東方霊忘録   作:紳爾零士

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紅霧異変編、スタートです。


赤い霧は何を隠しているのか

「…チッ。なんだよ。この空は。」

 

「ほんとだ…。お空が真っ赤。まだ夕方じゃないよね?」

 

「夕方でもこんな真っ赤じゃねえだろ…。なんだよ、これ。」

 

言葉の通りだった。赤というよりは紅色の霧が空を覆う。太陽の光はもはや届かず、紅色の影が下界を覆い尽くしている。戦闘経験が少ない楓華でもこの異常性は理解できた。ふと、空に目をやると見慣れた紅白と白黒が何処やらに飛んでいくのが見えた。

 

「…あれは霊夢と魔理沙。」

 

「博麗の巫女か。…つうことは異変だな。全く、ご苦労なこって…。」

 

正邪は随分とトサカにきていた。…折角の楓華とのデートをこんな形で害されたのだ。…デート?

 

「デートじゃねぇッ!!」

 

「きゃっ。ど、どうしたの?今日、大丈夫?」

 

「…あ、あぁ。」

 

あらぬ期待を払い除け、正邪は楓華のしなやかな手を取り、霊夢たちを追いかけることにした。…しかし、楓華は戦えるのだろうか。生きていた頃の記憶もなければ、能力もわからない。弾幕も扱えるかどうか…。だが、彼女の家の一室に模造刀なのか、なんなのかわからないが、美しい紋様の刀が飾られていた。…あれが生前の彼女を知る鍵になるのか…?

正邪はわからなかった。

 

「正邪ッ!!」

 

「…ッ!!」

 

楓華の自身を呼ぶ声に正邪の意識は一気に覚醒した。先程まで見えなかった目の前の景色が一気に晴れ渡る。目の前にあったのは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———————例の赤い館だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異様な気配を感じる。霊夢たちはもう中にいるのだろうか。目の前の館はとても大きい。下から見上げるのは少しくたびれそうなくらいだ。

 

「…おい。あれ。」

 

正邪の指す指の方向を見る。すると門番らしき少女が倒れていた。しかも、その前には見慣れた後ろ姿がある。焼き焦げた中華服少女を倒した犯人だろう。

 

「魔理沙っ!!」

 

「おっ。お前も来たのか、楓華…と天邪鬼?」

 

正邪も一応、会釈をし、楓華は笑顔で魔理沙にピタリと引っ付いた。正邪も魔理沙も少し顔を赤らめていたが、正邪は羨ましく思っていただけだった。

 

「お、おい!!こ、こんな場所じゃ、は、恥ずかしいぜ///」

 

「あっ。…ご、ごめん。」

 

「反省することないさ。けど、お前らどうしたんだ?それ、戦うためにでも持ってきたのか?」

 

魔理沙は楓華の腰辺りを指差した。

…こんなものあったっけ。

楓華には覚えがなかった。鞘は黒く、柄は紫色に塗装され、鞘と刀は赤い紐で取れぬように固定されている…。それは間違いなく、あの茶室に飾られてあった刀であった。勿論、本物か、模造刀かは確認をしたことがない。

 

「まぁ、いいけどさ。危ないことはすんなよ?こういうのは私たち、プロに任せな。」

 

魔理沙はそういうと館内へ入っていった。館内では霊夢が先にいることだろう。知らぬ暇に持ってきた可能性だってある。正邪と楓華は気にも留めず、魔理沙の後を追うことにした。

 

「…おや?増えましたね。…全く美鈴は何をしているのかしら。」

 

何処からか声が聞こえる。霊夢は予想通り、館内に入っていた。霊夢にも魔理沙と同じようにしたい楓華だが、あまりにも霊夢の雰囲気が真剣なので、やめた。霊夢の見定める先、ここが玄関ならば中央階段といったところか…。暗くて見えにくいが、そこには銀色に光る目をしたメイドがすらりと立っていた。それどころか、手には刃物らしい何かが握られている。

 

「…あなた方は?我々の目的は博麗の巫女、ただ一人です。他の方々は、お帰り願えれば…と。」

 

「帰れと言われて帰る奴が居るか?」

 

「この空、迷惑なのよ。アンタのご主人様に止めるよう言ってくれないかしら。」

 

霊夢はお祓い棒、魔理沙は八卦炉を取り出し、階段上にいるメイドにそう言った。メイドは何も言わず、ナイフを構える。…交渉は決裂のようだ。

 

「魔理沙ッ!!楓華達を連れて、親玉のとこへ行きなさいっ!!」

 

「つってもよ〜。広すぎて…。」

 

「…黙って行かせるとお思いですか?」

 

その瞬間、視界からメイドと霊夢が消えた。何が起こったのか、確認する前に空中から銀色の刃が魔理沙、楓華、正邪に向かって飛んでくる。魔理沙は楓華の手を握り、楓華は正邪の手を握り、魔理沙の箒により、その刃から、逃げることに成功する。霊夢とメイドの姿は依然として奥に消えたばかりだ。ここは霊夢に任せて、楓華達は蝋燭の光と窓からのほのかな光を頼りに、紅魔館内部を進んでいくことにした。

 

「…なんとか、危機一髪って感じだな。」

 

「…何?あれ。」

 

楓華には目の前で起こった状況がよくわからなかった。魔理沙達には日常茶飯事でも、楓華にはよくわからなかったのだ。

 

「あー…。能力って知ってるか?」

 

「のう…りょく?」

 

「あぁ。私たち、幻想郷の人間や妖怪にはよ、稀に能力を持っている奴らがいるんだ。…まぁ、稀につっても結構多いんだけどよ。例えば、霊夢だったら、『空を飛ぶ』程度の能力、私だったら『魔法を使う』程度の能力って感じで…。なんつうか、私にもよくわからない不思議な力なんだ。ごめんな?説明しにくくて。」

 

「…うん。」

 

正邪にも能力があるのだろう。ならば、自分にはあるのだろうか…。なくても、力になれるのだろうか…。楓華の問いに答えるかのように剣が揺れる。そのメッセージは届いたのかはわからないが、楓華はその先に進むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、霊夢は、あの後、あのメイド…十六夜咲夜と交戦していた。霊夢は戦いの中で咲夜も能力を持っていること、そして、その能力にも気づき始めた。何もないところからのナイフ攻撃…。だが、そこは博麗の巫女。全ての投げナイフを避け、咲夜を倒した。

 

「ぐっ…。」

 

「さぁ。アンタの主人のとこまで案内しなさい。」

 

「…わかりました。」

 

博麗の巫女がここまで強いとは…。

咲夜は観念して、主人のところに連れて行くことにした。…これから起こる大変な事態をこの時、この場にいた誰も予想できなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ?ここ…。」

 

此方は正邪、楓華、魔理沙チーム。長く暗い廊下を渡り、広い館内を回っている途中にそれはあった。

 

…鬼崎邸よりも醜悪で染み込んだ血液の匂い。程よく手入れされた子供部屋のような室内にはいくつかのぬいぐるみがあり、見れば見るほど子供部屋…としか言いようがなかった。

 

———ただ一つ、赤いベッドの上に置かれた棺桶のみが異様な雰囲気を纏っていた。

 

「…。」

 

室内を言いようのない緊張感が襲う。

 

魔理沙の喉には冷や汗が一雫、流れていた。

 

普段のほほんとしている楓華でさえ、背を伸ばし、集中している。

 

室内の異様な静けさと広さが言いようのない不安感をかき立てた。

 

魔理沙は恐る恐るではあるが、その得体の知れない棺桶へと手を伸ばす。

 

そして、ゆっくりと蓋をスライドし、開けていく。

 

……拍子抜けだった。

 

「————空っぽ?」

 

楓華のその声に魔理沙と正邪は安堵の息を漏らした。

 

「——–—————誰?

 

…静寂を切り裂く、その幼子の声が響くまでは。




一人称とかにした方が良いですかね?
今更変えても…って感じですが。
楓華メモはやめました、絶対誰も見てないし…。
では次回。ではでは〜。
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