フェンリル   作:氷雨蒼空

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プロローグ

結局この世界は何も変わらなかった。高度な文明によって開拓が進むと、人々の生活は豊かになり、水や、食料や、仕事、それらが人々に安寧をもたらして争いなんて起こらなくなると思われた。

言語が違えど共通の害である魔物という存在が、敵の敵は味方なんて言う概念を都合よく解釈させてくれるのではと、誰かは考えたかもしれない。

 

でも結局お手て繋いで仲良く魔物をぶっ殺しましょうなんてことはなく、魔物は冒険者の管轄で、結局国家の敵は他所の国という構図は何年と何十年と変わらないまま。

 

人間の精神がいつまでも足踏みしている中、戦争だけは進化した。

 

最初は魔法というありきたりな技術。

 

まるで原始人が火を使うことを覚えたように、人間は魔法の存在を認知すると、それを長い年月をかけて道具へ転嫁した。

 

そして近年登場したのがアームジャケットと呼ばれる大型人型機動兵器。全長10メートルサイズから、全長20数メートルと多種存在する兵器は、専用に建造されたバスターソードや兵器を含めれば、それ以上のサイズになるであろう。

 

最初の登場はブランベルク王国と呼ばれる人間種族の国家だった。もっとも最初はただの攻城兵器程度の感覚で建造されたと専らだ。

 

城壁を破壊する道具をえっちらおっちら運ぶの大変で、車輪では坂道や悪路に対応できないからと、二足歩行のゴーレムをモデルに造られた。

 

更に道中で破壊されたら困ると、鎧のように装甲を取り付け、操縦者が視界が悪いとごねれば、魔導具で外の景色を中に投影したり、魔法で吹っ飛ばされると西側で叫ばれれば魔法障壁機能をとりつけ、東側で操縦士の魔力がガス欠を起こすと叫べば、魔力内蔵式に改良したりと、こうして魔導師や冒険者上がりの傭兵が活躍した時代を過去のものとするかのように、アームジャケットの新時代は訪れた。

 

 

そしてアームジャケットで優位に立てないとある国家は、神話や英雄譚に出てくるようなおとぎ話にスピリチュアルなものを求め、召喚魔法の研究から端を発した技術を用い、究極の戦略兵器をこの世界に到来させた。

その名はレヴナント。

 

人の姿をしたそれは一騎当千の如く戦場で戦い抜くワンマンアーミー。

 

 

そしてアームジャケットの質と数で勝敗が決するとまで言われたこの世界で、キルレシオ1対1000の戦略兵器が新たに到来したが、それ以外のもの達の存在意義等、結局のところ国家は重要視していなかった。

 

 

 

 

だから、この世界は結局変わらなかった。

 

 

 

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