すれ違いの結末   作:ビールは至高の飲料

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会いたくない来訪者

「ZEXIS?」

 

『そうだ。今の世界に必要だと判断した。あらゆる組織の垣根を越えて集結させた特別救助部隊。それがZEXIS。出来れば君にもその部隊に────』

 

「それ、強制ですか?」

 

『以前にも言ったように、私は誰かの自由を侵害する気はない。参加の成否は君の意思で決めてほしい。だが────』

 

「お世話になって心苦しいですが、お断りします。私は、単独行動が性に合ってますので」

 

『……そうか』

 

 フィアラの拒否を特に不快感を示す事はなかった。

 ただ口にしたのは小さな助言だけ。

 

『だがどうか忘れないでくれ。世界は君が恐れるほどに君を拒絶している訳ではないことを』

 

 相手の言葉をフィアラがどう受け止めたのか。それは本人のみ知る事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通常の次元獣と毒型次元獣の双方の討伐を終えて戦闘も一段落した。

 次元獣を召喚したアイム・ライアードも去り、戦場となった街にはZEXISと乳白色の機体だけが残されていた。

 

「こちら、ZEXIS所属のジェフリー・ワイルダー。応答を願う!」

 

 ジェフリーの呼び掛けに乳白色の機体は黙りのまま。

 まったくこっちの応答に答える気のない不明機に他の面々も苛立ち混じりに呼び掛ける。

 

「黙ってないで何かいいなよ!」

 

「お前があのバケモノをこの世界に呼んだってのは本当なのか!」

 

「被害を減らそうとしてくれているのは感謝するが、このままじゃあ、納得出来ないぜ!」

 

 アイム・ライアードの言葉に揺さぶられて非難混じりの言葉が飛ぶ。

 そんな中でクロウが努めて冷静に話をしようとする。

 

「俺達は別にアイムの言葉を信じてる訳じゃねぇ。だが、お前さんにやましい事が無いってんなら少しくらい話をしてくれてもいいんじゃないか?」

 

 ZEXISの呼び掛けにも一切の反応を示さずにいる乳白色の機体に苛立ちが増す。

 

「何とか言えよ!」

 

 アルトの苛立ち混じりの声か通信越しに響く。

 これまで、毒型次元獣の被害に遭った土地と人達をたくさん見てきた。

 理不尽に食われる人々。

 毒で倒れて死亡する人々。

 その凄惨な光景を思い出してZEXISはこの世界にあのバケモノを呼び寄せたかもしれない空中に佇む機体に不信感と苛立ちを募らせる。

 

「我々は人類全体の利益を守る為に戦っている。そちらと敵対し、危害を加える意思はない! 繰り返す! 我々は人類全体の利益の守る為に戦っている! そちらにもその意思があるのなら、どうか話し合いの場を設けて欲しい!」

 

 ゼロはZEXISに絶対に攻撃をしないように厳命しながらも乳白色の機体に呼び掛け続ける。

 だが、その想いはあっさりと袖に振られる。

 僅かな空間の揺らぎを確認されると、いつものように音もなくその場から消え去っていった。

 

「なんなんだよアイツは! こっちが話を聞いてやるって言ってんのによぉ!」

 

 黒の騎士団である玉城がこの場に居る者達の意見を代弁する。

 謎の機体。そのパイロットへの不信感がZEXISの中で棘のような小さい傷となって残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ZEXISは世界に戦いと混乱を呼び寄せる各勢力との戦闘を続けていく。

 敵対勢力1つであった世界解放戦線(WLF)というテロリストの集団をリモネシア共和国で討ち倒すことに成功した。

 しかし直後にリモネシアの外務大臣であるシオニー・レジスとアクシオン財団のトップであるカルロス・アクシオン・Jr.とこれまでZEXISと敵対してきたアイム・ライアード。

 プロジェクト・ウズメと名付けられた計画の発動により、リモネシアは壊滅的な打撃を受けて、現れたのは破界の王となのる次元獣を従える男。

 

 その男は後にガイオウと名乗り、新帝国インペリウムとして纏まらない世界を無軌道に蹂躙し始める。

 そんな中でソレスタルビーングでありながらプトレマイオス組とは別に独自の行動を取るチーム・トリニティや、インペリウムの蹂躙を利用して勢力図を書き換えようと動く各国。

 WLFを打倒しても世界の暴力はさらに加速していった。

 

 しかし、ガイオウがこの世界に現れたことで次元境界線が曖昧になった影響か、別世界の戦士をこの世界に呼び寄せる結果となる。

 とある世界でZETHUと名乗り、世界の敵と戦い続けた戦士を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 破界の王ガイオウに対抗するために戦力を集める事を優先し、別々の行動を取ることにしたZEXIS。

 宇宙に上がった面々はソレスタルビーングやコロニーの物とも異なるガンダムと見たこともないスーパーロボットに乗る少年少女を保護する。

 

 この世界について説明する最に表示された敵データに驚く。

 

「PM!?」

 

「知ってるのか? こっちじゃ、毒型次元獣なんて呼ばれている。そういや、アイムもそんな風に呼んでたが……」

 

 クロウの疑問にアスランが答える。

 

「俺達の世界にも現れている敵です。次元の境界を越えて現れて人々を襲い、倒しても毒を撒いて住民を死に至らしめる。しかも毒性の検知が困難で、除去が難しい。だからPMに襲われた大地は人の住めない土地へと変えられます。俺達の世界ではそれが大きな問題になっているんです」

 

「幸いにも現れる頻度はそう多くないことや、コロニーなどの地球の外に現れないのが救いですが」

 

 続けるカミーユの言葉にスメラギがそんな事になっているのかと予想はしていたがそうならなくて良かったと思い安堵する。

 オズマが説明を続ける。

 

「こっちの世界では毒型。いや、ややこしいからPMでいいか。とにかくあのバケモノの毒を除去している奴がいるおかげで大きな事態にはなっていない。もっとも、そいつのことは俺達もよく分かっていないが」

 

 画面を切り替えてPMと戦う機体を映す。

 それを見たZEUTHのメンバーは更に驚きの声を出す。

 

「S4U!?」

 

 シンの驚きの声にミシェルが反応する。

 

「知ってるのか? もしかして、この子もZEUTHの仲間なのか?」

 

 ミシェルの言葉に皆がどう説明すれば良いのか分からない様子を見せた。

 

 ルナマリアとエイジはシンを見て、アスランはキラを心配そうにして視線を向ける。

 キラはそんな気はなかったとはいえ結果的にフィアラを放り出し、放置してしまった。

 ラクスと宇宙で合流した時は、その事を大分責められてしまった。

 シンも、初対面で彼女を傷付け、最後にその意思はなかったが撃墜までした。

 他のZEUTHの面々にしても彼女に悪意をぶつけてしまった者は少なからずいる。

 生存している僅かな望みを賭けて次元修復後に捜索を続けていたが、ずっと発見されなかった。

 あの戦いの後にこの世界に転移していたのなら、見つからない訳だ。

 

「なぁ、何なんだよアイツは! これまでこっちが話し合いを呼びかけても全部無視して……!」

 

 あの機体への不満をぶつけるようにアルトは問いかける。

 その質問にキラは一瞬瞳を閉じてから答える。

 

「あの機体のパイロットが僕達の知っている子なら、フィアラという名前の女の子です。僕達が傷付けてしまった大切な……」

 

「傷付けた?」

 

「えぇ。心も体もきっと……」

 

 悔やむように答えるキラに続きを話す機会を先延ばしにする事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ZEXISに依って集められたZEUTH。

 最初は自分達はこの世界でどのような立ち位置を取るのか悩んでいた彼らも、組織として似たところのあるZEXISに最終的に身を寄せることとした。

 そして、新帝国インペリウムやガイオウの危険性を感じ取り、その打倒に協力することを約束する。

 ZEXISに引き寄せられるようにかつてのZETHUのメンバーも次々と集結しつつあった。

 彼らが再びS4Uと遭遇するのはそんな中での事だった。

 

 

 

 

 

 

「トリニティの奴ら、今度は何処を攻撃してやがる!」

 

 トリニティの出現を聞いてロックオンは苛立たしげに報告を聞く。

 つい先日、チーム・トリニティが民間人しか働いていない軍需工場を襲撃した。

 ガンダムの力で武装もしてない者を襲撃し、蹂躙する。そのやり方に怒りを覚えているのはロックオンだけではない。

 

「場所はブリタニア・ユニオンの領土! これは────」

 

「どうしたの?」

 

「PMと戦闘をしているS4Uと戦闘をしています!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こいつら! 町中なのに平気で!)

 

 愛機である機体を操り、力を使うために歌いながら突然襲いかかってきた赤い粒子を出す3機のガンダムに内心で舌打ちする。

 いつものようにPMに対処していると町への被害などを一切考慮せずに襲いかかってきた。

 赤い粒子のガンダムの攻撃で住民に被害が出ようがお構い無し。

 襲ってくるPMは倒しているが、目的がフィアラなのは明白だった。

 ただ、攻撃が胴体部分を避けていることから、目的は捕獲という感じだが。

 3機の攻撃にフィアラは集中してPMに対処することが出来ず、やって来たブリタニア・ユニオンの軍に任せきりになっている。

 特に攻撃に特化した機体が大剣と誘導兵器で向かってくる。

 

『どうしたどうしたぁ!? よそ見してると、誤ってぶった切っちまうぞ!』

 

『能天気な歌なんて歌っちゃって! ムカつくったら!』

 

『2人とも、目的はあくまでも捕獲だということを忘れるな』

 

 そんな通信が聞こえて来るが、いちいち、反応してる余裕はなく、3機のガンダムとPMの攻撃を躱すか防御フィールドで防ぎながら被弾を避ける。

 いつまでも墜とせない事に苛立ったのか、大剣を持ったガンダムが突っ込んでくる。

 

(調子に乗るなっ!)

 

 片腕で振り下ろされようとする大剣。

 それをフィアラはシールドとライフルを空中に放り投げて大剣を両の掌で挟み込んだ。

 

『なっ!?』

 

 白羽取り、と呼ばれるその防御に驚いた相手の隙を突いて、右足の爪先から出したビームサーベルで大剣を持つ腕ごと斬り落として奪う。

 奪った大剣を即座に捨てて放り投げたシールドとライフルをキャッチした。

 

『このぉ! テメェ!!』

 

 誘導兵器を操り、尚も襲ってくるガンダム。

 距離を取りながらビームマシンガンで撃ち落としていく。

 3機の攻撃を避け続けていると、町の方でPMに襲われている数人の子供を見た。

 

(くそっ!?)

 

 急降下し、シールドブレイドでPMを切断して近くにいる敵も片付ける。

 だが、その隙を見逃すほど赤いガンダムは甘くなかった。

 右肩に長い砲身のあるガンダムがこちらを狙ってきた。

 撃たれる。

 そう思った矢先に高速で何かが割って入ってきた。

 ビームシールドで赤い粒子ビームを防いだその機体は威嚇射撃で敵に距離を取らせる。

 その機体を、フィアラは知っていた。

 

(フリーダム……? キラさん……)

 

 S4U(フィアラ)を守るように敵との間に入ったフリーダムは、その銃口を赤い粒子のガンダムへと定めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでもいい余談。

フィアラが第二次から歌っている曲は、KOKIAさんの『祈りにも似た美しい世界』のイメージです。


次はフィアラ対ZEXIS。
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