015
楓
「…さて…阿良々木くん…
こんなタイミングで言うのもなんだけど…
携帯の充電が切れて地図が開けなくなっちゃった…」
暦
「…タイミングが悪すぎる!」
楓
「…マジでごめん…阿良々木くん探しの時にGPS起動してて
切るの忘れてたみたい…」
暦
「…ふらっと来たからこの辺土地勘ないぞ…」
戦場ヶ原
「…昔、この辺に住んでたわ…私」
暦
「本当か!じゃあこの住所分かるか?」
住所の書かれた紙を差し出す、阿良々木くん
戦場ヶ原
「読み上げなさいよ」
暦
「いや…見た方が早いだろ?」
戦場ヶ原
「あなたの触れた物に触りたくないの」
暦
「…僕なんかしたか!?」
渋々、住所を読み上げていく阿良々木くん
戦場ヶ原
「…ふむ…あの辺ね」
どうやら脳内マップで大体の位置は把握したらしい
016
戦場ヶ原
「……通り過ぎた…」
立ち止まり戦場ヶ原さんが言う
暦
「戦場ヶ原…これで3度目だぞ?」
戦場ヶ原
「…誠意が見たいなら全裸土下座してあげるわ」
暦
「僕を社会的に殺す気かァ!」
やっぱり…そう簡単にはいかないか…
楓
「…んー…一旦公園に戻って考えようか…」
暦
「そうするか」
?
「だから言ったじゃないですか…無理ですって…」
顔を下げつぶやく
楓
「まだまだ、これからだよ…八九寺真宵ちゃん」
真宵
「なんで私の名前を!?」
楓
「カバンにガッツリ書いてあるよ…」
天然かな?
017
暦
「…戦場ヶ原、大丈夫か?」
戦場ヶ原
「心配ないわ…阿良々木くん」
楓
「…よし、忍野さんの所行くか」
暦
「なんでだ?」
楓
「道に迷わす怪異の対策を聞きにね」
暦
「な!?」
戦場ヶ原
「…」
暦
「だから土地勘のある戦場ヶ原が迷ったりしたのか」
楓
「…まぁ…そうだね」
暦
「…なんか、歯切れ悪いな」
楓
「…とりあえず…戦場ヶ原さん、
阿良々木くんの自転車で忍野さんの所に行ってきて
迷い牛って言えば伝わる筈だから」
戦場ヶ原
「わかったわ…」
018
暦
「…八九寺…」
真宵
「気にしないでください…もう慣れてますから」
楓
「なんで諦めムードなんだい?」
暦
「いや…」
楓
「まぁ、なんとかなるよ」
暦
「え?」
羽川
「あれ?阿良々木くん?」
楓
「…」
羽川
「それに篠宮さんも、一緒にお出かけ?」
楓
「いや、妹さん達に頼まれて家出した
阿良々木くんの捜索してた」
暦
「羽川は…散歩か?」
羽川
「うん、そうだよ…っとそこの子は?」
真宵
「話しかけないで下さい、貴女のことが嫌いです」
羽川
「おや、初対面の子に嫌われちゃった…
私意外と子供受けはいいんだけどな…
でもダメだよ!ちゃんと挨拶しなきゃ!」
真宵
「は、はい…」
羽川
「よろしい…」
暦
「羽川はすごいな…」
羽川
「それと阿良々木くんもちゃんとそういう事は
言わなきゃダメだよ?」
暦
「はい…」
羽川
「それから篠宮さん」
楓
「私もか!」
羽川
「あまり学区内を走らない方がいいよ」
楓
「…そうだね…校則上ダメだもんね」
羽川
「まぁ…転校前に取ってる資格だし
あまり問題にはならないと思うけどね」
暦
「あ、そうだ羽川」
羽川
「なに?」
暦
「この住所わかるか?」
真宵ちゃんのメモを差し出す阿良々木くん
羽川
「あ、この住所なら……
…ごめん、分からないや」
暦
「羽川でも知らない事ってあるんだな…」
羽川
「…なんでもは知らないわよ、知ってることだけ」
暦
「……」
羽川
「…さて…私もそろそろ散歩の続きに行こうかな
…そうだ、阿良々木くん」
暦
「ん?」
羽川
「…あまり戦場ヶ原さんに気を使わせちゃダメだよ?」
暦
「お、おう?」
羽川
「じゃあね、阿良々木くん、篠宮さん」
暦
「あぁ」
楓
「…乗り物…
…あとは阿良々木くんの交友関係か」
暦
「ん?」
プルプルプル
暦
「…俺の携帯か」
019
忍野
「へー…これ阿良々木くんから見えてるの?」
戦場ヶ原
「えぇ」
忍野
「じゃあとりあえず転校生ちゃんからの言伝で
対象はわかったから説明するよ
迷い牛
まぁざっくり言えば永遠にゴールに辿り着けなくする
怪異だ、だから棄権すれば開放される」
暦
「…いや、忍野、僕が聞きたいのはコイツを送り届ける」
忍野
「何かそこにいるのかい?」
暦
「…いや…何言ってるんだよ忍野…ここに」
忍野
「…あー…そういうことね」
楓
「…」
暦
「え?」
忍野
「とりあえず、対処法はツンデレちゃんに教えとくから
答え合わせしてね、転校生ちゃん」
楓
「…本当…鋭い人…」
忍野
「それと最後に阿良々木くん」
暦
「ん?」
忍野
「自分の目で見た物が全て真実だと思うなよ」
020
戦場ヶ原
「…戻ったわ」
暦
「おかえり、戦場ヶ原…」
戦場ヶ原
「楓さん…貴女知ってて聞かせに行ったの?」
楓
「…確信が持てなくて…」
戦場ヶ原
「…そう…」
楓
「…忍野さんはなんて言ってた?」
戦場ヶ原
「…『阿良々木くん、帰りたいと思えば怪異から解放される』
って言ってたわ…」
楓
「…そのまんまだね」
暦
「…いや、だから僕が聞きたいのは!」
戦場ヶ原
「…そこに誰かいるの?」
暦
「いや、戦場ヶ原、なにふざけてるんだよ」
戦場ヶ原
「阿良々木くん、申し訳ないけど…
私には見えないの…八九寺真宵なんて女の子は」
暦
「…いや、こうしてここに居るし、触れるし
喋れる…何言ってんだよ戦場ヶ原…なぁ、篠宮」
楓
「私には見えるよ」
暦
「ほら!」
楓
「私の中に怪異が居るから」
暦
「!?」
楓
「ちなみに、羽川さんが見えてたのは
そもそも彼女が家に帰る意思が無かったから
事情はよく分からないけど…
迷い牛は…帰りたくない人を永遠に迷わす怪異」
暦
「でもこいつは!」
楓
「…君、何年か前に死んでるでしょ?八九寺真宵…
さんと呼ぶべきかな?」
真宵
「…」
暦
「いや、ふざけるなよ!」
楓
「巫山戯てる訳ないだろうが!」
暦
「ッ!?」
楓
「こっちがどんだけ
気を使ってたと思ってやがる!」
暦
「…」
楓
「テメェの見てるモンが真実じゃねぇんだよ!
八九寺真宵はとうの昔に死んでて
そこには居ないんだよ!」
暦
「…そんな」
楓
「…阿良々木、お前の目は何が見えてる」
暦
「……」
楓
「…私の目には八九寺真宵の顔は見えないんだよ」
暦
「…泣いてる……僕は…
八九寺真宵がお化けだろうがなんだろうが
コイツを送り届ける…」
楓
「なんの意味があるの?」
暦
「意味なんてない…ただ…
帰るべき場所に帰してやりたいだけだ!」
楓
「帰るべき場所?あの世以外に何がある!」
暦
「…家だって…帰るべき場所だろ」
楓
「…!」
暦
「だから僕はこいつを送り届ける!」
楓
「…そう…戦場ヶ原さん、忍野さんの事だから
阿良々木用の回答があるんでしょ?」
戦場ヶ原
「…えぇ…録画してあるわ」
『…どうせ阿良々木くんの事だから
どうやっても助けたいとかって言ってるだろうから…
裏技を教えよう…ただし1度っきりの特別な手段だ
請求は転校生ちゃんに5万で』
楓
「…んえ?」
戦場ヶ原
「という訳で、とっておき、聞いてきたわ」
楓
「…今度払いに行かなきゃか…」
真宵
「無理ですよ!10年辿り着けなかったんですよ!?」
暦
「…10年…」
戦場ヶ原
「…それが八九寺さんの迷い続けた年月かしら?」
暦
「あぁ…うん…」
戦場ヶ原
「…なら、問題ないわ1、2年だったら逆に過酷だったわ」
楓
「…じゃあ…合ってたのね…あれで…」
戦場ヶ原
「やっぱり貴女…」
楓
「…ズルかと思って確信が持てなかった…ごめん…」
戦場ヶ原
「…いいわ、忍野さんも自分を頼ってくれた事を喜んでたわ
一歩間違えたら永遠に迷い続ける羽目になってたとか…」
楓
「…今度、勉強させてもらおう…」
暦
「…じゃあ教えてくれ戦場ヶ原!」
戦場ヶ原
「道を歩かなければいい…少なくとも迷い牛が知っている道を
つまりココ最近出来た道や、塀の上なんかを辿れば
ゴールに行ける」
真宵
「!?」
暦
「いや、塀の上とかはわかるけど
なんで新しい道は平気なんだ?」
楓
「…怪異が幽霊のようなものだった場合…
怪異自体には蓄積された記憶や経験は
…無いの
そこにあるのは思いだけだから…」
021
戦場ヶ原
「…ひとつ。確認したい事がある…阿良々木くん」
暦
「は、はい」
戦場ヶ原
「…阿良々木くんは誰だろうと救う人だから…
私だから助けてくれた訳じゃない…そうでしょ?」
暦
「…僕は…そんなつもりは…」
戦場ヶ原
「別に助けを求めて無くても…困ってる人に手を伸ばす…
そんな人だから…私は惚れた」
暦
「…え?」
戦場ヶ原
「…スッキリしたわ…悩みが無くなった…篠宮さん」
楓
「ん?」
戦場ヶ原
「証人になってもらえるかしら?」
楓
「…OK」
戦場ヶ原
「阿良々木くん」
暦
「はい…」
戦場ヶ原
「I LOVE YOU」
暦
「!?」
楓
「…ワヲ…」
真宵
「おめでとうございます」