ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編) 作:とんこつラーメン
予兆
カルデア内にあるオレの自室兼研究室。
オレだけの空間であり癒しの場所。
いつの間にかドアの所に『もっちー研究室』という張り紙が貼られてあったけど、間違いなく藤丸の仕業だろう。
アイツにはいずれ、この望月先生による特別授業をしてやろう。
「はぁ……ったく……」
特異点と化した冬木から無事に帰還し、オルガの復活やらサーヴァントの補充やらをやってから数日。
オレは帰り際に母さんから渡されたUSBメモリを自分のパソコンで調べていた。
「母さんもまた…とんでもないモンを残してくれたよ……」
「フォウ……」
自分の髪をくしゃくしゃにしながら、オレは眼鏡を外しながら天井を見上げる。
こんなものを見せられれば、誰だって溜息が出る。
少なくとも、オルガやマシュ、ロマニには見せないようにして大正解だったな。
「これは……『
『とある男』が密かに残していた『日記』。
USBの中にあったのは僅か数日分だけだったが、それだけでも十分に分かってしまう。
「……最初から『そう』だったって訳じゃないのかよ……クソッ……!」
なんて残酷な現実。無慈悲な運命。
万が一にでも、スタッフの皆がこれを目にしてしまったら、絶対にその瞬間に戦意喪失してしまうか、怒りの余り奮い立つかのどっちかだな。
多分、オルガはめっちゃ怒るだろうが。
「オレ達の敵はなんなんだ……? オレ達は、何と戦おうとしてるんだ……?」
『この世界のレフ』が一体誰の先兵なのか。
それが判明しない事には、本当の意味で戦場に立つ事すら出来ない。
「これは金庫にでも入れて厳重に保管してよう。フォウも黙ってろよ?」
「フォウ!」
机の上に乗ってオレの事をジッと見つめているフォウをそっと撫でてから、オレはUSBを対核用特製金庫(自分で作った)の中に放り込み、適当にダイヤルを回した。
「これでよし。んん~…!」
背中を伸ばしてから椅子から飛び降り、欠伸を噛み殺しながら扉へと向かっていく。
「休憩がてら、他の皆の様子でも見てこようかね~…」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
まず最初にオレが訪れたのは、メディアが藤丸に魔術の事を教えているであろう研修室。
頭の上にフォウを乗せた状態でドアを開けると、其処にいたのは……。
「あ~……」
「はぁ……」
大きな溜息を吐きながら頭を抱えているメディアと、机の上に突っ伏して真っ白に燃え尽き、口から魂が出ている藤丸の哀れな姿だった。
「……どうした?」
「あら、マスター。もう仕事はいいのかしら?」
「まぁな。休憩ついでに皆の様子でも見ようと思ってたんだけど…マジで何があった?」
よく見たら、机の上にはびっしりと色んな事が書かれているノートが置かれている。
別に勉強が嫌になって灰になっていると思っていたが、意外と真面目に頑張っているようだ。
「この子、努力しようって姿勢は認めるんだけど…なんて言えばいいのかしらね……キャパが少なすぎなのよ」
「……は?」
キャパが少ない?
「別の言い方をすれば、物覚えがお世辞にも良い方じゃないわ。多分、この手の子には理論的な教え方じゃなくて、実戦形式の方が良いんじゃないかしら?」
「体で覚えさせるって事か?」
「そっちの方が、この子にはいいと思って」
「ふむ……」
あの後、密かにダ・ヴィンチから藤丸の成績の事などを教えて貰ったのだが、中の中という凄く普通な感じだった。
別に不真面目って訳じゃない。単純に覚え方が悪いだけかもしれない。
この手の奴は、いざって時に限って急に実力を発揮したりする。
云わば『本番に強い』タイプってやつだな。
「確かに、そっちの方が良い気もするが、だからと言って基礎を疎かにしていい理由にはならないからな。今度からは基礎的な事だけを集中して教えてくれるか?」
「分かったわ。昔は教わる立場だったのに、今は誰かに教える立場になるとはね……なんだか面白いわ」
こいつ…なんだかんだ言って楽しんでないか?
女王だった事もあって、真面目で教養もあるし、人柄も悪くない。
もしかしたら、こいつの師匠である『大魔女』の指導方法が良かったのかもな。
「んじゃ、引き続き藤丸の事は任せるよ。オレは他の場所を見てくる」
「は~い。マスターの命ですもの。喜んで引き受けるわ」
「もっち~……たひゅけて~……」
最後の力を振り絞って藤丸がオレに手を伸ばすが、残念だったな。
立場上は、オレもメディア側なんだよ。
軽く手を振ってから、オレは研修室を後にした。
その後、藤丸の絹を引き裂くような悲鳴が聞こえたが、きっと気のせいだろう。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
次に訪れたのは、マシュが鍛えられているであろうトレーニングルーム。
扉越しに剣や槍が交わるような金属音が何度も聞こえてくる。
それだけで、あいつ等が激しい訓練をしていることが容易に分かる。
「お~っす。がんばってるか~?」
「「マスター!」」
「お? 嬢ちゃんか!」
「博士!」
「む…? お主か」
ここにいたのは、アルトリアとクー・フーリン、メデゥーサに佐々木小次郎。それからマシュの五人だ。
皆、いい汗を掻いて爽やかな感じが出ている。
「マシュ。宝具の方はどうだ?」
「はい! 皆さんのお蔭で無事に発動に成功しました!」
「そうかそうか。取り敢えず、これで一先ずの懸念材料の一つは解決したわけか。よく頑張ったな」
「ありがとうございます!」
宝具が使用可能になれば、これからはマシュも立派な戦力に数えられる。
どんな宝具からまだ不明だが、それはその時になるまで楽しみに待っていよう。
「お前達もご苦労だったな」
「なに、いいってことよ。こっちもいい運動になったしな!」
めっちゃ眩しい笑顔を振りまきながら、ランサーが俺の頭を無造作に撫でてくる。
本来のクラスに戻っても、性格のほうは全く変化してないのな。
「そうだ! 鞠絵! 聞いてくださいよ!」
「いきなりどうした? そんなに声を荒げて」
普段は冷静なアルトリアが、プライベートでここまで叫ぶのは珍しい…気もしないな。
飯時はよく大声を出してたわ。
「この佐々木小次郎とかいう武人……只者ではありません!!」
「そりゃ、仮にも日本の歴史に名を刻む程の大剣豪だしな」
寧ろ、只者じゃないと困る。
正確には『佐々木小次郎を名乗るに相応しいと聖杯に認められた誰か』なんだけど。
「そうなんだよ! こいつの斬撃、全く読めねぇ上に、必殺の一撃の時は斬撃が
三つ同時に襲い来る斬撃? なんだそりゃ? 何かの比喩か?
「あれには私も本気で驚愕しました。よもや、私の足を以てしてでも全く回避が出来ないとは……」
機動力に定評があるライダーと、俊敏さなら誰にも負けないランサーがここまで言うとは……佐々木小次郎。一体どんな攻撃をしたんだ?
「なに。別に大したことではござらんよ。生前、空を飛ぶ燕を斬りたいと思い、自分なりの修練を重ねていたに過ぎぬ。それをしていたら、いつの間にか今の領域に到達していたのよ」
「佐々木小次郎の代名詞にして必殺技『秘剣・燕返し』か」
名前だけしか知らないから具体的には分からないが、それが人知を超越した凄まじい一撃である事は知っている。
成る程な。このアサシンは己の技術を究極まで高めることで、その技を宝具の領域にまで昇華させた『超人』系の英霊なのか。
って事は、コイツってタイマンでの戦いなら無敵なんじゃなかろうか。
「いずれ、貴殿にも見せる時が来よう。その時は存分に、我が秘剣を目に刻み込むといい」
「おう。遠慮なく、そうさせて貰うわ」
伝説級の必殺技をこの目で見れるとか、役得以外の何者でもないだろ。
「お前らも、そろそろ休憩したらどうだ? この次は食堂でも行って軽食でも食べようと思ってたんだ」
「流石は私の鞠絵です! 是非ともそうしましょう!!」
「お…おう……」
アルトリアの奴…急に元気が出やがったな……。
やっぱ、食べ物系の話をすると人が変わるよな……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
トレーニング組と一緒に食堂に向かうと、そこには一足先にダ・ヴィンチが微笑みながらパフェを食べていた。
「おや? マスターも休憩かな?」
「って事は、お前もか」
「そうさ。私みたいな天才には適度な休息が必要不可欠だからね」
「などと言って、一時間も前から食堂に入り浸っているのは誰だったかな?」
皮肉るような言い方で苦笑いを浮かべながら腕を組んでいるのは、キッチンにいるエミヤ。
もう完全に食堂係になってるな……有り難いやら、申し訳ないやら……。
「おっとエミヤくん。それは言わないお約束だぜ?」
「誰も、そんな約束をした覚えはない」
だろうな。
「所でマスター。君達こそ休憩なのか?」
「うん。ずっとパソコンと睨めっこしてたから、甘いものが恋しくなってな」
「ならば、君にはダ・ヴィンチ女史と同じパフェを御馳走しよう」
「それは嬉しいな。そうだ。出来ればチョコシロップじゃなくてイチゴシロップでお願い。甘酸っぱいのが大好きなんだよ」
「了解だ。少し待っていてくれ」
エミヤって、料理だけじゃなくてお菓子作りも一流だから凄いんだよな~。
もしかして、アーチャーのサーヴァントって皆が皆、料理が得意だったりするのか? ほら、サバイバル技術の応用…みたいな?
「いい情報を聞いたね……マスターは甘酸っぱいのが好き…と」
「博士はイチゴが好き……」
うん。マシュとダ・ヴィンチが真剣な顔で何かを反芻してるけど、今は無視しよう。
「アーチャーよ。嬢ちゃんの後で構わねぇからよ、俺らにも何か頼むわ。コーヒーとかでいいわ」
「いいだろう。少しだけ待っていろ」
アーチャーとランサーって犬猿の仲って感じがするが、意外とよく話すよな。
二人並んでると、割と絵になるから凄いよな。
って…しれっとライダーとマシュがいつの間にか隣に座ってるし。
「待たせたな。私特製のイチゴパフェだ」
「おぉ~!」
クリームたっぷりの美味しそうなパフェが目の前に立っている……。
しかも、ちゃんとイチゴを果実を切り分けてから添えてある!
甘い匂いがオレの鼻孔を刺激する……。
「いただきます。あむ……」
ん~♡ おいし~♡
大人になっても甘いものは止められないよね~!
寧ろ、大人になったからこそ、より一層食べるようになったまである。
「そんなに美味いのか?」
「うん! ランサーも一口食べるか?」
「いいのか? んじゃ、遠慮なく……」
スプーンで一口分だけ掬ってから、ランサーに向けると、ぱくりと口の中に入れた。
「ん~…悪くないな。甘い菓子とはあんまし縁が無いんだけどよ、これからはもうちょい色んな物を食うようにするか」
「そうしたほうがいいぞ~。食は心を豊かにするからね~」
同姓の甘い物好きが増えるのは純粋に嬉しい。
ロマニはあんまし食わないしな。
「口にクリームを付けながらパフェを食べる博士…♡」
「マスター…それはちょっと反則じゃないかな……」
「鞠絵…貴方って人は、どこまで……♡」
「流石は私のマスター……素晴らしいです…♡」
はい。そこの女性陣は鼻血を拭け。
そして、小次郎は穏やかな目でこっちを見るな。
「よきかな、よきかな」
お前は縁側で日向ぼっこをするおじいちゃんか。
『あ~…テステス。博士! 立香ちゃん! マシュ! それからサーヴァントの皆! もしこの放送が聞こえているのなら、すぐに管制室に集合してくれないか? 特異点についての話がある!』
これは…ロマニからの放送?
特異点についての話って事は、遂に七つある特異点の一つの情報が絞られたって事か。
「よし。ああ言ってるし、急いで向かうとするか」
「それはいいですけど…その食べかけのパフェはどうするんですか?」
「これ? 食べながら行くよ? だって勿体無いし」
行儀が悪いとは思うけど、緊急事態だから仕方がないよね。
そんなわけで、皆揃って管制室へ急ぐとしますか。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「待たせたな」
「博士! ……って、なんでパフェなんか持ってるんだい?」
「お前が食べてる途中で呼び出すからだろうが。オレは悪くない」
「はぁ……」
管制室で待っていたのは、忙しそうにしているロマニと、車椅子から卒業して完全復活したオルガだった。
「先生。頬にクリームが付いてますよ。あむ」
「あ……」
ごく自然な動作で、オルガがオレの頬についていたクリームを指で掬ってからペロッと舐めた。
「甘い……って、あっ!?」
次の瞬間、オルガの顔が急速沸騰した。
流石のオレも照れくさくなる。
((青春だな……))
そこの弓兵と槍兵は、なにを慈しむような目でこっちを見とるんじゃ。
「やっぱり所長こそが……」
「最強のライバル……!」
んで、マシュとダ・ヴィンチはその顔止めれ。
完全に劇画調になってますがな。
「所長。博士とのラブコメは後にして貰えるかな?」
「ラ…ラブコメっ!? いきなり何を言いだすのよッ!?」
お前もお前で怖いもの知らずだなロマニ。
後で頭頂部に10円ハゲが出来ても知らないぞ。
「それで、特異点についての話って何なんだ?」
「そうだった! 実は…って、立香ちゃんはどこに?」
「ここで~す……」
さっきより少しは回復したと思われる藤丸が、メディアに連れられてやって来た。
完全に受験前の高校生みたいになってるな。
いや、今でもあいつは立派な高校生か。
「だ…大丈夫かい?」
「なんとか~……」
見るからに大丈夫じゃないけど、メンバーが揃った以上は話を進めない訳にはいかない。
ロマニはわざとらしく咳払いをしてから、改めて話を始めた。
「ボクらが突破していかなきゃいけない7つの特異点。どこから攻略すべきか考えた結果、現状では最も揺らぎが少ない場所にしようと結論が出た。本当は博士の意見も聞きたかったんだけど、貴方には他の仕事があったからね」
「気にすんな。仮にオレがこの場にいても、お前達の決定に異を唱えるような真似はしなかったさ」
「博士なら、きっとそう言ってくれると思っていたよ」
伊達に長い付き合いじゃないからな。オレたちは。
「んで、オレ達はどこに行けばいいんだ?」
「ロマニ」
「うん。我等カルデアが最初にレイシフトを行う特異点は……」
「西暦1431年のフランスだ!!」