楓物語   作:バリスタ

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かえでトランスファー  其ノ陸

021

 

 …後日談…というか…今回のオチ?

 

 

 

あの後、阿良々木さんが

 

『あとは僕がどうにかする…だから

 

 安心して待っててくれ』

 

 

といい数日…夜中に出て行っては朝方帰ってくる

 

という生活が続いていた…

 

 

そんなゴールデンウィーク最終日の夜…

 

阿良々木さんが早めに帰ってきた

 

 

多分全部終わったのだろう…

 

 

事の顛末は明日聞くことにしよう…

 

 

022

 

 

「…じゃあ、とりあえずは羽川さんは無事なんですね?」

 

忍野

「そうなるかな」

 

「あれ?忍野」

 

阿良々木さんの目線の先には幼い女の子が

 

忍野

「あぁ…それね…せがまれちゃって…」

 

「…そうか…」

 

 

「羽川さんはこのゴールデンウィークの事は…」

 

忍野

「委員長ちゃんはこのゴールデンウィークの間の事は

 

 何も覚えてないよ…

 

 …ブラック羽川としての記憶は完全に失っている」

 

「…ブラック羽川?なんだそりゃ?」

 

忍野

「あの状態の委員長ちゃんの事さ…

 

 あれを障り猫と呼ぶのは少し違うからね…

 

 新種には新種の名前が必要だ…新しい現代の妖怪…

 

 ブラック羽川」

 

「…ネーミングセンス無ぇよ…お前…」

 

 

 

私は嫌いじゃない…

 

 

 

忍野

「ご両親をエナジードレインした時点で

 

 委員長ちゃんの意識は一旦戻ったらしいんだ…

 

 その時点で彼女の望みは叶ったからという事かな…」

 

「望み…」

 

忍野

「だけどすぐ戻った…否…

 

 委員長ちゃん自身が強く願って

 

 自分から離れかけていた猫を引き戻し

 

 更には取り込んだと言うのが正しいのかな?

 

 

 その瞬間、新怪異ブラック羽川は誕生したという訳だ」

 

 

「…っ…」

 

 

「………」

…ブラック羽川…カッコイイ…

 

 

「…忍野…新種の妖怪って言うならよ…

 

 羽川はずっと家族と言うなの妖怪に…

 

 (憑か)れてた様なもんじゃねぇのかな?」

 

忍野

「家族ねぇ…でも委員長ちゃんにとってご両親は

 

 家族じゃなかったんだろ?」

 

「だからこそさ…

 

 羽川にとっては家族ってずっと怪異だったんじゃないかな…」

 

忍野

「…どうなんだろうね…」

 

 

しばしの沈黙…

 

 

 

「でもまぁ…猫になったところで、どうしたところで

 

 羽川は羽川のままなんだと思うと…

 

 やっぱり色々考えちまうんだよ」

 

 

 

忍野

「結婚しちゃえばいいじゃん」

 

 

 

「…はっ!?」

 

 

 

「あぁ…」

 

 

 

忍野

「いやだから…阿良々木くんが委員長ちゃんと

 

 結婚しちゃえばいいじゃん…そうすれば…

 

 委員長ちゃんにはずっと手に入らなかった

 

 家族を持つことが出来るじゃないか」

 

「いや…悪い冗談だぞ…忍野…」

 

忍野

「そうかい?良いアイディアだと思うけどね…

 

 春休みに委員長ちゃんから…

 

 手を差し伸べられた恩返しとしては

 

 妥当な取引だとは思うけどね」

 

「…羽川の気持ちってのがあるだろ…」

 

忍野

「そりゃ…あるだろ…」

 

「……」

 

忍野

「気持ちがあるから魅せられるのさ…

 

 被害者にも加害者にもなる…怪異にもなる…」

 

 

 

「気持ちが…心があるから…ヒトは…人で居られる…か…」

 

忍野

「そういう事…まぁ…阿良々木くんの気持ちもってのも

 

 あるんじゃないのかい?」

 

「…僕の…気持ち…」

 

忍野

「僕はてっきり…阿良々木くんは委員長ちゃんに

 

 恋しちゃってるんじゃないかと思ってたけれど…」

 

 

「……バカ言うなよ…僕は羽川に恋しちゃってねえよ」

 

忍野

「…そうかい…」

 

「そうだよ…」

 

忍野

「…っははぁ…阿良々木くんがいいならそれでいいよ

 

 まぁ…聞いてはみたものの…阿良々木くんの気持ちより

 

 委員長ちゃんの気持ちが1番大事だからねぇ…

 

 障り猫が何をしたところで…阿良々木くんが何をしたところで…

 

 

 

 人は一人で勝手に助かるだけなんだし…さ…」

 

 

 

「それに…羽川は助けなんて求めてないし…な…

 

 

 

 僕に求めてくれちゃっても良かったのに…」

 

 

忍野

「案外求めてたのかもしれないけどねぇ…」

 

「はぁ?」

 

忍野

「『助けて』って言わなきゃ…

 

 助けを求めた事にならない訳でも無いだろ…

 

 

 『好き』って言わなきゃ好きって事にならない訳でもない様に

 

 

 軽はずみに言えない言葉は誰にだってあるよね…阿良々木くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

023

 

 

 

私達は学校へ向かう…

 

心做しか阿良々木さんの顔が晴れやかである…

 

吹っ切れたような…でもどこか…後悔しているような…

 

 

 

 

「なんかスッキリした顔してますね」

 

「そうか?」

 

「えぇ…」

 

 

 

きっと…彼女(羽川翼)の事だろう…

 

彼女への思いに答えを得たのだろう

 

 

 

「学校到着!まだ10分余裕ある…」

 

「…ちょっと急ごう」

 

「はい!」

 

 

 

 

私達は教室へ向かう…

 

 

きっと私も…悩む時が来るだろう…

 

彼のように…はっきり答えは出せないかもしれないけど…

 

 

 

私も…いつか…ワタシのコタエを…見つけよう…

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで私の転校初日から始まった奇妙な縁は

 

広がっていくだろう…

 

 

 

私達は階段をのぼる






火憐
「火憐だぜ!」

月火
「月火だよ!」

火憐・月火
「2人合わせてファイアーシスターズ!」

火憐
「いやぁ…兄ちゃんが美人さんと

 家の前で話してるのを見た時は驚いたぜ…」

月火
「ねー…『一体いくら払ったんだ!この愚兄は!』

 って思ったもん…」

火憐
「…私は…そこまで思ってないぞ…月火ちゃん…」

月火
「さて、じゃあ次回」




次回

ひたぎエンカウンター  其ノ壱





火憐
「思ったよりサラッと…」
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