白ひげの性格考えたらこうなるだろ!って話 作:はないちもんめ
「あのアホンダラがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
大気どころか地面すら震わす大男の怒鳴り声に今や海賊王となったロジャーは豪快に笑いで返す。
「うわははは!そう言ってやるな、ニューゲート!アイツにはアイツなりの理由があるんだよ」
「家族に対する約束以上に大切なことなんかあるか!一年で帰ると言った癖に、帰るどころかワノクニに帰るだと!?」
「そりゃお前、アイツはアレでも将軍だからな。ずっと海賊をやるわけにもいかんだろ」
「知るか!別に止めるなら止めるで構わねぇ!だが、通さなきゃいけねぇ筋ってやつがあるだろうが!」
「ワッハッハ!相変わらずだなニューゲート!」
宥めているロジャーの言葉を聞いても白ひげ。エドワード・ニューゲートの怒りは収まるところを知らない。何故、白ひげがここまで怒っているかと言うと、弟分である自分の船の二番隊隊長のおでんが一年限定で移籍していたロジャー海賊団から降りたらワノ国に帰ったとの報告を他ならぬロジャーから受けたからだ。
確かに元々はワノ国の将軍であるおでんがずっと自らの海賊団に居るとは白ひげも思ってはいなかった。しかし、別れの時は盛大に祝い、海賊団を辞めてもお前はずっと俺の家族であり弟だと言ってやりたかった白ひげとしてはこんな別れを許容するなどできるはずがない。
ロジャーとの話のために家族から離れていた白ひげはすくっと立ち上がり、家族のもとへ戻ろうとする。それが何を意味しているか即座に気付いたロジャーは落ち着いて白ひげの服を掴んだ。
「おいおい、ニューゲート。どこ行くつもりだ?」
「決まってる。あのアホンダラの所だ。一発ぶん殴りに行く」
「まあ、待て。殴るなとは言わんが少しだけ待ってやってくれねぇか?」
「何でオメェの言うことを聞かなきゃならねぇ」
「俺の言うことじゃねぇ。お前の弟の成したいことを見守ってやれって言ってんのさ」
「アイツの成したいことぉ?」
「ああ。ワノ国の開国だ」
ロジャーの言葉を聞いて、そう言えばと白ひげも思い出す。確かにおでんはロジャーの所に行く前から何故自分の国は世界から閉ざしているのかを不思議に思っていた。世界から目を背けて、引き篭もっていては窮屈で仕方ないのにと。しかし、その時は開国をするとまでは言っていなかった。それが何故急に決意をしたのか。それが分からぬ白ひげではない。
「…ラフテルで答えが見つかったのか?」
「察しが良いな。そうだ!俺たちは見つけた!ワノ国が世界から閉じこもっている理由をな!聞きたいか?」
「別に良い。興味ねぇからな」
ラフテルのことなどに興味が湧かない白ひげには秘密などどうでも良かったが、おでんにはそうではなかったのだろう。その秘密のためにおでんは直ぐに国へ帰り、開国をしようとしているのだ。とはいえ
「それよりも、だからって何で待つ必要があるんだ。別にワノ国の開国なんて俺らにはどうでも良い。してようが、してなかろうが俺たちは行きたいところに行って、やりたいことをやる」
「自由だな」
「それが海賊だ」
ニヤリとお互いで笑い合う。そうだ、自分たちはそれを求めて海へと出たのだ。それを誰よりも分かっているロジャーは白ひげの言葉を否定しない。むしろ、肯定する。しかし、これはそう言う話ではない。
「確かにワノ国の解放なんざお前には関係ない話だろうよ。だがな。弟分の夢となれば話は別だろ」
「当然だ。叶ったなら祝ってやる」
「それだ!だからこそ、お前はワノ国が解放されたら行くべきなんだ。そうすれば文句と祝いを同時に言えるだろ?アイツも兄貴分のお前に開国したワノ国を一番に見て貰いたいだろうしな」
それを言われると白ひげとしても困ってしまう。確かに、ロジャーの言うことにも一理ある。その方がサプライズ的にとても面白い。文句だけじゃなくて祝いもできるなど最高だ。しかし、それだと自分はワノクニが開国されるまでおでんには会えないと言うことになってしまう。 気の長い性格ではない白ひげにはとても待つことなどできなかった。
そしてそれも分かっていた(というより自身なら絶対に待たない)のでロジャーはダメ押しとばかりに言葉を放つ。
「とは言え、ずっと待てって話でもねぇ。そうだな…俺が死ぬまでってのはどうだ?」
「アホンダラ。お前が病気なのは知ってるが、誰にも知られずに死んだらどうすんだ」
「有り得ない!俺は最後にデカい花火を上げてやるからな!」
「ああ?お前は何する気だ?」
「後でのお楽しみだ!どうだ、ニューゲート?俺が死ぬまで大体一年くらいだと見積もってる。それくらいなら待てるだろ」
待つわけあるかと返すのは簡単だったが、それよりも興味の方が先に来た。何故コイツはこんなにも必死なんだろうか。
「…この理由次第で考えてやる。オメェは何でそんな説得するんだ?オメェには関係ないだろうよ」
白ひげの質問にロジャーは笑った。あまりにも簡単な質問だったからだ。ロジャーがこんなことをしている理由など一つしかない。
「簡単だ!ニューゲート!お前と同じように俺もアイツのことを仲間だと思ってるからだ!仲間の夢を応援する!ただ、それだけのことだ!」
一年後
「親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!大変だ!ロジャーの奴が!」
「ああ、知ってる。グララララ!」
朝刊のトップニュースであるロジャーの処刑に目の色を変えたクルーが白ひげの所に飛んできたが、既に知っていた白ひげは豪快に笑っていた。笑いすぎて涙が出てきた。この涙は果たしてどちらの涙なのかは白ひげ本人にすら分からない。
先に来て側でその様子を見ていたマルコはふっと笑う。
「最後の最後まで見事なもんだったよい」
「アイツなりの花火ってことらしい。グラララ。流石だ。こんな派手な花火見たことねぇ」
だが、何時迄も笑っている場合でもない。ロジャーの死は再開の合図だ。待つ必要もなくなった白ひげは即座に甲板に出て指示を飛ばす。
「野郎どもぉぉぉぉぉ!!今すぐに出港だ!行く場所は言うまでもねぇよな」
この一年間。その命令を待ちに待っていたクルーは全員笑顔で出港準備を始めた。その姿を見た白ひげは笑みを深めて大声を張り上げる。
「再会の準備をしろ!何時迄もタラタラやってるアホンダラのケツを叩きに行くぞぉぉぉぉぉ!!」
続くかは微妙…