楓物語   作:バリスタ

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かえでトランスファー  其ノ伍

 

019

 

五月一日

 

 

5月です…ゴールデンウィーク中の

 

一瞬の休み明けです

 

 

「…羽川さんは来てない…か…」

 

「あぁ…」

 

 

 

 

五月二日

 

 

今日も羽川さんは居ませんでした

 

 

 

放課後

 

「…あ、そうだ、阿良々木くん」

 

「…なんだ?」

 

「忍野さんにちゃんと挨拶したい」

 

「…分かった…行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

020

 

 

 

 

忍野

「やぁ…阿良々木くん…そろそろ来ると思ったよ…

 

 おや、君は…この間の転校生ちゃん」

 

「はい、しっかり挨拶はしとこうと思いまして…

 

 篠宮 楓です」

 

忍野

「篠宮…あぁ…なるほど…」

 

「…そろそろいいか?」

 

忍野

「おや?なんだい、阿良々木くん?」

 

「なんだよ、そのズタボロな姿!」

 

 

…言われてみれば…

 

所々…擦過傷だったりとか…

 

この間、会った時より…やつれてない?

 

 

忍野

「いやぁ…負けちゃった…もう惨敗」

 

「でも、この間、障り猫は弱いって!」

 

忍野

「あぁ…弱いよ…弱い…雑魚って言っていいほどだ」

 

「じゃあ、なんで!」

 

「…そうか…宿主」

 

「…どういう意味だ?」

 

 

忍野

「簡単な話さ…本来、障り猫は…

 

 僕でも片手間で倒せるくらいの雑魚だ…

 

 まぁ…だからと言って本当に片手間ではやってないさ…

 

 プロだからね…そこは全力でやったよ…

 

 やってこのザマさ…

 

 本来…雑魚であるはずの障り猫が…

 

 知恵をつけた…委員長ちゃんの持つ知識を得た」

 

「…知恵をつけた()は…罠をすり抜けるでしょ?

 

 それと同じ…」

 

忍野

「僕の持つ…古典的な策は全部…読まれてた

 

 読んだ上で…全部無効にしてきた…」

 

「…それは…」

 

忍野

「…でもまぁ…絶望的ってわけでもない…まだ救いはある」

 

「?」

 

忍野

「まだ、障り猫の中に委員長ちゃんの意識があるって事だからね」

 

「…どうして…どこに救いがあるって言うんだよ!」

 

 

忍野

「…完全に乗っ取られたらもうおしまいだからさ…

 

 殺すしかなくなる…」

 

「…!」

 

忍野

「委員長ちゃんの意識が残っているうちに…

 

 その意識をサルベージしないと…

 

 …化け猫を退治してしまわないと

 

 羽川翼という阿良々木くんの大事なお友達は…

 

 この世から完全に失われてしまう…

 

 という訳さ」

 

「…でも…忍野さん…負けてるから…」

 

忍野

「…問題はそこなんだよねぇ…

 

 見つけるのも一苦労…見つけても…

 

 戦闘じゃ負けちゃう…どうしようもない」

 

「…俺なら見つけられる…と思う…」

 

忍野

「ほう?その方法は?」

 

「…俺にしか出来ない方法だ…お前じゃ出来ない…忍野」

 

「…阿良々木さんにしか出来ない方法…」

 

「…まずは心渡を貸してもらうことが前提だけどな」

 

忍野

「…吸血鬼ちゃん…貸してくれるかね…」

 

「日本古来の頼み方をするよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…土下座だろうな…

 

 

 

 

 

 


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