ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(FGO編)   作:とんこつラーメン

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特異点F 炎上汚染都市 冬木
燃える街と後悔の記憶


 血が流れる。

 涙が溢れる。

 慟哭が響く。

 

 それは、忘れてはいけない記憶。忘れたくない思い出。

 

「ごめん……ごめんなさい……」

 

 片膝をついて苦笑いを浮かべる少女の前で、一人の小さな男が泣きながら、その頭を彼女の体につけている。

 

「貴方が謝る必要はどこにもありません。貴方は正しい事をした」

「オレは……オレは……」

 

 少女は腹部から夥しい血を流し、誰の目から見ても致命傷だった。

 口からも血を流し、とても痛々しい姿であるにも関わらず、少女はどこまでも笑顔を浮かべている。

 

 本当は、男は少女の事を抱きしめたかった。

 だが、それは出来なかった。

 何故なら、男の体には…本来あるべき両腕が欠如していたのだから。

 

「寧ろ、こちらこそ貴方に謝罪をしなければなりません」

「何を……」

「私が不甲斐無かったせいで……貴方の両腕を失ってしまう形になってしまった。あの時、私があと少し早く『アサシン』の奇襲に気が付いてさえいれば……」

「…これはオレのミスが招いた結果だ。お前は何も悪くないよ……」

 

 そこに、二人組の男が姿を現す。

 一人は長身で、何処にでもありそうなロングコートを身に付け、もう一人は現代では考えられないような派手な服装をしていた。

 ロングコートの男は何も言わずに二人の事を見つめていたが、もう一人はこの場の空気に耐えられなかったのか、一歩だけ前に出てから二人に向かって言葉を発した。

 

「……君には、君達にはボクを恨む理由がある。ボクを憎む権利がある」

「……貴公も難儀な男だな」

「そうかもしれないね……」

「だが、その在り方は一人の『王』として尊敬に値する」

「君ほどの人物にそう言われると、なんとも恥ずかしくなるね」

 

 少しだけ笑みを浮かべてから、また男の表情は沈んだ。

 

「…本当に済まない。ボクは、君の願いを無残に踏み躙るような真似をしている。許してくれ、なんて言えた立場じゃないのは重々承知している」

「いえ……これでいいのです。彼や貴方を出会い、話し、共に戦うことで私は知りました。自分の願いは間違っていたと」

 

 少女の体から黄金の光が溢れだす。

 それは徐々に強くなり、少女の体を包み込んでいく。

 

「『歴史のやり直し』なんて、それこそ前代未聞の大罪だ。例え、そこにどんな理由が介在しようと、それだけは絶対にやってはいけない。少し前までの私は、そんな簡単な事さえ理解していなかった」

「けど…お前はそれが過ちだったって気が付いたじゃないか……」

「そうです。だからこそ、私は彼に全てを託せるのです」

「…………」

 

 少女が立っている男に向かって弱々しく言葉を継げる。

 

「古き偉大な魔術の王よ。貴方の願いは何よりも平凡だが、それ故に最も尊く美しいものだ」

「騎士王……」

「私の最後の願いを…聞き届けられないだろうか?」

「君の願いならば喜んで」

「ありがとう」

 

 少女は消えゆく体を伸ばし、その両腕で初めて心から愛おしいと思った男を抱きしめた。

 

「彼の事を……お願いします」

 

 その一言で全てを理解した男は、迷う事無く頷いた。

 

「分かった」

「あぁ……これで…何の未練も無く私は逝ける……」

「あぁぁ……」

「貴方に会えて……貴方のような人間が私の『マスター(・・・・)』で本当に良かった……」

「オレもだ……。お前に会えて本当に良かったよ……」

 

 最後に、とても美しい笑みを浮かべてから、少女は跡形も無く消滅した。

 

「オレは忘れない……絶対に忘れない……! そして、もう二度と…同じことだけは繰り返さない……! だから…向こう側で見ててくれよな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバー(・・・・)

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「んん……?」

 

 何かがオレの頬を舐めている。

 その感触で、オレはうっすらを目を開けた。

 すると、オレの視界には真っ白でモフモフな物体がいた。

 

「フォウッ!」

「……そういや、お前の存在をすっかり忘れてたな」

「フォウフォーウ!」

「あ~…ゴメンゴメン。いつも頭の上に乗ってるのがもう完全にデフォになってるからさ、あの状況じゃすっかり頭からすっぽ抜けてたわ」

「フォーウ……」

「悪かったって。後で秘蔵の猫缶をくれてやるから……って、なんか地面臭くないか? なんで?」

 

 目の前にフォウがいるせいで周りがよく見えない。

 どけと言ってもどいてくれるかどうかは微妙なので、ここは自分が起き上がるしかない。

 

「よっこいしょっと」

「フォウ……」

「親父臭いって? 何言ってやがる。年齢的には立派な親父……おい。これは何の冗談だ?」

 

 服に着いた砂を払いながら立ち上がりながらフォウを両腕で抱えると、オレの眼前にはさっきまでとは似て非なる光景が広がっていた。

 

「なぁ……ついさっきまで、オレ達は確かにカルデアの中央管制室にいた筈だよな?」

「フォウ!」

「なのに、今はどうして燃え盛る街中のど真ん中にいるんだよ?」

「フォ~ウ……」

「そうだよな。お前に聞いても分かるわけないか」

 

 熱い場所から熱い場所へと移動してるから、気温的な意味では全くもって変化はない。

 だからどうしたって感じなんだけどね。

 

「……取り敢えず、移動するか。ここでジッとしてても何の変化もないし。それに……」

 

 周りをキョロキョロと見渡す。

 この場にはオレとフォウ以外には人影は愚か、虫一匹も見当たらない。

 

「……いつの間にかはぐれている藤丸とマシュの事も探さないといけない。なんとか無事でいてくれればいんだけどな」

 

 急がず慌てず、適度な速度を維持しながら移動しよう。

 ちゃんと周囲を警戒しつつ観察もしながらな。

 

「あの時に聞こえてきたアナウンスが正しければ、オレ達は2004年の冬木にレイシフトしたことになるんだが……」

 

 あんな状況で正しくレイシフト出来たとは到底思えない。

 必ずどこかで何らかのバグが発生している筈だ。

 

「通信は……」

 

 スマホに耳を当てると、ノイズばかりが聞こえる。

 どう考えても通信不良ですね。

 

「仕方がない。まずは二人を探す事を最優先にしよう。そのついでに、この場所が本当に冬木であるという確証を得られる何かを見つけるか」

 

 フォウをいつものように頭の上に乗せてから、ポケットに手を突っ込んで歩き出そうとすると、いきなり地面から瘴気のようなものが出てきて、そこから武器を持った骸骨兵みたいな連中が召喚された。

 

「……どこのどいつかは知らないけど、なんとも趣味の悪い使い魔だこと」

 

 剣に弓矢。骨の分際でバランスだけは分っていやがる。

 

「なぁ…フォウ。もしかして、オレって舐められてる? この程度の雑魚に殺されるって思われてる?」

「フォウ!」

「だよな。こんなんじゃ足止めにもならんだろ」

 

 後衛の骸骨兵が弓を構え、前衛の骸骨兵が剣を構えて突撃してくる。

 

「心配はいらないと思うけど、一応、ちゃんと捕まっとけよ」

「フォーウ!」

 

 骸骨兵の剣がオレの頭を目掛けて振るわれて……。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 辺りには、粉々になった骸骨兵の成れの果てが散乱していた。

 オレが何をしたのかというと、まぁ簡単な事だ。

 あいつらの武器を奪ってから、それを使ってぶっ倒しただけ。

 

「はぁ……ったく、オレに無駄な運動をさせんなっつーの。お腹空いちゃうだろうが」

「フォウフォウ! フォ~ウ!」

「え? 偶には思い切り体を動かす事も大事? いやいや、どうせ体を動かすなら、オレはフィールドワークとかで動かしたい派の人間だから」

 

 ただ只管に走るだけとか、オレには絶対無理。やりたくない。

 

「骸骨の癖にいい武器を使ってんじゃねーよ。なんかムカつく」

 

 奪った剣を肩に担ぎ、奪った弓を反対側の肩に入れる。

 矢は数本しかないけど、それはまた襲ってきた奴らから奪えばいいだけの話だ。

 

「でも、手に持つのは面倒だな~。どこかにいい感じの矢筒って無いかな~」

 

 ……あるわけないよな。自分で言っててなんだけどさ。

 

「そういや、スマホに霊脈を検知出来るアプリを入れておいたんだっけ。まずはそれを目指して行くとしようか」

「フォウ!」

 

 こうして、オレとフォウの孤独な一人と一匹の冒険が始まった。

 めっちゃ短いだろうけど。

 

(そういやさっき、物凄く懐かしい夢を見たような気が……どんな内容だったっけか?)

 

 よく思い出せん。ま、夢なんてもんは往々にして内容を忘れるもんだから、、そこまで気にはしないけどさ。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

「……くそったれが」

 

 暫く歩いていると、何かの衝撃で見事にへし折れた案内板があり、そいつはオレ達に向かって無言で嫌な現実を教えてくれた。

 

「『ようこそ冬木市へ』…か。なにがようこそだよ。こちとら、来たくて来た訳じゃないんだっつーの」

 

 感情に任せて案内板を思いっきり蹴り飛ばすと、少し離れた場所でウロウロしていた骸骨兵にぶち当たって壊れた。

 

「「……………」」

 

 なんか…悪い事をしちゃったかな。

 

「フォーウ……」

「しゃ…しゃーないだろ! イライラしてたんだからさ!」

「フォウフォウ!」

「分ってるって! こっちの居場所が知られた以上、ちゃんと責任を持って片付けますよ~!」

 

 あ~もう! なんでこうも連続でトラブルが発生するんだよ!

 今年って厄年だったっけかっ!?

 

「オラァ!! オレのストレスの発散に付き合えやぁぁっ!!」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「ぷはぁ~…」

 

 地面に剣を突き刺してから、それを背凭れにして煙草を吸う。

 火だけは周り中にあるからな。

 

「少しだけスッキリしたわ」

 

 またもや、オレの周りには骸骨共の哀れな姿が。

 どうせなら、この壊れたパーツを組み合わせてからスクラッチでもしてやろうか?

 

『マ…ター!』

「ん?」

 

 小休止をしていると、いきなりオレのスマホに通信が来た。

 一応、このスマホには通信機としての機能も備えさせてあるから、向こうから通信が来た時は自動的に繋がるようにしてある。

 

『マスター! 聞こえるかいっ!? 生きてるかいっ!?』

「キャスター! ダ・ヴィンチかっ!?」

『あぁ……マスター! やっぱり生きてたんだね! あの爆発が起きた時は、流石の君でも危ないと思ってたけど……』

「バカ言え。このオレがあの程度でくたばるわけないだろうが」

『そうだよね……なんたって、この私のマスターなんだもんね!』

 

 こいつ……鼻声になってないか?

 もしかして、泣いてるのか?

 

『けど、私に念話も無しで行動したのは感心できないな?』

「それは本当に悪かったよ。こっちもそんな余裕が無かったんだ。……いや、それは単なる言い訳だな。本当にゴメン」

『いや、君が無事ならそれで十分さ』

「けど、お前と話せるのは本気で有り難い。まずはそっちの状況を教えてくれないか? まず、お前はどこにいるんだ?」

『私は今、自分の工房にいるよ。あそこはマスターが特別に丈夫にしてくれたお蔭で、多少揺れたぐらいで済んでるから』

「確かに、あそこの強度は核シェルター級にしてあるけど」

 

 割とこいつに関しては心配いらなかった?

 

『密かに私の手で管制室と同じタイプの通信機を作成しておいて正解だったね』

「念には念を、だな。いい心掛けだ」

『ふふ~ん! もっと褒めてくれてもいいんだよ~?』

 

 これ以上、付け上がらせても面倒なんので、ここらで重要な話にシフトした。

 生存者はどれぐらいか。そっちは今どうなっているか等々。

 

『あの爆発で、スタッフの殆どが死んでしまったよ。残っているのは本当に僅かな数だけだ』

「そうか……」

『他の部署にいたお蔭で爆発に巻き込まれずに済んだり、奇跡的に軽傷で済んだりとかね』

「ロマニはどうしてる?」

『あいつなら無事だよ。今は管制室で新人ちゃんとマシュ達に向けて通信を行っている最中だ』

「なんだってっ!?」

 

 通信を行ってるって事は、あいつらは無事って事かっ!?

 

「あの二人はどうしてるっ!? 特にマシュはっ!? あいつは明らかな致命傷を負っていた!」

『落ち着いてくれマスター! 君らしくないぞ!』

「あ……ごめん」

『こほん。あの二人なら五体満足で無事だよ。ついさっき、マスターを襲った連中と同じタイプのエネミーと遭遇したみたいだけど、呆気なく撃退したみたいだ』

「げ…撃退? 誰が?」

『マシュが。マスターが疑問形になる気持ちも分かるから、まずは彼女達と合流することをお勧めするよ。ここで私が説明をするよりは、その目で直接見て、本人に聞いた方が色々と手っ取り早い』

「それもそうだな。了解だ。二人の元までナビをしてくれるか?」

『はいは~い。それぐらいならお安い御用さ!』

 

 ダ・ヴィンチの声を聞きながらオレ達は前身を再開する。

 

『にしても、流石はマスターだね。コフィン無しの状態だってのに、普通に意味消失に耐えてるし』

「この程度でどうこうなってたら、一生掛かっても親父たちを越えられないよ」

『いつも聞くけど、マスターの両親は本当に何者なんだい?』

「知るか。こっちが聞きたいわ」

 

 通信越しにダ・ヴィンチと情報交換をしながら、オレ達は炎に包まれた街中を歩いていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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