022
戦場ヶ原
「…ここね」
大体五分ぐらいの道のりを
一時間かけた…
暦
「…アリかよ…こんなのって」
そこは何もない更地だった
戦場ヶ原
「区間整備…考えてみれば
これだけ町並みが変わっているのに
目的地だけが何も変わってないなんて
…そんな都合の良いことがあるわけ無い」
暦
「そりゃ…そりゃあさ…
これは予測できたこと…だったかもしれないが
…都合よくいって良いところじゃねぇのかよ」
楓
「…羽川さんの反応的にそんな気はしてたけど…」
暦
「こんなの…」
真宵
「う…あ…あ…」
不意に更地に走り出す八九寺
暦
「八九寺!」
真宵
「ただいま帰りました!」
楓・暦
「!」
私の目には抱き合う親子の姿が見えた
楓
「…良かったね…真宵ちゃん」
私は泣いていた…涙なんて
…もう出ないと思ってたのに
戦場ヶ原
「彼女…何か言ってたの?」
暦
「うん…ただいまって」
戦場ヶ原
「そう…なんだかそれは
とてもいい話のように思えるわ」
023
楓
「さて、真宵ちゃんも送り届けたし
私達も帰ろうか」
戦場ヶ原
「ちょっと待ってもらえるかしら」
楓
「え?」
戦場ヶ原
「阿良々木君、まだ返事聞いてないんだけど」
暦
「え?あぁ…」
戦場ヶ原
「私、結構欲深いの」
暦
「じゃあ…一つ約束してくれ」
戦場ヶ原
「何かしら?」
暦
「今後は僕と認識にズレがあったら
はっきり言ってくれ」
戦場ヶ原
「お安いご用よ…で、阿良々木君…
一応言葉にしてもらえるかしら?」
暦
「篠宮、悪いが僕の方も証人に」
楓
「はなからそのつもり」
暦
「ありがとう」
楓
「ほら、女の子をあんまり待たせないの」
暦
「……流行ると良いな」
戦場ヶ原
「は?」
暦
「戦場ヶ原、蕩れ」
戦場ヶ原さんは笑顔だった
…とんだ凸凹カップルな気もするけど
024
後日談…というか今回のオチ
あれから一週間
私が個人的に気になって色々調べたが
八九寺真宵の身に起こった悲劇と
あの土地に綱手さんという人が住んでたことしか
解らなかった…
羽川さんに聞けば解るんだろうけど
多分…知らない方が幸せな気がする
そんなことより
楓
「何で君がここにいるんだ?」
真宵
「えへへ」
暦
「なんか二階級特進だとか」
楓
「…えぇ」
そういうこともあるの?
あり得るの?
真宵
「まぁ…しばらくこの町にいますんで
見かけたら声をかけてください!」
楓
「…うん」
暦
「あぁ」
真宵
「では、私はこのへんで!」
楓
「ふう…にしても有事の際を除き
走行禁止か…」
暦
「後ろに乗るか?」
楓
「…それは…戦場ヶ原さんに
許可取ってからにするわ」
暦
「そうか…」
ダダダダダダ
楓
「んえ?」
?
「やっと追いついたぞ
阿良々木先輩!」
火憐
「火憐だぜ!」
月火
「月火だよ!」
火憐・月火
「2人合わせてファイアーシスターズ!」
火憐
「いやぁ…楓さんがあんな大きいバイク乗るなんてな…」
月火
「…かっこよかった!」
火憐
「…それは分かる」
月火
「さて次回!」
次回
するがハンド 其ノ壱
火憐
「…珍しく不穏にならなかったな、月火ちゃん……」