ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編)   作:とんこつラーメン

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この出会いは必然である

「藤丸立香? それが、48番目のマスター候補の名前か?」

「うん。どこにでもいる、極々普通の高校生の女の子さ」

「なんでそんな奴がここに?」

「ほら。最後の一枠に数合わせで外部からの一般公募をしたじゃないか。どうやらそれに見事に当選してしまったみたいでね」

「なんともまぁ……運がいいのか悪いのか」

「どっちだろうね」

 

 キャスターことダ・ヴィンチの工房にあるソファに座って、渡された資料に目を通す。

 経歴、家族構成、その他諸々。どれを取っても、何処にでもいる普通の一般人だ。

 ある一部分を除いては。

 

「おい……この一番最後に書いてあるのはなんだ? 何かのミスか? それともオレの事を笑わそうとして書いた冗談か?」

「この私が、仕事に関することで冗談を言うと思っているのかい?」

「だよな……」

 

 メガネを取ってから目を擦り、もう一度確認する。

 うん。間違いじゃないし、気のせいでもない。

 

「レイシフト適性100%……か。これだけでもう、立派に一般人の枠から外れまくってるよな」

「そうだね。これまで、レイシフト適性がある人間はそれなりに発見されてきたけど、これ程までに高い数値を叩き出したのは、マスターを除けば彼女だけだ。あのキリシュタリアでさえ、78%止まりだった」

「それでも十分に凄いんだけどな。そういや、オレのレイシフト適性ってどれぐらいだったっけ?」

「もう忘れたのかい? 100%だよ。そこに書かれている女子高生と同じ」

「このオレが素人の女子高生と同列か。落ちたもんだな」

「いやいや! 君の場合は完全に血筋&才能&努力の結晶だからねっ!?」

「そりゃそうだ」

 

 そんなの、オレ自身が一番よく理解してるっつーの。

 

「けど、この100%ッつー数値は他の連中には黙っていた方がいいだろうな。特に、オルガやカドックとかにはな」

「カドックは自分の家柄の事を気にしているし、所長に至ってはレイシフト適性が全くないからね。もしも彼女に知られたら、その瞬間に罵倒と嫉妬の嵐がやってくるだろうね」

「二人とも、決してダメなわけじゃないんだけどなぁ~……」

 

 カドックの奴は、オレから見ても感心するレベルの努力家だし、オルガだって同じぐらいに頑張ってる。

 だけど、それでも現実ってのはムカつくぐらいに非情なんだよな。

 

「今の所、このことを知っているのは私とマスターを除けば、あとはロマニぐらいしかいないよ」

「レフには?」

「言ってない。理由は……言わなくても分かるだろ?」

「まぁな」

 

 オレがレフの事を信用してないように、コイツもまた同じようにレフの事を全く信用していない。

 表向きは笑顔を振りまいてはいるが、その中では警戒しまくっている。

 

「あのオタクポニテなら大丈夫だろ。軽薄そうに見えて、意外と口は堅いからな」

「よく知っているね」

「あいつとは、もう11年来の仲になるからな」

 

 そうか……あれからもう11年経ってるのか(・・・・・・・・・・・・・・・)……。

 全く、歳を取ると時間が過ぎていく感覚が異常なまでに早くなるな。

 

「で? オレにこんなものを見せてどうしろと? まさかとは思うが、オレにこの小娘の面倒を見ろ…なんて言わないよな?」

「その『まさか』だよ」

「何度も言うが、冗談はよしてくれ」

「冗談じゃないって、こっちも何度も言ってるじゃないか」

「なんでオレなんだよ? こんなのはペペロンチーノとかオフェリアにでも任せておけばいいだろ。面倒見がいいあいつらなら、オレ以上に適任じゃないか」

「最初はそれも考えたんだけどね。でも、あの二人はあの二人で忙しいからさ」

「オレは忙しくないってか?」

「そうは言ってないよ。暇そうにしていても、私達以上に頑張っているのは間違いなくマスターだ」

「だったら……」

「私だって悪いとは思っているよ。でも、この手の事は時計塔で講師の経験があるマスターが最も相応しいと判断したのさ」

「誰が?」

「ロマニが」

「よし。後でアイツが隠し持っている秘蔵の本を幾つか燃やして、残ったのを全部デイビットに見せてから場の空気を氷河期にしてやろう」

「き…鬼畜の所業だ……」

「そりゃどうも」

 

 かの天才をここまでドン引かせたのも、この世でオレだけかも知れないな。

 

「取り敢えず、まずは当の本人に会ってから決めさせて貰うとしよう。もうこっちには来てるのか?」

「入所しているのは間違いないみたい。今頃はもう最初のシミュレーションを終えている頃じゃないかな?」

「あぁ~…あれな」

 

 あのめっちゃ簡単なテストみたいなやつね。

 どんな素人でも、適当にやってれば確実に勝てるもんな。

 一応、あれは『経験させること』が目的だから、難易度とか全く関係ないんだけどね。

 

「ふふ……」

「なんだよ」

「いやね。なんだかんだ言いつつも、結局は面倒を見てくれる気になってるマスターが可愛くてね」

「可愛いって言うな。何度も言ってるだろうが。オレは35のおっさんだぞ」

「その美幼女な見た目で言われても、説得力は皆無だよ。マスター」

「うっせ。その口を令呪で閉じてやろうか?」

「わ~こわいな~」

 

 完全に遊んでやがるな……。

 かくいうオレも、そんな事だけは絶対にしないけどな。

 

「どこにいるのか分るか?」

「それは流石に。適当に廊下を歩いていれば会えるんじゃない?」

「天才とは思えない発言だな……」

「その言葉、そのまんま返すよ。現代の天才科学者さん」

「へーへー」

 

 適当に手を振りながら、オレは工房を後にする。

 さ~て、どこにいるかね~。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 工房を出て行こうとしているマスター…望月鞠絵の背中を見送りながら、私は軽く手を振る。

 

 私が彼と初めて出会ったのは、私がここに初めて召喚された時だ。

 最初は、召喚システムが不安定な事と私自身が望まぬ召喚だった為に、すぐにでも消滅して、また座に戻るつもりでいたが、少し離れた場所で壁に背中を預けながら腕組みをしている小さな彼の姿を見て、考えが変わった。

 

 今でこそ、彼はのんびりとした性格をしてはいるが、当時の彼は今とは全くと言っていい程に違っていた。

 その目は黒く淀んで濁り、目の下には大きな隈が。

 明らかに普通じゃない。純粋にそれが気になって、私は座に戻ることを止めた。

 それから、私はここの事情をロマニから教えられ、彼の必死の説得によりカルデアに留まることを決めた。ある一つの条件と引き換えに。

 

 その『条件』こそが、彼…望月鞠絵という人間を私のマスターにすることだった。

 

 『英霊』とは、基本的にマスターからの魔力供給無しでは現界出来ない。

 このカルデアは数少ない例外ではあるが、それでもちゃんとした契約をするに越したことは無い。

 私と契約をしてほしいとお願いした時の彼の顔は、今でもよく覚えている。

 自責。後悔。懺悔。憤怒。悲哀。使命感。焦燥。

 様々な感情が入り混じっていて、微塵も余裕がなさそうに見えた。

 こんな小さな子供に何をさせてるんだ!

 そう思った時もあったけど、後で彼の実年齢を聞かされた時は物凄く驚かされた。

 だって、あんな可愛い子が実は35歳で、しかも本当は男の子だったなんて誰が想像するっ!?

 私も相当な変わり者であると自負はしているけど、彼の存在はそれ以上だった。

 しかも、私に匹敵、もしかすると私以上の頭脳の持ち主でもあったし。

 最初はかなりぐずっていたけど、最終的には『勝手にしろ』と言わせて、そのまま契約完了。

 

 彼は良くも悪くも変わり者のマスターだった。

 サーヴァントである私には全く命令をしようとせず、何かあれば『好きにしろ』の一点張り。

 徹夜なんて日常茶飯事で、このカルデアが今のように安定しているのは、その殆どが彼の功績だ。

 だからこそ、カルデアに置いて望月鞠絵という人間は必要不可欠な存在であると同時に、実質的なナンバー2という地位を不動の物にした。

 

 そんな彼と徐々に打ち解け始めたのは…いつ頃だったかな?

 いつの間にか、今みたいに普通に話すようにはなっていたんだよね。

 私専用の工房を持つことを所長に許可するように説得したり、この工房の設備の配置とかを考えてくれたり。

 なんだかんだ言って、彼は…マスターは私に対してとてもよくしてくれる。

 その理由をロマニだけは知っているようだけど、全く話してはくれない。

 それは、『彼の知られたくない過去』に起因しているから言えないって。

 

 普通なら、そこで大人しく引き下がるんだけど、私の好奇心はその程度じゃへし折れない。

 なんとかして知る事は出来ないか。そう思っている時、ふと、夢を見た。

 本来、サーヴァントは夢なんて見ない。というか、そもそも睡眠を必要としない。

 だが、その時はちょっと目を瞑っている間に眠ってしまっていたようで、その時に夢…というよりは、マスターの知られざる過去を少しだけ垣間見た。

 そして知った。これは確かに誰にも知られたくはないと。

 だからこそ、彼はあんな小さな体に鞭を打ってまで必死に頑張っているのだと。

 

 それから私は、彼の事を全力で支えると心に決めた。

 彼と契約をした一騎の英霊として。彼の助手として。パートナーとして。

 望月鞠絵の描く人生の行く末を最後まで見届けようと。

 

 それはそれとして、所長にだけは絶対に負けるつもりはないけどね!

 例え、元教え子であろうとも、これだけは決して譲れない。

 この天才の心を鷲掴みしたんだ。覚悟しておいてくれよ? マスター!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 口が寂しい。

 廊下を歩いていると、無性に煙草が吸いたくなってきた。

 けど、このカルデアは喫煙室以外での煙草は禁止されている。

 なんで、こんなルールを作りやがったんだよ…マリスはさ……。

 あいつだって普通に煙草を吸ってたじゃないか!

 

「何かないかな……」

 

 ダメ元でポケットの中を探っていると、何故か一本の棒付きキャンディーがあった。

 いつの間に、こんな物を入れたっけかな?

 

「ま、いいや」

 

 包装紙を取ってポケットに戻してから、一口パクリ。

 

「……美味い」

 

 この味は……イチゴミルクか。

 

「偶にはいいもんだな」

 

 口の中でキャンディーを舐めながら進んでいくと、前方に非常に見覚えのある後姿が。

 なんでか床の方をジッと見ているけど、マジで何やってんだ?

 

「そんな所で何をやってんだ? マシュ」

「あ。望月博士。おはようございます」

「おはようさん」

 

 もう『おはよう』って時間帯じゃない気もするが、気にしたら負けだな。

 

 マシュ・キリエライト。

 数多くいるマスター候補達の中でも最強にして唯一の主戦力である『Aチーム』所属の少女で、オレにとっては部下的な存在。

 そして……オレのもう一つの『過去の罪の象徴』でもある。

 

「実は、先程から呼びかけているのですが、先輩が全く目を覚まさないんです」

「先輩?」

 

 誰だ、先輩って?

 マシュの意味不明な発言を疑問に感じながら、彼女の傍まで近寄っていくと、そこにはオレンジ色の髪の少女が、なんでか廊下のど真ん中で堂々と寝ていていた。

 ついでに、ここに昔からいる謎生物(オレは正体を知っている)である『フォウ』に頬を舐められている。

 

「こいつは……」

 

 なんで、さっきまでダ・ヴィンチと話していた件の人物『藤丸立香』がこんな場所で寝てるんだ? 本気で訳が分らん……。

 

 

 

 

 

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