すれ違いの結末   作:ビールは至高の飲料

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機体改修依頼

 目の前に現れたアニューに冷ややかな視線で銃を向けるフィアラ。

 脳粒子波を遮断するヘルメットを被っているが、バイザー越しからでも誰かは分かる。

 

「……自分で言うのもなんだけど、私の性格は最悪でね。やって貰った事よりもやられた事の方を優先するし、基本的に初対面の印象で相手の事を決める上に一度嫌な事をされたら中々払拭しない。私だって私みたいな人間に会ったら先ず近づかないなって思う」

 

 銃を向けながら淡々と話すフィアラ。

 

「特に、自分に危害を加えた相手を絶対に信用しない。それでも許すなら、そうしても良いと思える何かがないと」

 

 人間関係というのはつまり信頼の積み重ねである。

 そういう意味ではアニューとZEXISの間にはそれだけの信頼関係が有ったのだろう。絆、と言っても良い。

 だがそれは、フィアラとアニューには関係の無い話で。

 アニューに銃を向けるフィアラ。しかし内心では撃つ気はなかった。

 

(撃っても当たらないしね)

 

 残念な事に、フィアラとアニューの間に居るセツコ、デュオ、カトルの3人に当てずにその向こうに居る人物に命中させる銃の腕はない。撃てば必ず3人の誰かに当たる。

 だからこれは近づくなという脅しである。

 流石にこの場で発砲すればZEXISが後にフィアラをどうするかも予想がつく。

 故にこれはただの脅し。

 しかし、周りがそう思うかもまた別問題。

 

「フィアラ、アニューさんは……っ!?」

 

「キラさん、黙って」

 

 こればかりは譲らないとフィアラはキラに眼球だけ向けて制止する。

 フィアラからすれば、銃を向けられて撃たれたかもしれないのにマイナス感情を持たないキラの方が異常に感じる。

 前々から思っていたが、自分の命に対する執着が薄いのではないだろうか? 

 

(でも、今はその事よりも……)

 

 フィアラは視線をアニューに戻す。

 

「それで、私に何かご用で?」

 

 敵意を隠そうともせずに、銃を向けたまま話を戻すフィアラに対してアニューはその場で肩の力を抜いて悔いるような表情で謝罪を口にする。

 

「あの時はごめんなさい。貴女を────」

 

「あぁ、そういうのはいいんだよ。私に謝罪を受け取る意志がないし。それとも、この部隊の人間があっさりと流したから、私もそうしてくれるだろうって打算?」

 

「そんなつもりじゃ……」

 

 困惑しているのかそれとも落ち込んでいるのか。それは判断は出来ないが、どちらでも良いと切り捨てる。

 

「私が望んでいるの謝罪じゃない。関わるな。それだけ」

 

 片手で構えていた銃を両手で握り直す。

 本当に、早く立ち去ってほしい。

 訳も分からずいきなり襲ってきた相手を、どうしてそんな謝罪1つで許せると思えるのか。

 反省も謝罪も本心かもしれない。しかしそれは────。

 重くなった空気のまま誰もが動きを止めていると、横から割って入る声が届く。

 

「そこまでだ」

 

 落ち着いた男性の声に6人はそちらの方に視線を向ける。

 現れたのはアムロ・レイだった。

 彼も自分の機体の状態をチェックしていたところで騒がしくなったこの場に顔を出したのだ。

 アムロは銃を構えているフィアラに視線を向ける。

 

「君も、先ずは銃を下ろすんだ」

 

「……少し前に自分に危害を加えた人間を警戒するなとでも?」

 

 アムロの指示にフィアラは棘のある言い方で返す。

 その言葉にアニューが悔いるように一瞬目を閉じた。

 

「理由はどうあれ、無抵抗の者に銃を向ける行為を容認する訳にはいかない」

 

「抵抗する力のない(ひと)をむりやり連れ去ろうとする行為はお咎め無しの癖に?」

 

 鼻で笑うフィアラ。

 ひねくれた子供の揚げ足取りのような態度に周りがどう返すかと思案していると、フィアラの方からあっさりと銃を下ろす。

 

「良いけどね、どうでも……」

 

 元々、近付かないように脅すために銃を構えただけだ。

 それさえ伝われば良い。

 死んでも良いとは思っても、態々自分の手で殺してやりたいと思ってる訳ではないのだ。

 それに本当に撃てば、身内贔屓でお咎め無しになったアニューと違って、フィアラにはどんな制裁を科される事やら。

 ここが退き時だな、と腕を下ろしただけ。

 それでも引き金にかけた指までは外さなかったが。

 アムロはアニューに近付いて小声で話す。

 

「彼女には近づかない方がいい」

 

「……はい」

 

 あそこまで拒絶している以上は、何かしらの切っ掛けがないと心を開くことは無いだろう。

 もしくはマイナスな切っ掛けで本当にアニューを撃つ可能性もある。

 アニューもそれを実感し、大人しくその場を立ち去ろうとする。

 しかしそこで艦内放送でブリーフィングのお報せが流れる。

 

「じゃあ、私も行くとするかな。あ、ハッチ開けるように言っておいて」

 

 コックピットに入ろうとするフィアラを慌ててデュオが止める。

 

「待てよ! 何サラッと出ていこうとしてんだ!? まだ話の途中だろうが!」

 

「私にはない」

 

 まだ抜けきってない気怠さも相まって鬱陶しそうに掴まれた肩を弾く。

 

「話って言われてね。こっちの世界に消えてからの事なら、PMの本拠地に行った。タコ殴りにされて帰って来た。以上ってこれくらいしか言うことないし。あー、今言ったからもういいでしょう?」

 

「言い訳ねぇだろ……」

 

 呆れるデュオにフィアラは聞こえるように舌打ちした。

 そこでセツコが話に入ってくる。

 

「それに、その機体じゃあ……」

 

 外から見たら皹だらけでスクラップ同然の状態にある手足のない機体(S4U)

 

「お気になさらずに。一応飛行とステルスの機能はまだ生きてるから」

 

 多少危ない飛行になるだろうが、戦闘さえしなければ問題はない、筈。

 それでも早く修理する事に越したことはない。

 

(もっとも施設はともかく、技術はどうするかな)

 

 それを考えると頭が痛いが、どうにかするしかないだろう。

 フィアラは機体のチェックと同時並行でやっていたあるデータのコピーをして移したデータスティックを取り外して乱暴に胸ポケットに突っ込む。

 周囲には心配そうにこちらを見る人達。

 

(ここで無理に出ようとしても、絶対に発進させないだろうし、仕方ない)

 

 精々今回の件で嫌味を言ってやろうと眉間に皺を寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブリーフィングルームに並べてある椅子を1つを隅に移動させて、もう片方の部隊の合流地点を示した地図に興味を示さず聞いていた。

 それでもフィアラがこの世界から一時的に消えてからは何が遇ったのかを大まかに把握する。

 中には有益な情報もあり、それだけでもこの場にいる意味が有ったな、と思う事にする。

 ある程度話が進むと、スメラギがフィアラの方を向く。

 そしてこの場で頭を下げた。

 スメラギの行動にフィアラは不思議そうに瞬きをする。

 

「今回、アニューが貴女にした事は本当に許されない事です。本当にごめんなさい」

 

「……破界事変の時にゼロが言っていた非道を行った者には然るべき処罰云々は、結局口だけになりましたね」

 

 スメラギの謝罪に対して、部隊の甘さに呆れと僅かに有った期待を裏切られた失望からか、口調が静かながらも苛立たし気なものになる。

 この場にアニューはいない。

 ブリッジに人員は必要だし、先程の騒ぎで同じ部屋に居るとどんな騒ぎになるか分からない為だ。

 

「それについても言い訳のしようもありません。でも、彼女はこの艦には必要なクルーなの」

 

 マクロスクォーターと違ってプトレマイオスは最低限の人員で運用している関係もあって代えの人材がすぐに用意出来ない。

 ブリッジの人員が1人抜けるだけで戦闘の効率が低下し、命に関わる。

 もちろんそれはこれからもアニュー・リターナーを仲間として信頼出来ることが大前提だが。

 スメラギの言葉にフィアラは瞬きすれば見逃してしまいそうな程に短く不満そうにすると、小声でボソリと呟いた。

 

「……ぽるかみぜーりあ」

 

「おい!? 今何て言った!」

 

「懐の深いスバラシイブタイデスネって言っただけ」

 

 しれっと返したフィアラは呆れた様子で息を吐いた。

 

「なんて言うか、この部隊ってどんなにヤバい行動を取っても有耶無耶にしそうだよね」

 

「なんだよヤバい事って」

 

 ガロードの聞き返しにフィアラは数秒考えると、具体例を口にする。

 

「街やコロニーを吹き飛ばしたり、陣営をコロコロ変えたり。敵のトップに立って圧政を始めたり、地球に何かデカい物を落としたり、とか? 反省してますってポーズを見せとけば水に流しそう」

 

 フィアラの言葉にカトルの表情が曇り、小さく体を震わせた。

 

「おい」

 

「なに?」

 

 それを見たデュオがフィアラを諌めるが、本人はキョトンとした目をする。

 フィアラがこの世界から消えたのとカトルがウイングゼロでコロニーを破壊したのはほぼ同時期であり、口にした本人はその事を知らない。

 カトルがいいんです、とデュオを止める。

 

「仮に、あのアニューって人が私をイノベイターに引き渡してから本人がノコノコ戻って来ても、どうせ対応は一緒だったんでしょ?」

 

 もしもあの時にキラ達が見舞いに来なければ、本当に誘拐が成功していただろう。

 その後に彼女だけ戻って来ても罰もなく暖かく迎え入れたのが容易に想像が出来る。

 実際の所どうするのかは分からないが、その可能性は低くないと思う。

 そこで周りにあまり感情的にならないようにと忠告されていたロックオンが苛立たしい様子で口を開いた。

 

「あのなぁ、アニューだって好きで────」

 

「まぁ落ち着けよ、ロックオン」

 

 クロウが制止する。

 恋人を庇いたい彼の気持ちは分かるし、顔見知りでもない相手にいきなり襲われて憤るフィアラの気持ちも理解できる。

 だからこそ感情的にぶつかるのを避けたい。

 

「少なくとも、寝ている私の首根っこを掴んだのは本人の意思だった。寝込みを襲われるのは嫌いなの」

 

「寝込みを襲われるのが好きな奴なんていないだろ」

 

 まぁね、と拗ねるように視線を外して顔の傷を指で撫でる。

 

「結局、許すなんて得するの手を上げた側だけだよ。私にはやられた事を無かった事にする理由がない」

 

 フィアラにとって、許すという事はマイナスの感情を0に戻すのと同じ事だ。

 やられた事を許して笑顔で握手を交わす。

 そうして有耶無耶にすれば満足なのか。

 

(冗談じゃない……)

 

 冷たい感情を自分の中で感じながら目を閉じる。

 すると今度は刹那がフィアラを真っ直ぐに見て質問した。

 

「なら、どうすればいい? どうすれば、お前は納得出来る?」

 

 静かに。しかし強い意思を持って問いかける刹那。

 

「……そんなの、私が気の済むまでやり返したらに決まってるでしょ」

 

「ガキかよ……」

 

「ガキだよ」

 

 呆れた様子のロックオンの感想にフィアラは肯定で返した。

 本人も自覚してるが、フィアラ・フィレスという少女は自己中心的な子供なのだ。

 かと言って、今更それを実行に移す気もない。

 本格的に手が出れば、やられるのは自分だし、それよりも優先しなければいけない事があるから。

 だから適度に毒を吐きつつ独りで動くのだ。

 

 話が進まない事に焦れてか、クワトロが本題を切り出した。

 

「君は20日間程、この世界とは別の世界にいたと聞く。いったい何があった?」

 

 先程も同じ事を訊かれて会話が切れた。

 しかし今度は誰かが話を遮ることもなく進む。

 

「私が向こうにいたのは1時間くらいだよ。敵の数が多くて死にかけたのをギリギリでこっちに戻って来れただけ」

 

 思い出して忌々しげに眉間に皺を寄せた。

 

「見渡す限り敵だらけ。スパロボ風に言うなら、S4U()以外のマス目が全部敵で埋まってて、3割減らすか敵ターンフェイズに増援が来てマス目を埋めてくる感じ」

 

「何を言ってるんだ君は?」

 

 良く分からない単語を混ぜ始めるフィアラに困惑する一同。

 その困惑を無視して話を進める。

 

「あの世界そのものがPMと言っても過言じゃない。今回は調査のつもりだったけど、返り討ちに遇っちゃった」

 

 その時のことを思い出して疲れた顔で自嘲するフィアラ。

 目的のモノを探す為に今回は向こうの世界を調べてすぐに戻るつもりだった。

 もちろん、運良く探しモノが見つかればそれに越した事もなかったが。

 

「それにしても、そこまで時間差が生じてるなんて……」

 

「あの世界自体、時間の流れがデタラメな感じだったから。今回は20日間のズレだったみたいだけど、10秒後に戻ってきた可能性もあるし、数年後に戻ってきた可能性もあるかな」

 

 あらゆる世界と繋がりつつも切り離された特異の空間。

 時間の流れも一定ではなかった。

 

「とにかく、しばらくは何処かに身を潜めながら機体の修理に専念しないと」

 

 1番の問題はやはり転移装置。

 破壊された手足は何とかなるかもだが、そちらはフィアラにはどうしようもない。

 落胆した様子を見せるフィアラに、スメラギが発言する。

 

「今回の件のお詫び、という訳じゃないけど、あの機体の修理はこちらで請け負うつもりだけど」

 

「結構です。信頼関係のない相手に、私の機体に触ってほしくない」

 

「そんな事を言ってもよ、直せるのかよ?」

 

「何とかするさ。何とか……」

 

 投げやりな感じでなんとかすると言うフィアラには不安しかない。

 しかし、フィアラからすれば、修理ついでに何か仕込まれるのではないかという不安がある。

 

(発信器とかなら未だしも、遠隔で機体を停止させられるような細工をされたら堪らないし)

 

 それを調べる為にも先程機体の状態を確認したのだ。

 軽く伸びをしてから告げる。

 

「私自身急ぎの目的って訳じゃないし。気長にやっていくよ」

 

「気長にって……本当に、向こうの世界に何をしに行く気なの?」

 

 真っ直ぐ見てのキラの質問にフィアラは一瞬その視線から逃れるように目を閉じたが、小さく息を吐いてから話し始める。

 

「あの世界に探しモノがあってね……別に何かしら必要なモノではないけど、私にとってはどうしても回収しておきたいから。だってせめて────」

 

 そこで言葉を切るフィアラ。

 

「まぁ、そう言うわけだから。貴方達にPMの殲滅されて、あの世界自体を消されちゃ堪らないんだよね」

 

 あの世界がPMそのものである以上、PMの滅ぼせばあの空間自体が消滅する可能性が高い。

 そうなれば勿論、フィアラの探しモノも見つけられなくなる。

 

(彼女、キラが相手だと少し素直になるんだな)

 

 破界事変の時にも思ったが、キラを相手にしている時は態度が僅かばかり軟化する。

 もしくはアナ姫が相手か。

 

「なら、お前が目的を果たすまで待ってろってのかよ!」

 

「いや、別に。好きにすれば良いんじゃないかな?」

 

 アポロに言われてしれっと好きにしろと言う。

 PMを倒せばフィアラの目的が達せられないと言うのに。

 

「私の探しモノとそっちの目的は別問題だし。もしもZEXISが私の目的が達せられる前にPMを何とかしたとしても、それは間に合わなかった私の落ち度だから、文句を言うつもりもない。ただ私は手を貸さないよ。それだけ。もうチマチマ各国を回ってPMの対処をするも必要ないし」

 

「何でだよ!?」

 

 もう現れるPMの対処はしないという言葉にざわめき出す。

 

「あっちに行きたいのなら、破界事変で暗黒大陸が開かれた時に叶ってたよ。でもそれだと、向こうで早々に死ぬ可能性が有ったから。まぁ、今回向こうに行ってもう必要ないって分かったから。第一、私の力を世界中に埋め込むだけなら態々戦闘をする必要もなかったしね」

 

「死ぬって、なんで!?」

 

「あっちはこっちで現れるPMが撒き散らす毒が段違いの濃度なんだよ。だから私、毎回アレに対処しつつ、少しずつその因子を取り込んで免疫というか、抵抗力? 的な物を獲得する為に戦ってただけ。毒の除去はそのついで」

 

 フィアラの力ならそれ無しでも大丈夫かもしれないが、やはり時間をかけても楽できるところは楽をしたかった。

 それが生死を分ける可能性があるならなおの事。

 

「とにかく私はもう、こっちで現れるPMに対応するつもりはないから。これからは、この世界の研究に期待、かなぁ?」

 

 完全に他人事な態度のフィアラにアルトが話しかける。

 

「ちょっと待て! あの化物に襲われた地域がどうなってるか分かってんのかよ!」

 

「大体予想はつくよ。生活圏を汚染されて移民とか大変そうね。頑張ってね、としか言いようがないけど」

 

 フィアラの返答に不満そうにする者がチラホラと。

 その様子に対策息を吐く。

 

「これまで因子の摂取だけじゃなくて、除去までやってたのを感謝されこそすれ、非難される謂れはないよ」

 

 これまで何の報酬も無くやってきたのだ。

 PMに被害に遭う人達に同情する気持ちが無いというわけではないが、それで対処するかは別の話。

 

「大体、人助けなんて貴方達みたいに正義の味方がやってこそ意味ある事で、私みたいな人間がやる人助けなんて、総じて偽善とか余計なお世話に分類されるらしいから」

 

「なに言ってんだ、お前?」

 

「さぁ?」

 

 おどけた感じに誤魔化すフィアラ。

 もう去ろうとするフィアラにクロウが前に出た。

 

「ちょっと待ってくれ。お前さんにはまだ訊きたい事がある。エスターの事なんだが……」

 

「エスターさん?」

 

 てっきり、別部隊にでも居るのかと思ったが。

 気になって続きを聞く。

 クロウのスフィアである揺れる天秤の反作用により暴走し、そのとばっちりでエスターが次元獣に変えられたこと。今はインサラウムに捕獲されていること。

 それでもまだ人間としての意志が残っているであろうことも。

 全てを聞き終わったフィアラは考えるように目を閉じたが、次に出た答えは皆が望むものではなかった。

 

「悪いけど、この件に関して私が力になれる事は無さそう。そもそも次元獣に変えられた人間が元に戻ったなんて話は聞いた事がない」

 

「そうか……」

 

 フィアラの答えに落胆しなかったかと言われれば嘘になるが、予想もしていた答えではあった。

 

「ま、アイツをああしちまったのは俺の責任だからな。どうにかしてみるさ」

 

 クロウの答えにフィアラはそう、とだけ返した。

 

「とにかく、PMを何とかしたいのなら、自分達で方法を探して。そもそも私の力だって何も代償も無いわけじゃ────」

 

 そこまで口にして天井を見る。

 セツコが首をかしげて話しかけた。

 

「どうしたの? 話してる途中で」

 

「ま、どうでも良いことか。それじゃあさようなら」

 

 とっとと出ていこうとするフィアラ。

 おい、と誰かが止めようとしたが、無視してブリーフィングルームを出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ZONEの中というのは、特別苦しい訳ではなく、眠っているのと同じ感覚だ。

 ただ意識が曖昧で、外の事が何も知覚出来ない。

 いつまで続くのかも分からない眠り。

 しかし、その眠りは唐突に破られた。

 

「なんだよ、いきなり……」

 

 毒づくようなランドの寝起きの声を聞くメール。

 

「助かったの? アタシ達……」

 

 誰かが自分達をZONEから解放したと見るべきだろう。

 戸惑っている中で通信が入る。

 そこに現れたのは。

 

「どうも……」

 

 記憶と些か異なるが、メールもランドもその人物を知っていた。

 

「あーっ!? なんでフィアラがここにっ!?」

 

 メールの驚きに答えず、フィアラは用件を告げた。

 

「修理屋、ビーターサービス。貴女方を私個人で雇いたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




偽善や余計なお世話云々の話は、無印Zでのディアナを宇宙に上げる時とか、デストロイ撃墜ときのZEUTHの反応に関してを揶揄ってます。

今回依頼した修理に関しては、新型を手に入れるまでの繋ぎです。
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