ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編)   作:とんこつラーメン

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今回はシリアス一色。







緊急非常事態

『緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所、及び中央管制室にて火災が発生しました。中央区画の隔壁は約90秒後には閉鎖されます。各職員は速やかに第二ゲートから退避してください。繰り返します。中央発電所、及び中央……』

 

 いきなり部屋が暗くなったかと思ったら、次の瞬間にはけたたましいアラームと共に緊急事態を知らせるアナウンスが。

 余りにも突然すぎて、オレもロマニも本気で一瞬だけ呆けてしまった。

 

「はっ!? 今の音はもしかして爆発音かっ!?」

「だろうな……確かに、中央管制室方面から聞こえてきた……!」

 

 ここから管制室まではそこそこの距離がある。

 にも関わらず、物凄くハッキリと聞こえてきた。

 ということは、かなり大きな爆発だったって事だ。

 

「ド…ドドドドドドクターっ!? もっちーっ!? 一体何が起きて……」

「さぁな! オレ達にもサッパリだよ! それでも一つだけ分っている事はあるけどな!」

「それって……」

「どっかの馬鹿が、このご時世に時代遅れの爆破テロなんかをしやがったって事だ! ロマニ!」

「あぁ! モニター、急いで管制室の様子を映してくれ! 皆は無事なのかっ!?」

 

 ロマニが音声認識のモニターに叫ぶと、オレ達の前に投影型のモニターが出現し、管制室の様子を見せてくれた。

 そこに映し出されていたのは……。

 

「酷い……」

「こ…これは……!」

 

 轟々と燃え盛る炎に包まれた、見るも無残な姿となった中央管制室だった。

 

「明かりがついた……」

「恐らく、予備電源が作動したんだろうね」

「これで動きやすくはなったが……」

「博士、ボクらはこれからどうする?」

「急いで中央管制室に向かうぞ。アナウンスを聞く限りじゃ、今回の爆発の発生源はあそこだ。望み薄かもしれないが、まだ生存者がいる可能性がある」

「そうだね。それじゃあ、立香ちゃんは急いで退避をして……」

「いや、こいつも一緒に連れて行く」

「な…なんだってっ!? 正気かっ!?」

 

 ロマニがオレに突っかかってくるが、オレにはオレなりのちゃんとした理由がある。

 

「もう少し落ち着いた状況なら、オレだって絶対に連れて行ったりはしない」

「なら……」

「ロマニ。よ~く考えてもみろ。碌に状況判断も出来ない素人を一人で行動なんてさせたら、絶対にこいつは勝手に中央管制室まで行っちまうぞ」

「だったら、博士が一緒にいてあげれば……」

「そんな事が許させるような状況か? 今は、一人でも多くの動ける人間が必要な筈だ」

「そ…それは……」

 

 はい論破。ついでにおまけ。

 

「だったら、せめてオレ達の目が届く範囲にいて貰った方が、結果的には被害が少なくて済む……だろ?」

「……了解だ。全く…口喧嘩じゃ博士には敵わないな……」

「当たり前だ。オレを誰だと思ってやがる」

「いずれ、世界一の天才科学者になる人間……だろ?」

「その通りだ」

 

 分ってるじゃないか。

 

「そんな訳だ。今からオレ達は爆発元である中央管制室へと向かう。お前も一緒に来い!」

「わ…分りました!」

「くれぐれも、ボク達から絶対に離れないようにするんだよ! いいね!」

「はい!」

 

 部屋の隔壁が閉じる前に、急いでオレ達三人は廊下へと出た。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「おいおい…冗談きついぞ……」

「さっき第二ゲートから逃げろとか言っておきながら、もうそっち方向に続く隔壁が閉じてやがる……」

「どっちみち、立香ちゃんを逃がす事は不可能だったってことか……」

 

 くそ……! さっきからずっと胸の奥で嫌な予感がしてやがる……!

 なんなんだよ……あぁ~!!

 

「……早く行くぞ」

「そうだね……!」

「もっちー…ドクター……」

 

 オレは、殆ど無意識の内に藤丸の手を掴んでから、ロマニに遅れないように走り出した。

 

(あれ……? もっちーの手……なんか固い? それに…全然温もりを感じない……)

 

 頼むから…無事でいてくれよ……オルガ! マシュ! 皆!!

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

 爆発の余波で扉までもが吹っ飛ばされたのか、中央管制室は廊下から丸見えの状態になっていた。

 だからこそ、中の状況が一発で分かってしまった。

 

「生存者は……」

「お~い!! 誰かいないのか~!!!」

 

 ダメ元で全体に届くような声で叫んでみる。

 だが、全く返事は返ってこない。

 

「いない……みたいだね……。辛うじて無事なのは、カルデアスだけか……」

「あぁ……」

 

 またか……またオレは……同じことを繰り返すのか(・・・・・・・・・・・)……!

 

「博士……貴方はどう見ている?」

「…アナウンスの言ってたことは間違いじゃなかったって事だな」

「ボクも同意見だ。この場所こそが爆発の起点になっている。しかも……」

「事故の類じゃない。これは明らかに人為的な破壊工作だ。過去に似たような事をした連中を何十人も知ってる」

 

 その代表例は、あの『魔術師殺し』だけどな。

 

『動力部の停止を確認。現在、施設の発電量が著しく不足しています。予備電源への切り替えに異常が見られます。近くにいる職員は急いで手動にて切り替えを行って下さい』

「なんだってっ!?」

「冗談じゃないぞ!! こんな状況で動力部まで完全停止とかなったら、本気でカルデアが崩壊する!!」

 

 これはいよいよ、本気で洒落にならなくなってきたな……!

 どうする……考えろオレ……! 絶対に思考だけは止めるな……!

 

『全隔壁閉鎖まで、残り40秒。中央区画に残っている全ての職員は速やかに……』

 

 40…秒……! 

 

「……博士。ボクは今から地下の発電所へと向かうよ。貴方が言った通り、今の状況でカルデアの火が止まったら、それこそ全てが終わりだ。それだけは絶対に避けなければいけない」

「ロマニ……」

 

 コイツ……まさか……。

 

「博士は立香ちゃんを連れて、急いでここから脱出を! 今ならまだギリギリで間に合う筈だ!」

「ま…待って! ドクターはどうするのっ!?」

「大丈夫。地下には緊急時の脱出艇とかもあるから、本当に危なくなったら、それで逃げるよ」

「でも……」

 

 ……一般家庭の出であるコイツには、酷な話か……。

 それは分かる。分かるけどな……。

 

「こんな場所で博士を失う訳には絶対にいかない。貴方の存在は、それ自体が最後の希望だ! だから!」

「分ってるよ! コイツはオレに任せて、お前はお前のやるべき事をやってこい!」

「頼んだよ……鞠絵(・・)

「お前……」

 

 最後にオレの事を名前で呼びやがって……。

 そーゆーの……卑怯なんだよ……。

 

「また……会えるよね……?」

「当たり前だ。あいつは殺したって死なないよ」

 

 こっちを振り向くことなく走っていくロマニの背中を見ながら、オレ達もここから出ようとすると、またもやいきなりアナウンスが聞こえてきた。

 

『システム レイシフト最終段階へと移行開始。座標 西暦2004年 1月30日 日本 冬木』

「は? へ?」

「なん……だと……?」

 

 今……なんつった……?

 レイシフト……? それに……冬木…だと……!?

 

「なんかヤバい気がする! 急ぐぞ!!」

「う…うん!」

 

 荒れ狂う炎を掻き分けながら出口へと向かおうとしている最中にも、遠慮なくアナウンスは聞こえてくる。

 

『ラプラスによる転移保護……成立。特異点への因子追加枠……確保』

 

 本格的におかしくなってきやがった! マジで急がないと取り返しのつかないことになりそうだ!!

 

『アンサモンプログラム…セット。各マスターは最終調整へと移行してください』

「も…もっちー! さっきから聞こえてるコレってなんなのっ!?」

「本来なら、レイシフト時に流れるアナウンスだよ! でも、こんな状況で流れる訳がないんだ! どう考えてもおかしすぎる!!」

 

 余りにも様子がおかしすぎる! こりゃ、いざとなったら藤丸を抱きかかえて走る事も考慮した方がいいな……!

 

(マシュ……オルガ……済まない……!)

 

 せめて、こいつだけでも絶対に脱出させる!

 じゃないと、あの世に行った時に皆に会わせる顔が無い!!

 

「も…もっちー! ちょっと待って!!」

「なんだっ!? 今は立ち止まっている場合じゃ……」

「あそこ!!」

 

 藤丸が必死の形相で指差す場所には、巨大な瓦礫の下敷きとなっているマシュの姿があった。

 

「「マシュ!!」」

 

 急いでマシュの元まで駆けつけると、こっちに気が付いたのか、弱々しく顔を上げた。

 

「は…かせ……せん…ぱい……」

「マシュ……」

 

 頭から血を流し、半身が潰されている。

 素人目で見ても、彼女の命がもう風前の灯なのは明らかだ。

 でも…それでもオレは……!

 

「急いで助けないと! 待ってて! 今そこから出して……」

「い…いです……自分…がもう助からない…のは…私自身…がよく分ってます…から……」

「そんな事ない!! そんな事ないよ!!」

「はは……こんな時でも…先輩はお元気…なんですね……。それよりも…博士……急いで先輩を連れて脱出を……」

 

 聞こえない。聞きたくない。聞くつもりもない。

 

「あ……」

「なに…あれ……」

 

 二人が何かに驚愕したように同じ場所を見ている。

 思わずオレもその視線を追うと、いつもならば綺麗な青に染まっている筈のカルデアスが、燃えるような赤に染まっていた。

 

「………っ!?」

 

 オレが絶句していると、そこに無情な知らせが入ってきた。

 

『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。シバによる近未来観測データへと書き換えます』

 

 心臓が煩く鼓動している。

 炎の熱とは別の原因で汗が止まらない。

 

『近未来百年までの地球において、人類の痕跡が発見出来ません(・・・・・・・・・・・・・)

 

 …………は?

 

『人類の生存が確認出来ません。人類の未来は保障出来ません』

 

 なんだよ……そりゃ……!

 

「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

「は…かせ……?」

「もっちー……?」

 

 他の事なんて全て忘れて、オレの頭は怒りに支配された。

 

「人類の生存が確認出来ないだぁっ!? 未来が保障出来ないだぁっ!? 機械の分際で偉そうなことを言ってんじゃねぇっ!!! オレ達の未来はオレ達が決める!! 勝手に終わらせるなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 まだ何も終わってない! オレ達は生きてるんだ!

 それなのに、もう全部終わってるみたいなことを抜かすな!!

 

「博士……カルデアスが…真っ赤になって……」

「ンな事は気にすんな。まずはお前を助けることが先決だ」

「でも…私は……」

「マシュ」

 

 マシュの顔を両手で掴んで、真正面からはっきりと言ってやる。

 

「お前はまだ生きている。生きてるんだ。生きてる以上は最後の一瞬まで生きることを諦めるな。今、全てを捨てて生きることを諦めるのは、ここで死んでいった他の連中に対する冒涜だ」

「はか…せ……」

「お前も、藤丸も、絶対に死なせないぞ。オレが必ず助けてみせる」

「もっちー……」

「望月博士……」

 

 瓦礫とマシュの体の間に手を入れてから、全力(・・)で持ち上げる。

 ミシミシと音を立てながらも、確かな隙間が生まれ、マシュを引きずり出せる余裕が出来た。

 

「藤丸!!」

「はい!」

 

 藤丸がマシュの手を握ってから、思い切り引っ張る。

 すると、呆気なく彼女の体は瓦礫の下から抜け出せた。

 

「う……!」

「くそが……!」

 

 マシュの下半身は完全に潰れていて、血みどろになっていた。

 理解はしていたが、こんな状態では歩行なんて絶対に不可能だろう。

 

「……マシュはオレが抱える。藤丸は歩けるな?」

「う…うん!」

「博士……ありがとう…ございます……」

「礼を言うのは、ここを出た後だ」

「は…い……」

 

 だが、またしても無情な現実が襲いかかる。

 

『中央隔壁を封鎖します。館内洗浄開始まで、あと180秒です』

「もっちー…隔壁が……」

「心配すんな。いざとなれば壁をぶっ壊して外に出る」

「出来るのっ!?」

「出来る出来ないじゃない。やるんだよ。それに、さっきのを見ただろ?」

「そう…だね。もっちー…凄い力だった」

「ふっ……本物の天才に不可能は無いんだよ。覚えとけ」

 

 そうだ。諦めて溜まるもんかよ。

 まだオレは自分の夢すら叶えてない。

 親父もお袋もまだ越えてない!

 だから! オレは絶対に諦めない!!!

 

『コフィン内のマスターのバイタルが基準値に到達していません。レイシフト定員に達していません。只今より該当マスターを検索します……発見しました』

 

 炎熱で頭が朦朧とする。

 だからどうした。それは足を止める理由にはなり得ない。

 体から水分が失われていく。

 それがどうした。その程度ではオレ達は死なない。

 

『適応番号1 望月鞠絵と、適応番号48 藤丸立香の二人をマスターとして再設定します』

 

 何か言っているが、それを聞いている余裕はない。

 今はただ、生き延びる為に足を動かし続けるだけだ。

 

『アンサモンプログラム…スタート。これより量子変換を開始します』

「あの……博士……」

「なんだ」

「私……博士と会えて……本当に嬉しかったです……」

「…………俺もだよ」

『レイシフト開始まで、あと3…』

 

 もう少しで出口だ……。

 けど、もう目が霞む……。

 隣を見ると、藤丸も辛そうにしている。

 

『2』

 

 『接続部』が熱い……。

 

『1』

 

 ちくしょう……あと少しなのに……。

 

『全行程…完了(クリア)。只今より、ファーストオーダーの実証を開始します』

 

 そこで、オレの意識は途切れた。

 

 ここから、全てが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、本格突入。
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