ヤク中三馬鹿が勇者って本当ですか?? 作:ヤク中三馬鹿
つまり何が言いたいかというと、遅れてごめんなさい。
そういうことです
女性勇者が三人集まってようやくバーテックスと上手いことやり合える、そう思っていた。実際大赦の方もそれを前提とした立ち回りを勇者達に求めていて、初陣の最中ではあったがそれぞれがそれぞれの特徴を理解し、ようやく勝ちを獲りにいける……。
そのハズだった。
そのバーテックスが自分たちとは違う、明らかに違った三人の勇者によって半ば嬲り殺されている。武器の種類やら纏っている装備の数々、そんな事すら気にならなくなってしまう程の違和がそこにはあったのだ。
大赦は──神樹様は『純新無垢な少女』でなければ勇者として相応しくないと、そういうことを神託として下した。
しかし事実として、今三人の勇者の前では有り得ない事が起こっている。神樹様が虚偽の神託を下す筈など万に一つの可能性も無いのだから。
──女性勇者しか存在しない、その筈なのに。
それなら……、たとえ一人であったとしてもバーテックスを圧倒できるだろう力を持った
両肩にキャノン砲のようなものをマウントした緑の少年が、手に持ったバズーカを躊躇無く撃ち放つ。
三人の勇者達はなぜ攻撃されなければならないのか、全く分からないけどとりあえず避けないと不味い、という事はしっかりと認識出来ているらしい。
三人はそれぞれ散らばるように距離を取って、
「おいお前ら! 一体何者なんだよ!?」
先程須美が投げつけた疑問とほぼ変わらないモノを、銀が再び投げつけた。
「それはこっちのセリフだよ」
「なにぃっ、くぅっ!?」
砲撃に気を取られた銀の目の前に、両肩の盾が特徴的な緑髪の少年が鎌を持って肉薄する。
──ガギィッ!
銀の双剣斧と少年の鎌、互いの得物がぶつかり合って、ガリガリと火花を散らし。そのまま三回、四回……と剣戟を結ぶ。
「ミノさんっ!! こっち──!!」
競り合いが十回を数えた頃に、後方から園子の声が掛かる。チラと見てみれば園子は片手で槍を持って手招きしていて、須美もその近くでチャージが終わり、後は放つだけになっている弓を構えている。きっと、銀の離脱を見計らって撃つつもりだろう。
「園子ッ!? ──分かった……よぉッ!!」
「っぐぅ……!」
打ち合いが十回を数えた所で背後から園子の声が掛かる。相手もなかなかの手練で余裕などほとんど無いが、チラと後ろを見てみれば槍の穂先を円盾のように展開した槍を片手に手招きをする園子。
それとフルチャージの済んだ弓をこちらに向ける須美の姿があった。どうやら離脱の援護を受け持ってくれるらしい。
ならさっさと合流しなきゃな! と、銀は双剣斧での追い込みを掛ける。長柄と双剣では距離による有利不利が当然あるが、超至近距離なら──文字通り懐に潜り込んでしまえば、長柄を振るうスペースなど最早どこにもない事を銀は知っている。
緑髪の少年も相当強いのだ、双剣の手数の多さにも屈せず攻撃を受け流し続けるが──体制が崩れた、そんな所に──
「今だっ、須美ィ!」
「ええぃっ……!」
最後に銀は渾身の蹴りを浴びせて、その勢いのまま合流を図る。体制の崩れた少年はまともに食らってしまい吹っ飛んでいく──所に。
光速に到達する勢いまで、限界まで引き絞られた閃光が迸る。
吹き飛ばされながらも、咄嗟に少年は両肩のシールドを構え──
「──っへ……」
渾身の力を込めて放たれた一撃は目標を穿つことなく、空高く舞い上がっていく。そのままエネルギーは自壊、それに伴う強烈な光と衝撃波が巻き起こる。
奇しくもその直後、怪物が倒れた事による樹海化の解除──すなわち、鎮花の儀が起こり花びらが舞い落ちていった。
「……あの人達、一体何者だったのでしょうか」
「うーん、アイツらがバーテックスを倒しちまったのは、まだ良かったけどなぁー」
「今度は私達〜? 力も強かったし、もうめちゃくちゃだよ〜……」
(大赦が隠していた勇者……? それはおかしいよね〜、だって神樹様が女の子しか勇者には成れないっていう神託だってあったんだし〜……)
正体不明の敵? が、園子達勇者の敵であるバーテックスを撃退してしまったと思ったら。
そのまま今度は勇者にも攻撃を仕掛けてきて……。ちょうどよく鎮花の儀で元の世界に帰って来れて……。
園子達勇者三人はイネスの中に出店されているジェラートを味わいながら、今日起こったことをもう一度振り返っていた。が、駄目……、なにも分からない。
そもそも男の勇者は居ないはず、だけどそれならバーテックスと敵対する理由が無い。
バーテックスを倒した、という事は奴らとも敵対している。なのに、大赦印の勇者とも交戦を始めた……。
考えれば考えるだけ謎が深まってしまい、同時にジェラートを勢いよく掻き込んでしまった三人は、文字通り頭が冷えてしまった。
「キミ達ィ……、やってしまいましたねぇ……」
「どういうことだよ村田」
「確かにボク達は、あのバーテックスとかいうバケモノを殺っただけですよ?」
「女の子の形した三体は逃がしちゃったけど」
「それがいけないって言ってんですよ」
場面は変わるがこちらもイネス。なんだかんだコイツらも組織なので、反省会……のような物を行っていた。村田としては釘を刺す意味でも、あの女性勇者達の事は伝えておかなければならないのだ。
「キミ達が戦って
「おい舎二! てめぇ僕が育てた肉取ってんじゃねぇよ!!」
「アァ? 知らねーよそんなのチンタラしてんのがいけないんじゃん」
「飯くらい静かに食えねぇのかおめェらは……」
村田は丁寧に説明していたが、肉のひとつでギャンギャン騒ぐ彼らを見て馬鹿馬鹿しくなってしまい、自分もそそくさと織我の育てた肉をかっぱらっていった。
「てめぇ村田!! 何俺の肉持ってってやがる!! 返せコラァ!」
「食事くらい静かに出来ないんですか? まったく……」
まぁ少なくともこんな焼肉の場でするような話でもないか、村田はそう締めくくる。
ただ今後の彼らの事でもう一つだけ話をしておかないとならないので、村田は肉と米を飲み込んでからもう一度口を開いた。
「そうそう、明日からの予定ですが。キミ達には明日から神樹館小学校にに通ってもらいます」
「はぁ? なんで?」
舎二のあからさまに嫌そうで気だるげな問い。それもそのはず、彼らには既に小学校レベルはおろか、中学校で習うほとんどの学問は習っているのだ。今更通う理由も無いと思うのも普通の事だろう。
「いやね、その学校にさっきの三人の女性勇者が通っているんですよ。キミ達には是非とも
「バカ言ってんじゃねぇよ、今日殺りあっちまったんだぜ?」
「そうだよ! 今更仲良くしろって言ったってムリだね!」
強く反抗する三人ではあるが、既に編入手続きは済んでいるのでそれこそ今更である。
「まぁまぁ、もう決まっている事なんですよ。──そこで、話しておきます。そしてキミ達が編入する第六学年にはクラスが三つありまして、そこに一人ずつ入ってもらう事になるんですよ。彼女達勇者は一つのクラスに纏まっている。──言いたい事、分かりますね?」
「おいまさか……」
「ええ、そのまさかです。一人は女の子に囲まれて楽しい学校生活……。羨ましいですねぇ……」
──ここに血を血で洗う、クジ引き選手権が開催してしまったのだった。
結果は……、お楽しみにね。
次がいつになるかは全く分かりません。基本的に気分で動いておりますので。