ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編) 作:とんこつラーメン
突如としてオレ達の目の前に現れた骸骨兵士達。
もう既に何度か交戦をした雑魚なので、倒すこと自体は非常に容易い。
だからこそ、セイバーの準備運動にはもってこいな相手でもある。
「セイバー、準備はいいか?」
「いつでも」
昔、聖杯戦争中に何度も傍で見続けた、自信に満ちた不敵な笑み。
あぁ……本当にセイバーが戻って来たんだなって実感するよ。
「『
「この通り」
セイバーが右手を見せる。
そこには魔力の宿った完全不可視の剣が握られていた。
これこそがセイバーの持つ宝具の一つ。
自身の持つ剣を透明にすることで、その正体を不明にするもの。
単純だけど、だからこそ効果は高い。
「よし! それなら……」
チラっと後ろを向いてから、ちゃんと後方に退避している三人を確認してから指示を出す。
「マシュ。お前は二人を守る事にだけ専念しろ。戦闘経験の浅いお前が下手に前に出ることは逆に危険だ。いいな?」
「は…はい! 了解です!」
「いい返事だ。藤丸もいいな! マシュの傍から絶対に離れるなよ! 勿論、オルガもだぞ!」
「う…うん! 分かったよ!」
「せ…先生…私は……」
怯えた目でこっちを見てくるオルガ。
恐らく、所長としての立場と心の中の恐怖とでせめぎ合っているんだろう。
「大丈夫だ。お前の事はオレ達が絶対に守ってやる。オルガはカルデアの所長、つまりは『頭』だ。お前が無理をする必要はどこにもない。ドンと構えて、後ろから偉そうに命令だけをしていればいい。それだけでも、周りの連中の士気は上がるもんさ」
「そ…そうよね…先生の仰る通りよね。私はカルデアの所長……こんな所で死ぬ訳にはいかない存在……」
どうやら、少しだけ本来の自分を取り戻し始めたか。
これでこそ、オレの教え子だ。
「そういえば、まだ彼女達の事を教えて貰ってませんね。この戦闘の後に教えて貰いますよ?」
「いいともさ。何にせよまずは……」
空気を読まずに気掛けてきた骸骨兵に矢を射てから粉砕する。
まずは一匹だ。
「雑魚掃除をしてからだ」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
セイバーが骸骨兵たちが集まっている場所に向けて突撃し、その一薙ぎで一掃する。
その威力はまさに一撃必殺。
最優のサーヴァントに相応しい仕事だ。
「凄い……」
「あれがサーヴァントの戦闘力……」
「これ…現実なんだよね……わっ!?」
不意を突いて後方から骸骨兵が矢を放つが、マシュの咄嗟の防御によって防がれた。
それでこそ盾の英霊『シールダー』だ。
「先輩! 大丈夫ですかっ!?」
「う…うん。マシュ、ありがと」
これで後ろはマシュに任せても大丈夫だって分かったから、こっちは遠慮なくどんどんと前に行きますかね。
「いい加減に犬が卒倒するんだよ!」
「鞠絵。それはどういう意味ですか?」
「犬が卒倒。つまり、ワン・パターンってことだ」
「成る程。相変わらず、鞠絵は面白い事を言いますね。はぁっ!!」
こんな風に、何気ない会話をしながらも、オレとセイバーは次々を群がってくる骸骨共を粉々にしていく。
「あ。矢が無くなった。それなら!!」
もう用済みなので、弓はそこらへんにポイ捨てしてから、背中に刺しておいた剣を手に取ってから骸骨をぶった斬る。
切れ味は並だが、今は贅沢を言ってられないか。
「見事な剣筋です。鍛錬は怠ってはいなかったようですね」
「一流の科学者たる者、文武両道なのは当然だからな」
でも、この剣もいつまで持つか分らないし、いざとなったら適当にこいつらの武器をまた奪うか。
今回は槍を持ってる奴もいるみたいだし。
「先生が魔術師としても科学者としても超一流だったのは知ってたけど、まさか直接的な戦闘も得意だったなんて……」
「もっちー……なんか凄いね……」
「あれが望月博士の実力なんですね……」
数が少なくなってきたな。それじゃあ……。
「セイバー! 例のアレで残った連中を掃除してやれ!」
「お任せください! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
セイバーの剣に魔力が集中されていく。
剣を覆っている風が暴風となり、周囲の空気すらも巻き込んでいく。
「風よ! 荒れ狂え!!
裂帛の突きと共に解放される暴風の一撃。
強大な破壊力を宿すこの風は、並の連中ならば一溜りも無い。
実際、目の前の標本野郎どもは全員揃って塵となって消えた。
「風…いえ、これは竜巻…?」
「なんて威力……」
「すっご……」
よっし! これで少しは落ち着いて話せるな。
「おい、お前達は大丈夫か……って、どうした?」
「「「いえ…なんでもありません」」」
「んあ?」
揃いも揃って本気でどうした?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そんなわけで、さっきまでの話の続きを再開することに。
でも、流石に立ち止まってからってのはアレなので、色んな場所を調べながら話す事に。
「鉄橋に港に教会……どこにもそれらしい手掛かりは有りませんでしたね」
「まぁ、そう簡単に見つかるとは思ってなかったけどな」
寧ろ、この焼野原から何かの手掛かりを見つけられたら、それこそ普通に凄い事だ。
「で、話の続きなんですけど」
「なんだ?」
「先生とセイバーが聖杯戦争の勝者じゃないのだとしたら、本当の勝者は誰なんですか?」
「それは……」
少しだけ通信機を見て、向こう側にいるロマニの意見を求める。
『いいんじゃないかな。さっきも言った通り、所長も決して無関係じゃない。いつかは必ず話す事にはなるんだし、それが少しだけ前後するだけさ』
「……そうだな」
オレもロマニも、覚悟を決める時が来たって事か。
「余り回りくどい事を言うのは好きじゃないから、結論だけ先に言おう」
「……はい」
「あの聖杯戦争において、真の意味で勝利したのはキャスターのサーヴァントだ」
「キャスター…魔術師の英霊が?」
「そうだ。そして……当時、キャスターのマスターをしていたのが……」
『マリスビリー・アニムスフィア。つまり、前所長だよ』
「え……?」
オルガの動きが止まり、呆けた顔になる。
無理もない。マリスもこいつには自分がマスターだったことは教えてないって言ってたからな。
「あの頃、マリスの助手をしていたオレは、あいつに誘われるがままに聖杯戦争へと参加した。オレには聖杯に掛ける願いなんて存在していなくて、単純に今まで世話になったマリスへの恩返しのつもりだった」
『望月博士を誰よりも信頼していた前所長は、聖杯戦争を確実に勝つために、サーヴァントとは別のパートナーを仲間にすることにしたのさ。それが……』
「先生…だった」
「そうだ。その戦いでオレはセイバーを召喚し、マリスはキャスターを召喚した。マリスの場合はどこかで発掘したらしい聖遺物を触媒にして召喚をして、オレはマリスから渡された円卓の騎士の誰かが纏っていたと思われる服の一部である布切れを触媒にしたんだ」
あれは冗談抜きでランダムだったな。
円卓の誰かが来るのは確実だったけど、まさか筆頭であるアーサー王を引き当てるなんて誰が想像する?
今更だけど、あれってどこで手に入れたんだろうな?
「セイバーとキャスターで力を合わせて戦い抜き、次々と他のサーヴァント達を撃破していった」
『そうして、最後に残ったのはセイバーとキャスターだけになった』
あの時の事だけは今でも覚えてるし、これから先も絶対に忘れるつもりはない。
オレは……オレだけは……!
「オレは当初の予定通り、キャスターとマリスを勝たせる為に令呪を使ってセイバーに命じた。『自害せよ』……ってな」
「「なっ……!?」」
「???」
はぁ……これで絶対に嫌われたな。
「二人とも、どうかマスターを責めないでください。あの時の彼の判断は決して間違ってなどいない。今も私はそう思っていますから」
「で…でも……それじゃあセイバーさんが……」
「いいのです。そもそも、私の願いは叶えていいようなものじゃなかった。マスターとキャスターと出逢わなければ、その事にすら気が付けなかった。だからこそ、私は自らの意志でキャスターに勝利を譲ったのです。彼こそが聖杯戦争の真の勝利者として相応しいと思ったから」
ったく……オレには勿体無いぐらいに素晴らしいサーヴァントだよ…お前は…。
『博士も何度も何度も苦しんだんだ。本当は仲良くなるつもりなんてなくて、最後も淡々と作業をするように終わる筈だった。けど、幾多の苦難を乗り越えていく内にセイバーと博士の間にはとても強固な絆が生まれた。その絆が博士の心に罪悪感と言う苦痛を生み出してしまった』
「……聖杯を手にしたマリスは、それを利用して莫大な財を手にし、それを使ってカルデアスを完成させたんだ」
「カルデアスは……聖杯によって生み出された……?」
「そうなるな。その後、他のロードたちの介入を危惧したマリスは、全ての事実を隠蔽したんだ。自分が聖杯戦争に参加したって事も、勝利したのがキャスターって事もな」
『その代わりとして、博士が聖杯戦争に参加した事実だけは普通に公表され、彼がセイバーのサーヴァントを伴って戦い、その果てに勝利を掴み聖杯を手にした……となったんだ。表向きはね』
「それなら、今度は先生にロードたちが群がってくるんじゃ……」
『忘れたのかい? 博士はあの『望月陸奥守』博士と『望月京子』博士の実の息子だ。流石のロードたちも、世界一の超天才科学者と世界最強の魔術師を兼任している夫婦を敵に回すような愚行は犯さなかった』
「こっちとしてはかなり複雑な心境だったけどな」
まだまだ自分が未熟だって思い知られたようなもんだし。
「偽りの情報とはいえ、聖杯戦争の勝利者であるオレを懐柔しようと企むバカは後を絶たなかった。冗談抜きでうざかったから、オレは知り合いのロードに頼んでから、時計塔で講師をすることにしたんだ。あそこなら、連中もそう簡単には手出しできないからな」
「成る程……因みに、その知り合いのロードって誰ですか?」
「ロード・エルメロイ二世だよ。あいつとは昔から不思議と気が合っててな。ついでに何故か義妹のことを頼まれたりもしたっけ……」
本当に癖が強すぎる二人だったなぁ……。
今は何をしているのやら。
「それを聞いたマリスが『だったら、私の娘も頼んでもいいかな?』って言ってきたんだよな」
「そうでしたね……本当に懐かしいです」
あの頃は引っ込み思案で人間不信の塊だった少女が、大きく成長したもんだよ。
「あの戦いの後で、鞠絵はそのような人生を歩んでいたのですね。どうして『先生』と呼ばれているのか不思議でしたが、納得です」
「いい経験ではあったな。今までは自分だけの世界だけで完結してたけど、誰かに何かを教えることは凄く新鮮だった」
本当に……人生は分からないもんだよな。
何が自分の糧になるか全く分らないんだから。
(本当は『失った筈の両腕』の事も聞きたいですが、それはもう少し後にした方が良さそうですね……)
セイバーがオレの両腕を見ている?
あ…そっか。無くなった腕が普通に存在してるんだから、気にもなるよな。
「でも、どうして父さんは聖杯戦争に参加することを決めたのかしら……。お金が目的なら、別の方法もあったでしょうに……」
「……あの頃から既に、マリスは自分の死期を悟ってたらしい。あと10年も生きられないってな」
「そんな……」
「だからこそ、聖杯を利用するなんて強硬手段を取らざるを得なかったんだ。聖杯を使って自分の死期を伸ばそうとしないのが、なんともアイツらしいよ。あくまでも、自分は土台をつくるだけで、後の事は未来に生きる人間達に全てを託すつもりだったんだからな」
本当に……バカだよ…あいつは……。
「取り敢えずはこれぐらいだな。満足か?」
「はい……。ところで、どうしてロマニは色々と詳しかったのかしら?」
『ボクは密かに博士や前所長から聞かされていたんだよ。無理矢理に共犯者にする為にね。全く……昔からずっと、君達二人はボクにばかり貧乏くじを引かせたがるんだから……』
「別にいいだろ。それだけ信頼されてるって証拠なんだからさ」
『今更そんな事を言われてもな~…』
野郎…珍しく褒めてやったのに……!
戻ったら覚えとけよ? 絶対にそのウザったい髪をツインテールにしてやる。
「はい。これで一先ずは話は終わりだ。さっきからずっと放置してたけど、そろそろお互いに自己紹介ぐらいしようよ」
「「「「あ……」」」」
こいつら、完全に忘れてたな。
「また襲撃が来ない内に、簡単に名前ぐらいは教えあいな」
「「「「は…はい」」」」
名前も知らないままで連携なんて出来ないからな。
仲良くなるための第一歩って奴だ。
……なんか、今のオレのポジションって引率の先生みたいじゃね?