にならぬとはいえ主の愛娘の御言葉です。それを否とするのは憚られる」

 

「えっと…仲良くしてくれるってことでいい?」

 

「ええ、このような老いぼれでよろしければ」

 

「っ、ううん!全然!お爺ちゃんキャラは全然居なかったから大歓迎!」

 

「俺は?」

 

「おっちゃんはおっちゃんでしょ」

 

「唯一性はあるってことだな?ならよし」

 

おっちゃんのキャラ崩壊は今に始まった事じゃないから全力で無視する!

ストラーダさんは私たちのその会話が面白かったのか微笑む。

 

そんな時だった。

研究所の扉が開いて、ワアワアと騒がしく人が一杯出てきた。

言わずもがな、イリナちゃん筆頭の皆である。

 

「ね、ネプテューヌ!ストラーダ司祭枢機卿が来たって…ヒェ」

 

「おや、久しい顔ですな」

 

「お爺さん…?」

 

「気を付けて、化け物よ」

 

「グレモリー、化け物が化け物と呼ぶのはどうなんだ。いや同意だが…」

 

「姉ちゃんに何しに来たし…!」

 

「司祭枢機卿…ナンバー3ですね」

 

「あ、あががが…猪な私でも司祭枢機卿は無理だ!勝てん!絶対に勝てん!」

 

「主よ…痛ッ」

 

皆が皆、色々な反応を示しながらも共通しているのは一点。

 

ストラーダさんはやっぱり強いってこと。

おっちゃんが警戒するくらいだし…

でも、取りあえず説明をしないとね。

説明しようと口を開いた瞬間だった。

 

「お久しぶりです司祭枢機卿!!その節は大変お世話になりましたぁぁぁ!!」

 

イリナちゃんがスライディング土下座をストラーダさんにして、言葉が引っ込んだ。

皆が皆唖然とする。

イリナちゃんが土下座なんて生まれてこの方見たことない。

 

「…戦士、紫藤イリナ」

 

「ッ、ハ、ハイ!」

 

「……余りに弛んでいるようならばこの拳を使う気ではいましたが、その必要はなさそうで何よりです」

 

「─!ありがとう、ございます…!」

 

顔を上げて、ストラーダさんに感謝した。

イリナちゃんにとって、きっとストラーダさんは恩師に当たる人なんだと思う。

尊敬と畏敬の念があった。

それだけ、凄い人なんだろうね。

 

「えっと…ネプテューヌ、少し遅れたけど話はついたの?」

 

「うん、これからも友達としてよろしくって」

 

「よかったぁぁぁぁ……」

 

「イリナよぉ、ストラーダさんとやらは何ぞや?」

 

「イッセー君、いい質問…と言っていいのか分からないけど。

司祭枢機卿は私達教会の戦士の教官であり、最高峰の戦士なの。

そして、私の恩師でもある…」

 

「つまり強いってことだな!」

 

「ま、まあそうなるよ。ええと…」

 

「どう呼ぶかは任せましょう」

 

「はい師匠!師匠は、これからどうなさるのですか?やはり、バチカンへ…」

 

「そうしようとは思っていましたが……戦士イリナ、聞けば災厄と見えると聞きましたが」

 

多分、リゼヴィムかな?

災厄…まあ、災厄だね。

それに、聖杯の悪用をしてるから教会からしてみれば下手人?

 

「はい、今はここの方々と日々修行を」

 

「よい心掛け…ならば、一つ提案があります」

 

「…あの、師匠…?まさかとは思いますが」

 

「ええ、ここの全員を鍛えるのに協力をさせてもらおうかと」

 

「……ぃ」

 

「い?」

 

「勘弁してください…」

 

「ええ…」

 

イリナちゃんが今にも死にそうな顔でそういった。

ええ…戦士の訓練ってそんなに凄かったの?

ゼノヴィアを見ると…あ、駄目だ震えてる。

 

「何、加減はしますよ。老い耄れにどこまで務まるかは…さて」

 

「謙遜ですか?嫌みですか?」

 

「少なくとも、皆強い素質を持っている。ならば、ここで伸ばさねばならないと思うのですが、ネプテューヌ様?」

 

「うん、ストラーダさんから得られるのは多いという結論がねぷ子サーティーンディシジョンしたら出たし、お願いしたいな!」

 

「あの…聖拳は無しで…」

 

「コロサナイデ」

 

「ゼノヴィアが戻ってこない…」

 

ゼノヴィアは魂が抜けた様子でコロサナイデとしか言わない。

ええ…戦うの大好きなゼノヴィアがこうなるなんて自分は選択を誤っちゃった?

いやいや、そんなことない。

きっと厳しいだろうけど為になる!

 

「じゃあ早速見て貰おう!一誠、Go!」

 

「どうして俺からなんですか?」

 

「拳だし、丁度いいかなって」

 

「そっかぁ、ならヨシッ!」

 

「では、訓練場までお願いします」

 

「ネプ子…お前なんて事を…」

 

えっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッダバァァァァァーーーッ!!」

 

「一誠が死んだ!!」

 

「この人でなし!」

 

一誠顔面一発KO。

何度拳を振るってもストラーダさんには一発も当たらずにそのまま拳を叩き込まれて顔面から地面に激突した。

 

「筋はいい。しかし無駄が多い」

 

「…姉ちゃん」

 

「う、うん?」

 

「どうしてヨシッ!ってなったんですかね…」

 

「わかんにゃい」

 

「兵藤一誠、でよろしいですな?」

 

「いてて…はい」

 

ストラーダさんは一誠に手を差し出して、一誠はそれを掴んで立ち上がる。

鼻折れてなくてよかったね。

 

「神器による自己強化、はよろしいが技術がまだ足りていない。

それでは振り回されて終わりですな」

 

「仰る通りです、はい…」

 

「後で五体を駆使した近接戦とは何たるかを教えましょう。君は伸びる」

 

「おお…はい!」

 

何だぁ…結構普通だった。

いやぁ、心配して損したな。

 

「では、戦士紫藤イリナ?」

 

「はいィ!」

 

「あの、イリナちゃん。怖がりすぎだよ?」

 

「…一誠君とかはね、まだ外部だからああなのよ。見れば分かるわ」

 

そんな死地に向かう兵士みたいな顔するなんて…ストラーダさんの扱きはそんなにやばいの!?

 

聖剣を取り出して構えるイリナちゃんにストラーダさんは自然体だ。でも、ストラーダさんはほう、と一言だけ感心したように

 

「強くなったようだ」

 

「このメンバーとやり合って成長しなかったら家で裁縫してるべきでしょうね」

 

「違いない。では…」

 

ストラーダさんが一歩踏み出した─

 

「ふっ…!」

 

「形状変化の早さが上がりましたね」

 

イリナちゃんは聖剣を堅牢な盾に変化させたのと拳が盾にぶつかったのはその次の瞬間だった。

速い…!一誠の時は殆ど動かずに居たけど、あんなに速いなんて!

 

「どう、も!!」

 

イリナちゃんは盾を剣へと戻しながら後退し、拳銃を取り出す。

フリードが使っていた物と似た形状だけど弾は非殺傷能力が付与されている。まあ、死ぬほど痛いけど。

 

近づかれては堪らないとばかりに拳銃から弾を放つ。

 

「土俵に立たない、重要ですが…」

 

弾を体を反らすだけで避けて先程と同じような速さで接近していく。

スーパーお爺ちゃん過ぎない?

イリナちゃんは舌打ちした後に拳銃を放り捨てて聖剣をナイフへと変える。あれ、なんでナイフ?

 

「ゼノヴィア、なんでナイフなの?」

 

「…司祭枢機卿相手に剣を振るのは悪手だ。接近戦そのものが敗けを意味すると言っていい」

 

「え、でも接近戦しようとしてるよ?」

 

「見れば分かるだろうが、あの人は強すぎる。追い付かれればそうしなければならない。振りやすい武器にするのは当然だろう。というより、イリナが好んでるからな」

 

「なるほど」

 

拳とナイフがぶつかり合う。傷一つついてない拳がもうヤバイのは分かったけど…振るう早さも凄い。

倍加を何回かした一誠よりも早い!

 

「対応しますか、最後に見たときは何時でしたかな」

 

「1ヶ月前です」

 

「一月でここまでやれますか…なるほど」

 

「澄まし顔で言われても!嫌味ですか!」

 

「褒めてますよ」

 

多分、あの人からすればジャブみたいなもの。

最終的にスピードを上げたのかイリナちゃんが対応しきれぬ間にナイフもとい聖剣を弾かれて拳を突き付けられる。

 

「ですが、まだまだ。次のステップに進むのに丁度いい方法はありますよ」

 

「うぐっ…お願いします」

 

「はい」

 

終わったようで、イリナちゃんは悔しげに呻いた後に頭を下げた。

負けず嫌いなのは相変わらずだね…

 

「司祭枢機卿はイリナに期待しているんだ」

 

「期待?」

 

「イリナは認めたがらないが逸材なんだそうだ。何度か『いずれ自分の座を継いで欲しい』とは頼まれてるとか」

 

「え…何度もってことは」

 

「ああ、その度に断っている」

 

「そんな、どうして?」

 

イリナちゃんは認められる位凄いって事でしょ?それなら受けてもいい話なのに…

 

「まだいてぇ……その話、俺も気になるぜ」

 

「地位は要らない、だそうだ」

 

「強さが欲しいってことか?」

 

「…ネプテューヌは知ってるのではないか?」

 

「…あっ!」

 

そうだ、確かに自分はイリナちゃんの覚悟を聞いている。

聖剣窃盗事件の時だ。

あの時、イリナちゃんは自分達や駒王町の為なら組織だって裏切るって言ってた。

あの時の言葉…そんなに本気だったんだね。

だから本来凄く名誉な立場だって要らないって即答できた。

…イリナちゃん…

 

「ふぅーキツかった。どれくらいキツいかと言うと正座のまま紙芝居を五回見せられるくらいキツかった」

 

「それじゃ分からねぇだろ?」

 

「そうねぇ…ネプテューヌ?どうかした?」

 

「イリナちゃ~ん!!」

 

「うわっ、どうしたのよ!」

 

感動してイリナちゃんに抱きつく。

困惑しながらも受け止めて慰めるように頭を撫でるイリナちゃんにそこはかとない姉感を感じつつも答えることにする。

 

「そんなに私達の事を大切に思ってくれてるなんて…うう…!」

 

「…ゼノヴィア~?」

 

「今日はカレーかな、いやシチューかな」

 

「…ったく」

 

「よし、丁度いいからイッセーさんも抱き付いていい?」

 

「良くないでしょ!?昔のノリが通じるのは昔までだっての!」

 

「あーまあ確かに昔と違ってありますからな?」

 

「警察のご厄介になりたかったのね一誠君?それとも教会の戦士として切り捨ててあげようか?一誠ちゃんになってみる?」

 

「嫌だなー俺がそんな煩悩まみれた事言う訳無いじゃんかよーハハハ」

 

「もしもしポリスメン?」

 

「申し訳ありませんでした」

 

一連の流れが終わるまでイリナちゃんの姉力を堪能した自分は離れる。一誠は…土下座してるけどそのままでいいや。

ネプギアからの視線が凄いけど…心配そうな視線だけど自業自得だからね、ネプギア…

 

「ふぅ、でも師匠が本気じゃないとはいえ少しでも持ちこたえられたのは成長出来たって事かな」

 

「よく対応できたな。流石は未来の司祭枢機卿といったところか?」

 

「あーやめてやめて。周りが持て囃してくるけどそんな気無いから。パパにまで言われるし、何ならミカエル様にも言われたんだからここでは忘れさせてよ」

 

「かなり本気じゃね?もうなっちまえよ」

 

「…嫌よ。責任ある立場なんて、重荷でしかないわ。戦士っていう投げられやすい立場の方がいいのよ」

 

「トウジさんも喜ぶだろ?」

 

「まあ、ね…」

 

言い淀むってことは申し訳ないんだろうなぁ…でも、答えを変える気はないんだ。

その後も、ストラーダさんは皆と一戦交えては改善点を指摘して、どうすればいいかを教えてくれた。

自分?うん…まあ…はい…何か結構駄目だしされました。

 

でも、あーちゃんは戦えないからって事で治療方面での教えがあってよかったよ~なかったら置いてけぼりだもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練が終わって、皆で少し話した後解散になった。

自分達も帰ろうってなったんだけど…あの後、ストラーダさんがイリナちゃんを呼び止めて訓練場へと行っちゃった。

踏み込むべきかは分からないけど…気になる。

ストラーダさんがどうしてそこまで本気なのかも、分かるかもしれない。

ということで訓練場へと行くことにした。

一誠も行くと言って、あーちゃんとネプギアには待ってて貰うことに。

 

そして、訓練場に着いた自分達は早速二人の姿を確認して隠れることにした。

いわゆる盗み聞きである。

 

「師匠、その話は何度も断っています」

 

「司祭枢機卿になれば多くの権力が手に入るというのにかね」

 

「…確かに魅力的ではあります。戦士達をほぼ自由に出来るのは…正直言って惹かれます」

 

でも、と付け加える。

 

「その立場が邪魔になる時が来る。だから、天使になることも拒否したんです」

 

「地位は要らない…だったか。その一点張りだが、そろそろ教えてはくれないかね」

 

「…師匠、私はここで育ったんです。この駒王で、一誠君とネプテューヌに出会って…育ったんです」

 

「紫藤トウジからも聞いた。戦士の召集で離れさせる結果になったことは申し訳なかった」

 

「だから私を推薦するんですか?」

 

「いや…違う。君には才があり、貪欲なまでに強くなろうとする気概もある。実績もそうだ、多くの危険な案件を難なくこなしてきた君ならばと私は思っただけのこと」

 

「老い先も短いからでしょう」

 

イリナちゃんの言葉にストラーダさんはうむ、と残念そうに同意した。歳…確かにお爺ちゃんだから後継者は欲しいんだろう。

信頼できる誰かなら安心して任せられるから。

だからイリナちゃんに任せたいんだね。

 

「私はこの町が好きです、大切です。一誠君も、ネプテューヌも…皆大好きです。この町を守るためなら私は戦士の座だって放棄します」

 

「…なるほど、確かに地位は枷になるか」

 

「綺麗さっぱり捨てられる荷物の方が、楽でしょう?だから、他の人を探すべきですよ。教会は私からしたら強くなるための体のいい訓練場としか思ってませんし」

 

「紫藤トウジの娘とは思えぬ発言だな、異端審問を掛けられても文句はいえん」

 

「元より覚悟の上です」

 

「…だが、流石といったところか。ならばこれで終わりとする。

だが、教えは続けさせて貰うぞ?」

 

「えっ…あの、師匠?」

 

「何せ扱きに耐えられるのは少数なものでね、私も手放すのは惜しい。それに……うむ、聖拳を継承させるならば君以外にいないと思っている」

 

「いや、あれは…って私に継承?」

 

「私の拳は多くの偉業を屠ってきた、壊すことしか出来ぬ拳だ。だが、君ならば守るための力に出来るだろう。さあ、どうする?」

 

「……」

 

イリナちゃんは暫く考え込む。

ストラーダさんも答えを焦らす気は無いようで静かに待ってる。

 

それから、イリナちゃんは考えが纏まったのか頷いた。

 

「お願いします」

 

「修行は厳しいぞ?」

 

「今更言われても、ですよ。何度血反吐吐いたか」

 

「…ふっ、ならば明日からは死ぬ気で覚えることだ」

 

「はい!」

 

そうして、イリナちゃんは訓練場を出ていった。

…一誠も真剣な顔をしてる。

イリナちゃんの覚悟は並大抵じゃない。

ずっと昔から変わらずに折れずにいられたのは凄いことだ。

 

「さて…盗み聞きとは女神様も悪い方ですな」

 

「バレてる…!?」

 

「そりゃそうだ」

 

観念してストラーダさんの前に出ると怒った様子ではなかった。

 

「彼女があそこまで守りたいと思う人物と町…なるほど、確かに分かる気もする」

 

「…イリナは、あっちでもああだったんですか?」

 

「元々強くなるのに貪欲でしたからな。まあ、少々やり過ぎましたが…」

 

「そっか…」

 

「では、私もこれで。彼女にはこの事は言わないでおきましょう」

 

「た、助かります」

 

ストラーダさんめっちゃいい人でよかった。

これがおっちゃんなら告げ口してるよ。

間違いない。そういった意味で信頼してる。

ストラーダさんも出ていって二人になる。

 

「イリナも頑張ってるんだ、俺たちももっと強くならねぇと」

 

「最初の三人組としてはこのままだと危ういもんね!レベルアップしないとヤバイよ!」

 

「ストラーダさんに一撃与えてぇしな!」

 

「そうそう!」

 

「「えいえい、おー!」」

 

二人でより一層強くなることを誓って訓練場を出る。

イリナちゃんも待ってたようで、ネプギアとあーちゃん、いーすんと一緒にやって来る。

 

「入れ違いなんてあるのねぇ…」

 

「あはは、あるある」

 

「稀に良くある」

 

「いーすん、そっちは終わったの?」

 

「皆さんのデータ集計ならば終わりました。シェアに関しては…少しだけ気掛かりがありますが」

 

「あー…また後で聞かせてね」

 

「今日は色々ありましたからね、明日辺りにでも」

 

「明日かぁ…」

 

「皆さん、帰りましょう?疲れたでしょうし」

 

「帰ってお風呂入りたいなぁ、ネプギア入ろうね!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

「てぇてぇなぁ」

 

姉妹でおっ風呂!おっ風呂~!

 

あーちゃんからの視線が…!

一緒に入る?って聞いたら笑顔で頷かれた。

可愛い。

妹s最高!

 

家が待ち遠しいなぁ!

 

「あ、一誠君とネプテューヌは帰ったらお話ね」

 

「「えっ」」

 

「聞いてたのよね?」

 

ストラーダさん?ストラーダさん!ストラーダさん!?

バレバレじゃん!何してんのぉ!モロバレルだけどどう誤魔化したのさ!?

お爺ちゃん駄目だったかぁ…そっかぁ…

 

その後、帰宅した次の瞬間イリナちゃんのお説教が自分と一誠を襲った。

どうしてこうなるの……




イリナちゃん回でした。
急ですけど、ストラーダさんとの本格的な修行もあるのでここしかなかったぜ。
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