008
『ギャァァァ!』
楓
「何事!?」
荷解き中に叫び声が聞こえた…
…方向的にも…声色的にも…
多分阿良々木さんなんだろうけど…
楓
「…まだ時間あるし…
生活必需品だけでも出しとかなきゃ…」
結局昨日…あのままお風呂も妹さん達と一緒に入り…
一緒に寝てしまった…
楓
「…布団は元々先に用意してくれてたのがあるし…
お湯も電気も問題ない……
んで携帯も…新しいのが送られてきたと…」
手紙に書いてあったのは
『安否確認のため大体3日に1回
位置情報が送られるように設定したのに
川から動かなかったから一応送った…
届いたら何があったか教えて…お父さん心配!』
楓
「…メールは送ったと…」
『いつものです』
とだけ…多分これで通じる
伝わらなかったらまた送ろう…
009
楓
「やっと出てきましたね…阿良々木さん」
暦
「あぁ…すまない…」
楓
「さっき…悲鳴聞こえましたけど…
大丈夫ですか?」
暦
「あー…妹に起されただけだから心配いらないよ」
楓
「…はぁ…」
暦
「さてと…駅に向かおうか」
楓
「はい!」
家から最寄りの駅へ
暦
「あ、そうだ…今日出る前に妹と
話してた事なんだけどさ」
楓
「はい?」
暦
「恋ってなんだろうって」
楓
「…また随分と難しい話してますね…」
暦
「いや…事の発端は
僕に気になる人が出来たことから始まるんだけども」
楓
「はぁ…」
暦
「…呼称を入れるとバレるから入れないが…」
楓
「…羽川さんですか?」
暦
「何故バレた!?」
楓
「いや…阿良々木さん…仲良いの羽川さんぐらいしか
思いつかなかったので…」
暦
「…うぐっ…」
楓
「わわっ!ダメージ受けないでください!
自転車が揺れる!」
2人乗りしてます…人通りが少ないので…
010
暦
「でだ…好きになるってイマイチ分からないんだ…」
楓
「…また随分とめんど…難儀な性格してますね…阿良々木さん」
暦
「なんか今…訂正しなかった?」
楓
「してませんよ?」
暦
「そう?ならいいんだけど…」
楓
「案外男の子と女の子じゃ
感じ方も考え方も違うし人の性格によっても違うから
コレっていう答えは無いんじゃないかな?」
暦
「ほぉ…
あ、駅前につく…そろそろ」
楓
「あ、はい、降りますね」
暦
「…そういうもんか…」
楓
「…そういうもんですよ…」
暦
「なるほどな…」
楓
「…まぁ…案外阿良々木さんは
自分のことを好きになってくれた人を好きになったりして」
暦
「…どうだろな…ないとも言い切れない」
楓
「っと……ん?」
011
楓
「羽川さん、今日は街の案内お願いします!」
翼
「うん!任せて!」
暦
「あの…羽川?」
楓
「阿良々木さんもよろしくお願いします!」
暦
「あ、うん…」
翼
「…まずは…本屋でも行こうか」
楓
「はい!」
移動中
暦
「…篠宮…なんでスルーしたんだ?」
楓
「あれは…見ないふりが懸命かと…」
翼
「…2人とも…優しいね」
楓
「……」
翼
「私を気遣って聞かなかったんでしょ?」
暦
「……まぁ…」
翼
「大丈夫、転んだだけだから」
楓
「…の割には制服は無事なんですね…」
翼
「!!」
楓
「…事情もあるだろうから深入りはしません」
暦
「…篠宮…悪い…ちょっとあそこのコンビニで
飲み物買ってきてくれないか?」
楓
「あー…分かりました…変なことしちゃダメですよ?」
暦
「しないよ…」
012
さてさて…適当に同じスポーツドリンクを三本買ったけど…
あれ?2人は?
「ガーゼは_とけ、傷_
いきなり_ったらびっ_するだろうから」
ん?
「いや…多分驚かないよ…あの人たちは…
私が髪をバッサリ切っても気付かないよ…
あの人たちは…私の顔も覚えてない」
…めっちゃ重い話してる…っと茂みから出てくる
逃げな……くてもいいか…
楓
「あ、お二人共日陰に避難してたんですね」
暦
「あ、あぁ…まだ4月とはいえ陽射しは侮れないからな」
翼
「そうね…」
楓
「あ、スポーツドリンクなんですが良かったですか?」
暦
「悪いな…買い物頼んで…」
楓
「いえいえ…」
翼
「さて…移動しよっか」
暦
「あぁ」
楓
「はい」
013
翼
「あれは…」
1人道に出る羽川さん
暦
「羽川…どうしたんだ?」
楓
「車通りが無いとはいえ道の上は些か危険ですよ」
翼
「うん…」
その腕には猫と思しき物の亡骸が抱えられていた
楓
「…猫…ですかね…
…損傷もかなり酷い…尻尾…無くなっちゃってる…」
翼
「…2人とも…本屋行く前に…
この子埋めてあげるの…手伝ってくれる?」
暦
「分かった」
楓
「了解です」