いや、あのですね。艦娘視点で書こうと思ったら筆が進まなくてですね。不本意ながら主人公視点で失礼いたします。
本当に申し訳ない(´・ω・`)
さて、そのあと数十分かけて鎮守府内を案内してもらったわけだけども。
「では、案内はこれくらいで良いな?」
――いえ、もう1つ案内してほしいのですが
長門さんには工廠・ドック(お風呂)・運動場・艦娘寮・ジムその他いろんな場所を案内してもらった。でも、おそらくボクが1番利用するだろう肝心な場所を案内してもらっていない。
「ダメだ」
なんでよ。いいじゃん別にあと1ヵ所くらい。
――食堂に案内してほしいのですが
「別に案内しなくても良いだろう?」
良くないよ。せっかく鎮守府内に食堂があるんだったら使わせてよ。
大本営ではよく食堂で『日替わり間宮定食』を食べたもんだ。大本営の間宮さんは頼めばこっそり味噌汁の具を多めによそってくれる優しい女性だった。
弁当を作るって手もいいんだろうけど、自分で作るよりも超一流シェフ顔負けの給糧艦『間宮』さんが作るご飯の方が100億倍美味しい。どうせ口にするなら美味しいモノ食べたいよね。
「いやしかし……」
――じゃあ、1人で行ってみます
「案内しよう」
妖精さん顔負けの手のひらドリルやめてくれませんかね。
『ここの間宮は美味いぞー』
『早いぞー』
『安いぞー』
『可愛いぞー』
グルメな妖精さんたちがベタ褒めじゃないですか。噂によれば、大本営と横須賀鎮守府の間宮さんは給糧艦の中でも1、2を争う腕前らしいし、これは期待しちゃいますね。
なんてワクワクしながら食堂に行ったら、
「……なんの御用でしょうか?」
毎朝吠えてくる近所の大型犬みたいに、すごく警戒した様子の間宮さんがいました。
どうして……?
いや落ち着こう。まずは状況を整理するんだ。まずボクが立っているのは横須賀鎮守府の食堂。ボクの右隣には長門さん、正面には間宮さん。そして食堂内には、食事中の艦娘さんたちが数十人。みんな一様に無言のままボクを観察するように眺めている。
なにが怖いって、これだけたくさんの人がいて物音も喋り声も全然しないってことだ。正確には、ボクが食堂に足を踏み入れた瞬間からこうなった。廊下を歩いている時はガヤガヤという喧噪が聞こえていたのに。
――今日からココで働くことになりました、春日です。よろしくお願いします
とりあえずは挨拶だ。にこやかに笑って挨拶すれば仕事上の付き合いは上手くいくって大本営時代の上司が言ってた。
「っ! そ、そうですか」
怯えられてるじゃないかクソ上司。もうアンタの言うことは信じないからな。
ああもう、正面に立っている間宮さんは顔を真っ青にしてるし、隣に立つ長門さんは「貴様が悪い!」とでも言いたそうに鬼の形相で睨みつけてくるし。
『鮭が! 焼き鮭定食があるクマ!!』
頭の上の妖精さんはうるさいし。おとなしく昼まで待ってなさい。
もういいや。ボクの要件は、艦娘じゃないボクがこの食堂を利用できるかどうか。それだけ確認しよう。
――昼食には食堂を利用したいと考えているんですが、いいでしょうか?
「……間宮」
「……少しお待ちください」
長門さんと間宮さんがコソコソ内緒話を始めた。わー、感じ悪ーい。
食堂の艦娘さんたちもこっちチラチラ見ながらザワザワ話し始めた。わー、雰囲気悪ーい。
これだよ。これだから女性だらけの職場に来たくなかったんだよ! 絶対アレじゃんボクの悪口言ってるよね。ボクの耳までは届かないけど、たぶん「何あのブサイク」「【提督】とは雲泥の差ね」『キモーイ』『童貞が許されるのは小学生までだよねー』おいコラ小人族。さりげなく人の思考回路に乱入してくるんじゃない。
「……使用許可は【提督】にお伺いしてみなければなりませんので」
――分かりました。では昼までにこちらで確認しておきます
1回執務室まで戻って【提督】に確認してから仕事を始めよう。日本人初のエベレスト登頂に成功したあの人も真っ青になるだろう超巨大な書類の山脈を片付けるには時間が惜しい。
今の時間は7時50分。軍隊風に言うなら〇七五〇。始業時間まであと10分だ。急がないと。
感想とUAとお気に入り数が増えてる!(゚∀゚)
ボクの仕事での疲労も増えてる!( ゚Д゚)コシガイタイ!
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