楓物語   作:バリスタ

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まよいキャリー  其ノ弐

008

 

「…さっきも…迷子か?」

 

戦場ヶ原

「……どの子?」

 

「いや、ほら、あの地図の前にいる子」

 

戦場ヶ原

「…その子がどうしたの?」

 

「いや、戦場ヶ原が来る前にもあそこに居たんだよ」

 

「…可愛い子には旅をさせなさい…」

 

「え?」

 

「…頑張って1人でどこか行こうとしてるんだろう…

 

 もう少し1人で頑張らせてあげよう…」

 

 

「そ、そうか?」

 

「…そうだよ…一人で頑張ってるんだから

 

 手助けはしちゃダメだよ…阿良々木君」

 

「…わ、わかった…」

 

 

 

 

 

009

 

 

 

 

戦場ヶ原

「…見蕩れるの「蕩れ」って凄い言葉よね」

 

「蕩れ?」

 

戦場ヶ原

「知ってる?草冠に湯って書くのよ」

「あぁ…一応知ってる」

 

戦場ヶ原

「私の中では草冠に明るいの「萌(もえ)」の

 

 更に一段上を行く次世代を担うセンシティブな言葉として

 

 期待が集まっているわ

 

 「メイド蕩れ」とか「猫耳蕩れ」とか」

 

 

「…蕩れ…ね…」

 

戦場ヶ原

「戦場ヶ原様、蕩れ…って言っていいわよ、阿良々木君」

 

「言わねぇよ!」

 

「…それじゃあ、ほぼ告白だものね…」

 

戦場ヶ原

「あ、お願いは彼女が欲しいでも構わないわ」

 

「…ちなみにそう願うと?」

 

戦場ヶ原

「彼女が出来ます」

 

 

 

 

 

戦場ヶ原さん…阿良々木君鈍いから

 

もっとハッキリ言わないと…

 

 

 

010

 

「…悩み事の解決手伝ってもらったりでも良いんじゃない?」

 

戦場ヶ原

「…まぁ…構わないわ…」

 

 

 

ごめん、戦場ヶ原さん…

 

悪いとは思ってる…だから睨まないで…

 

 

「…悩み事がない訳でもないが…

 

 兄妹喧嘩だし……」

 

戦場ヶ原

「…私には解決出来ないわ」

 

「即決だァ…」

 

戦場ヶ原

「まぁ、切り捨てるのも可哀想だから

 

 話だけでも聞いてあげる」

 

「…今日、母の日だろ…その事で喧嘩した」

 

戦場ヶ原

「…出来のいい妹たちが居るから

 

 出来の悪い兄は居場所が無いのね」

 

「辛辣だな!…その通りだけど…」

 

「認めちゃったよ…」

 

「だから今日は…帰りたくないんだ…」

 

「………そう…」

 

「…その点、一人暮らしの篠宮は楽だよな…」

 

「…感謝できる母親が居るだけマシだよ」

 

「!?」

 

「…忘れて……あ、またあの子」

 

「あ、あぁ…」

 

「…行ってあげていいんじゃないかな、そろそろ…」

 

戦場ヶ原

「……」

 

 

 

「わかった、話しかけて来るよ」

 

 

 

 

 

 

 

011

 

 

「すごい断られ方した…」

 

「そう…」

 

「…もう一回言ってくる」

 

戦場ヶ原

「…いってらっしゃい」

 

 

 

 

012

 

「…戦場ヶ原さん、何が見える?」

 

戦場ヶ原

「…女の子…」

 

「嘘つかなくていいよ」

 

 

戦場ヶ原

「高クオリティのパントマイムプロレス」

 

「…それで合ってるよ」

 

戦場ヶ原

「…そう…」

 

「私も透けて見える程度だもん」

 

戦場ヶ原

「…そう」

 

「だから…安心して」

 

戦場ヶ原

「…わかったわ」

 

 

 

 

 

 

013

 

 

「…_阿良々木君…小さい子にバックドロップは…

 

 ちょっと…」

 

「いや…その……はい」

 

「…目的地は聞き出せた?」

 

「………」

 

「…起きるまで待とうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

014

 

 

 

 

 

「ううん……」

 

「思ったより早かった」

 

 

 

足がしびれる前で良かったよ…

 

しびれるかどうかは置いといて…

 

 

 

「夢を見ていました…

 

 凶悪な高校生に虐待される夢と

 

 とても柔らかいものに身を委ねて寝る夢を…」

 

「果たして夢だったのだろうか…」

 

 

 

「ハッ!」

 

「まぁ、君にバックドロップかました彼はお友達の凍てつく視線を

 

 絶賛食らってる最中だから」

 

「…話しかけないでください…あなたのことが嫌いです」

 

「…つらいよね…行きたい所に

 

 どれだけ経とうとも決してたどり着けないのは…」

 

「!?」

 

「安心して良いよ…なんとかなるよ…」

 

「…無理ですよ…」

 

「無理かどうか決めるのはこれからだよ…

 

 さて…二人とも…彼女、目を覚ましたよ」

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