006
夜
ピロン
戦場ヶ原
『阿良々木君帰ってるかしら?』
楓
『…いやまだみたいだね』
戦場ヶ原
『…何かあったのかしら』
楓
『…分からないな…ごめんね…』
戦場ヶ原
『…まぁ…阿良々木君だし大丈夫よね』
楓
『一応家周辺見回ってみたら?』
戦場ヶ原
『…そうね、野垂れ死なれてても困るわね』
楓
『…彼氏…だよね?』
007
翌日
昼休み
暦
「篠宮、今日暇か?」
楓
「…パンク修理…は明日にするわ…」
暦
「悪いな…」
2年の教室
暦
「…神原駿河いるか?」
神原
「ここに!」
暦
「ちょっと…こっちに」
神原
「何用かな?阿良々木先輩!」
暦
「昨日の事だ」
神原
「あぁ!日本の今後について!」
暦
「違う、昨日の夜の事だ」
神原
「………」
楓
「…結局襲ったのね」
神原
「違う!あれは…」
暦
「…神原…」
神原
「私は…私は!」
楓
「……」
私は神原駿河を抱きしめた
楓
「落ち着いて…誰もあなたを責めるつもりはない」
神原
「…っ!」
楓
「詳しく聞かせてくれるかしら?」
神原
「…ここでは…人が多い…私の家に案内する」
暦
「…僕出番ないな」
楓
「…多分1番の大役があるよ」
008
神原家…
楓
「家、っていうか邸…」
神原組とかかかってそう…
暦
「…広っ…」
神原
「阿良々木先輩の家程ではないぞ」
暦
「僕の家はこんなに広くねぇよ!」
楓
「ウチと阿良々木家を足しても足りなさそう…」
神原
「ささ、入ってくれ!」
部屋に通された…
部屋?
ゴミ…いや、本に埋もれてる…
暦
「…神原…」
神原
「なんだ?阿良々木先輩?」
暦
「掃除させろ!」
009
楓
「あれが…こうなるか…」
綺麗になった…畳の床が見えるようになった
神原
「あぁ…私の部屋の畳はこういう色をしていたな!」
暦
「…もう少ししっかりしたいが本題から逸れる…」
楓
「そうだった…神原…その腕見せてもらってもいいかな?」
神原
「…もう隠しても意味無いか…」
包帯を外す
現れたのは毛に覆われた獣の手だった
暦
「触っていいか?」
楓
「…阿良々木君が触るの?」
暦
「変な誤解されるような発言しないでくれ!」
おぉ…すごいサワサワしてる…
神原
「ヒャン//」
暦
「変な声出すな!」
神原
「いや、阿良々木先輩のテクが凄くて…
もうビショビショだ!」
暦
「いよいよストレートな下ネタぶちかましやがった!」
楓
「…しかしまぁ…融合というか…なんというか…
侵食?」
暦
「…なんというか…猿みたいな…」
神原
「あぁ、猿の手だ」
010
ここからは神原さんの昔語りだった
要約しよう
3つだけ願いを叶えるというミイラの腕を
昔、母から託された
両親が他界し転校
転校先で馴染めずに運動会がやってくる
昔は運動神経が悪く、ミイラに願った
『足が速くなりたい』と
結果
徒競走で自分と同じ番で走るハズだったクラスメイトが
何者かに襲われる
楓
「それで走り込んで自力で足を早くしたと…」
暦
「…篠宮、何か分かるか?」
楓
「私は専門家じゃないからねぇ…ただ…」
暦
「ただ?」
楓
「猿の手って侵食するイメージ無いんだよねぇ…
なんて言うか…
『悪魔に魂を喰われてる』みたいな風に見えるんだよね」
暦
「悪魔って…」
私は息を整える
011
楓
「…それに…猿の手なら…
そもそも神原さん不幸になってないし…」
暦
「いや、クラスメイトが怪我したんだぞ!」
楓
「それで?怪我した彼らと神原駿河…
どっちが不幸だ?」
暦
「それは……」
楓
「阿良々木…お前はホントお人好しだよな…
本性隠したクソ野郎の話すら信じるんだからな」
暦
「な!?」
私は首をグリンと曲げる
楓
「神原駿河…お前…適当抜かすなら協力しねぇからな?」
神原
「……」
生唾を飲む神原駿河
楓
「…神原駿河…お前、何を願った?」
神原
「…戦場ヶ原先輩の傍に居たいと願った」
楓
「誰も上辺の話なんざ聞いてねぇよ
本心の方を聞いてんだよ」
神原
「それは……」
暦
「…篠宮…」
楓
「……まぁいい……どうせ似たような事聞かれるだろうけど
忍野さんの所に行くのが手っ取り早い
レイニーデビルって言えば伝わるよ」
暦
「レイニー…デビル?」
神原
「…それは?」
楓
「…掃除中に雨合羽が出てきたからね…
まぁ…私はこう言ってたって伝えといて」
私は頭を抑えて部屋から出る
楓
「あとは任せるよ、阿良々木君」
暦
「篠宮、お前は?」
楓
「…頭痛い…」
暦
「…こっから徒歩はキツイだろ…」
楓
「…頑張って帰る」
神原
「私は走れるから阿良々木先輩の
自転車の後ろに乗ってくれ!」
楓
「…分かった」
012
楓
「…というわけで…」
忍野
「…へー…レイニーデビルねー…ま、合ってると思うよ」
楓
「…そうですか」
忍野
「しかしまぁ…調子悪そうだね」
楓
「…さっきよかマシです…」
暦
「それで忍野、どうしたら神原の腕を元に戻せるんだ」
忍野
「…僕としては『腕を切り落とす』が1番オススメだよ?」
神原
「ッ…」
暦
「何言ってんだよ忍野!」
忍野
「だってさぁ…人1人殺そうとした代償としては安いもんでしょ?」
楓
「願いを叶えさせるか、強制的に破棄させるか…
今の阿良々木君にはそれぐらいしか選択肢はないよ」
暦
「なんでだよ!」
神原
「……」
楓
「そもそもさ、戦場ヶ原さんの隣に居たいって願いでさ
阿良々木君が狙われるのはおかしくない?」
暦
「それは…戦場ヶ原の隣にいる僕が邪魔で…邪魔…で…」
楓
「そう、邪魔だから消そうとした
それが答えだよ
願いには表と裏がある
『戦場ヶ原先輩の隣に居たい「けど」隣の男が邪魔』
これが神原駿河の願いの全貌
…そうでしょ?神原駿河さん」
神原
「………」
楓
「沈黙は肯定とみなすよ…
まぁ、早い話、阿良々木君が死ねば全部丸く収まるって訳」
暦
「…そんな…」
楓
「で、どうする?ほとんど接点の無い後輩の為に命、捨てるか?」
暦
「…僕は…」
忍野
「…転校生ちゃん…ひとつ方法あるでしょ?」
楓
「…阿良々木に出来ると思います?」
忍野
「…仮にも不死身の吸血鬼だしね…
可能性は0では無いんじゃないかな?」
楓
「…ひとつ…とてつもなく面倒臭い方法ならある」