妖精さんが見えるだけなのに   作:語部創太

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9.交渉(主人公視点)

 ああ、うん。さすがに銃口を突きつけられるのも2回目になると慣れてくるもんだね。庁舎の入り口で囲まれた時はビックリして固まっちゃったけど、もう慣れたもんですよハハハ。

 さて、執務室の中にいたのは3人。ボクと同じように白い軍服に身を包んだ男性。これが【提督】とみて間違いない。あと、めっちゃ背の高い女性――なにそのおへそ丸出しな露出度高い服は。痴女ですか? なるほど貴女がかの有名な痴女ですね? それに、【提督】と同じくらいの背丈の女性。ウェーブした腰まである茶髪が特徴。

 

『手をあげろー』

『ひざまずけー』

 

 うるさいぞ小人族。二番煎じは格好悪いって習わなかったのか。同じ出オチを2回もやりやがって。

 

『へへー』

『ははー』

『クマー』

 

 従うのかよ。

 ボクの身体に引っ付いたり金平糖のビンをワッショイしていた妖精さんたちが執務室の床をペロペロし始める。

 

『ひっ捕らえろー』

『なにをするー』

『金平糖と煎餅も没収だー』

『ぼくのだぞおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 

 なんかガチギレしてる妖精さんがいる。4人がかりで取り押さえられて鬼のような形相でお菓子を没収している妖精さんたちを睨みつけている。

 そしてめっちゃ背の高い女性も、ボクのことを憤怒の表情を浮かべて睨みつけてくる。ナンデ?

 ボクなにか変なことしちゃったかな。妖精さんたちに銃突きつけられてる被害者なんですけど。怒られる心当たりが全くないです。

 

『仲間がどうなってもいいのかー』

『おとなしく投降しろー』

『『『そうだそうだー』』』

 

 だからキミたちは捕まった側だろうに。

 

――これはつまらないものですが

 

 仕方ない。本来なら【提督】への手土産のつもりだったけど、妖精さんたちにごまをすっておこう。

 綺麗に包装された箱を妖精さんたちの前に差し出す。不思議そうな顔で近寄ってくる妖精さんたちに見せつけるように、包装紙を剥がして箱のフタを開ける。

 

『こ、これは!?』

『マドレーヌです!?』

『あの言わずと知れた名店の!』

『朝4時から並ばなければ買えないと噂の!』

『1日わずか20箱しか作られていない!』

『超レアなマドレーヌです!!』

『『『な、なんだってえええええぇぇええ!!??』』』

 

 見事なリアクション。甘いもの大好きな妖精さんたちだけど、まさか自分たちでお菓子を買いに行くわけにはいかない。こうした美味しいモノを入手するには艦娘や人間に頼むしかないってクマ子さんが言ってた。

 ほら、よだれがダラダラ流れてるよ? もう我慢できないんだろう? 今すぐその美味しいマドレーヌにかぶりつきたいんだろう?

 

 許可しようじゃないか!

 

――どうぞ皆さんで召し上がってください

 

 歓喜の悲鳴が、数十の妖精さんたちから湧きあがった。

 

 

 計 画 通 り

 

 

 思わずニヤリと、ほくそ笑んだ。

 




 名前書いちゃうと人が他界他界しちゃうマンガ。もう14年も前になるんですね。歳を取ったなあ。
 母校の小学校が徒歩5分のところにあるので、子供たちが登校している姿を見てしみじみと感傷に浸る今日この頃です。

 あんまり外に出ていると花粉のせいでくしゃみが止まらないんですけどね。ゴミ出しの時以外に外出したくないでござる。

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