ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編)   作:とんこつラーメン

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灼き尽くす炎の檻

「オラオラァッ!! こっちは攻め込む側なんだ! 遠慮なくガンガンいくぜっ!!」

「無駄に火力が高い男め…!」

 

 柳洞寺へと続く空洞にて始まったアーチャーとの戦い。

 位置的には、キャスター達が下で、アーチャーが崖の上に立っている形となる。

 自分達的には、先へと行けさえすればいいので、後ろにいるオルガや立香のことはさほど気にせずに攻撃が出来る。

 後ろ二人へと攻撃は、マシュが文字通りの盾役になってくれているので、キャスターは真っ直ぐにアーチャーだけを見据えていればいいのだ。

 

「槍を持たずとも、ここまでの力を発揮するとは……! 流石は噂に名高い『光の御子』ですね……」

「よせやい。そんなことを言われちまったら……」

 

 杖を使って自分の前方に複数のルーンを展開。

 それを一気にアーチャーに目掛けて放つ。

 

「思わず張りきっちまうだろうがよ!!」

 

 セイバーの素直な感想に興が乗ったのか、キャスターの火力が明らかに上がった。

 それはまさに一種の灼熱地獄。

 だがしかし、そこまでされてアーチャーとて黙っているわけではない。

 

「余り調子に乗らない事だ! キャスター!!」

 

 その手に弓を作り出し、もう片方の手には鋭い矢を創り出す。

 

「別にお前を狙わずとも、マスターさえ殺してしまえば……何っ!?」

 

 将を射んと欲すれば、まずは馬を射よ。

 その精神でキャスターのマスターである鞠絵を探すが、どこにも見当たらない。

 視界にいるのは、さっきからルーンを撃ちまくっているキャスターと、その後ろで盾を構えているシールダー。

 そして、その盾の後ろに隠れるようにして立っている二人の少女と、その隣でジッと静かに佇んでいるセイバー。

 それを見て、アーチャーは思わず息を飲んだ。

 

(セイバーの剣に魔力が集中している…? まさかっ!?)

 

 およそ考えうる最悪の事態。

 そこで彼は先程、キャスターが言った言葉を思い出す。

 

(あいつは確か『遠慮をしない』と言っていた…! もしや、セイバーの宝具の威力で、柳洞寺ごと我々を一気に葬り去る気かっ!?)

 

 普通ならば無理だと思うだろう。

 だが、アーチャーは知っていた。

 あのセイバーの宝具の威力を。その効果範囲を。

 

(彼女の宝具は『対城宝具』! その気になれば、一気に決着をつける事も不可能ではない! キャスターのこの攻撃は、セイバーの準備が整うまでの時間稼ぎか!)

 

 ここでアーチャーは致命的なミスを二つ犯した。

 まず一つは、セイバーの様子を見て勘違いをしてしまった事。

 もう一つは、焦りの余り、鞠絵を探す事を放棄してしまった事だ。

 

「そうはさせん!!」

 

 急いでアーチャーは矢の照準をキャスターや後ろの面々ではなく、セイバーへと変更した。

 焦燥に駆られて放たれた矢の一撃は、そうなる事を予め想定していたかのような動きでセイバーの前に出てきたシールダー…マシュの大盾にて完全に防がれてしまった。

 

「やらせません! 皆さんは…私が絶対に守ります!!」

「ちぃっ!」

「その意気だ! 盾の嬢ちゃん!!」

 

 このままでは埒が明かない。

 可能であれば、キャスタークラスが最も苦手とする接近戦に持ち込むべきなのだろうが、絶え間なく放たれる炎のルーンにて行く手を塞がれ、近づくためには自分自身も相当なダメージを覚悟しなければいけない。

 

(油断をして相手に先手を譲ってしまった結果がこれか…!)

 

 もう完全に、勝負は遠距離戦での戦いになってしまってる。

 本来ならば、それはアーチャーのクラスの独壇場。

 しかし、相手は攻守共に腹立たしくなる程に完璧な布陣。

 このような状況ではもう、己にやれるべき事は必然的に限定されてくる。

 

「そんじゃ、そろそろ決めさせてもらうとするかねっ!!」

 

 突如、キャスターの魔力が大きく膨れ上がる。

 それを感じたアーチャーは、すぐに相手が何をしようとしているかを理解した。

 

(どうするっ!? ここは『アイアス』で防ぐかっ!? いや…『今の私』ではアイアスは使えないのだったな。ならば、やるべき事は一つのみ!)

 

 その手に先程とは違う、派手な装飾がされたドリルのような剣を出現させ、それを一本の矢のように細く、鋭く変化させた。

 

「我が骨子は捻じれ狂う…!」

「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人! 因果応報、人事の厄を清める社!」

 

 キャスターの詠唱が終わると同時に出現したのは、無数の細木の枝によって構成されている灼熱の巨人。

 それが、まるで何かに飢えているかのように暴れ回っていた。

 だが、アーチャーの方もそれに対して一切怯むことなく立ち向かい、己の渾身の一撃を最大限まで引き絞る。

 

「焼き尽くせ木々の巨人!灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!!』

「爆ぜるがいい!! 偽・螺旋(カラドボル)』……

 

 だが、アーチャーの言葉が最後まで紡がれる事は無かった。

 何故ならば、彼の胸が明らかに無機物と思われる腕によって貫かれていたから。

 

「ずっと待ってたよ。お前が『とっておき』を披露する瞬間をな」

「なん…だと…!?」

 

 その貫いた腕の持ち主は、先程からずっと姿を消していたキャスターとセイバーのマスターである望月鞠絵その人だった。

 不敵な笑みを浮かべながら、その血の通っていない腕にて、サーヴァントであるアーチャーの体を貫く。

 それは、英霊や聖杯戦争の事を知っている人間ならば、絶対に考え付かない事だった。

 人間では英霊には勝てない。

 その絶対的な法則が常識的なレベルで存在していたから。

 

「ま…まさか……キャスターやセイバーこそが囮であり…君こそが本命だったと言うのか……!」

「その通り。覚えときな。本当の天才ってのはな、いつの世も『常識』を真正面から覆してなんぼなんだよ」

 

 そうしている間にも、キャスターの召喚した巨人が迫ってくる。

 その激しい熱気を感じた鞠絵は、すぐに腕を引き抜いてから、その場を離脱して、急いで皆の元まで駆けていく。

 残されたのは、致命傷を負わされて攻撃も防御も離脱も出来なくなったアーチャーだけ。

 

「…成る程。これが堕ちた者の末路と言う訳か」

 

 その呟きを最後に、アーチャー凄まじい爆熱と衝撃に包まれた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 さて…と。

 アーチャーを無事に撃破したことだし、ライダーの時のように完全に消えてしまう前に事情聴取でもしますかね。

 けど、その前に一言物申す。

 

「おいキャスターさんよ」

「なんだ?」

「宝具を使うなら使うって前もって言っとけよな。勝手に真名解放なんかしやがって」

「いいじゃねぇかよ、過ぎちまったことは。んなこと言ってたら大きくなれねぇぞ?」

「もうとっくに成長期は終わっとるわ!!」

 

 眩しい笑顔でオレの頭をグリグリと撫でるな~!

 髪の毛がボサボサになっちゃうじゃんかよ!

 

「あれが英霊の宝具なのね……凄い威力と迫力だったわ……」

「う…うん……マジで凄かったよね……」

「私にも…あんな事がいつかは出来るようになるんでしょうか……」

「大丈夫ですよマシュ。今の貴女も立派な英霊。必ずや宝具を使えるようになりますとも」

 

 女性陣も女性陣で色々と話してるけど、まずはアーチャーだな。

 おーおー。なんともまぁ……見事なクレーターになってますこと。

 

「げ。あの一撃を受けてもまだ生きてんのかよ? 往生際が悪すぎんぞ」

「ふっ……それがアーチャーのサーヴァントの特徴だからな……」

 

 なんか普通に話してるけど、もう下半身は完全に消えている。

 残りの上半身も消えるのは時間の問題だ。

 

「にしても、よもや無手で英霊の体を貫くとはね……。君のその腕は一体……」

「これか?」

 

 袖を捲ってから、ずっと隠れていた両腕の『義手』を見せた。

 

「もっちー…それって……」

「おいおい…嬢ちゃん…そいつは……」

 

 全く事情を知らないキャスターや藤丸が驚いた顔をしている。

 マシュやオルガといった、最初から義手の事を知っていた二人は暗い表情になったが。

 セイバーに至っては、今にも泣きそうな顔をしてしまっている。

 お前は何も悪くは無いんだよ。

 

「お前達にはもう言っただろ? オレが前に冬木の聖杯戦争に参加してたって」

「う…うん……」

「その時にな、ちょっと不覚を取ってしまって、アサシンの奴に両腕を持っていかれたんだ」

「マジかよおい……!」

 

 我ながら、よくあの時は悲鳴を上げなかったと思うよ。

 必死に痛みに耐えながら、マリスの奴の魔術で痛覚を押さえて貰ったっけ。

 

「両腕を失ったってんなら、令呪はどうしたんだ? まさか、そのまま奪われたなんてことは……」

「ンなわけないだろ? 天才たる者、いつ何時も最悪の状況を想定すべし…ってな。令呪は発現した瞬間に予め手の甲から背中に移動させてたよ」

「令呪の移動なんて出来たのかよ……」

「マリスのキャスターに頼んだら普通に出来た」

「お父様は一体どんなサーヴァントを召喚したのよ……」

 

 それを知ったら、色んな意味で驚くと思うぞ。

 

「んで、この義手なんだがな。聖杯戦争が終わった後に知り合いの『人形師』に頼んでな、特別製の義手を作って貰った」

「特別製…だと…?」

「この義手を使えば、霊体のように『本来ならば実体のない存在』を普通に掴めるようになるんだと」

「英霊とタメ張れる理由はそれだったのかよ…。確かに、そういった特性を持つ義手ならば、サーヴァントとも互角に戦えても不思議じゃねぇな」

 

 本当はそれだけじゃないんだけど、そこはまだ言わなくてもいいかな?

 

「その『人形師』とは、まさか……」

 

 ん? アーチャーの奴、あいつの事を知ってるのか?

 何気に交友関係が広かったからな。

 オレが知らない友人がいても不思議じゃないか。

 

「だが…君が我々と戦えるのは、それだけが理由じゃないだろう…?」

「なに?」

「君に貫かれて…私には…俺にだけは分かった。君の…体の中には……」

「あ…ちょ…おいっ!?」

「セイバー……俺は…君の…事を……」

「アーチャー…貴方は……」

 

 しまった…! 色々と話している間にアーチャーの限界時間が来ちまった!

 言いたいことだけ言ってから消滅しやがって!

 

「この野郎…最後に何を言おうとしてたんだ?」

「先生の中に何かがあると言おうとしてたみたいだけど……」

 

 ギリギリのところで知られずに済んだけど、意味深な言葉を遺していきやがって……。

 これで皆に知られたら、お前のせいだかんな!

 もし仮に召喚出来たら、めっちゃこき使ってやる!

 

「彼と私は、別のどこかで面識があったのでしょうか……」

「多分な。けど、今はそれを論じている場合じゃない」

「承知しています。行きましょう…もう一人の私がいる場所に」

「「うん!」」

「はい!」

「おう!」

 

 この先に…この特異点のセイバーがいる……!

 ここからが正念場だな……。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 アーチャーを撃破して、オレ達は空洞の中を歩いていく。

 どうやら、あいつこそが最後にして唯一の障害だったようで、他にはもう何にも罠らしきものは存在していなかった。

 それだけ、アーチャーには全幅の信頼を置いていたって事か。

 

「もうすぐ出るぞ。セイバー」

「はい。お任せを」

 

 出口が近づき、そこを抜けると……。

 

「来たか。もう一人の私よ」

 

 漆黒の甲冑に身を包んだアルトリアが、ドス黒い球体を背にして、暗い空の下で佇んでいた。

 

 この特異点での最後の戦いが始まる。

 

 

 

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