すれ違いの結末   作:ビールは至高の飲料

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声明

 アロウズ本拠地の宇宙要塞。

 エルガン・ローディック救出にZEXISから出撃したフィアラはエターナルを守っていた。

 

「よっと……」

 

 アロウズのモビルスーツを両腕を破壊して行動不能にするフィアラ。

 PMという怪物の本拠地に単身で乗り込んでいた彼女からすれば、この程度の戦力差でエターナルを守るくらいどうとでもなる。

 この世界でトップクラスに危険な敵を相手にしてきたZEXISという部隊が居るのだ。

 油断して良い相手ではないが、今更アロウズ程度にやられる訳もない。

 

(とはいえ、仮にもこれまで地球の治安を預かってた組織がこれで終わる訳もないよね)

 

 その予感は正しくアロウズの部隊をあらかた片付けた後に、奇妙な形のモビルスーツが大量に要塞の中から出てきた。

 突如トランザムを発動させ、真っ直ぐに突っ込んでくる。

 

「特攻兵器か……!」

 

 モビルスーツサイズの機体が高速で特攻をかましてくる恐怖。

 フィアラはブレイドを限界まで伸ばして横に振るう。

 数機撃墜出来たし、ZEXISも次々と撃墜するが、出てくる数が圧倒的に多い。

 

「私の歌は、世界を侵す」

 

 歌い、引き出した次元エネルギーをボール状にして敵の密集地帯に投げる。

 球体に吸い込まれる形で10体この場から消滅した。

 そこでプトレマイオスから通信が入る。

 プトレマイオスはこれより敵要塞へ侵入し、ヴェーダの奪還を開始すると。

 それまで ZEXISには敵の足留めを頼まれた。

 動きが止まった一瞬、S4Uに遠距離からのビーム砲が襲う。

 回避すると2機のイノベイター専用機がフィアラの機体に向かってきた。

 

『リボンズがアンタを捕まえてこいっさ!』

 

『大人しく来て貰おうか!』

 

 ヒリングとリヴァイブにフィアラは舌打ちする。

 

「イノベイターもどきが……!」

 

 人造的に製造されたイノベイター。

 応戦するフィアラに、他の面々が援護しようとする。

 

「こっちはいいです! エターナルや他の戦艦(ふね)を!」

 

『はぁっ!?』

 

 援護してしようとしてくれた数機が特攻兵器に邪魔されて動きが止まる。

 特攻兵器にエターナルを含む戦艦のどれかを撃沈させられたらそれこそ目も当てられない。

 そもそも連携が取れる訳でもないのだ。

 同士討ちの可能性も否定できない。

 

『人間風情が、イノベイターたる我々を一人で相手にしようと言うのか!』

 

「いつもいつも突っかかって追い返されてたくせに、一度も私を連れ去られてないからこうなってるの、理解してる?」

 

 鼻で嗤ってエターナルから離れた。

 そこでキラが疑問を口にする。

 

『いつもいつもってどういうこと?』

 

「こっちの世界に居る間に何度か私を捕まえようと交戦したんですよ。その度に追い返してやりましたけどね」

 

 カミナシティでフィアラがやけにアロウズに対して苛ついてた理由が分かったような気がした。

 

「来なさい下っ端。あなた達のストーカー行為も、ここで終わらせてやるよ」

 

(あいつ、意外と口撃力たけーんだよなぁ……)

 

 フィアラの宣告を聞きながらクロウはそんな事を思った。

 フィアラの目的はエルガン・ローディックの救出。

 プトレマイオスが敵要塞に侵入した以上、それは彼らに任せて自分は敵機の撃墜に専念した方が良いと判断。

 ZEXISは特攻兵器を撃破していくがそれ以上に要塞から吐き出される機体が多い。

 どちらも攻め込み切れずにいると、ダブルオーライザーがガンダムタイプに変形した巨大モビルスーツと交戦する。

 そのパイロットがアッシュフォード学園の元生徒らしく、そこに通っていたカレンやスザクなどが沙慈と共に説得するも、聞き入れない。

 敵のモビルスーツパイロットは明らかに精神が異常をきたしている。

 その頃にディエリアが強引に敵要塞に突入した。

 先に内部へと侵入したプトレマイオスはオートマトンとの白兵戦を演じていた。

 それを察知した刹那・F・セイエイ。

 

『そんなこと……させるかぁっ!!』

 

 ダブルオーライザーから、この戦場一帯を包む程のGN粒子が放出される。

 

『未来を創る為に、俺達はかわるんだぁああああっ!!』

 

 圧倒的な高純度のGN粒子量。

 それによって他者の思念。想いが交わる。

 

(気持ち悪い……)

 

 他人の気持ちが流れ込んでくる。

 自分の感情が他人に流れ込む。

 フィアラは思わず操縦桿から手を離して口元を押さえた。

 

(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いきもちわるいキモチワルイ……ッ!)

 

 心の内という個人にとって最も触れられたくない最大の聖域を無理やり裸にされて暴かれる不快感。

 ゼロに洗脳された事もあり、なおの事この空間に吐き気がする。

 それを、まるで良い事のように受け止めるZEXISの面々も含めてフィアラには理解出来なかった。

 だが、戦況はZEXIS側に傾く。

 イノベイター達の脳量子波が乱れたお陰で、先に敵要塞に侵入していたティエリアがヴェーダの掌握に入っていた。

 トライアルフィールドを起動させ、特攻兵器の無力化を図る。

 しかし、プロテクトの解除にヴェーダとゼロシステムをリンクさせてプロテクト解除の暗号を解析。

 そうしている間にフィアラが相手をしていたイノベイターが刹那とヒイロを討とうと動く。

 

「やら、せるかっ!」

 

 吐き気を堪えて足留めを行う。

 今やらなければならないのはエルガン・ローディックを助け出す事。

 だから、その為に必要な事をする。

 少しの間、戦闘を続けていると、敵機の動きが明らかに鈍く────いや、雑になった。

 それは、ティエリアがヴェーダを掌握したのと同時。

 

『ヴェーダのバックアップがなくったって! 人間なんかに』

 

 ヒリングの言葉と共に大型のビーム砲を撃つ。

 舌打ちと共にフィアラはシールドで受け止めつつ、刀身伸ばした。

 砲撃を止め、伸びてきた刀身を回避する。

 速度を最大まで上げてヒリング機に近づき、巨大な砲身を斬り捨てた。

 

『このっ!』

 

 即座に大砲を捨て、逃げようと下がるが、フィアラはシールドで敵の視界を封じた。

 今もヴェーダのバックアップがあり、万全であったのならこの程度の小細工は対して意味はない。

 しかしティエリアによってヴェーダを奪還された今、その小細工も役に立つ。

 僅か一瞬の隙。

 その間にコクピットを貫いて見せた。

 

「システムの助けがなきゃ、イノベイターもどきもこの程度か。やっぱり、ZEXISの手を借りるまでもないな」

 

 冷たく言い放つ。

 ヴェーダの奪還によって特攻兵器も行動不能になった。

 質も数もこちらが優勢になりつつある。

 リヴァイブの機体に突撃する。

 

『そんな単純な動きで!!』

 

 距離的に砲撃戦は不利と判断し、接近戦に切り替える。

 何回かの衝突の後に、シールドを機体に突き刺し、内部のブレード射出して仕留めた。

 フィアラがイノベイターの2機を倒している間に、ZEXISはサーシェスや出撃したリボンズと戦っている。

 サーシェスはロックオンに。

 リボンズは刹那との一騎討ちによって倒された。

 アロウズ。そしてイノベイターことイノベイドの脅威を排除したZEXIS。

 

 そして────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴェーダの中枢に辿り着いたZEXISはそこで負傷したエルガン・ローディックと対面する。

 彼はティエリアを庇って撃たれたのだ。

 

「まさか、ZEXISだけでなく、君も来てくれるとは思わなかったよ。フィアラ・フィレス」

 

「貴方()には返し切れない恩があったから」

 

 人並みではないかもしれないが、恩感じる気持ちくらいは持ち合わせているつもりだ。

 

「そうか……」

 

 僅かに口元が上がり、苦笑いをしているように見えた。

 そこからエルガン代表は自分がもう長くない事を告げる。

 その前に真実をその口から語る。

 イオリア・シュヘンベルグと盟友であり、彼の計画を手助けし、それを見届ける為に300年程生きてきた事。

 エルガンがそこまで長い寿命があったのは、彼が平行世界のジ・エーデル・ベルナルである事など。

 

「私がこの世界に訪れたフィアラ・フィレスと真っ先に接触出来たのは、平行世界の自分との交信能力がある為だ」

 

 ZEUTHの世界のジ・エーデル・ベルナルに頼まれたと言う。

 そして彼は、イオリアの計画を見届けた事を確証し、幾つかの言葉をZEXISに遺して満足そうに目を閉じた。

 

「あ……」

 

 エルガンが息を引き取ると、少し離れた位置に居たフィアラが近づく。

 思えば、拾ってくれたのが彼でなければどうなっていたか。

 ただの小娘として半壊していた機体を奪われて捨てられたか。それとも自分の力を利用しようとされていたか。

 エルガンは最大限フィアラの意思を尊重してくれていた。

 

(まぁ、資金提供の代わりにテロリストの情報を調べさせられたり、その他の雑用を頼まれたりはしたけど)

 

 だけど、悪い関係ではなかったと思う。

 一筋だけ、涙が頬を伝った。

 結局、大した恩返しは出来なかった。

 

「おやすみなさい、エルガン代表。いつか、また……」

 

 黙祷する仕草をするフィアラ。

 キラが声をかけようとすると、プトレマイオスのブリッジから通信が届く。

 

『スメラギさん!』

 

「どうしたの?」

 

『ブリタニア本国がっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神聖ブリタニア帝国の玉座。

 そこに座っていたのはシャルル・ジ・ブリタニアではなく、行方をくらませていたゼロ────ルルーシュだった。

 彼は学生服で現れ、98代目皇帝であったシャルルを殺したと明言し、だから自分がブリタニアの皇帝になると宣言した。

 それを悪ふざけと捉えた第一皇子のオデュッセウがやめるように話すが、ルルーシュの答えは。

 

『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる────我を認めよ!』

 

 その一言で場は一変した。

 ルルーシュを捕らえようと動こうとした者。

 ただただ現状に困惑していた者。

 皇族貴族衛兵問わず、その会場に居たほぼ全員がルルーシュに平伏したのだ。

 

『オールハイル・ルルーシュ!! オールハイル・ルルーシュッ!!』

 

 そうルルーシュを讃える言葉で埋め尽くされる。

 明らかに異常な光景。

 しかし、ZEXISはこの光景の答えを知っている。

 

「これがギアスの力……なんてことを……!」

 

 実際に目にするまで半信半疑だったが、もう疑いの余地はない。

 ルルーシュには人の心を意のままに操る力がある。

 あまりの映像に言葉を失っていると、エターナルに戻っていないフィアラが部隊から離れた。

 

「フィアラ?」

 

『先に地球に戻る……私の歌は、世界を侵す……』

 

「待ちなさい!?」

 

 歌が始まり、金色の紋様がS4Uを包む。

 機体を隠していた紋様が消えると、そこにはS4Uの姿は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はもう少し早く投稿できるといいなー。
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