すれ違いの結末 作:ビールは至高の飲料
ZEXISのクルーが団欒として使用している部屋では少々重たい空気が流れていた。
「今度は何処がやられたんだ?」
「中華連邦の南部にある町だ。それなりの規模の町だから、難民の対応に大慌てみたいだぜ」
彼らが話しているのは今回PMが襲った町の事だ。
フィアラ・フィレスが消えてから半月程。今回で3回目の襲撃となる。
「同じだ、僕達の世界と……」
ゲイナーがポツリと呟く。
「
「あぁ。あいつら、世界中に見境なしに現れてどうにか倒してもあの毒のせいで人が住めない土地に変えられちまうんだ。俺の故郷の日本はまだそんなに被害はなかったけど……」
ゲイナーに続いて勝平が悔しそうに続く。
理由は分からないがPMは地球上にしか今のところ現れていない。
倒すことは出来ても、その後の土地が住めなければ人は生活の場を移すしかない。
フィアラが言うには魂を奪い取って自分達の糧にしているらしいが、それならなおの事である。
「シモンは、自分の街でフィアラに会ったんだよな?」
「……あぁ」
アロウズがカミナシティにやって来る前日にたまたまフィアラと遭遇した。
もっとも向こうはシモンの事など印象に残っておらず、10年も時間のズレがあるのなら尚更に誰か分からなかっただろう。
話したのは少しだけですぐに逃げ出されてしまった。
話した内容もシモン達との時間差が主で、PM行く事などの話はしなかった為、大した収穫はない。
そこで先日合流したレントンに質問する。
「そういえば、破界事変の後にレントンとエウレカが住んでた町にもやって来たんだよな?」
「うん。数日俺達が暮らしてた家にいたけど、ホランド達の身体を治してどっか行っちゃった」
レントンとエウレカの故郷へとやって来たフィアラ。
数日の滞在中にホランドと遭遇し、一悶着あった。
アイム・ライヤードによってフィアラならホランド達の身体を治せると言われていた彼は頭を下げて治療を頼み込んだが、当然エリア11で襲われた件が原因で拒否。
レントンとエウレカも一緒に頼んで条件付きで治療した。
「それが襲ってきた件の慰謝料も含めて50万Gってか?」
クロウが苦笑混じりにフィアラが提示した条件を言う。
「うん。これ以上は譲歩しないって」
これは、当時フィアラの所持金が心許なかった事と、違う世界とはいえレントンとエウレカに頼まれた事での譲歩である。
50万Gと言うと高々クロウが背負っている借金の半額、と思うかもしれないが、そのクロウの1ヶ月の給与は1000Gなので、その額の大きさが解るだろう。
そしてホランド達は金融機関から借金してフィアラにその金を払い、身体はどうにかなったものの、今は借金返済の為にホランドはZEXISに参加。他の月光号メンバーは情報収集その他で金を集めている。
と、少し話がズレたところで修正する。
「アイツ、独りで勝手にどっか行っちまいやがって!」
PMが出した被害に誰もが苛立ちを感じていると、クロウがフォローする。
「ま、そう悪いニュースばかりじゃないぜ。うちのチーフの話じゃあ、各国もようやくあのバケモノに対しての本格的な研究を始めたそうだ」
「って、それじゃあ今まで何にもしてなかったってこと?」
「そうじゃないが、勝手に対処してくれる奴が居たんで後回しになってた感じだな。どうにかあの毒だけでも除去出来ないかと調べ出したようだ」
カミナシティで消えたフィアラ。
その後、PMが現れても
そこでつい先日に此方の世界へとやって来て合流したランドの相方であるメールが落ち込むように発言する。
「フィアラ、みんなと一緒に行動しなかったんだね……」
ZEUTHの世界ではおそらくもっともフィアラと接したメールは彼女を心配して表情を曇らせるとランドが頭に手を置く。
「でもよ。もう半月以上も現れないとなるとあのガキ、やられちまったんじゃねぇか?」
何気ない疑問として出た言葉に一部非難する視線を送るとデュオが明るい口調で意見する。
「あの手の奴はわりとしぶといからな。案外その内、ひょっこり現れるかもしれないぜ?」
楽天的な意見かもしれないが、彼なりにフィアラの事を案じての発言だ。
ZEUTH側から見ても、次元修復をしたあの最終戦で生存が難しいと思っていたところ、別の世界で生きていたのだ。
だからこそ死んだとは思いたくない。
「生きていてくれなきゃ困るな。聞きたい事もあるし」
「エスターの事か?」
「俺のミスでエスターが次元獣にされちまった。もしかしたらホランド達みたいに何とか出来るかもしれねぇ。そうじゃなくても次元力に詳しいあの子なら何か良い案を出してくれるかもしれないからな」
他人頼みでカッコ悪いが、エスターとフィアラの仲はそう悪くなかった。
だからこの件に関しては邪険にしないと思う。
PMだけではなく、その他の問題も山積みなことに誰もが息を吐く。
とにかくPMに関しては今、各研究機関の結果待ちしかないと結論付けた。
着々と戦力を充実させていくZEXIS。
だが戦力を増大させるだけでは対処出来ない事態もある。
捕らえられていた桂木桂がインサラウムの情報を持って脱出し、貴重な情報をZEXISに持ち帰った。
それにより攻略困難だった新たに現れた次元獣の防御を突破することに成功。
次元獣になったエスターが、僅かながらにも人の意識を保持している可能性も出てきた。
しかし────。
「クソ! アイツらまた!!」
設置されたZONEの起動により、周囲が死んでいく。
前回はフィアラがZONEを破壊したお陰で事なきを得たが、今この場に彼女はいないのだ。
「だぁああありゃあぁああああっ!!」
そこで迷うことなくランドの乗るガンレオンがZONEの中心に飛び込んだ。
その意味するところは、以前セツコが最初に出現したZONEを封じ込めようとした手段と同じ事をしようとしているのだ。
「待ってください、ランドさん! ここは私が!!」
「悪ぃな、セツコ! 早い者勝ちだ!」
1番ZONEの近くにいたランドはスフィアの力を引き出して封印を試みる。
仲間が止めようと説得を試みるがここで引く男ではない。
「悪いな、メール。付き合わせちまってよ」
「気にしないの! ダーリンとならどこまでもってね!」
どこまでも明るく、悲観せずにこの状況を収めようとするランドとメール。
ZONEから目映い光が発せられる。
それが消えると、そこにガンレオンの姿はなかった。
ガンレオンのスフィアがZONEに次元力を供給し続けて被害を抑えている。
しかしそれもいつまで持つかは不明。
ZONEの中に封じ込められた人間がどうなっていくのかも解らない状態。
誰もがこんな結果になってしまった事に怒りを感じていた。
それでも各勢力が止まってくれる訳もなく戦いは続く。
クロウがブラスタの新型でアークセイバーの団長であるジェラウドの撃破に成功。
しかし時を置かずにアロウズの衛星兵器が反勢力に向けて撃たれた事を知り、2部隊の別行動を取る。
衛星兵器の破壊とその囮役としてだ。
衛星兵器の破壊ミッションを遂行中にアムロ・レイとの合流を果たす。
防衛部隊を退け、衛星兵器の破壊に成功してから
だが、寸前に撃たれた砲は軌道エレベーターに被害をもたらす形となった。
落下するビラー。
その排除の為に宇宙にいた部隊も地球に降下した。
「クソがっ! これのどこが治安維持だ! いい加減にしやがれ!!」
「絶対に、ビラーを地上に落とす訳にはいかない!!」
次々と落ちてくるビラーを破壊していくZEXISの機体。
飛行能力の無い機体は戦艦の固定砲台として支援する。
「こんな事を、許す訳にはいかない!」
「下にいる人達を死なせてたまるか!」
破壊作業中にマリリンと次元獣が妨害にやって来たが、スメラギの通信による救援要請に微力ながらも援護に現れる者もいた。
「クーデターを鎮圧する為だからって、こんな事が認められるかよ!」
「アロウズ! お前達はっ!」
この惨劇を引き起こしたアロウズに怒りをぶつけてビラーの排除し続ける。
そこで────。
「次元歪曲に反応あり! このパターンは……PMです!」
「こんな時!?」
悲鳴のように叫ぶと同時にPMが現れる際に描かれる赤い魔法陣。
この場にいる誰もが最悪の敵に歯を鳴らす。
しかし現れたのは、PMではなかった。
「え?」
出現したのはボロボロの機体。
乳白色の装甲は所々罅が入っており、左腕と右脚を失っている。
「フィアラッ!?」
S4Uは落下してその場に現れた。
ボコボコにされて帰ってきました。