ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編) 作:とんこつラーメン
「…………え?」
一瞬、オレは何が起きたのか正しく認識出来なかった。
目の前にいるコイツはなんて言った?
「お…お前……まさか…『あの時』の事を覚えていて……?」
「はい。しっかりと鮮明に覚えていますよ。初めて貴方と出逢った日の事も、共に数多くの困難を乗り越えて行った日々も、一緒に一夜を過ごした事も、最後の瞬間も……」
「あ…あぁぁ……」
おい…これは何の奇跡だ?
奇跡否定派の人間であるオレの目の前で…奇跡が起きただって……?
「ごめん……ごめんよ……オレは…あの時…お前に……」
「それに関しては『あの時』にも言ったでしょう? 鞠絵は何も悪くは無い。今でも、私は貴方達の選択が間違っていたとは思っていない」
「だけど……」
「……普段は科学者として凛としているのに、変な所で人間らしい部分もある。そんなアナタだからこそ、私は鞠絵のサーヴァントとして戦う決意が出来た」
「うん……」
この温もり……忘れはしない……。
オレのよく知っている……本気で愛していたセイバーだ……。
「えっと……先生?」
「なんで召喚されたサーヴァントと博士がお知り合いなんでしょうか……?」
「ラブコメだー……」
あ……こいつらの事を完全に置いてけぼりにしてた。
『ちょ…ちょっと待ってくれ! それはちょっとおかしいぞっ!?』
「何がですか? というか、この声は……」
おっと。まだセイバーは詳しい『
いい位置だから、このまま耳打ちしておこう。
「セイバー……実は……ごにょごにょ……」
「成る程。承知しました」
一先ずはこれで良しっと。
昔から物分りは良かったから助かる。
『召喚された英霊が過去の聖杯戦争の記憶をそのまま覚えているなんて有り得ない! 例え、前と同じ英霊が召喚されたとしても、それは姿形が同じだけの完全な別人だ! それなのに……』
「そうですね。どなたかは存在じませんが、言いたいことは分かります。ですが、私にはどうして自分が嘗ての記憶を保持したまま現界出来たのかが分ります」
『なんだってっ!?』
ほぅ……それはオレも聞きたいな。
「これはあくまで私の予想ですが、今回の召喚が嘗ての召喚時の状況に限りなく近いせいだと思っています」
『以前と同じ状況……そうか! 召喚された場所が『冬木市』で、召喚したマスターが『望月博士』……。恐らく、召喚の媒体となったのは、二人の間に紡がれた強い絆や記憶……。形ある物じゃないから効果は薄いかも知れないが、君達二人の場合は例外だろうし……』
オレ達だけが例外……ね。
そう言われると、少し照れるな。
「この日、この時がやってくるのをずっと待ってました。本当に…また鞠絵に会えて嬉しい……」
「オレもだよ……アルトリア……」
ちくしょう……こんなの反則だ……。
完全に不意打ちじゃないか……。
「あ…あの!」
「オルガ? 一体どうした?」
「三人の話を聞いていると、まるで先生が以前に聖杯戦争に参加していたみたいに聞こえるんだけどっ!?」
「『あ……』」
無意識の内に言ってしまってたか……。
「……ロマニ」
『そうだね。これに関しては所長も決して無関係とは言えないし、いつかは必ず話さなければいけない事だった。それが多少、前後しただけって事だろう』
「そうだな……」
本当は、もう少し落ち着いた場所で話したかったんだけどな。
ここで変に先延ばしにしたら、却って怪しまれるだろう。
「お前の言う通りだよ、オルガ。嘗てオレは、2004年の冬木で起きた『聖杯戦争』に参加をしたマスターだった。その際に召喚したのがセイバー…つまり」
「私…という訳です」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
まだ周囲に何の反応も見受けられないので、焚火を囲むようにして座り、ポツポツと通信越しのロマニを交えながら話し出す。
『何も知らないマシュや立夏ちゃんの為にも、ここは一から説明しよう。よく聞いてくれ』
「「はい」」
『まず、カルデアは『カルデアス』という地球をモデルで未来を観るんだ。それと同時に、『ラプラス』と呼ばれる使い魔を介して過去の記憶を集計していく』
「要は、余り公にならなかった表舞台の歴史や人知れず闇へと葬られていった情報を拾ってくるのがラプラスの役目だと思っていればいい」
『で、そのラプラスによる観測で、2004年の冬木市にて、非常に特殊な『聖杯戦争』が観測されたんだ』
ロマニも上手いもんだ。
あたかも、
「聖杯戦争……? その『聖杯』とは、数多くの伝説や神話に登場する、あの『聖杯』の事ですか?」
「そうだ」
「所持している者の全ての願いを叶える『万能の願望器』であり、あらゆる魔術の根底に存在しているとされる魔法の窯……」
「すっご~い! そんなのが現実に存在してるんだ~!」
「まぁな」
マシュのはなんとも模範的な解答で、逆に藤丸の反応は実に一般的だ。
「確か…冬木の街にいた御三家である『アインツベルン』と『遠坂』と『間桐』の家が聖杯を完成させて、それを起動させるために七騎の英霊を召喚した……のが、聖杯戦争の始まりでしたよね? 先生」
「その通りだ、オルガ。ちゃんと、オレの講義は聞いていたみたいだな」
「勿論です。一字一句漏らさず、全てノートに書き記して覚えましたから!」
それは…感心すればいいのか? それとも呆れればいいのか?
『そして、街中では人々の与り知らぬ中でサーヴァント達が呼ばれていた』
「因みに、聖杯戦争のルール自体は非常に単純明快だ」
「七人のマスターが自身の召喚したサーヴァントと共に戦い合い、生き残った最後の一人が聖杯を手にする。現代風に言えば『バトルロワイヤル』と表現するべきかと」
最後はセイバーが締めくくってくれた。
バトルロワイヤル…か。この世で最も聖杯戦争に相応しい言葉だな。
『けど、その事をカルデアが知ったのは2010年。聖杯戦争が経過してから6年も経った後の事だった』
「その時のデータを基に前所長…オルガの父親であるマリスビリーとオレの二人の共同研究で、とある召喚術式を完成させた」
『それこそがカルデアの誇る英霊召喚システム、通称『Fate』。ラプラス、カルデアスに続く第三の発明だね』
「第三……? あの近未来観測レンズ『シバ』は違うのですか?」
「あれは基本的にレフの発明だからな」
「正確には、私と先生とレフの三人で行った共同開発なんだけど」
「オレがやったのはサポートだけだよ」
『いや…博士は所長が寝ている時も頻繁にレフ教授と一緒に徹夜をして頑張っていたじゃないか』
「……そんな事もあったな」
オレにとって徹夜なんて日常的なんで、すっかり忘れてたよ。
「兎に角、この冬木の地こそがサーヴァントという存在の発祥の地なのさ。それさえ覚えていればいい」
「は~い」
気の抜ける返事だな……。本当に大丈夫か?
「ま…待って。私が知っている限りでは、あの時の聖杯戦争の勝者はセイバーだった筈。ってことは、今は先生が聖杯を所持しているって事?」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
「いや…それは……」
そういや、講義でんな事も話したっけ。
割と素え忘れてたわ。
「あの~…ちょっといいですか?」
「どうした?」
「ずっと聞こうかどうか迷ってたんですけど…『英霊』とか『サーヴァント』とかってなんなんですか?」
「あ…貴女……まさか、本当に何も知らないでカルデアに来たのっ!?」
「はい……ごめんなさい」
「いや、別に謝る必要はないからな? ガチの一般人だったお前が何も知らないのは、寧ろ当然の事だから」
『そうだね。こんな事さえ起きなかったら、ゆっくりとボクや博士で色んな事を教えてあげたんだけどね』
「仕方がないな。簡単ではあるが、オレが藤丸に講義してやろう。一応、マシュも聞いておけ」
「はい! 博士の講義は久し振りで楽しみです!」
「そんなに面白いもんでもないと思うんだけど……」
それじゃ、オレだけ立ってからそれっぽさを演出するか。
「サーヴァントっつーのは、お前にも解り易く言えば、オレ達がいる魔術世界における最上位に存在する使い魔のようなもんだと思え」
「使い魔……」
「そうだ。これまでの人類史に残っている英雄や偉人、偉業や概念と言った物を霊体にして召喚したのがサーヴァントとなる」
「霊体……ってことは、セイバーさんも本当は幽霊って事?」
「幽霊とは少し違う気もしますが……概念としては同じようなものかと。流石に、幽霊とは違って物体をすり抜けるような事は出来ませんが」
まぁ…似て非なる存在ではあるよな。
「実在をした英霊であれ、実在しなかった英霊であれ、連中が『地球という惑星に存在していた事実』だけは間違いないからな。その事実を情報に変えて、この星に蓄積された情報を変換して形にして出現させる……それが『英霊召喚』の簡単な仕組みだ。ここまではいいか?」
「な…なんとか……私の脳細胞がオーバーヒート寸前ですけど……」
「心配すんな。いざって時はオレがお前の脳細胞をオーバーフリーズさせてやるから」
「それは本当に大丈夫なの……?」
勿論、冗談に決まってんだろ。
こいつには後で何故かポケットに入っていたアメちゃんをくれてやろう。
「要約すると、過去の英霊を使い魔としたものが『サーヴァント』で、サーヴァントと契約をして使役する者が『マスター』だと覚えておけばいい」
「りょ…りょーかいです……」
本当に大丈夫か……?
「そんでもって、サーヴァントには基本的に七つのクラスが存在している」
「クラス?」
「RPGで言うところの『ジョブ』みたいなもんだと思えばいい」
「にゃるほど……」
「『クラス』ってのは、英霊の逸話や能力なんかで変化するんだ。英霊を丸ごと霊体として再現するのは非常に困難でな。通常の魔術師ではどうしてもリソース…つまりはメモリーが足りないんだ」
「メモリー不足か~。確かに、それじゃあ無理だよね~」
「その通り。だからこそ、英霊達が持つ一部の側面だけを固定化して召喚できるようにする」
「その『クラス』って、どんなのがあるんですか~?」
「聞かれると思っていたよ。今から説明してやる」
そこら辺に落ちている棒を使って地面に簡単な絵を描きながら説明していく。
「遠距離攻撃が得意で、飛び道具を持つ『
「おぉ~」
「最速のスピードを誇り、槍を使った戦いを得意とする『
「ほぇ~…」
「高い騎乗スキルを持ち、機動力が高い『
「ふ~ん…」
「魔術が得意で、自分の陣地となる工房作成技術が高い『
「え? キャスターってニュースの人じゃないんだ……」
「高い気配遮断能力を持ち、サーヴァント戦よりは対マスター戦に特化している『
「怖……」
「全ての能力が非常に高い代わりに、全ての理性が失われた戦士『
「なんか大変そうだね……」
「そして、総合能力が総じて高く、剣を使った戦いが得意な『
「セイバー……って、セイバーさんの事?」
「はい。私は確かにセイバーのサーヴァントです」
そして、オレの自慢のサーヴァントでもある。
「いかなる英霊も、絶対に何れかのクラスになって顕現する。多少の例外はあるけどな」
「例外って?」
「オレが知っているところだと『
「なんか凄そう……」
「かもな。で、クラス名ってのは、同時にサーヴァントの真名…本当の名前を隠す為に必要でもある」
「なんで隠す必要があるんですか?」
「英霊ッつーのは誰も彼もがとてつもない能力を秘めているが、有名人であればある程、同時に弱点も有名になっちまう。分りやすい例を言えば、ギリシャ神話における大英雄である『アキレウス』や、龍殺しで有名な『ジークフリート』なんかだな。この辺はお前だって知ってるだろ?」
「い…一応。歴史の授業で習ったような気が……」
「今はそれでいい。英霊を再現するってことは、同時に弱点も引き継いでしまうんだ。だからこそ……」
「正体を隠す為にクラス名で呼び合うって事ですね」
「正解だ。意外と物分りがいいじゃないか」
「えへへ……」
こいつ、本当はやろうと思えばできる奴なんじゃ?
多分、やらないだけだな。
「けど、真名を隠す理由はそれだけじゃない。もう一つあるんだ」
「それは?」
「それぞれのサーヴァントが持つ最強の切り札にて真骨頂。英霊の持つ奇跡にして、その存在が結晶化したもの。それこそが『宝具』」
「ほーぐ?」
「お前には『超必殺技』か『秘奥義』って言った方が分りやすいか?」
「超必殺技! 秘奥義! なにそれカッコいい!!」
「カッコいいかどうかは、英霊にもよるかな~……」
少なくとも、セイバーの宝具はめっちゃカッコいいけどな!
「性能や範囲も多種多様だ。対軍や対人、対城なんてのもあるな。攻撃系や補助系、こればっかりは言い出したらキリがない。それらを隠蔽する為にもクラス名で呼び合うことは必須なんだ。宝具がバレたら、そこから芋づる式に真名も判明してしまうからな」
「頭がこんがらがってきそう……」
そこは頑張れとしか。だから、頑張れ。
「取り敢えずはここまでだな。また何か、気になることがあったら遠慮なく聞いてこい」
「は~い! もっちーせんせ~!」
「もっちー先生って……」
それは流石に初めて呼ばれたぞ。
「お見事です、鞠絵。素晴らしい説明でした」
「そ…そうか?」
そういや、セイバーの前でこんな事をしたのって初めてだったな。
「それで、先生が聖杯戦争に参加していた理由って……」
「ちょっと待て」
「え?」
話の続きをしようとしたオルガを止めてから、周りを見渡す。
すると、いきなりの瘴気と共に例の骸骨兵たちが姿を現す。
「マスター」
「ああ。分ってるさ」
セイバーの隣に並び、弓を構えて矢を番える。
「ウォーミングアップには丁度いい相手だ。やろう……セイバー!」
「えぇ! マスター!」
これを仕向けているのが誰なのかは知らないが、こんな雑魚程度でオレ達を止められると思ってるんなら、思い知らせてやるよ!
自分達が一体誰に喧嘩を売ったのかをな!