021
…後日談…というか…今回のオチ?
あの後、阿良々木さんが
『あとは僕がどうにかする…だから
安心して待っててくれ』
といい数日…夜中に出て行っては朝方帰ってくる
という生活が続いていた…
そんなゴールデンウィーク最終日の夜…
阿良々木さんが早めに帰ってきた
多分全部終わったのだろう…
事の顛末は明日聞くことにしよう…
022
楓
「…じゃあ、とりあえずは羽川さんは無事なんですね?」
忍野
「そうなるかな」
暦
「あれ?忍野」
阿良々木さんの目線の先には幼い女の子が
忍野
「あぁ…それね…せがまれちゃって…」
暦
「…そうか…」
楓
「羽川さんはこのゴールデンウィークの事は…」
忍野
「委員長ちゃんはこのゴールデンウィークの間の事は
何も覚えてないよ…
…ブラック羽川としての記憶は完全に失っている」
暦
「…ブラック羽川?なんだそりゃ?」
忍野
「あの状態の委員長ちゃんの事さ…
あれを障り猫と呼ぶのは少し違うからね…
新種には新種の名前が必要だ…新しい現代の妖怪…
ブラック羽川」
暦
「…ネーミングセンス無ぇよ…お前…」
私は嫌いじゃない…
忍野
「ご両親をエナジードレインした時点で
委員長ちゃんの意識は一旦戻ったらしいんだ…
その時点で彼女の望みは叶ったからという事かな…」
暦
「望み…」
忍野
「だけどすぐ戻った…否…
委員長ちゃん自身が強く願って
自分から離れかけていた猫を引き戻し
更には取り込んだと言うのが正しいのかな?
その瞬間、新怪異ブラック羽川は誕生したという訳だ」
暦
「…っ…」
楓
「………」
…ブラック羽川…カッコイイ…
暦
「…忍野…新種の妖怪って言うならよ…
羽川はずっと家族と言うなの妖怪に…
忍野
「家族ねぇ…でも委員長ちゃんにとってご両親は
家族じゃなかったんだろ?」
暦
「だからこそさ…
羽川にとっては家族ってずっと怪異だったんじゃないかな…」
忍野
「…どうなんだろうね…」
しばしの沈黙…
暦
「でもまぁ…猫になったところで、どうしたところで
羽川は羽川のままなんだと思うと…
やっぱり色々考えちまうんだよ」
忍野
「結婚しちゃえばいいじゃん」
暦
「…はっ!?」
楓
「あぁ…」
忍野
「いやだから…阿良々木くんが委員長ちゃんと
結婚しちゃえばいいじゃん…そうすれば…
委員長ちゃんにはずっと手に入らなかった
家族を持つことが出来るじゃないか」
暦
「いや…悪い冗談だぞ…忍野…」
忍野
「そうかい?良いアイディアだと思うけどね…
春休みに委員長ちゃんから…
手を差し伸べられた恩返しとしては
妥当な取引だとは思うけどね」
暦
「…羽川の気持ちってのがあるだろ…」
忍野
「そりゃ…あるだろ…」
暦
「……」
忍野
「気持ちがあるから魅せられるのさ…
被害者にも加害者にもなる…怪異にもなる…」
楓
「気持ちが…心があるから…ヒトは…人で居られる…か…」
忍野
「そういう事…まぁ…阿良々木くんの気持ちもってのも
あるんじゃないのかい?」
暦
「…僕の…気持ち…」
忍野
「僕はてっきり…阿良々木くんは委員長ちゃんに
恋しちゃってるんじゃないかと思ってたけれど…」
暦
「……バカ言うなよ…僕は羽川に恋しちゃってねえよ」
忍野
「…そうかい…」
暦
「そうだよ…」
忍野
「…っははぁ…阿良々木くんがいいならそれでいいよ
まぁ…聞いてはみたものの…阿良々木くんの気持ちより
委員長ちゃんの気持ちが1番大事だからねぇ…
障り猫が何をしたところで…阿良々木くんが何をしたところで…
人は一人で勝手に助かるだけなんだし…さ…」
暦
「それに…羽川は助けなんて求めてないし…な…
僕に求めてくれちゃっても良かったのに…」
忍野
「案外求めてたのかもしれないけどねぇ…」
暦
「はぁ?」
忍野
「『助けて』って言わなきゃ…
助けを求めた事にならない訳でも無いだろ…
『好き』って言わなきゃ好きって事にならない訳でもない様に
軽はずみに言えない言葉は誰にだってあるよね…阿良々木くん」
023
私達は学校へ向かう…
心做しか阿良々木さんの顔が晴れやかである…
吹っ切れたような…でもどこか…後悔しているような…
楓
「なんかスッキリした顔してますね」
暦
「そうか?」
楓
「えぇ…」
きっと…
彼女への思いに答えを得たのだろう
楓
「学校到着!まだ10分余裕ある…」
暦
「…ちょっと急ごう」
楓
「はい!」
私達は教室へ向かう…
きっと私も…悩む時が来るだろう…
彼のように…はっきり答えは出せないかもしれないけど…
私も…いつか…ワタシのコタエを…見つけよう…
そんなこんなで私の転校初日から始まった奇妙な縁は
広がっていくだろう…
私達は階段をのぼる
火憐
「火憐だぜ!」
月火
「月火だよ!」
火憐・月火
「2人合わせてファイアーシスターズ!」
火憐
「いやぁ…兄ちゃんが美人さんと
家の前で話してるのを見た時は驚いたぜ…」
月火
「ねー…『一体いくら払ったんだ!この愚兄は!』
って思ったもん…」
火憐
「…私は…そこまで思ってないぞ…月火ちゃん…」
月火
「さて、じゃあ次回」
次回
ひたぎエンカウンター 其ノ壱
火憐
「思ったよりサラッと…」