デジモンリリカルアドベンチャー始まります
今、冒険と魔法のゲートが開く
一乗寺賢はデジタルワールドから
現実世界に戻ってからずっと眠りについていた
賢の両親は賢をひたすら心配していた
そして賢は眠りながら幼い頃の記憶を辿っていた
それは兄、一乗寺治と過ごした記憶
治は何でもでき、賢の自慢の兄だった
しかし賢の両親は何でも出来る治ばかり見て
賢はいつもついでのような扱いだった
そんなある日の事、賢と治が一緒にいると
パソコンのモニターからあるものが出てきた
それはデジヴァイスだった
治はそれを手に取るが何も起こらなかった
治は少し寂しそうに自分の机の引き出しに
デジヴァイスをいれる
そして治が部屋を去った後
賢は引き出しを開け、デジヴァイスを見る
デジヴァイスがどういう物かは
当時の賢にはわからなかった
しかし何か特別な物だというのはわかっていた
賢にとっては見ているだけで
胸踊る物だった
賢はデジヴァイスに触れる
するとデジヴァイスは光を放ち
パソコンのモニターも光を放っていた
賢『う、うわあああああ!!』
賢はモニターに吸い込まれてしまった
そしてしばらく経ち
治は部屋に戻ってきた
そのタイミングで賢もモニターから
姿を現す
治『賢
なにをしてるんだよ…?』
賢『こ、これ!』
治『なにをしてるんだよ!』
賢『っ!?』
賢は嬉しそうに
デジヴァイスを治に見せるが
治は怒鳴りながら賢の手を叩く
その際にデジヴァイスが床に落ちてしまう
治『僕の物に勝手に触るな!』
賢『ご、ごめん…』
治『これは…僕の物だ
人の机の中を勝手に触るなんて
最低の人間のする事だ!』
治はそう言いながら
デジヴァイスを机の引き出しにしまう
賢『ごめんなさ』
治『これは僕の物だ!
僕の許しなく絶対に触るな!
いいな!?』
賢『ごめんなさい…』
治『…勉強の邪魔だ
あっち行け!』
治に怒鳴られ、賢は部屋を出る
しかしやはり家は居心地は悪く
近所の公園に来て、そこにあるベンチに座る
賢『う…うっ…っ!!』
賢は涙をポロポロ流してしまう
そんな時だった…
『なに泣いてんのあんた?』
賢と同い年ほどの金髪の少女が
賢に話しかけてくる
幼い頃のアリサだ
賢『えっと…』
アリサ『なんで泣いてるのか聞いてるんだけど?
どうしたの?』
賢『…なんでもないよ』
アリサ『なんでもないことないでしょ!
男の癖にそんなに泣いて!』
賢『…どうして』
賢は小さく呟く
賢『どうして君は…僕にその事を聞くの?』
そう、賢からしたらアリサは赤の他人
アリサからしても賢は赤の他人だ
賢はアリサを不思議に思った
アリサ『…あたしにもわかんないわよ』
賢『えっ…?』
アリサ『あたしにもわかんない
だけどなぜかあんたの事が
ほっとけなかったの…』
アリサはそう言い、賢の隣に座る
アリサ『おせっかいかもしれないけど
聞かせてくれない?』
賢『…うん』
賢はアリサの言葉に頷く
彼女になら話せる
賢は不思議とそう思えた
そして賢は打ち明けた
なんでも出来る兄、兄ばかり見て
賢を見ない両親
先ほど兄に怒られた事を…
アリサ『あったまにくるわね!あんたの家族!』
賢『えっ?』
アリサ『特にお兄さんの方がムカつくわ!
ちょっと自分の物を触ったくらいで
最低な人間とか勉強の邪魔になるとか!
あんた、そんな家族に不満持ってないの!?』
賢『…僕だって
僕だってお兄ちゃんだけじゃなくて
僕の事を見てほしいよ!でも誰も
僕の事を見てくれない!
そうだ!お兄ちゃんがいなくな』
アリサ『ばかちん!』
賢『痛っ!?』
アリサは賢の頭をひっぱたく
賢は叩かれた頭を両手で押さえる
アリサ『それ以上先を言ったらあんた間違いなく
後悔することになるわよ!』
賢『っ!?』
アリサ『それに男なら泣くんじゃないの!
お兄さんや家族に不満があるんなら
それをハッキリ言いなさいよ!』
賢『……』
賢はアリサの言葉を聞き、静かに俯く
すると突然顔を上げる
アリサ『ど、どうしたのよ!?』
賢『ありがとう!
君のおかげで決心がついたよ!
お兄ちゃん達と話をしてみるよ!』
アリサ『そ、そう
じゃあしっかり言いたいことを
言いなさいよ!』
賢『うん!』
賢はベンチから立ち、走り出す
すると賢は一度走るのをやめ
アリサの方を向く
賢『また、いつか会おうね!』
賢は笑顔で手をふりそう言った
アリサ『ええ!いつかね!』
アリサも笑顔でそう返した
賢は走り去っていった…
治『賢!』
賢がしばらく走っていると
前から治が駆け寄ってきた
賢『お、お兄ちゃん…ねぇ』
治『…さっきは悪かったな』
賢『えっ…?』
賢は思わず声を漏らしてしまう
治の方から謝ってきたからだ
治『お前があの機械を触って
何か起こったのを見て
腹がたって…あんな事を…』
賢『…僕もごめんなさい
お兄ちゃんの物を勝手に触って…』
賢も治に謝る
治『もういいよ
暗くなるから帰ろう』
賢『うん!』
賢と治は一緒に自宅へと歩き出す
治『賢、何かいいことでもあったのか?
さっきから笑ってるけど』
賢『うん!さっきね
女の子に会ったんだ!』
治『女の子?友達か?』
賢『ううん、知らない女の子だった
でもその子が励ましてくれたんだ!』
治『そうか…』
賢を見る治の顔は少し寂しそうで
少し嬉しそうな顔だった
そして自宅マンションの前の横断歩道につく
賢『お兄ちゃん!早く早く!』
賢は横断歩道の周りを見ずに行く
治『賢!よく見ないと危な…賢!!』
賢『うわっ!?』
治は賢を押し倒す
ドゴオオオオン!!
それは、突然の出来事だった
治が車にひかれ、命を落としてしまったのだ
目の前の治の遺影を見る賢は
信じられないと言わんばかりの
表情だった
賢『お兄ちゃん…?
僕のせいだ…僕がちゃんと
車を見なかったから…
僕は…どこに行けばいいの…
どこにいればいいの……?』
そんなある日、賢が治のパソコンを見ていると
賢宛にメールが来ていた
-お兄さんが亡くなったのは、偶然が
生んだ不幸だ。君にとっては、さぞかし
心が動揺する出来事だったろう。
でも、安心したまえ…
君のお兄さんは死んで楽になれたのだよ。
君はそれを苦にすることはない…
君のお兄さんは、肉体的死を迎えて
本当は意味で楽になれたのだ。
永遠の精神の自由を得たのだから。
…でも、君はこれからもその
つまらない日常の世界で生き続けなければ
ならない…つまりそれは、君の自由な精神の死を
意味する。可哀想な君……
私は君に同情する。
引き出される結論としては、
今の世界は君にふさわしくないという事だ。
君には、もっとふさわしい世界が
あることを…今、私は君に告げよう……
君の精神が、完全に解き放たれる世界だよ。
引き出しを開けたまえ。
そのデジヴァイスを使うのだ。-
これがメールの内容だった
賢は躊躇したが
意を決して机の引き出しを開け
デジヴァイスに触れる
するとデジヴァイスは光を放ち
賢はパソコンのモニターに吸い込まれた
賢がたどり着いたのは
周りに灰色の海が広がっている世界だった
賢はデジヴァイスを持つ手を
海につける
そして、デジヴァイスは黒色のD-3に変化した
賢『そうだ、これだ…
これが僕のデジヴァイス
誰の物でもない…僕だけの物…!』
賢は笑みを浮かべながらそう呟く
その目は光をなくしていた
こうして、デジヴァイスは闇に染まってしまった…
今回は少しオリジナルの展開を加えました
次回、賢に試練が訪れる…